第37期順位戦A級 第1節

 観戦記自戦記/大貝 博美|自戦記/大川戸 浩|星取表

第1節観戦記:伊澤 興(マージャン101東京支部)

 観戦記の前に今年1月に亡くなられた古川凱章先生の在りし日のお姿を偲び、心からご冥福をお祈りいたします。
 古川先生とは私か大阪支部長だった時代に年2〜3回の割合で青野SDと共に懇親会を開かせて頂きました。
 そして終わった後は酒席で私ら小僧たちの先生からしたらしょーもない麻雀談義にお付き合いしていただいた。
 その時のメンツは現在B級の坂井選手や元選手の安川・橘高・西野・涌田・富井・田地などそうそうたる顔ぶれで、皆先生が作り上げた101が3度の飯より好きな連中でした。
 あの頃より、発展ではなく衰退している101競技連盟。天国の先生の為にも皆で選手・一般の方々共に盛り上げていきましょう。

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 さていよいよ開幕戦である。その前に、平井選手の悲願の名翔位獲得で幕を閉じた第36期。
 楽しみにしている101ファンのために最終節まだアップされてないので概要だけ勝手に書いちゃいます。
※下図最終節の成績表参照
●最終節 12月12・13日/東京
選手名
開始前
29回戦
30回戦
31回戦
32回戦
33回戦
34回戦
35回戦
終了時
順位
愛澤 圭次
2昇 A  B  B  B  A  B  A  1昇 4
平井  淳
2昇 A  A  A  B  A  A  A  4昇 1
成岡 明彦
2昇 A  B  B  B  B  A  B  4昇 2
小川  隆
4昇 B  B  A  A  B  B  B  4昇 3
高島  努
△5 B  A  B  A  A  B  B  △6 7
西尾  剛
2昇 B  A  A  B  A  A  B  △1 6
堀川 隆司
△1 A  B  A  A  B  B  A  ±0 5
山田 史佳
△6 B  A  B  A  B  A  A  △6 8
 最終節開始時優勝争いの2昇以上が5人の大混戦。1番条件のきつい西尾が初日で脱落し、2日目(33回戦)からは4人に絞られる。
 なんと愛澤名翔位が34回戦にて痛恨のラスで脱落。
 最終戦を迎えるにあたり
 A卓 平井3昇 
 B卓 小川4昇 成岡3昇
 期首順位は平井・成岡・小川の順(101の順位戦はこれがでかい)
 1番の優位は小川でトップ取れば名翔位。それも名八のダブル!
 2番目に優位なのは平井。成岡が小川を制してトップを取ってくれれば自分がトップで名翔位決定。
 また成岡・小川以外の誰かが突き抜けて小川●、成岡−だと平井はラス以外で名翔位。
 3番手の成岡 期首順位が小川より上なので自分の単独トップで小川の上には立つが別卓の平井しだい。
 A卓には愛澤名翔位が居るので愛澤に託して目の前の小川に集中か。

 鉄人成岡はさすがと言うべきか南2局ラス牌を引き寄せて40・80。
 数十秒後平井は南3局ラス目からコッソリ20・40をアガリ、トップまで突き抜けそのままゴール。
 A卓のサイレント確認が行われ、焦点は小川がオーラス1局で224差を捲るかどうか。
 部屋を出て非常階段で待機する平井・・・・数分後立会人山内が対局室から出てきて平井に握手を求めてきた!
「おめでとう平井名翔位」

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 さてまだまだ観戦記は始まらないよ〜
 第37期 順位戦A級今期は大川戸選手と大貝選手が昇級してきた。
 ※高島・山田が降級
 これにより昨年より何が変わったかと言うと
 ・平均年齢がぐっとあがった(事実)
 ・喫煙者が増えた(事実)
 ・加齢臭が濃くなった(当社比)
 冗談はさておきこの2人、初A級だが残6人のA級選手は決してアンパイとは思ってないはず。
 大貝の粘りは愛澤・堀川に匹敵すると思うし、就位式の席で「石にかじりついても残留する」と言った力強い言葉を信じたい。
 大川戸の打点厨(笑)は成岡・平井に匹敵すると思っている。
 昨年は開始2節で無傷の8昇を稼ぎ、周りの人間を震撼させ次の3節では8戦中7ラスとさらに周りを震撼させたツワモノ。座談会の予想では降級候補予想の大川戸。外野は気にせず昨年同様に思いっきり暴れて欲しい。

