第12回 マージャン101チャンピオンズマッチ

 観戦リポート | チャンピオンズマッチ座談会

観戦リポート:山田 史佳&藤森 弘希

 10月11日、マージャン101東京支部が行われている蔵前の「雀遊」にて「第12回マージャン101チャンピオンズマッチ」が行われた。今年は昨年度より発足した新潟支部からも参加者が選出され、出場されたのは以下の8名。

・イン東京:佐藤由香里さん・伊澤興さん
・イン仙台:野内千賀子さん・村上涼太郎さん
・イン大阪:大原泰孝さん・山舗徹さん
・イン新潟:服部悠太さん・菊池晃弘さん

 システムは、1・2回戦を101評価、3回戦を202評価で対局し、上位4名を決定する。同昇の場合は、翔龍戦を模して「追いついた方を上位」。それでも、同じ場合は前年度のマージャン101の対局数の多い方を上位とする。そして、上位4名で303評価による決勝戦を2回行い優勝者を決める。

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

【1回戦A卓(村上・大原・服部・佐藤)】
 東1局、大原にアンコの配牌、佐藤が4巡目ピンフイーシャンテン、服部が5巡目に一手変わりサンショクながらも役なしテンパイと今にも誰かアガりそうな展開。10巡目に服部が無事サンショクに手変わり黙々と押すものの、すでに追いついていた大原に16の放銃となった。

 東2局、服部が先ほどの失点を取り返さんと積極的に仕掛けを入れる。大原も親だけに中々引き下がりたくないところか、スジと言って粘ったが服部のクイタンにつかまり12を返すこととなった。

 東3局、ここまで小さな展開で進んできたが、佐藤の配牌にピンフのリャンシャンテンという高速配牌が入る。
 何と第一ツモがで、ピンフイッツーを目指してから切る。が、この手がテンパイしたのは12巡目。高めのを引き入れてのテンパイだが、下家の村上がワンズのチンイチに手を進めておりアガリは絶望的のようだ。それでもがまだ一枚ヤマに残っており、ここが勝負どころだと意を決したかリーチに踏み切った。村上も当然の様にチンイチをテンパイしていたが、両者のアガリ牌は全て脇に流れ流局となった。

 東4局、供託を回収しようと、服部が2巡目に役牌のトイツ2組でリャンメンチーから入りイーシャンテン。が、村上がソウズのホンイチに向かい、絶好のペンを食わせてもらい10・20を一気にアガリきった。

 南1局、前局気持ちよくアガッた村上に役なしながら6巡目にドラ3つのテンパイがはいる。
 その後を引き入れて役ありテンパイへと変化。佐藤のテンパイ打牌を咎めることに成功し、120の大きな加点となった。
 このアガリが決定打となり、村上がまずは1昇を上げる。ラスは大きく放銃した佐藤が引き受けることとなった。
(◎村上/●佐藤)


【1回戦B卓(野内・菊池・伊澤・山舗)】
 開局から4局続けてアガりが発生し、目まぐるしい展開が繰り広げられる。
 東1局、菊池10・20ツモ。
 東2局、山舗が伊澤から32。
 東3局、伊澤が野内から78。
 東3局その2、山舗が野内から40。

 しかし伊澤が南3局のオヤで40オール、14オール、40オールと3連荘をして他を大きく突き放す。(伊澤345→山舗47→菊池171→野内)。

 南4局、オヤの山舗が26オールをツモってトップ目伊澤までハネマンツモの所まで追い詰め、その2で条件通りのテンパイを入れるも流局。伊澤がトップで逃げ切った。
(◎伊澤/●野内)


【2回戦A卓(菊池0・村上1・伊澤1・大原0)】
 菊池の8オールからスタート。マチでならタンピンの手牌。実はが少し前にいたが、高めを追求して見逃してからの安目ツモ。18の出アガリでは不満だったか。
 このアガリを皮切りに、南場までアガリが多発した。
 東1局その2では伊澤が5・10。
 東2局に菊池がオヤカブリの失点を取り戻さんと仕掛けて3・6。
 東3局では大原から村上に80。
 東4局では伊澤から菊池に20と卓上でチョーマが忙しなく行き来する。

 菊池はなんとかしてトップ目に立っている村上をまくりたいところだが、南1局にラス目大原のリーチに20を献上してしまう。テンパイ打牌での放銃だが、悔やまれるところか。しかし南4局では村上からの12の直撃で辛くもトップ逆転。決勝進出まで後一歩だ。
(◎菊池/●大原)


