第36期順位戦B級リポート

 第1節 | 第2節 | 第3節 | 第4節 | 最終節

第4節(10月3・4日/東京)

 実は観戦子は大貝のマージャンをあまり見ていない。同じクラスの時は見れないし、今B級を見に行くとついつい山内を中心に見てしまうからだ。たまに山内の上家に座ると当然一緒に見ることとなるが、山内以上に手が遅く(固く)、攻め時を欠くように覚え、また独特の安全牌の選択を見、びっくりさせられることがある。ところが前節を3−0でまとめ5昇としB級首位に立った大貝は先日行われた八翔位戦で初めての決定戦進出を決めた。弟子の山田に先にA級入りされ師匠としての尻に火がついて本気になったのかどうか。いやいやそういう性格でなく、やっと実力が発揮されているだけのこととも言われている。
 ということで、今日は大貝の後ろにつくことにした。

 すると早速大貝らしさが出た。東1局の中盤に下記のを引いて下記の手牌になった。

 村田(西家)が2巡目にを切っており攻めてきているがテンパイかどうかは確信が持てないところであろう。私なら様子見を含めてを切るところ。勿論大貝は安全牌の中抜き()とした。続く2回のツモは。しかもテンパイしていなかった村田に有効牌が来てピンフドラ1をツモられてしまう。私なら目が吊り上ってしまうとこだが、大貝にはよくある展開なのだろう。この後も丁寧に打ちまわしバーとした。

 続く2戦目はまさに大貝の真骨頂であろう。東3局まで流局し迎えた東4局。最初のテンパイは10巡目、
2巡後にを引き打と最高形を望める形とした。放銃はこのテンパイに追いついた田中でその打牌は。20の収入である。なお、この半荘の面子はあと大川戸と亀井である。

 残る南場がおとなしく進むとは思えない。ただラス目に落ちた田中が真っ直ぐに来るため残り3人が受けざるを得ない。南2局に田中のリーチが流局すると、なんと終わってみればアガリはあの20の1回のみ。大貝の盤石さが出た半荘であった。
 この日3半荘を打って大貝の放銃は0回。このままラスを引かないかなと見ていた4回戦南1局。点棒移動は東1局の安田の10オールだけである。大貝の配牌はバラバラ。コクシ模様で手を進めると8巡目にはリャンシャンテン。正確に言うと純正コクシのリャンシャンテン。で少しスケベ心が出たのか10巡目に小首を傾げながらを切るとこれが大川戸の高目サンショクにストライク。28の出費となった。大川戸28→坂井を挟んだ南4局、大貝6巡目。
 トップまで68である。がこの時点では4枚あるもののは残り1枚。13巡目にを引き入れた。これをアガれるようだと大貝の昇級は確定であろう。が残りのは王牌の中であった。テンパイ後河にが2枚並んだがこれを捉えろというのは無理な注文であろう。

 大貝14戦ぶりのラスとなったが下が追掛けてこない展開であり、このままゴールしそうな雰囲気である。(前回の大川戸にもこのようなことを言った気がするが・・・・・)

(記・平井 淳)


※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

 34回戦は5昇で首位を並走する大貝と坂井が仲良く揃って抜け番。この2人が35回戦D卓で顔を合わせた。対するのは藤森と田中。藤森(1昇)にしてみればどちらかとトップラスを決め、昇級争いに加わっていきたいところだろう。その思いは田中(△2)の方が強いかもしれない。あるいはこれが昇級へのラストチャンスくらいに感じているかもしれない。

【35回戦D卓 起家から田中・大貝・坂井・藤森】

 東1局(ドラ)、オヤの田中にいきなりのチャンス手。7巡目の形がこれ。
 ところがこれがなかなかテンパイせずに焦れていると、坂井の「ロン」の声。
 強烈な20・40だ。藤森・田中はどんな思いで開かれた手を眺めていたか?