 もう少し脱線させてもらうと、今年度B級に2名入会してきました。
 一人は菊池智江選手。夢半ばで退会したが今回心機一転再入会したので是非とも一花咲かしていただきたい。
 そしてもう一人は注目の最高位戦A級の平賀選手。面識は無いが、この前最高位戦A級の対局を映像で見させてもらったかぎりでは、「踏み込みが強い」印象。推測だが「昇級してあたりまえ」の覚悟で、101の門を叩いたと思うので頑張って頂きたい。

 余談だが最高位戦では元101選手の金子選手を応援していたが、今年からは平賀選手も身内になったので応援します(笑)

 ちなみにここまでの文章は依頼された対局日の2週間前に書いてます。(仕事中に)
 今年はどんなドラマを見せてくれるのか。誰が主役になって、だれが名脇役になるのか?
 予想座談会では小川・成岡の人気が高かったがはたして・・・・

 早く始まらんかなー

 トォッー(2週間後)
 GWの最後の土日、例年通り各麻雀団体のリーグ戦が一通り始まったあと最後に101競技連盟の順位戦は開幕する。

 20分前には全員揃い、皆それぞれのスタイルで開始を待つ。
 開始前には今期の日程表を配布され目を通すとA級第5節の初日と八翔位戦決勝の3日目がスリアロ放送になっているではあーりませんか! 101の面白さを全国に知ってもらう最高の機会だと思うし、このチャンスを活かして101競技連盟の発展につなげてほしい。

 12時丁度に今年もA級戦立会人の山内選手から開始の合図が発せられ、いよいよ第37期順位戦A級が開幕!
 今回全8回戦全てB卓の観戦記です。(A卓は山内選手のツィートから転記します)
 なお初の試みとして携帯などで見られる方のためにPDFの全体牌譜をやめて文中に組み込みました。

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◆◆◆ 1回戦B卓 ◆◆◆

成岡・大貝・堀川・大川戸

 まず2人のA級デビュー戦を記録として残したかったのでこの卓を指定させて頂いた。2人の表情や手つきからは緊張感は伺えず、良い状態で対局に入ってるように見て取れた。
 東1局(ドラ

 大川戸がイーシャンテン4巡ツモ切り状態。成岡は自身のアガリが無いと見るやここから向かってくる相手を判断する打
 見事3人まとめて退引かせる事に成功。



 東3局(ドラ


 初めて点棒が動いた東3局、親の堀川が7巡目ポンテンの18テンパイ。
 10巡め大貝が4枚目のを引き入れドラとのシャンポンテンパイ。さらに次巡堀川のロン牌を引いてきて送りカン。大貝リンシャンツモに力が入るがハズレ。
 次巡成岡もオイラも良テンパイだからとお出かけしたが堀川に捕まりアウト。


 東3局その2(ドラ

 成岡の異様な捨て牌から9巡めドラがひっそりといかにも4枚目の字牌のごとく出てきた。新人2人はすぐさま反応。堀川はまだ勝負できると判断しプッシュ。手変わりする間もなく成岡高めツモ。
 ※局後上記テンパイ手牌にツモッてたら何きりますか?と尋ねたところ即答ででした(さすが打点厨)。


 南1局(ドラ

 大貝がA級での初アガリ。ラス目堀川もチートイツドラ2のイーシャンテンからポンテンまでできる良形に育ったが、成岡センサーに引っかかりここまで。


 南2局(ドラ

 待った無しの手牌の7巡め大川戸。裏目のを持ってきてしまう。
 普通にツモ切れば何も起きなかったが、と入れ替えたばかりに事件発生。あとは何も切れず手仕舞いのテンコシャンコ。成岡は間髪いれず鳴けるところが状態の良さを感じる。
 しかしなんやこの序盤のイカサマみたいなツモは!
 残り2局も何もおきず。
(◎成岡1昇/大貝・大川戸0/●堀川△1)



