第36期八翔位戦 卓別リポート

  1次予選2次予選 | 準決勝 | 出場選手システム

2次予選:6戦制/各卓上位2名勝ち上がり

B卓:ロン牌を見送り、ヤマに賭けた結果は…
B卓
終了
小川  隆 A級 △1
板川 和俊 B級 1昇
山内 啓介 B級 ±0
小島たかよ 推薦 1昇

文:小川 隆

【1回戦】
 東1局、早速、板川が仕掛けるもオヤの山内の反撃に合い、42を放銃。が、そんな苦難をものともしない板川、その2でチートイツをツモアガって回復の早さを見せつける。その後は三者に阻まれ、南3局のリーチもしっかりと受け止められて流局。

 南4局(小島08→小川04→山内58→板川(供託10))、山内が小川からをポンした後に即ツモアガる。何とトイトイサンアンコまであり、20・40。凍りついたのは真っ直ぐ突き進んでいた小川。出アガリでも64もあり、危うく無残に散るところであった。
(◎山内/●板川)


【2回戦】
 東1局、最終手番に板川がタンヤオピンフドラ3ツモの60オール。その2も攻撃の手をゆるめず、リーチ。これは流局させられる。東3局、小島が6オール(供託+10付)、その2で10オールと、静かに脅かす。そして南2局には高目をツモアガっての20・40。
 さらに次局のオヤ番では前局にオヤかぶりをしてラス目となった山内のリーチに向かって無筋を一発かぶせた直後、山内からピンフドラ2の60をアガり、ついにトップ目に立つ。

 南4局(小島14→板川230→小川90→山内)、板川がワンズのホンイチ仕掛け、小島がクイタンで対抗。終盤、板川が力強くアガリハイを引き寄せてトップを奪取した。
(◎板川/●山内)


【3回戦(山内0・小島0・小川0・板川0)】
 南1局(山内20→小島12→小川20→板川)、ラス目の板川が一気に突き抜けようとリーチ。きっちりと流局に持ち込まれる。
 南2局も流局。南3局、板川が小川の第一打のをポンして積極的に攻める。上家の小川はオヤ番なのに受けに徹さざるを得ない。ピンズ模様の板川に対し、トップ目の山内がツウパイ、ピンズと押すが、板川のカンにつかまり、ホンイチの点パネの28を献上。このため小島が自動的にトップ目となり、辛抱していた小川がラス目に落とされる。

 南4局(小島04→板川04→山内04→小川)、微差の中、オヤの板川と小川の争いとなる。ペンの役なしテンパイからクイタンヤオのタンキ待ちに組み替える小川だが、すでに終盤では苦しく、流局となった。
(◎小島/●小川)


【4回戦(板川0・小島1昇・山内0・小川△1)】
 東3局、板川が仕掛けて5・10をツモアガり、先制する。東4局、小島20←小川。南2局、オヤの小島の4巡目の三メンチャンリーチは流局。2回のアガリのみで迎えた南3局、押し気味のオヤの山内の現物で潜んでいたラス目の小川がトップを維持していた板川からピンフドラ1の20を直撃。供託もあり、辛うじて浮上。同点のトップ目で並ぶ。

 南4局、(小島・小川05→板川10→山内)3回戦に続いて微差の戦いに。まず、板川がリーチ。
 これで一時ラスなしの状態となるが、ラス目の山内からもリーチ。
 苦しむオヤの小川は必死になって安全なハイを見つけ出す。二人がかりで山を掘り起こすも流局となり、二人トップ。小島が2戦連続で少ないチョーマを守り抜いた。
(◎小島・小川/●山内)


【5回戦(小川0・小島2昇・山内△1・板川0)】
 東1局から南3局まで流局なしの7回続けてアガりが発生。しかし、7・14が最高点では大きな差は開かない。

 南4局(板川10→小島11→山内20→小川)、オヤの板川は最初から受け模様。小川がファンパイをアンコにしてテンパイを入れる。出アガリでは16だが、ツモった場合は7・14でトップまである。そんな誘惑に抗えない小川は山内からのアガリハイを見送り、ヤマに託す。さらに下家の小島からのアガリハイまでも見向きもしない(さすがにやり過ぎです)。その結果、山内に20・40のアガリが起きる。
(◎山内/●小川)