 東2局(ドラ)大貝が5巡目から積極的に仕掛ける。
 
 これが12巡目には、
 
と変化し、次巡をひいたところでドラをアンカン。しかし、この後テンパイすら入らず、流局。

 東3局(ドラ)、別卓では安田(2昇)が快調に「ロン」の声を連発している。これが気になる様子の大貝。この局はドラがということもあり、ほとんど字牌が河に放たれることもなく、静かに流局。

 東4局(ドラ)、田中の5巡目が悩ましい。
にツモときたところで、さて何を打つか? は初牌。私なら打としてしまいそうだが、田中の選択は打! あくまでもトップを捲ってやるんだという強い意志の表れだろう。しかし、その後ツモ切ったに、下家の大貝がチーテン。
 
 田中は即オリ。時間はかかったが、17巡目に大貝がをひき寄せ、ほっと一息の3・6。

 南1局(ドラ)、ラスめのオヤ田中の7巡目が次の形。
 ここへツモなのだが、打の即リーチもあるかと思う。が、田中の選択は打のヤミテン。10巡目に坂井にを打たれるが、当然アガれず、直後にをひいたところで打とテンパイ外し。そして17巡目にをひいてテンパイ復活も、最終ツモにいたのはなんと! どうにもチグハグな一局になってしまった。

 南2局(ドラ)、大貝の5巡目が次の形。
 ここへツモときて、打の2シャンテン戻し。なかなか懐の深い一打だが、この後が伸びない。そうこうするうちに、11巡目坂井が初牌のを打ってテンパイ。
 14巡目にツモ、打でマチカエするも流局。田中はドラドラのチャンス手だったが、テンパイも入らず。

 南3局(ドラ)、藤森の4巡目、
 からチートイツに決め打つ打。次巡を重ねて打とするも、これをかぶる。場はワンズが高く、これは仕方のないところ。その後もをかぶり捨てるなどして流局。

 南4局(ドラ)、ここまでアガリは好調者坂井と大貝の一度ずつ。点差は、坂井85→大貝18→藤森17→田中。ラスめ田中の2巡目が次の形。
 ここからドラ打ち。次巡ツモ、打、さらにツモ、打で、なんと4巡目にして、ピンフドラ1高目サンショク含みのテンパイ。トップ狙いでリーチという選択肢もあるが、田中はヤミテン。「うん、まずはラス抜け優先だよなあ」などと思って観ていると、同巡坂井から出た安目をしれっと見逃した!!! 坂井からの高目直撃狙いのヤミテンだったというのか、でもそれならばをひいてしまったら… 7巡目、田中は意を決したようにリーチを宣言した。私はこのリーチ、流局すると思った。ラスめにそうそうチャンスはやってくるものではない、と。しかし、田中の執念は私の予想を上回った。16巡目、田中のツモ牌が表を向いて開かれた。そして、それは高目のだったのだ!

 終局後、私と目があった田中は「やり過ぎですかね?」とつぶやきながら、肩をすぼめた。
(記・堀川 隆司)

第36期順位戦B級 第4節 星取表 (10月3・4日/東京)

選手名
開始前
28回戦
29回戦
30回戦
31回戦
32回戦
33回戦
34回戦
35回戦
36回戦
終了時
順位
田中  実
△2
D 
D 
===
D 
D 
D 
D 
D 
===
△1
7
村田 光陽
△1
C 
C 
D 
D 
===
C 
C 
===
C 
△2
9
山内 啓介
±0
===
C 
D 
C 
D 
C 
D 
C 
D 
1昇
5
小宮山 勤
±0
D 
C 
C 
===
D 
D 
C 
===
D 
△1
8
大貝 博美
5昇
C 
D 
===
C 
C 
D 
===
D 
D 
5昇
1
安田健次郎
±0
C 
===
C 
D 
C 
C 
C 
C 
D 
2昇
4
亀井 敬史
△6
D 
D 
D 
C 
===
===
C 
C 
C 
△9
10
坂井 準司
4昇
C 
===
C 
C 
C 
C 
===
D 
C 
5昇
2
藤森 弘希
1昇
===
C 
C 
D 
D 
D 
D 
C 
===
±0
6
大川戸 浩
1昇
D 
D 
D 
===
C 
===
D 
C 
C 
3昇
3
立会人:平井 淳/堀川 隆司

第3節(9月12・13日/東京)

 第3節を迎えての成績は期首順位順に、「田中△3、村田△4、山内0、小宮山1昇、大貝2昇、安田△4、亀井△4、坂井3昇、藤森2昇、大川戸8昇」。

 2人昇級の今期B級戦、大川戸が抜け過ぎたため、中段に位置する選手は2位昇級狙いが現実的かというところ。対する大川戸は下を見ながら、2位・3位の人間を抑えつけながら自分は悠々と行きたいといった感じか。マイナス組は団子であり、この第3節ではとにかく自分の成績を上げることが目標となる(文中敬称略)。