◇◇◇ 1回戦A卓 ◇◇◇

西尾・愛澤・平井・小川

 西尾、前名翔位・愛澤、名翔位・平井、八翔位・小川を向こうに回して20オールの好発進。
 次局も40オールと絶好調の西尾。ところが道中平井に52を献上するや、その平井がひきアガリを連発して逆転。が、オーラス、西尾は何とか再逆転を果たす。そのオヤカブリで、小川がラス。
(◎西尾1昇/愛澤・平井0/●小川△1)



◆◆◆ 2回戦B卓 ◆◆◆

成岡1昇・愛澤0・平井0・堀川△1

東1局(ドラ

 一人だけ1メンツも無い配牌から急所を引き込み今度はイーシャンテンからドラを離す成岡。
 愛澤は9巡め山に1枚しかいないでテンパイ。
 成岡も山に1枚しかいないを引いてきて絶好の待ちテンパイ。
 同巡平井も役ナシテンパイだけども見えてるだけで3枚切れ。
 開局草々無理しなくてもいい局面だし安牌もある。名翔位の看板だけでは戦えないよ。


 東2局(ドラ

 タテの局。平井の配牌ドラ3の第1打は101ならではだと思うし、アンコかぶりしているがその場合はアンコを捕らえ切れていない。待望のテンパイが入り前巡に親の愛澤が切った待ち。
 堀川・成岡もテンパイだけに数順は出てくる絶好の待ちだったが、堀川にかわされジエンド。


 東3局(ドラ

 トップ目の成岡、ラス目平井の親リーチも気にせず打!そしてこのペンがすぐあがれちゃう。ほぼ2昇目も当確圏内に。
 一方平井は負のスパイラルへ突入中。

 東4局は平井が堀川から28をアガリ2万点台に復帰。

 流局が続き南3局(成岡+11.6 堀川△1.2 愛澤△1.6 平井△8.8)。あとがない平井の河が強く(情報がない)早い親リーチに成岡がささり60の放銃。
 しかしトップラスは変わらずだが上下ぐっと縮まった。その2は流局。

 南4局(ドラ

【101らしいオーラス】
 普段の堀川ならこの点差でラス目の風牌を切らないのだが、自身のアガリの方が早いと判断しツモ切りを選択。
 ラス抜けには14差の平井はもちろん仕掛ける。
 平井がツモアガればラス抜けを果たすが3・6の時だけ愛澤がラスになる(4・8の時は同点ラスなし)。
 ならば愛澤はもう1役平井に付けてほしくて、役牌のバラマキを。
 そのおかげで堀川7巡めポンテンの18を入れる。2巡後4枚目のが出たときは一瞬躊躇した間があってのポン。アガリ易さや完全安牌を減らすことのリスクを差し引いても打点のアップを取った。
 成岡も一生懸命平井アガってほしくてピンズ以外で差し込みに行ってる。
 しかし平井の取った作戦はマンガンツモって頭まで。
 さらに101は流局間際に今まで敵だったラス目から上記のようなプレゼントが貰えることがある。
 これも他団体のトータル点数で行われているリーグ戦ではありえない101らしい局と言えよう。
 その2 成岡再逆転のテンパイ入れるも残り2巡ではツモれず。流局。
(◎堀川△1→0/成岡0・愛澤0/平井0→△1)



◇◇◇ 2回戦A卓 ◇◇◇

大貝0・大川戸0・西尾1昇・小川△1

 大川戸の打牌を2度にわたって捕らえた小川のゲームかと思われたが、西尾がジリジリと追い上げ、小川まで14差と迫ったオーラスにその小川を直撃。2戦続けて最終局での逆転トップ。
(◎西尾1→2/小川△1・大貝0/大川戸0→△1)