【2回戦B卓(佐藤△1・山舗0・服部0・野内△1)】
 東1局、東2局と服部がアガる中、東3局に山舗が絶妙な手順を見せる。
ここにをツモってチートイツのテンパイとなるが、テンパイを取らず打とし、その後ツモ→をポンしてホンイチチャンタの80テンパイ。これを佐藤からアガってトップ目服部に15差まで肉薄する。

 しかし南1局に服部がトイトイの20・40をツモって突き放す。

 南4局、オヤの野内が佐藤から120をアガりトップ争いに加わり、(服部75→野内46→山舗283→佐藤)、その2ではツモ直条件ながらも逆転のテンパイを入れる。
 
 一方の山舗は手にならないためオヤに差し込みにいくも流局。服部がトップで逃げ切った。
(◎服部/●佐藤)


【3回戦A卓(村上1・山舗0・伊澤1・服部1)】
 予選最終戦。スコアが0の山舗はほぼトップ縛りで、昇持ちの3人はラスを引かなければ残れる可能性が高いが、村上は期首順位が一番下なのでトップを狙っていきたいところである。
 開局から南1局まで4回のアガりが発生するが、いずれも小さなアガりで南2局を迎えた段階では村上・伊澤・服部08→山舗と昇持ちの3人がトップの状態となっていた。

 このまま終局すればトップの3人は決勝進出となり、山舗は敗退となる。しかし南3局にそうはさせまいと山舗に勝負手が入りリーチと出る。
 リーチを掛けなくてもアガればトップ目に立つが、安めで出アガった場合、2着目と32差しか付かず、少しでも高い手をアガりたいためリーチと出たのであろう。
 そんな中これをツモられた場合、ラス目に落ちるオヤの伊澤がリーチ宣言牌をチーしてテンパイを入れ勝負に出る。
 
 結果は伊澤がを掴み山舗に80を放銃。

 南4局も山舗が村上から12をアガって終局。トップを取った山舗と1昇をキープした服部が決勝進出となった(同じく1昇キープの村上は期首順位が下位のためここで予選敗退)。
(◎山舗/●伊澤)


【3回戦B卓(佐藤△2・菊池1・大原△1・野内△1)】
 佐藤はトップをとってもスコアが0だが、別卓の結果次第では決勝進出もありえる。菊池以外も当然のようにトップ狙いとなるため、激しい戦いが予想される。
 開局に佐藤が野内から120。好調な滑りだし、このまま先制点を守りきれれば難なくトップを取れるかと思いきや、菊池がその2でドラ入りチートイツをツモアガリ20・40。一気に並ばれてしまった。やはり簡単にはトップを取らせてもらえないようだ。
 佐藤はその後も菊池に40。更に20と献上してしまい菊池が南4局までリズムよく進めていくこととなった。
 迎えた南4局。このままあっさり菊池逃げ切りかと思われたが、何と佐藤がコクシのマチでテンパイを果たす。掴めば誰もが打ちそうな牌だったが、誰の手元にもいかず、ホーテイ打牌は菊池の最終手番でが河に放たれる。すると親野内から大きなロンの声。開かれた手牌はあっと驚く180。
 危うくラスまで落とされるところだったが、南4局その2は無事流局して、野内と菊池の勝ち上がりとなった。
(◎野内/●佐藤)


【決勝1回戦(野内1・山舗2・服部1・菊池1)】
 東場は細かいアガりが飛び交う。
 東1局、菊池が服部から12。
 東3局、服部が山舗から30。
 東3局その2、山舗が野内から12。
 東4局、山舗が服部から28。

 南1局、ラス目でオヤの野内が11巡目に勝負と出る。
 安目でも出アガればトップ目に立つ上、巡目も終盤に差し掛かっているためヤミテンを選択するかと思っていたのだが、野内はここが勝負所とばかりにリーチと出た。結果は14巡目に高目の40オールをツモり他を大きく突き放してトップ目に立った(野内136→菊池02→山舗20→服部)。

 野内に大きく離された3人だが、トップを捲くり返すため反撃に出る。南1局その2、服部が自風のをポン、菊池はドラがアンコのツモハネマンの超弩級のテンパイを入れる中、
 山舗もテンパイを入れ15巡目にメンツモテンパネの4・8ツモ。

 南2局、服部、菊池、野内の3人がテンパイでぶつかるが流局。

 南3局、山舗がホンイチの52を菊池から出アガる。
 

 南4局、トップ目野内と62差の山舗が9巡目に逆転のテンパイを入れる。
  

 11巡目にはをアンカンし、ホンイチにしなくてもトイトイで64のテンパイになるためタンキに待ち変えをし、13巡目にはを引いてさらにに待ち変え。山舗の手牌が注目されている中、オヤの菊池もチートイツドラ2のテンパイを入れていたが、どちらもアガれず流局。
 南1局のオヤ番でのリーチが功を奏した野内がトップのまま逃げ切った。
(◎野内/●菊池)