【6回戦(板川0・小島2昇・山内0・小川△1)】
 東1局、板川が最終手番で20オールをツモアガる。その2、山内12←板川。東2局、板川12←山内。東3局、山内18←板川。二人がアガリ合う。その2、小川の5巡目、
 リーチを選ぶことができず、じっとヤミテンに構えて地味にツモアガって10・20。

 東4局、板川12←小島。南1局、山内が3巡目にピンフ手でリーチ。難なくツモって7・14。山内もトップ目に迫る。南2局は流局。

 南3局(板川17→小川07→山内55→小島)、オヤの山内とトップ目の板川が激しく攻める中を小川が切り込む。ドラもないピンフ手をリーチ。これを一発で引きアガり、7・14。

 南4局、2着目となった板川がトップ奪還に動く。小島からの支援もある。オヤの小川は絞ってはいられない。タンヤオドラ1(カン)のテンパイを入れ、小島からの差し込み違いを薄氷を踏む思いで取り押さえる(小川42←小島)。

 その2(小川60→板川31→山内90→小島)、前局で力尽きたか小川のハイパイ。ツモが効かず、手にならない。受けに重点を置いて進めるうちに決着を目指す板川がリ−チ(カン)。それに対し、延長を目論む山内がクイサンショクで応戦。差し込みたい小川であるが、山内のアガリハイを持ち合わせず。またしても板川が得意の最終手番でツモアガり(がコーツで13・26)。小島と共に準決勝進出を決めた。
(◎板川/●小川)


E卓:自信ある最終形を目指せ!
E卓
10
11
現級
藤森 弘希 A級 1昇
田村  洸 推薦 △2
櫻井 一幸 仙台 ±0
佐藤 文彦 東京 1昇

文:藤森 弘希
 1、2回戦と連勝して有利なスコアで進めていたはずの藤森だが、規定の6回戦終了時にはスコア0に戻すことになってしまった。

 延長となって迎えた8回戦南4局その2(田村0・佐藤1昇・櫻井△1・藤森0)。トップ目は藤森で、ラス目は田村。この並びで終了すれば藤森、佐藤の勝ち上がりだが藤森と2着目櫻井点差はわずか23。

 その櫻井が7巡目にリーチ。直後藤森も役無しテンパイが入り、櫻井と田村の2人で櫻井のロン牌を掘り当てているようなものだと考えると、リーチして抑えつけようかとも考えたが、自ら相手の土俵に上がる必要も無いと考えでオリを選択。
 その田村はすぐには積極的に差しに行くわけではなく、自分のアガりも見ながら櫻井に刺さってもいい構えであったが、終盤になって自身のアガりが難しいと判断したのか櫻井に積極的にアシストに行くもなかなか刺さらない。櫻井自身もロン牌引く事が出来ず最後のツモも空振った。残るは田村のホウテイのみとなり、田村はツモった牌をそのまま切る と、櫻井からロンの声。藤森の勝ち上がりはま、あとほんの少しの所で手からすり抜けて行ってしまった。
(◎櫻井/●田村)

【9回戦(佐藤1昇・櫻井0・藤森0・田村△1)】
 8回戦あと一歩の所で藤森と同じく勝ち上がりを逃した佐藤、気落ちしたのかその牌で当たったら間違いなく高いであろう牌を切ってオヤの田村に120の放銃。南4局には藤森がアガれば逆転トップとなるテンパイを入れるも流局。スコアがオール0となり、同点トップ以外は2回以上やらなければ決着しない状況になったため日を改める事に。
(◎田村/●佐藤)

【10回戦(佐藤0・田村0・藤森0・櫻井0)】
 櫻井が4・8ツモ、20・40ツモ、13・26ツモ。佐藤が40オール、20・40ツモと2人だけでアガりを繰り返しており、藤森と田村は交互にオヤカブリをしてはラス目になる展開。
 南4局、3着目藤森とラス目田村の点差はたった04なので藤森もアガりに向かう。佐藤が田村の上家であるため、アガり競争は田村の方が有利な並びではあるが、がむしゃらにアガりに向かい、最後は加カンまでしてリンシャンからロン牌を引き寄せラスを回避する事が出来た。
(◎佐藤/●田村)