 19回戦の抜け番は大貝2昇と大川戸8昇。初戦の抜け番を嫌う人も多いが、昇持ちとしてはそれほど気になるものでもないか。

【19回戦C卓(村田△4・坂井3昇・山内0・田中△3 (起家より・以下同)】
 東1局:田中 10・20、東2局:村田40(←坂井)、東3局坂井40(←山内)とラス目が毎局変わって迎えた東4局(ドラ)。点数状況が田中20→村田30→坂井40→山内。10巡目坂井が少々時間を使ってからリーチ。その捨牌は、

 リーチを受けた山内の手牌が、
 さして迷うこともなく、不要かつ「リーチの筋」のをツモ切ると坂井から「ロン」の声。
 そのままリーチかピンズを払ってホンイチに行くか迷った、てやつでした。

 レースは次局村田からタンヤオピンフドラ2をアガって加点した坂井の逃げ切り。

(◎坂井/●山内)

【19回戦D卓:小宮山1昇・藤森2昇・亀井△4・安田△4】
 東場の点棒移動は安田の28(←小宮山)のみ。迎えた南1局(ドラ)。点数状況が安田28→藤森・亀井28→小宮山。小宮山が17巡目に気合十分に「ロン」の発声。
 南2局(ドラ)、点数状況が小宮山48→安田28→藤森・亀井。オヤ・藤森が7巡目にリャンメンでをチー、12巡目にポンと仕掛けるもまだイーシャンテン。
  
 安田はメンゼンテンパイ。
 藤森はをツモりドラとの高目大三元テンパイとなるもその時点で純カラ。ここから全て流局。ラスなし。

(◎小宮山/●なし)

【20回戦C卓:小宮山2昇・田中△3・大貝2昇・安田△4】
 小宮山の7・14、大貝の5・10、小宮山の12、と3回のアガリが出て迎えた南4局(ドラ)。点数状況が小宮山29→大貝13→安田07→田中。
 早々にカンを仕掛けた田中、の先付け。これがうまくいきをアンコにして小宮山から出アガリ。そして雀頭はドラの、40点ベースで52。南4局を迎えてのラス目がトップ、トップ目がラスと天地ひっくり返る結果に。

(◎田中/●小宮山)

【20回戦D卓:坂井4昇・村田△4・藤森2昇・大川戸8昇】
 東場は4回のアガリが出て迎えた南1局(ドラ)。点数状況が坂井08→藤森27→村田34→大川戸。大川戸は3巡目にを所謂「同巡2鳴き」。三元牌の高い場であったがピンフドラ1テンパイの村田からポン、手にはがアンコ。カンの大三元テンパイ…もその打牌で村田に放銃。

 南4局(ドラ)。点数状況が坂井08→藤森07→村田84→大川戸(供託10)。チートイツテンパイの藤森、14巡目に「今出た」に待ち変え。これに即大川戸が手の内から放銃して決着。

(◎藤森/●大川戸)

【21回戦C卓亀井△4・坂井4昇・山内△1・藤森3昇】
 全員原点で迎えた東2局(ドラ)。6巡目藤森「順位戦で自身初の全員原点からリーチ」。
11巡目にをツモアガリ。7・14。
この後、ラス目は坂井→山内→坂井と変わっていくも藤森はずっとトップ目。南4局はラス目坂井がラス抜けに成功し、亀井にラスを押しつけた。

(◎藤森/●亀井)

【21回戦D卓:小宮山1昇・大貝2昇・村田△4・大川戸7昇】
 大川戸が苦しい。小宮山に30を放銃した後、5・10をツモアガるも、村田に42を放銃し、チートイツのオヤカブリで厳しい点数状況。
 南1局その2(ドラ)。点数状況が村田21→小宮山43→大貝55→大川戸。大川戸、3巡目リーチ。
 しかしその後むなしく14回ツモ切り。流局。

 結局その後もラス抜けは叶わず。トップ目から40オール加点に成功した村田が4回戦以来の久々トップ。

(◎村田/●大川戸)

【22回戦C卓:田中△2・大川戸6昇・安田△4・小宮山1昇】
 メンゼン3メンチャンを高目サンショクに振り変えてから高目ツモの20オール、リーチツモの10オールとスタートダッシュの田中を安田と小宮山が追い、大川戸が独り置いていかれる展開。
 南2局(ドラ)。点数状況が田中16→小宮山27→安田78→大川戸。大川戸、7巡目リーチ。
 これまたむなしく11回ツモ切り流局とどうにもならず。