◆◆◆ 3回戦B卓 ◆◆◆

小川△1・成岡1昇・大川戸△1・平井△1

 東1局(ドラ
 成岡がなんか見たような安め入り目でテンパイするが流局。


 東2局(ドラ
 平井手なりでツモリあげ待望の先制。


 東3局(ドラ

 中盤から終盤に差し掛かる10巡め小川のオペラ歌手のような張りの良い声で「ロン」が発せられる。
 この声を何度聞いたことか・・・小川の対面にいた私の心の中は「あ!やばいやつやこれ」
 危険牌を全く打たないで手羽先食べながら獲物をじっと待つ名古屋のオッサン。そんでツモが若いんだよにゃーこの人(笑)。1巡めから8巡めまで全て有効牌。
 切ってにも取れるけど失敗しない。(特には場況的にも良く見えるのに)。

 続く南1局に40オールが炸裂しダントツ状態。結局このままの並びで終了。
(◎小川△1→0/成岡1・大川戸△1/平井△1→△2)



◇◇◇ 3回戦A卓 ◇◇◇

愛澤0・大貝0・西尾2昇・堀川0

 3回戦A卓、仕掛けた堀川の52にいきなり飛び込んだ首位の西尾、ラス抜けリーチも空振って「早速リバウンドか?」と思われたが、勢い?はホンモノ。その後の2度のリーチをしっかりひきアガって、本人も記憶にないという開幕3連勝を飾った。
(◎西尾2→3/堀川0・愛澤0/大貝0→△1)



◆◆◆ 4回戦B卓 ◆◆◆

堀川0・西尾3昇・平井△2・成岡1昇

 初日の最終戦である。西尾が私が見てない隙にA卓で3連勝している(笑)。それもA卓でずっと同じ席だったらしい。
 今年の西尾は凄いのか?! それともA卓の席が優秀なのか(笑)(今回そのA卓では小川が着席)。

 東1局(ドラ
 平井が丁寧に打ってソウズをうまく捕まえて幸先良いスタート!
 もう3回戦みたくやらかさないでねと祈る私。

 そのあと3局流局し南入。

 南1局(ドラ

 ラス目とはいえあの堀川が平井のポンに対してと押している。
 そして初めて切られたソウズ。決して平井に対してスジで打った牌でないのは明白。
 平井もアガれば相当優位になるのはわかるが痛恨の3着順落ちの放銃。△2と言うスコアがそうさせているのか?
 しかしその2に早い西尾のピンフ12に成岡が突っ込みラッキーラス抜け\(~o~)/
 そのまま3局流局し本日終了。
(◎堀川0→1/西尾3・平井△2/成岡1→0)



◇◇◇ 4回戦A卓 ◇◇◇

大川戸△1・愛澤0・小川0・大貝△1

 A卓はこれから南2局ですが、ここまで全て流局しています。
 A卓、公式戦では18年ぶりに四者同点で「無勝負(全員バー)」かと思ったが、南3局にとうとうアガリが出た。序盤に愛澤にを鳴かせた大川戸が仕上げまで引き受けて20。それでも息詰まるオーラス、超終盤に小川が逆転手をひきアガった。
(◎小川0→1/愛澤0・大貝△1/●大川戸△1→△2)


 初日を終え、やっぱりA卓の場所が4連勝でした(笑)。冗談はさておき新人2人はマイナススタート、平井名翔位もマイナス。
 西尾3昇は本物か明日見極めるとして、堀川(1)・小川(1)・成岡(0)はやはり安定した強さを持っていると実感。
 愛澤(0)のオールバーはさすがと言うが特筆すべき成績だと思う。

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 2日目、外ではお祭りが行われているらしく会場内にも音が聞こえてくる。
 今日は平賀選手も記録者として参加している。初めて見る順位戦はどう映るのか?是非後で聞いてみたい。
 本日も立会人歴はA級(永久?)の山内選手から開始の合図が発せられスタート!