【11回戦(田村△1・ 藤森0・ 櫻井0・佐藤1昇)】
 東2局、オヤ藤森が20オール、6オールとツモって一歩抜け出すもその3で櫻井が20・40をツモって藤森を16交わしてトップ目に。

 南2局、藤森がラス目田村に20を放銃(櫻井36→藤森48→佐藤12→田村)。櫻井との点差は広がったものの、佐藤と田村の点差が12になったので自身のトップが難しくなったら佐藤をラスにするという選択肢も出てきた。

 南3局、みなアガりが遠いのか誰もアガりに向かっている感じはしない、と思っていたら終盤急に佐藤が厳しい所を切ってくる。素直に頭を下げて流局狙いしかないなと思っていたら手が入ったのかオリ打ちなのか分からないがなんと田村が佐藤に52の放銃。これで佐藤ラスという選択肢は消え、田村は味方がいなくなってしまった(櫻井32→佐藤04→藤森112→田村)。

 南4局、ラスオヤ佐藤がアガりに向かう事は考えにくいため、ほぼ1局勝負である。田村は、
・櫻井から40〜64かハネマン以上(80だと櫻井ラスで藤森、佐藤の勝ち上がり)
・藤森から倍満以上
・佐藤から64以上
・マンガン以上ツモ
以外は決着であり、藤森は櫻井との36差をまくれば逆転で勝ち上がりである。

 藤森の手牌は早い段階で、
となり、が場に結構見えてしまったためついを切ってしまったが、ここはそれでもさっさとを払うべきであった。
 その後は、
と、ここでリーチを掛けてのツモ直条件テンパイが入ったが、場にソーズが高く、アガりがあるとしたらピンズまたはワンズだと感じていたのでツモ切りした。もちろんアガりに向かっていない人や、アガり点に制約のある人がいるため素直に場況を信用するわけにはいかないが、の形でのリーチはまったくアガれる気はしなかったため、テンパイ取る事すらしなかった。
次にを引き、これなら心中出来るとリーチを決行。
一発でをツモって勝ち上がりを決める事が出来た。
(◎藤森/●田村)


1次予選:4戦制/各卓上位2名勝ち上がり


E卓:筆が進まぬが、勝ち上がり!
E卓
終了
平井  淳 A級 1昇
中村ゆたか 推薦 ±0
伊澤  興 東京 1昇
牧野 卓人 東京 △2

文:平井 淳
 昨年のレポートは敗退だったのにすぐ書けた。勝負所が1回戦の東1局で、タンピンサンショクのイーシャンテンから仕掛けられずに五十嵐に国士無双をツモられ、あとは手が入らずそのまま。なにせ4回戦合わせてアガッたのが親と子でのピンフが1回ずつではどうしようもなかった。それだけに1回戦のトンパツが印象に残った。
 それから1年。今年は勝ち残ったが筆が進まない。勝ったという印象が薄く、ここが勝負所だったというのが思い浮かばないのだ。アガリは全部で4回。

 1回戦目は伊澤、牧野(トップ)のアガリを傍観するのみ。特に下家牧野への絞りを行ったわけではないが、前に出る展開とはならず、ノーホーラ。ラスは伊澤への不幸な64(ドラ入りチートイツ)が祟った中村。
 2回戦は、中村の40オールに始まり伊澤のラス落ちリーチの引きアガリ(10・20)があり牧野とのラス争い。
 南2局その1(ドラ)、中村75→伊澤85→平井13→牧野。配牌でドラとをトイツの東家で早々にを仕掛けると、下家の牧野も仕掛けてきた。
 
からを切るとし牧野にポンされる。即でが食い流された。その後を引くと牧野にをツモ切りされる。それでもと引き牧野からで60のアガリ。なんだかな〜と思いながらも本日の初アガリで3着を確保した。

 3回戦は、伊澤のタンピンツモイーペーコードラ1(オヤ中村)で始まり東3局北家の配牌が、
 取り敢えずが出たのでポン。続けて上家が打でチー。6巡目にはを重ねてテンパイ。更にを重ねるが親の牧野の河にがあること、既にを切っていることからの空切りとした。すると牧野からリーチがかかる。の対子落としかと観念していたが、がひょっこりはん。
 牧野、中村がラス逃れのため激しくツモアガって迎えたオーラスは、伊澤→11平井→46中村→11牧野。貰った配牌が
 早速をツモってを鳴いてをチー。更にをツモ切って伊澤から
こんなんでいいんでしょうか?