 南4局に10・20ツモアガリの安田が逆転トップ。

(◎安田/●大川戸)

【22回戦D卓:大貝2昇・亀井△5・山内△1・坂井4昇】
 大貝789サンショク40オール、亀井789サンショクチャンタドラ1の80(←坂井)、で迎えた東2局その1(ドラ)。坂井7巡目メンゼンツモアガリ。ソウズとワンズは789、ピンズは678。
(何故私だけ789出来上がっていないの?)と思ったかどうか。切りリーチも考えたか。しかし既に山内が2つ仕掛けている状況ではなかなかそうも出られない。3・6。
 必死にもがくも点差が広がる一方の坂井であるが、南1局その2(ドラ)。点数状況が大貝143→亀井73→山内165→坂井。16巡目にリーチ。
 そして1回しかないツモでを引き当てた!しかし反撃もそこまで。トップの方はというと東1局その1に40オールをツモアガリした大貝の逃げ切り。

(◎大貝/●坂井)

【23回戦C卓:田中△2・安田△3・亀井△5・山内△1】
 田中26オール、山内7・14、山内20・40、安田20・40、亀井20・40、田中10・20、と激しいアガリ合戦で迎えた南4局(ドラ)。点数状況が山内08→田中47→安田10→亀井。安田が、
 がフリテンとなっているこのテンパイ、を渾身のツモアガリで逆転トップ。

(◎安田/●亀井)

【23回戦D卓:村田△3・大貝3昇・藤森4昇・大川戸5昇】
 東1局その1(ドラ)、4巡目に村田が静かに「ロン」と開いた手牌にはが3枚。簡単な40オール。これを南2局に大貝が14オール・40オールで捲り、さらに村田から30、大川戸から12で圧勝。南3局に同点3着目から12放銃の大川戸がラス。

(◎大貝/●大川戸)

 安泰かと思われた大川戸がまさかの4ラス。混戦となって今期後半突入のB級戦。まさに目が離せない。

(記・成岡 明彦)


第36期順位戦B級 第3節 星取表 (9月12・13日/東京)

選手名
開始前
19回戦
20回戦
21回戦
22回戦
23回戦
24回戦
25回戦
26回戦
27回戦
終了時
順位
田中  実
△3
C 
C 
===
C 
C 
C 
===
C 
C 
△2
9
村田 光陽
△4
C 
D 
D 
===
D 
C 
D 
C 
C 
△1
8
山内 啓介
±0
C 
===
C 
D 
C 
D 
===
D 
D 
±0
5
小宮山 勤
1昇
D 
C 
D 
C 
===
D 
C 
===
D 
±0
6
大貝 博美
2昇
===
C 
D 
D 
D 
D 
C 
D 
===
5昇
1
安田健次郎
△4
D 
C 
===
C 
C 
C 
C 
C 
===
±0
7
亀井 敬史
△4
D 
===
C 
D 
C 
D 
D 
===
C 
△6
10
坂井 準司
3昇
C 
D 
C 
D 
===
===
D 
D 
D 
4昇
2
藤森 弘希
2昇
D 
D 
C 
===
D 
===
D 
D 
C 
1昇
3
大川戸 浩
8昇
===
D 
D 
C 
D 
C 
C 
C 
D 
1昇
4
立会人:成岡 明彦/愛澤 圭次

第2節(7月4・5日/東京)

 大川戸浩。今年新入会の「遅れてきた新人」3人のうちの1人である。
 その彼が、1節で4−0のロケットスタートを果たした。並行して行われている八翔位戦でも忍田幸夫を下し、中村浩三とともに2次予選進出を決めている。
 彼は、マージャン101への参加は古く、過去何回も八翔位戦には参加している。万を喫しての参加である。が昨年末に行われた新入会3人による順位決定戦(黒子として山田A級)では最下位になり、期首順位10位でのスタートとなっている。順位戦予想座談会でも最後の最後に昇級候補として名が出たが、「予想」なのか「応援」なのかとの曖昧なものとしてである。つまり事前評価は決して高くないのである。ということで今日は大川戸をじっくり見ることとした。

 10回戦東3局西家(点棒移動なし)、

 序盤にこんな形となった後、を引くとのトイツに手を掛け、
まで持って行くが最後は降りている。河にはが3枚とが1枚置かれている。さえツモ切っていればアガリを拾えていた可能性があるが、重厚な打ちまわしを感じさせた。