◆◆◆ 5回戦B卓 ◆◆◆

西尾3昇・成岡0・小川1昇・大貝△1

 東1局(ドラ

 昨日は絶好調西尾。通りそうなを持ってきてオリを選択?今年はNEW西尾なのか? しかし次巡14オール取りこぼし。アガリ逃しした時は得てして他がアガるものだが流局で良かった。
 東3局は大貝が3・6。東4局に成岡が7・14。そのあとずっと流局して南3局へ。


 南3局(ドラ

 ラス目の小川は6巡め2シャンテンの状態から仕掛けてイーシャンテンに。聴牌一番乗りは西尾。手詰まり大貝が小川にあわせたに西尾が間髪入れずに飛びつく。

 手詰まった大貝、まさかのラス落ちに。
 オーラス寒い立場にいるよりここが勝負と踏んだNEW西尾に軍配。


 南4局(ドラ

 101に於いて、オーラスのラス抜けリーチは誰も相手にしないのが世の常。
 そして流局へ・・・ところがどっこい前局やらかした大貝が一気に頭まで突き抜ける14オール。


 南4局その2(ドラ

 再逆転をもくろむ成岡。
 初トップに向けて祈るように流局を待つ大貝。
 ツモ・直撃条件のテンパイが入る小川。
 大貝初トップでスコア0に。
(◎大貝△1→0/成岡0・西尾3/小川1→0)



◇◇◇ 5回戦A卓 ◇◇◇

堀川1昇・大川戸△2・平井△2・愛澤0

 愛澤が開局の20・40で逃げ切り。オヤでカブった堀川の10・20をカブった平井がラス。
(◎愛澤0→1/堀川1・大川戸△2/●平井△2→△3)



◆◆◆ 6回戦B卓 ◆◆◆

大川戸△2・西尾3昇・大貝0・平井△3

 東2局大川戸が初めて先制する4・8。

 南1局(ドラ

 このまま流局だとオーラス寒すぎる平井。配牌から自風がアンコのチャンスをものにしてまだトップが無い2人がトップ目へ。


 南3局(ドラ

 最後まで意地を通した大貝が18巡めに見事に14オール。


 南3局その2(ドラ

 トップ目の大貝がドラをツモ切っている。それを受けて3人は全く対応してない。
 平井はを切って受け手順にするも役有りになったのでお出かけするが案の定アウト。
 続く2局は流局し大貝連勝、西尾初ラス。
(◎大貝0→1/大川戸△2・平井△3/西尾3→2)



◇◇◇ 6回戦A卓 ◇◇◇

成岡0・愛澤1昇・小川0・堀川1昇

 オーラス、トップめ成岡まで12差の小川がタンヤオ手で果敢に2フーロ。一方、もはや一刻の猶予もならじとテンパイ即リーチと出るラスめのオヤ堀川。お互いにロン牌を持って来られないまま迎えたハイテイ牌は小川のロン牌だった。
(◎小川0→1/成岡0・愛澤1/堀川1→0)



◆◆◆ 7回戦B卓 ◆◆◆

愛澤1昇・堀川0・大貝1昇・小川1昇

 東1局(ドラ

 テンパイ1番乗りは親の愛澤。そこへ堀川も十分形の聴牌で追いつく。
 まだ山に3枚生きているドラを引き当て10・20。
 次局は小川が7・14(堀川+2.6 小川+1.8 大貝△1.7 愛澤△2.7)。

 そのあと流局が続きラス前に。

 南3局(ドラ

 トップ目の堀川、強い意志でこの局を制止してアガリきる。
 堀川のピンズが高い捨て牌にを押してきた愛澤に対しても、押し返す(役なしロン牌だったが)。

 南4局(ドラ

 トップ目の堀川は愛澤・大貝に対して28までは打てる。
 愛澤の4巡めのドラ打ちもを仕掛けた時に堀川に差し込んで下さいアピール牌。
 しかし8巡めあたりから大貝の息遣いが荒くなり1打1打に長考する。せっかくの連勝で1昇の状態。自分が愛澤にアシストや放銃は絶対してはいけない。
 しかしアガればトップまで見えるが手牌はぶくぶくで非常に寒い状態。
 2着目の親の小川も、もちろんセンサーに反応しメンツ中抜きでしっかり対応している。
 大貝3連勝 愛澤初ラス。
(◎大貝1→2/堀川0・小川1/愛澤1→0)



◇◇◇ 7回戦A卓 ◇◇◇

大川戸△2・西尾2昇・平井△3・成岡0

7回戦はA卓・B卓とも最終局で着順が変わった。A卓は平井の5・10で成岡がラスに。
(◎西尾2→3/大川戸△2・平井△3/成岡0→△1)