 ラスさえ引かなければ即敗退のない4回戦。伊澤のバックの仕掛けで3・6のオヤカブリでスタートするが、伊澤が大爆発。牧野からドラ入りチートイツ、中村からオヤでイッツードラ3と連発する。まぁ伊澤も即決するには私をラスにはしたくないだろう。それでもロン牌が出れば「喜んで」ロンだろう。
 あとはラスを避けるだけ。南3局にはポンで、辺ツモ(ドラ1)。オーラスの親は伊澤で、ハイお仕舞い。

 2人上がりこその展開に恵まれ、大した苦労、努力もそして印象もなく勝ち上がりました。2次予選もよろしくお願いします。準決勝は頑張りますので。


H卓:最終戦で滑り込んだのは・・・
H卓
終了
板川 和俊 B級 1昇
桑原 俊之 東京 △1
寺西謙多郎 東京 △1
並川 貞行 東京 1昇

 1回戦、開局並川、板川がテンパイをいれるも軍配は並川に(板川→並川に60)。
 その2も並川が6オール。その3に板川が並川からクイタンサンショクの20。
 東2局には板川が、

でリーチをかけるも流局。
 東3局、オヤの桑原がピンフドラ2を板川からアガり、その2は板川がドラのがアンコで並川から80直撃。
 東4局板川が4巡目に安目を見逃し、高目サンショクの120を寺西から直撃。101とは思えない乱打戦で東場は終了(板川+84、桑原+64、並川△22、寺西△126)。
 南1局、オヤの並川のリーチ後、手詰まりになった板川が中筋を切って確定サンショク120放銃。そのまま逃げ切り、終了。


 2回戦、開局板川が60オール。続くその2も、
でリーチ。並川からでアガり30。その3に並川が10・20をアガり、東4局に寺西が、
 
ツモで20・40。
 以降大きな点棒移動がなく、トップ板川、ノーホーラの桑原がラスとなる。


 3回戦、開局板川が3・6。東2局、桑原がクイタンドラ3の20・40ツモ。東3局、板川が桑原から12。東4局、役牌アンコでドラ3の寺西が並川から80の出アガリ。
 南1局、寺西のペンリーチに板川が飛び込み78。ラス抜け争いに迫った板川がその2に桑原から20、更に6オールをアガると南2局その2に並川も、
を桑原からでアガり40。あとひとアガリでラス抜けできるところまで追い上げたものの、南3局、オーラスと怒涛の攻めもいずれも流局し寺西トップ、並川ラスで終了した。


 4回戦、決着条件は並川、寺西のどちらがトップで板川がラスでない場合、板川がトップで並川か寺西のどちらががラスの場合、並川、寺西が同点トップで板川がラスの場合。
 開局並川が、
のドラタンキリーチをツモり20・40。
 寺西も東3局、2フーロで板川のリーチに真っ向勝負し7・14で追いすがる。しかしながら南2局その2並川に78、その3板川に64を放銃し勝負あり。並川、板川の勝ち上がりで決着した。


I卓:「師」に破れたり
I卓
終了
高島  努 B級 △1
田村  洸 推薦 2昇
山舗  徹 大阪 △1
涌田  悟 大阪 ±0

文:高島 努
 八翔位戦一次予選I卓は、私の推薦人である涌田選手、麻将連合からの推薦選手である田村選手、「BIG1カップ優勝」など様々な公式戦で実績抜群の山舗選手との対局となった。
 前年は、1次予選を規定の4戦目で涌田選手を逆転で捲って、通過できた。そのためには、「手数の多さに屈しない」「1戦目でトップをとって、優位に立つ」「4戦目を迎える時点で、1戦で勝ち上がりを決める権利をもつ」ことを念頭に対局に挑んだ。