 続く東4局南家3巡目にはドラをアンコにし12巡目、
 ここにをツモり打とする。決してが危険というわけではない。次巡がで打
 ここでイーシャンテンのオヤがをツモ切ると、大川戸のツモはで、打牌は自然と
 すると次のオヤのツモ切りがでチー。テンパイである。結果はアガれず。しかしオヤがをツモ切ってないとどこを外したのだろうか。仮にだとしたらはツモ切られないであろう(藤森、イーシャンテンでのツモ切りはないぞ)。

 大貝32←藤森、藤森20←亀井を挟んだ南3局西家2巡目、
から最高形を追及する打とする。次巡ツモで打。しかしその後のツモは・・にはくっつきがなかった。また、も2枚引いている。結果論を書いているようかもしれないが、40を目指すならからでもよく、目立ちたくなければからが手順であろう。
 この半荘はアガリが2回で大川戸はバーであった。

 12回戦は村田のピンフリーチ(高目イーペーコー)で始まり放銃を免れた大川戸が次局リーチ棒を回収する鳴きタンヤオをアガる。東3局南家8巡目、
からオヤ・村田のをフカすとツモは。主導権を取る気はないようだ、結果は流局。
 大川戸30←亀井、亀井16←大川戸の往復を挟んだ南2局西家、10巡目にをポンして、
 
 をポンさせた下家山内は、
 
 大川戸は山内にをかぶせるが村田からリーチが飛んででダウンする。すると次のツモが。村田はカンをツモって10・20。山内も道中をツモって打とし、村田のを捉え損なっていた(大川戸08→村田46→山内04→亀井)。

 お疲れサンと思ってトイレに行って帰ってくると、既に大川戸は4巡目で、
 すぐに上家村田にをポンされるとツモは。下家・山内は助かったと言ってました。
 3人ゲンナリの大川戸5昇目。

 この日の最終戦は、大川戸の放銃から始まった。東1局、
から中盤にオヤ・安田にをポンされる。安田は4巡目にを切っており、打牌はドラの。即撤退である・・・はずである。ここに大川戸は安田の河にが置かれているためかをツモ切り、相方がのトイトイに捕まる(42)。
 しかしその2では、4巡目にカンのイーペイコーをテンパイすると道中を安田に鳴かせるもを入れ替え、安田から20を取り返す。しぶとい生命力だ。(ちなみに安田は60のリャンメンポンテン)。

 そしてオヤ番を迎えると、12巡目には、
 心の中で[たぶん]ハァーとため息をついたが、ここは流局。南1局にはドラがで下家の3着目山内がチャンタ模様で来ているのにをチーさせで20・40を引かれる。が、安田が藤森に16を献上しているのでラス目大川戸から見れば3着目までは22が08(安田)に近づくのである。うまくできているなーとか思っていると、南2局東家6巡目、
を引いてきた。ここから愛澤名翔位に打ってもらおう。
「(ツモ→打牌の順)(ツモ切り)、(ツモ切り)、」で、
のテンパイである。ラス抜けまで08、トップ目まで122。さァ、リーチをかけるべきか否か。
 と、なるはずが、大川戸の捨牌は「」でが横を向くのである。この後大川戸はを手許に引き寄せ、この日何度目かのため息を3人プラス立会人につかせるのである。

 確かに丁寧に打っていることは分かるが、ミスもしている。ただ、ツイているだけではここまで昇は伸ばせないであろう。立会人に見えないものが見えているようである。仮に立会人がA級に残留できれば、来年はご指導いただかなければいけないようである。
(記・平井 淳)

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

 14戦を終えて、大川戸が6昇と首位をひた走っている。この大川戸が昇級ポジションを虎視眈々と狙う坂井(2昇)、大貝(1昇)、そしていまだ不調から脱しきれない村田(△4)と相対した15回戦の模様を振り返ってみたい。