【決勝2回戦(菊池△2・山舗2・野内4・服部1)】
 野内、山舗、服部の3人はトップを取れば優勝。菊池がトップの場合、野内はラスでなければ優勝である。

 東3局、山舗、野内、服部の手牌がぶつかる中、山舗が野内から52をアガる。
 東4局、ラス目に落ちた野内が終盤リーチを掛けるも流局。

 南1局、またもや3者の手牌がぶつかる。山舗、服部、菊池がメンゼンでテンパイを入れ、菊池はリーチと出るも流局。

 南2局(供託20)、野内、服部、菊池が仕掛けを入る。結果は野内に軍配が上がる(山舗49→菊池10→服部17→野内)。
 

 南3局、服部が裸タンキの仕掛けを入れるも流局。

 南4局、オヤの服部が11巡目にリーチ。
 終盤手にならない野内がオヤに連荘させるため差し込みを試みるも最終手番でをツモって10オール(山舗19→服部30→菊池27→野内)。

 南4局その2、服部がをポン→カンして場が一気にヒートアップするも最後は山舗が自らツモアガって優勝を決めた。
(◎山舗/●野内)

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

 第12回のマージャン101チャンピオンズマッチは、山舗徹さん(大阪支部)の優勝で幕を閉じました。おめでとうございました。終了後の打ち上げには、前年度優勝者の中村浩三さん、イン東京常連の木村由佳さん、愛澤理事長もお見えになられ、総勢14名で大いに盛り上がり、みなさんの話を聞いていると本当に101が大好きなんだなあと感心させられました。次回のチャンピオンズマッチもきっと熱い戦いが観られることを期待してペンをおかせていただきます。
(文中一部敬称略)

第12回マージャン101チャンピオンズマッチ座談会

取材・文:木村 由佳さん

 2015年10月11日(日)、蔵前の「雀遊」にて、「チャンピオンズマッチ」が開催されました。チャンピオンズマッチは、年1回、各支部から選抜された101の順位戦選手以外の選手によって行われるンデーマッチです。
 今回は、東京支部から伊澤興さん、佐藤由香里さん、大阪支部から大原泰孝さん。山舗(やましき)徹さん、仙台支部から野内(やない)千賀子さん、村上涼太郎さん、新潟支部から菊池晃弘さん、服部悠太さんの合計8名が参加しました。
 決勝戦は山舗さん、野内さん、服部さん、菊池さんの戦いとなり、日本プロ麻雀協会の山舗さんが優勝されました。
 表彰式のあとの懇親会は選手全員に加えて立会人の小川隆選手、記録係の藤森弘希選手、愛澤圭次理事長、山田史佳選手、前年度チャンピオンの中村浩三さん(RMU)が参加。私(木村由佳)同席させていただき、和やかな雰囲気の中でいろいろな方にお話を伺いました。
 一問一答形式にこだわらず、その場の自由な雰囲気をまるごとお伝えできるように書きますね。

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

―――まずは、優勝者の山舗徹選手(日本プロ麻雀協会)に、優勝直後の率直な感想をお聞きしました。
 「とにかく、うれしいです。チャンピオンズマッチには数回出ていて、決勝卓にも何度か進んでいたので、そろそろ勝ちたいと思っていました。自信はなかったのですが」
―――決勝卓のメンツを見て、どう思われましたか?
「今回は新潟支部の初対面の二人が決勝卓に進まれたので、全く読めないとあきらめて、若干強めに行くしかないなと思っていました。新潟の二人は、101以外のマージャンを打ちなれているかもしれないので、そうなるとむしろ怖いな、という気でいました。
―――決勝卓で戦っていて、優勝を意識されたのは、いつごろでしょう?
「それはもう、最後の最後ですよ。オーラス、自分がトップ目でしたがオヤの服部さんに10オールツモられて点差が詰まってしまいました。野内さんがラス目のままなら、服部さんか自分かどちらかが優勝という状況でしたね。最後に自分がアガって決めるまでは、全く安心できませんでした」
 その南4局の序盤の牌姿がコレ。
 ドラはなんだか忘れましたが、持っていません(観戦記にも書いてなかったです)。さて、あがれば優勝のとき、コレを読んでいるみなさんなら何を切りますか?
 山舗さんはここで少考して、を切りました。他の候補がありましたか? と聞いてみて山舗さんが「と迷いました」という話をしていたところに、ワキから乱入してきたのが大原さんです。大原さんは、大阪で「やすべえ」という居酒屋を経営している方で、「やすべえリーグ」という私設リーグを主宰しているほど、競技マージャンに熱心な人です。
 大原さんいわく「考えるんやったら、切れや。こんなもん切るに決まってるやろ。後ろからけったろかと思った」と。これでやっと、101の勝者インタビューらしくなってきました。101のインタビューは、こうして、負けた人が勝った人にどんどんダメだしをしていくのが面白いんです。
 大原さん、これは切りって決まってるんですか? と私が水を向けると大原さんと伊澤さんが口をそろえて「関西人は切り。青野滋の缺一門の教えや」とのことでした。ちなみに「缺一門」(チェーイーメン)は。中国麻将の役で、ワンズ・ピンズ・ソウズのどれか一つが手牌にないことですね。
 青野滋さんの教え通り、関西人らしく山舗さんがを切ると、間もなくを引いて切りであっさりテンパイ、そしてをツモって4・8のアガリ。見事優勝を決めました。