【1回戦 高島・田村・山舗・涌田】
 1回戦は、南3局その2まで、全てアガリが出る展開となった。山舗と田村との16のキャッチボールで始まり、東3局は田村→涌田16(チートイツ)、東4局は高島→山舗20(ピンフドラ1)、南1局は涌田→田村12と早いテンポで局が進行した。一人取り逃された感が強い高島が、早くもラス目に落ちたが、南2局は、Wをポンした山舗に田村が飛び込み、他力ながらもラス目脱出する。

 ところが、南3局(ドラ)。山舗が配牌から1牌切った直後に、涌田の切ったをポンする。情報が全くない中、高島が3巡目(打牌2回目)に浮いているを切るとこれが痛恨の42。
 南3局にも42を放銃した高島が、このままラスで終局した。早くも、目標であった「1戦目でトップをとって、優位にたつ」どころが、負債スタートとなってしまった。


【2回戦 涌田0・山舗1昇・高島△1・田村0】
 東1局(ドラ)、涌田から出たドラをポンした田村がアンコの20・40を先制。

 一方の涌田は、南1局に、バーは最低限確保すべくといったところの、リーチツモの10オール。

 南2局(ドラ)は、涌田と田村とのぶつかり合いとなった(実質は、ドラを切った山舗も含め三つ巴だが)。
 涌田が、
   
に対し、田村がピンズのホンイチ手で応戦し、大きな13・26を成就させた。
 
 1昇が山舗から田村へと移行し、前半戦を終えた。


【3回戦 涌田0・田村1昇・高島△1・山舗0】
 東4局、山舗が20オール(メンツモ・ドラ2)をアガると、南2局に涌田が3・6(タンヤオ)をツモアガる。涌田は、手がなかなか入らないながらも、肝心な局面でしっかりとアガリきってくる。

 南3局、手がぶつかりあう。涌田がドラのや表示牌を河に出し、山舗を捲りにくる中、高島が、
このが山舗に捕まる。
 高島は、南4局に、マチのチートイツ(ツモ専)でリーチをかけるが、田村に捌き切られて、「1・1・0・△2」で規定の4回戦を迎えることになった。


【4回戦 山舗1昇・涌田0・田村1昇・高島△2】
 東1局に山舗→田村12、東3局に山舗→涌田16の移動があり、迎えた東4局。高島に待ちに待ったチャンスが訪れる。
テンパイ打は。無論、涌田からは出アガリできない。三暗刻の60オールを逃すも、田村からが出て、延長の並びを作ることができた。

 続くその2も、高島はホンイチ仕掛けを敢行。マチの120テンパイに対し、「出アガリできんやろ!」と言わんばかりに、涌田がを切ってくる。これは、涌田に軍配あり(高島→涌田12)。涌田に若干の浮きチョーマを献上できたと、前向きな放銃と捉えて、南入へと備えた。

 とはいえ、涌田はトップを取れれば、大いに沈んだ田村に入れ替わり、勝ち上がりを決めることができるので、もう「味方」ではなくなっている。南2局(高島80→涌田56→山舗80→田村)、涌田の思惑通りになる。カンをツモアガって手牌を開くと、これが678のサンショク付きで20オール。同点トップめに浮上したのだ(高島は、涌田とのトップでは敗北が決まる)。

 続くその2、同じくこのままでは敗北が決まる田村が、リーチをかける。高島は、田村のツモアガリに懸けて、撤退(対局後、田村は高島から出たらアガリを宣言すると述べていた)。田村の好調は、やはり消えてはいなかった。ホンイチをツモアガって、20・40。ラス目が入れ替わるとともに高島が単独トップ目になった。

 南3局(ドラ)。まず、高島がマチのピンフドラ1のタンヤオ含みのテンパイを入れ、逃げ切りを図るが、涌田がドラを切ると山舗がこれをポンする。一気に場が沸騰する。この沸騰も束の間、山舗が田村のロン牌を掴み、・サンアンコの96。これで、田村も涌田と並びトップ目へ20と迫ってきた。
 圏内へと参入してきた。