【15回戦D卓 起家から村田・坂井・大貝・大川戸】

 東1局(ドラ)、オヤ村田が8巡目に超ド級のテンパイ。
 好調者大川戸にワンズをかぶせられるが、出てくる牌は。流局。

 東2局(ドラ)、村田が5巡目に原点リーチ、
 一発めのツモに村田、嫌な予感がしたかもしれないが、ほどなくをひきアガって、10・20の先制。

 東3局(ドラ)、オヤカブリでラスめに落ちた坂井が8巡目にポンテン、
 
 時間はかかったが15巡目にをひき寄せ、3・6であっさりとラス抜け。

 東4局(ドラ)、西家坂井がなんと2巡目テンパイ、
 当然ヤミテン。その後、ツモで打とテンパイ外し。さらにひいてきたをツモ切ると、今度は大貝のチーテンが入った。
 
 その後、坂井はツモで打とうまく役アリテンパイを組んだが、再度をひかされたところでオリを選択した。流局。

 南1局(ドラ)、大川戸が攻勢に出るも、他三者がきっちりと受け、流局。

 南2局(ドラ)、ラスめ大貝が3巡目に打ったを村田がポン、
 
 すぐにをひいてテンパイを入れるが、その後ツモ切ったに大貝が「ロン」。ピンフの12で大貝、ラスめ脱出。

 南3局(ドラ)、オヤ大貝が10巡目にドラ打ちテンパイ、
 しかし、この時点で2シャンテンだった大川戸が追いつき、そして追いこす。

 南4局(ドラ)、点差は、村田03→大川戸30→坂井03→大貝。なんとオヤの大川戸が2巡目にしてピンフをテンパイ。そして、誰が踏んでもおかしくないこの地雷を踏んだのは、不調者村田であった。南4局その2は、ラスめ大貝の仕掛けを誰も相手にせず流局。

 終局後、卓外で観ていた田中がポツリとつぶやいた。
「2巡目にピンフをテンパイする人とマージャンしたくない」
 果たして、首位を快走する大川戸が崩れる時が来るのだろうか。
(記・堀川 隆司)

第36期順位戦B級 第2節 星取表 (7月4・5日/東京)

選手名
開始前
10回戦
11回戦
12回戦
13回戦
14回戦
15回戦
16回戦
17回戦
18回戦
終了時
順位
田中  実
△2
C 
D 
C 
D 
===
C 
D 
D 
C 
△3
7
村田 光陽
△1
===
D 
D 
D 
C 
D 
===
D 
D 
△4
8
山内 啓介
1昇
C 
C 
D 
===
D 
C 
===
C 
D 
±0
6
小宮山 勤
△2
C 
C 
===
D 
C 
===
C 
D 
C 
1昇
5
大貝 博美
1昇
D 
D 
===
C 
C 
D 
D 
C 
D 
2昇
3
安田健次郎
△2
C 
===
C 
C 
D 
===
D 
C 
D 
△4
9
亀井 敬史
△1
D 
D 
D 
C 
===
C 
C 
===
C 
△4
10
坂井 準司
1昇
===
C 
C 
D 
C 
D 
D 
===
C 
3昇
2
藤森 弘希
±0
D 
===
C 
C 
D 
C 
C 
D 
===
2昇
4
大川戸 浩
4昇
D 
C 
D 
===
D 
D 
C 
C 
===
8昇
1
立会人:平井 淳/堀川 隆司

第1節(5月23・24日/東京)

 開幕が目前に迫った対局室。独特の緊張感が張りつめている。そんな中、ふとC卓に目をやると、田中・村田・山内・坂井の4名が既に着座していた。なんと今期の昇級候補として下馬評の高い4名のいきなりの直接対決ではないか! この注目の好カードを振り返ってみることにしよう。

【1回戦C卓 起家から村田・田中・山内・坂井】

 東1局(ドラ)、オヤの村田が8巡めにドラのを打った。ワンズの形がというピンフのイーシャンテンからタンヤオの含みを残して、ドラを先打ちしたのだ。しかし、このに、坂井の手が開かれた。

 村田にとっては痛恨の放銃。一方、坂井はデビュー戦を最高の形でスタートすることができたといえよう。

 東2局(ドラ)、ラスめ村田が序盤から積極的に仕掛ける中、オヤ田中がテンパイを入れる。
 しかし、この大物手は不発に終わる。

 東3局(ドラ)、ラスめ村田にイーペイコウのみのタンキマチテンパイが入るのだが、既にその河にはドラが2枚並んでいる。手順上やむを得ないとはいえ、「なんとかならんかったか?」という思いも強いだろう。当然のように流局。

 東4局(ドラ)、またもテンパイを入れるラスめ村田。しかし、今度はそのテンパイ打が田中に捕まった。
 ピンフドラ1は、さらに20の出費。

 南1局(ドラ)、オヤ村田が11巡目リーチ、
 をアンコにしての絶好のテンパイだったのだが、101のラスめのこの手のリーチは不思議とツモれない。当然出ることもなく流局。