―――最終戦は、暫定首位の野内さんが東場からラス目だったので、トップ目の山舗さんがずっと有利なように見えました。では、野内さんには全く手が入っていなかったのでしょうか?
 ちょっと野内さんに来ていただいてきいてみると、「南3局のオヤ番で手が入っていたのに、アガリ逃しをしました」とのこと。そのテンパイ形は、
   テンパイ打牌はですから、サンメンチャンを拒否してイッツーに受けたわけです。それはなぜでしょう? 
野内「中国麻将のせいかしら。イッツーでアガろうと思いました。出アガリを期待するならピンフのサンメンチャンなのでしょうが、をツモって決めるという気持ちになりました。ところがその後を引いてツモ切るしかなく、アガれませんでした。」と。それを聞いた山舗さんは、「野内さんがを切った直後、に手がかかりそうになったのですが、ほかにまだ切る牌があったので放銃せずに済みました。危なかったですね」と。本当に、勝負は紙一重です。そのあと「ちなみに」と山舗さんが付け加えたことには「を切ってサンメンチャンにすると、で一色三歩高(大股)ですよ。中麻のせいと言ったけど、中麻のせいにできませんよ」とやんわりツッコミが入りました。野内さんはきっと。イッツーが好きなんですね。

―――それにしても野内さん、昨年と今年、2年連続の決勝卓とは強いですね。せっかくの機会なので、何かコメントをお願いします。
野内「ふだんは仙台で101のマージャンをやっているのですが、去年も今年も決勝卓で戦えてうれしいです。でも、負けたのは残念です。またもっと練習してきますね。101は女性のプレイヤが少ないので、東京でも仙台でも、もっと女性が参加してくれたらいいと思います。これからもよろしくお願いします」
 野内さんはしおらしい女性ですが、そのアガリはなかなかいかつくて、この日もみんなの度肝を抜くような1局がありました。それは3回戦、熾烈なラス抜け争いの中でアガったのが、
 これを、ホーテイ打牌でアガリました。101には「ホーテイ」という役はないので、ハネマンです。
 このアガリでトップになり、2年連続の決勝進出を決めたのでした。
 さて、では、これをホーテイ打牌で放銃したのはどなたでしょう? ……菊池さんです。
 マージャン101新潟支部から来られた、菊池さんと服部さんにもお話を伺いましょう。新潟支部は101のなかでも特に謎に包まれている部分。ここで、新潟支部についてご紹介できるのは、私もうれしいです。