◆◆◆ 8回戦B卓 ◆◆◆

大川戸△2・堀川0・成岡△1・愛澤0

 東1局(ドラ

 愛澤7回戦のラスが響いたのか、センサーに引っかからず、もったいない放銃。


 東3局(ドラ

 堀川のテンパイ打牌を成岡が仕掛けてイーシャンテン。8枚目のを引いたのは堀川。


 南1局(ドラ

 またもや愛澤が早い巡めでの放銃の不運。大川戸はたまたますり抜けただけで、この巡目でこの手を入れられたらかなわない。
 ん?成岡止めてる?それとも牌譜以外の何か見えてるのか?うんすごい。


 南3局(ドラ

 成岡絶好のカンを引いてテンパイ。ドラがだけにを切ってイーシャンテン戻してサンショクめになれば40オールも見える手牌。
 がしかし鉄人成岡の行動はドラ切り3着落ちリーチ!
 高めは山に2枚生きているがこれも見えてのリーチなのか!?私の乏しい雀力では正解は説明できないが、
 (目に見えてること)
 ・リーチすることで安めツモでもトップ目へ
 (目に見えてへん事)
 ・前局打ってもおかしくない28を愛澤が肩代わりでフラグスイッチONに
 ・親リーチじゃラス親が残っている愛澤も来ないやろ
 ・ラスは無いんやから目指すはトップでしょ
 
 しかし粘る愛澤が追いつく。がしかし成岡に軍配。
 もし成岡がを外しとくとまだテンパイしていないし愛澤はカンでテンパイ(2枚生き)でどうなっていたか。


 南3局その2(ドラ

 全員の手が早い。特に成岡の配牌(笑)。まだフラグ継続中と思ったはず。
 愛澤の極上の手牌はトイツ選択どれを選んでも純カラの不運。
 大川戸のテンパイが維持しにくくすぐ受けるだろうと見ていると嬉しいアガリでトップが見えてきた。


南4局(ドラ

 大川戸初トップへ向けて一番肝になるであろうダブを叩いて十分形のイーシャンテン!
 鳴かせたトップ目堀川は苦しい形だったがツモが伸びフリテンをチーして片上がりで前に出る。
 成岡もあと1牌が入らない!
 3人前のめり状態の中、ひっそり96テンパイの愛澤。
 制したのは堀川。



◇◇◇ 8回戦A卓 ◇◇◇

大貝2昇・平井△3・西尾3昇・小川1昇

 南3局に小川が平井を捲りました。その差は33、ただし小川はラスオヤです。
 南4局は平井が小川のホンイチチートイツに捕まって、その2はラス回避しかやることがなくなり、そのままゴール
(◎小川1→2/大貝2・平井△3/西尾3→2)

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 2日間の激闘が終わりました。気になる1日目4連勝の「あの席」は本日も4戦3昇と荒稼ぎ。局後堀川も「それもあって前に出た」と申しておりました。
 ちなみに唯一トップじゃなかった人は大川戸。8回戦は内容よかっただけに次節頑張ってほしい。
 やはり今節MVPを挙げるとしたら大貝。初日終わって「消極的になりすぎた」と反省していたが翌日すぐ修正してくるあたり流石。

 対局後は選手・立会人・記録者・見学者ほぼ全員で飲み屋へ民族大移動。向こうの席では平井が酔っぱらって声を張り上げてなんか言ってる(たぶんふてくされてる)。
(編集長注記:平井も今節トップがなかったが、去年も▲3から優勝したと謳ってただけ)
 こちらの卓の西尾・小川・平賀はしっとり飲んでる。平賀選手は初対面だったけどいい奴やった。
 成岡・平賀の飲みっぱなしトーク白熱!

 今101競技連盟にも微風だが追い風が来ていると思っている。皆で頑張って盛り上げていきましょう!