 南2局(ドラ)、オヤ田中のタンヤオ仕掛けに対し、山内もダブポンと仕掛け返すも、田中がひき勝って6オール+供託10の収入。

 南2局その2(ドラ)、村田が7巡目リーチ、
ちなみには1枚切れ。村田本人もアガれる気などしなかっただろう。やはり流局。

 南3局(ドラ)、オヤ山内がファン牌片アガリのメンゼンテンパイを入れるも、一人旅となり流局。

 南4局(ドラ)、点差は、坂井26→田中54→山内120→村田。田中の4巡目、
から打とした。結果論で言えば、針の穴のチートイツツモアガリがあったが、これは無理な話か。流局。


 たかが45分の1、されど45分の1。東1局のマンガン出アガリ一発で幸先よく1昇を上げた坂井だが、その対局姿勢はまるでA級選手のそれであるかのよう。必ずや昇級争いに絡んでくるであろうと思わせる安定感があった。対して、苦しいスタートとなってしまった村田。昨年の第1節を思い起こさせるような不調が感じ取れた。ここからの巻き返しはあるのだろうか。
(記・堀川 隆司)


※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

 第1節初日を終えての成績は期首順位順に、「田中△1、村田0、山内1昇、小宮山△2、大貝0、安田△1、亀井△1、坂井1昇、藤森0、大川戸3昇」。
 初日好調は新入会の大川戸。第2日はどうなったか。

【6回戦C卓(起家から)坂井1昇・大貝0・小宮山△2・亀井△1】
 東1局その1:亀井28←坂井
 東2局その1:大貝30←小宮山
 東2局その2:流局
 東3局その1:小宮山26オール
 東3局その2:坂井16・32
 東4局その1:坂井16←大貝
 なんとまあよくアガリが出ること。南入時の点差は、坂井10→小宮山30→亀井14→大貝。

 南1局その1:小宮山10・20
 南2局その1:大貝10オール
 南2局その2:坂井80←亀井
 南3局その1:亀井20・40
 南4局その1:小宮山7・14
 小宮山、南4局のリーチツモが安目のためトップは坂井の逃げ切り。南3局のマンガンツモアガリではまだラス抜けできなかった亀井がラス。
 昔はよく「101名物流局」とか聞いたもの。まったく、「なにそれ?美味しいの?」て感じ。この半荘はアガリ10回、流局1回。

(◎坂井/●亀井)

【6回戦D卓 山内1昇・藤森0・村田0・安田△1】
 東1局その1:藤森5・10
 東2局その1:流局
 東3局その1:流局
 東4局その1:藤森4・8
 南入時の点差は、藤森45→村田04→安田01→山内。

 南1局その1:安田:20・40
 南2局その1:村田:64←安田
 南3局その1:安田:10・20
 南4局その1:藤森:7・14+供託10(村田)
(◎藤森/●山内)

【7回戦C卓 安田△1・藤森1昇・大貝0・亀井△2】
 南1局、亀井28→藤森・大貝28→安田、
 トップ目亀井の30・60が決まり手。オヤカブリの安田はその後どうにもならず。
(◎亀井/●安田)

【7回戦D卓 大川戸3昇・村田0・小宮山△2・田中△1】
 東1局、10巡目、をポンした小宮山の捨牌はドラ色のホンイチ模様。
 
「うまくいけば儲けもん」仕掛け。が、誰も向かっていくような手ではなく、小宮山も有効牌を引けず、そのまま流局。

 東4局(田中20→小宮山48→村田20→大川戸)、「いかにも」な捨て牌で大川戸、なんとリーチ。
これに「ギリギリまで」とばかりに押す村田の口からついに「ロン」の声。待ちのチートイツ、完璧!
 が、これはツモアガリではない。
 その局面でまだ突っ込んでいった田中の放銃でアガリはもう一人「ロン」の声を出した大川戸。
 ちなみに田中のコメント「安全牌は売るほどあったけどね」。
 なんだか凄いぞ今年のB級戦。
 さすがに決め手に。
(◎大川戸/●田中)

【8回戦C卓 大貝0・村田0・小宮山△2・藤森1昇】
 南3局その1(大貝06→藤森05→小宮山60→村田)、オヤ・小宮山の仕掛けは18見え見え。
 
に対して、残りツモが3枚となった最終手番の北家・村田、点差、局数、あれやこれや考えて差しに行くかどうか迷う。
 結局の選択は安全牌。ただし、アンコ持ちから生牌の数牌。これは小宮山ツモ外れ、の後、南家藤森がその牌を切ってきたらポンしてもう一度小宮山にツモを回す作戦。実に丁寧。  しかし何事もなく流局。