―――菊池さんも服部さんも若い男性で、101の競技会に参加するのは初めてです。新潟支部は日ごろ、どのようにして活動しているのでしょう?
「マージャン101の新潟支部のメンバーは14人くらいいて、毎週、私(菊池さん)が全員にLINEを送り、みんなの『この日なら大丈夫』という返信を待って、日程と場所を調整します。場所は新潟市内に2か所あり、いずれも健康マージャンの店なのですが、メンバーによって東区でするのか西区でするのか決めて、また連絡を回します」とのこと。事務局長の菊池さんが熱心にセッティングしてくれることで、成立しているようです。
―――そもそも、どうして新潟で101をやろうということになったのでしょうか?
菊池「日本プロ麻雀協会の五十嵐代表の呼びかけです。 五十嵐さんは新潟出身の人で、以前から新潟での競技マージャンの普及とレベルアップに熱心に取り組んでおられます。その関係で新潟の若者が3人、プロ協会に入ったのですが、仲間内ではすごく強くて期待されていたのに東京での成績が今一つで、改めて『どうやったら競技マージャンで勝てるんだろう。いろいろやってみよう』ということになり、月1回、競技マージャンの勉強会をすることになりました。そこでは、プロ協会のルールはもちろん、王位戦のルール(プロ連盟Aルール)などもやってみたのですが、五十嵐さんが101ルールが好きなので『101もやってみるか?』と言われてやってみたらおもしろくて、『じゃあ新潟支部として週1回マージャン101をやろう』といういきさつで、マージャン101新潟支部が発足しました」
 プロ協会の五十嵐代表が、ずいぶん貢献してくださっているようですね。ちなみに、もう一人の服部さんは、長野市にある清水昭プロ(最高位戦日本プロ麻雀協会)のお店「チェック」まで時々遠征して、ここでも競技マージャンを打っているそうです。今回のチャンピオンズマッチも自分から「出たい」と言って参加しました。
―――お二人にしては初めての101の試合。そこで二人とも決勝卓に残ったのは本当に素晴らしいことです。決勝を戦った印象を聞いてみました。
 菊池「強い人たちと打っているんだなあということを、ずっと感じていました。そして、この強い人たちをどうやって苦しめようか、と考えていました」
―――菊池さんは、最終戦は目なしになってしまいましたが、そこでの打ち方は難しかったのではないでしょうか?
 菊池「最終戦の前に立会人の小川さんに『普通に、101のマージャンを打ってください』と言われたので、東場は普通に打つように努めました。自分の捨て牌を鳴かせない、放銃はしない、ということは特に意識しました」
―――ところが南入してから菊池さんに「四喜和になるんじゃないの?」と思う手が入りました。
菊池「あれはさすがに、前に出て鳴いていきました。目無しだったけど……」
 ほかの観戦者がどう思うかはわかりませんが、私は、あの手は四喜和に向かって鳴いていいと思って見ていました。つまり、他の3人に「これを放銃したら優勝できない」という課題を突き付けることになるからです。菊池さんに風牌が集まるということは当然他の3人の手は数牌中心に構成されていて、一見アガリやすいと思うかもしれませんが、そこに風牌を2つ鳴かれたら、否応なく対応を迫られますよね。
それが101のマージャンなのか、というと私にはわからないのですが、「とにかくマージャンなんだから役満ふったら勝てないよ!」という緊張が走って、見ていてとてもおもしろかったです。目なしだからってじいっとしているんじゃなくて、「より強い人を優勝させる。こんなん打つ人はだめだよ」という状況を設定していくのもひとつの役割だなあーと思いました。

―――そうこうしていると仙台の村上さんが横に来てくれました。今回は決勝卓に残れず。観戦に行った私と「交流戦」をすることになりましたが、仙台で頑張ってるんですね?
 村上「それが、今は引っ越して、家は青森なんです。101を打つために、5時間バスに乗って仙台に来ています」とのこと。びっくりですね。イン東京の会場が秋葉原から蔵前に移転して「遠くなった、行きにくくなった」と言ってる自分が恥ずかしいですわ。この熱意には感動しました。また来年のチャンピオンズマッチ、あるいは八翔位戦にも参加していただけたらと思います。

 今回、東京から参加した佐藤由香里さんと、伊澤與さんは、残念ながら決勝卓には進めませんでしたが、佐藤さんは交流戦に参加しました。伊澤さんは交流戦&決勝戦の間に十分休憩されて、懇親会を大いに盛り上げてくれました。チャンピオンズマッチ参加者でかつ八飛翔位戦にも出ている人というのは少ないので、伊澤さんと大原さんの「八翔位戦はおもしろいで!」というお話は、皆さんへの刺激になったのではないかと思います。
 今回チャンピオンズマッチ初参加の佐藤さんには彼女らしい、真摯なコメントをいただきました。「きっと私が一番101の経験が少ないと思うので、まずはもっと101をたくさん経験しないといけないなと思いました。皆さん本当に強い方ばかりで、何よりも本当にマージャンが好きなんだなと感じました。私は完敗でしたが、とても貴重な経験をさせて頂いたと思います」。佐藤さんは今回、ラスばかりという結果でしたが、マージャン101イン東京に参加し、対局室で順位戦の観戦もされているので、きっともっともっと強くなられると思います。(と、私が言うと説得力がないですか、そうですか、そうですね、すみません)

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

 懇親会は時間がたつのがあっという間で、皆さんにもっともっとお話を聞きたかったのですが、それはまた次回以降のお楽しみということで。「私もチャンピオンズマッチ出たい」と言ってみたら、「木村は下手やから書く係」と言われてしまったので、来年も、また皆さんにインタビューして記事を書くのを楽しみにしております。
 山舗さん、あらためておめでとうございます。皆さん、ますます精進しましょう。