 南3局その2は、山舗からリーチがかかるが、これは流局。卓には、厄介すぎる「千点棒」が残ってしまった。これで、涌田はアガリさえすれば、勝ち上がりとなる。

 南4局、流局すれば最善ではあるが、アガって「千点棒」を回収しておこうと、役牌のみのテンパイを高島が入れるが、涌田がカンのチーを入れる。田村も、手が進んでいるようにも感じた。仮に田村が逆転トップをとった場合は、高島は「2・0・0・△2」の延長戦を強いられることになる(九分九厘勝ち上がれない延長)。終盤に入り、高島は撤退に回ることを選択する中で、アガったのは山舗。田村から52(タンヤオサンショク)をアガり、いわゆる「アガラス」で延長に入ることとなった。山舗は、マンガンをツモアガれない厳しい状況であったのだ。もっと、山舗の手を安くするように、鳴きそうな牌を下ろす手もあったのだが、手を進めていたことと、涌田や田村に対して煮詰まっていたことで、結果山舗を苦しませてしまったことで、キツイ一局にしてしまった。とはいえ、10年以上振りに大阪対局室での八翔位戦1次予選が延長戦に突入した。


【5回戦 高島△1・涌田0・田村1昇・山舗0】
 絶望から微かな希望が出てきたスコアになってきたが、実は「1・0・0・△1」のスコア表で△1の選手が勝ち上がったケースは実に少ない。とは言え、「目無し」ではない。5回戦では必要十分条件であるトップを獲得(ラスは0の選手が最良)し、6回戦でトップ(場合によってはバーでも勝ち上がれるが、標準的なのはトップ狙い)で、大逆転の勝ち上がりを目指す目論見である。まずは、5回戦。トップしか考えない(※2・0・0・△2の実質延命のみの延長は故意には施さない)意思で対局に臨んだ。

 さて、東1局。高島にチャンス手が訪れる。9巡目までに、
すると、涌田から原点リーチがかかる。オリるつもりは毛頭ない。腹を括る覚悟だ。直後、を引き、手順で残っていたを勝負したら、「ロン」の声が!涌田からではなく、田村からであった。限定の16。

 東2局は流局。続く東3局(ドラ)は、またしても絶好調の田村がを引き寄せると、これがアンコのカンチャンマチで40オール。高島にとっては、ただでさえ細い蜘蛛糸が引きちぎられるようなアガリである一方、涌田・山舗にとっては、「ラスの押し付け合い」を念頭に気持ちを切り替えようと思ったに違いない。

 高島は、この202差を逆転しないと希望はない。ひたすら攻めるのみ。東3局その2は、タンヤオのカンチャンマチでテンパイ。リャンメンマチに変わってからリーチをかけてツモろうと思っていたが、一向に手変わりできず、山舗からロン牌がでて16。暫定的には決着の点差にはなるが、点差詰めにはなった。

 東4局では、涌田がをアンカンし、ドラアタマの手をツモアガって13・26。涌田が、山舗にさらに78差つけて、勝ち上がりに大きく前進した。

 南1局(ドラ)では、高島がをポンし、ならばチャンタもつくテンパイを組むが、訪れたのは(6オール)。これで田村とは162差。
 南1局その2は、テンパイすら組めず流局。南2局は、山舗から田村に12の移動。

 南3局(ドラ)、高島にチャンスがまた訪れた。
11巡目に、3枚目のが上家から出てきた。普通はチーしないと思う。だから、最初からチーしないと決めていた(少しは悩んだが…)。結局、イーシャンテン止まりで流局した。仮にチーした場合、現状ラス目の山舗が高島をトップに押し上げるために、ドラのをアシストしてくれるのであろうかなども考えてみた。しかし、ドラのが田村・涌田が持っていたら、絶対に出てこない。山舗に至っても、△1のキャッチボール延長はイヤなのに決まっている。ラス抜けしての延長が目指せる点差でもある。バレバレのチャンタの手を差込しても、南4局に私を完璧に押し上げることは、高島に都合よく大物手が入ったことを仮定しての話 になってくる(無論、山舗はラスオヤであるため南4局に怒涛のレンチャンをすればいいのだが)。となると、やはりのチーはなさそうだ。

 南4局(ドラ)、倍満ツモによる逆転トップを目論む高島であったが、
止まりで、無念の流局。山舗もテンパイできなかったように感じた。


 田村、涌田の勝ち上がりが決まった。両者とも、ラスなしの結果であった。絶好調の田村に対し、普段から手数の多い涌田があまり手数を出していない状況でも勝ち上がったのは、実力・地力の証拠である。前年度のリベンジを果たされた。今年は残念な結果に終わった。来年こそ、再度「難関の大阪場所」を是非通過したい。