 南4局はトップ目大貝がメンゼンでツモアガリ。
(◎大貝/●村田)

【8回戦D卓 坂井2昇・田中△2・大川戸4昇・山内0】
 南3局(坂井02→大川戸02→山内158→田中)、田中起死回生なるかのチャンス手。
 しかし9巡目ツモは見るからに渋々といった感じでのテンパイ取り。
 12巡目にドラをツモってアンカン、十分に雰囲気も出ていた場がさらに緊張。
 と、ここで山内がから大きな「ロン」の声。
 南4局(山内106→坂井22→大川戸140→田中)、田中16巡目にリーチ。
 17巡目のツモ切り。「切り間違い直撃狙い、形だけリーチ」。
(◎山内/●田中)

【9回戦C卓 藤森1昇・田中△3・大川戸4昇・亀井△1】
 東1局(ドラ)、5巡目にオヤ・藤森、をポンして仕掛ける。
 
 10巡目亀井にテンパイ。
 これをチーして藤森はドラタンキ待ち。
  
 これに対して田中、
で、ブンブンに向かっていく。
 大川戸も、メンゼンテンパイ。
ここも退かない。
 なんだか凄まじい局でしたが結果は流局。

 南2局(ドラ)、点差は、大川戸21→田中13→亀井59→藤森。ラス目の藤森が8巡目にリーチ。
これにトップ目の大川戸が押し返しノーテンからで放銃。

 田中07→大川戸06→亀井31→藤森となって迎えた南3局その1(ドラ)、9巡目に田中がトップ目からリーチ。
 これは流局し、再び大川戸がトップ目に。

 南4局その1(ドラ)。点差は、大川戸03→田中03→亀井31→藤森(供託10)。
 10巡目に田中がをチー。
 
 続いて大川戸も仕掛ける。
 
 12巡目に藤森テンパイ。
 これをチーして田中テンパイ。藤森にツモアガリされるとラスになる亀井が即藤森の現物で差し込み、なんとか田中トップ。
(◎田中/●藤森)

【9回戦D卓 坂井2昇・小宮山△2・山内1昇・安田△2】
 南4局その1(ドラ)。点差は、山内21→安田30→小宮山55→坂井(供託10)。
 8巡目に山内が、
から、をポンしてテンパイ。
 10巡目に小宮山がリーチ。
 これを受けて11巡目に安田が、ツモ切り追いかけリーチ。
 ラス目坂井がイーシャンテンでを掴む、も(オヤ、アガってくれ、できれば小宮山から)と撤退。
結局12巡目に小宮山がをツモアガリ。
(◎小宮山/●坂井)

 この日は総じてアガリの多い対局であった。これが今年のB級戦なのか、それとも今日はたまたまだったのか。今後に注目していきたいところである。
 …あんまりにも多いのは実況ツイート担当の立会人泣かせよね。
(記・成岡 明彦)

第36期順位戦B級 第1節 星取表 (5月23・24日/東京)

選手名
開始前
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
6回戦
7回戦
8回戦
9回戦
終了時
順位
田中  実
S-0
C 
D 
===
D 
D 
===
D 
D 
C 
△2
9
村田 光陽
S-0
C 
===
C 
D 
D 
D 
D 
C 
===
△1
6
山内 啓介
S-0
C 
D 
D 
D 
===
D 
===
D 
D 
1昇
2
小宮山 勤
S-0
D 
C 
C 
===
C 
C 
D 
C 
D 
△1
7
大貝 博美
S-0
===
C 
D 
D 
D 
C 
C 
C 
===
1昇
3
安田健次郎
S-0
D 
D 
C 
C 
===
D 
C 
===
D 
△2
10
亀井 敬史
S-0
===
D 
C 
C 
D 
C 
C 
===
C 
△1
8
坂井 準司
S-0
C 
C 
===
C 
C 
C 
===
D 
D 
1昇
4
藤森 弘希
S-0
D 
C 
D 
===
C 
D 
C 
C 
C 
±0
5
大川戸 浩
S-0
D 
===
D 
C 
C 
===
D 
D 
C 
4昇
1
立会人:堀川 隆司/成岡 明彦