出場選手一覧

1次予選 2次予選 準決勝 決定戦
選手名 選手名 選手名 選手名
                  八翔位 五十嵐 毅
      前八翔位 坂井 準司 坂井 準司    
      名翔位 田中  実          
      小川  隆          
      成岡 明彦 成岡 明彦    
      藤森 弘希 藤森 弘希    
      亀井 敬史          
愛澤 圭次                
平井  淳 平井  淳          
山田 史佳                
西尾  剛 西尾  剛          
板川 和俊 板川 和俊 板川 和俊 板川 和俊
山内 啓介 山内 啓介          
松井 秀成                
小宮山 勤                
菊池 智江 菊池 智江 菊池 智江    
古川 大樹 古川 大樹          
高島  努                
推薦 忍田 幸夫 忍田 幸夫          
推薦 稲毛千佳子                
推薦 中村ゆたか                
推薦 小島たかよ 小島たかよ 小島たかよ    
推薦 田村  洸 田村  洸          
OP 小舘 洋平                
OP 櫻井 一幸 櫻井 一幸          
OP 伊澤  興 伊澤  興 伊澤  興    
OP 石川 由人                
OP 井上 祐希                
OP 奥田 直裕 奥田 直裕 奥田 直裕    
OP 朽木  悟                
OP 桑原 俊之                
OP 佐藤 文彦 佐藤 文彦 佐藤 文彦    
OP 佐藤やすし                
OP 関根 秀介 関根 秀介 関根 秀介    
OP 寺西謙多郎                
OP 並川 貞行 並川 貞行          
OP 平山 友厚                
OP 星賀 一彦                
OP 堀井 統之 堀井 統之 堀井 統之 堀井 統之
OP 牧野 卓人                
OP 村田 光陽 村田 光陽 村田 光陽 村田 光陽
OP 山舗  徹                
OP 涌田  悟 涌田  悟          
【凡例】選手名左の記号は今期順位戦の所属クラス。
    八:八翔位・名:名翔位・前八:前八翔位
    推薦:麻将連合推薦枠出場・OP:オープン出場(支部内は五十音順)、アルファベットは卓番。

第36期八翔位戦 システム

【出場資格】
・麻将連合推薦、オープン参加選手及び連盟所属選手。
・オープン参加選手は、マージャン101各支部内より選抜。
【1次予選】
・各卓4戦(1日)を戦う。
・規定回終了時のスコア上位2名を勝ち上がりとする。
・4回戦終了時に上位2名が確定しない場合は、これが確定するまで延長戦を実施する。
【2次予選】
・2次予選シードの連盟所属選手及び1次予選通過者により行う。
・各卓6戦(2日)を戦う。
・規定回終了時のスコア上位2名を勝ち上がりとする。
・6回戦終了時に上位2名が確定しない場合は、これが確定するまで延長戦を実施する。
【準決勝】
・2次予選通過者により行う。
・各卓6戦(2日)を戦う。
・6回戦終了時に単独で2昇以上の首位者が決定戦の出場資格を得る。
・6回戦終了時に単独で2昇以上の首位者が発生しなかった場合は延長戦を実施し、7回戦以降はその回の開始時の首位者のスコア+1昇に単独で到達する者が発生するまで延長戦を実施する。
・「初めて、四者同スコアで決着権がある状態」となった場合は、その一戦の終了時の単独首位では決着としない。
  ただし「再度、四者同スコアの状態」となった場合は、同戦終了時の単独首位で決着とする。
【決定戦】
・八翔位及び準決勝通過者により行う。
・10戦(1日4戦)を戦う。
・10回戦終了時に単独で3昇以上の首位者を優勝とする。
・10回戦終了時に単独で3昇以上の首位者が発生しなかった場合は延長戦を実施し、11回戦以降はその回の開始時の首位者のスコア+1昇に単独で到達する者が発生するまで延長戦を実施する。
・「初めて、四者同スコアで決着権がある状態」となった場合は、その一戦の終了時の単独首位では決着としない。
  ただし「再度、四者同スコアの状態」となった場合は、同戦終了時の単独首位で決着とする。