第1節自戦記(7回戦B卓:大貝 博美)

初めてA級戦のステージに立った前日の4戦、大ケガだけはしないようことさら守備を意識して打った結果はトップなしのラス一つ。黒星先行はある程度覚悟していたものの、総じて重い手牌は格の違いによるものかと思わされた。これではたして勝負になるのか、と不安が募るばかり。しかし一夜明けての5・6回戦では幸運にもワンチャンスをものにできて連勝となり、意外に早く水面上に顔を出すことができた。
そして迎えたのがこの7回戦、名翔位経験者3人に囲まれる形は初めてのこと。百戦錬磨の猛者に対して「よりどころとするのは押し引きだけ」というのはいかにも心許ないが、ただ震えていても始まらない。とにかく自ら転ぶことだけは避けるよう、自分に強く言い聞かせながら卓に着いた(文中敬称略)。


No.1【東1局】
配牌からの役牌アンコはありがたい。また連勝とツイていることもあり、序盤から中盤まではある程度アガリに向かおうと思っていた。ところが輪をかけてやる気のある人が上家にいて気持ちが萎えかけたところに、親の愛澤からもテンパイ宣言のようなが。こうなれば全面降伏を厭うものではないが、さして時間を待たずに堀川が10・20の先取点。
のちにこの自戦記のための整理牌譜を手にした時の感想だが、堀川6巡目の切りは凄いと思った。もしも自分ならカンチャン2つのイーシャンテンでを切り飛ばすほどの自信は持てず、を切ってお茶を濁すところ。ならまだしも打の場合は11巡目のツモでようやくテンパイにしかならず、愛澤のアガリになっていたかも。
そもそも自分が堀川の配牌を手にしたら、テンからオリを決めていたかもしれない。堀川は何を感じてこうも積極的に打てたのか。この局の一連の摸打、研究材料として非常に興味深い。


No.2【東2局】
あとから見れば前局の堀川と似た感じの配牌を取ったこの局、やはり自分の場合はハナから往く気のないような切り出しになってしまう。最上級のツモが来た時だけは頭をもたげるつもりで、いわばツモに注文をつけた形。しかしスキなく構えたつもりでこう打ったわりには、生牌のをツモ切った小川がの手出しを入れた直後に暴牌気味のを打ったりするのだから、自制心が完全には働いていないようでもある。そう気づいたあとは安全牌が最後までつながるかどうかがずっと気になり、『序盤からしっかり打牌を選ばないからこういうことになるんだ』と自分をなじっていた。なお実戦の14巡目はを切っているが、ここもどう考えてもを切るべきところ。慣れない舞台における二日目の3戦目、心身両面の疲れからか手順のブレがあちこちに。


No.3【東3局】
他家のツモアガリが続いて迎えた親番。このまま乱打戦となる可能性もあるが、ともかく置き去りになるのだけは避けたいところ。できることなら愛澤より先に一度アガっておきたい。
序盤のというツモはなかなかの感触だったが、の重なりはいささか微妙。また6巡目のイーシャンテンはサンショクかダブのいずれかが期待できるものだったが、ポンテンが濃厚な堀川の仕掛けでひかされたのは全て台無しのだった。それでも『悪いマチではないはず』と自分に言い訳をしながらと押したが、愛澤にを打たれて戦闘意欲ガタ落ち。なんとなれば、7巡目にを切ってさえいればマチシャンポンの形もありえたので。したがってもしもこのあたりで堀川のロン牌と覚しきものを掴んだ場合には、それを打ち出すことなく速やかに撤退したことと思う。堀川の手出しは『ほぼとのスライドだろう』と思っていたので、12巡目のは躊躇なく切ったけれど。


No.4【東4局】
9巡目にドラのをツモった時の印象は「余分なものが来た」。かといってドラをトイツに固める切りは弱すぎるし、ましてドラのツモ切りもなかろうということで待ったなしの構えにした。小川にテンパイが入ったのは11巡目だが、すぐにこちらも追いついてしまわなかったのはなんとも幸い。ツモのテンパイはもちろん、ツモでも120の放銃になっていたに違いないので。ただし愛澤と小川に相次いでをツモ切られた頃合いでは、小川の手にソーズの下メンツがありそうなこともあっていつでも駒をひく気になっていた。
余談のようであるが、順位戦の対局は1局あたりほぼ10分。一般のマージャンに比べてかなり時間がかかる上に考えるべきことがやたらと多いので、チャンス手の空振りが2局も続くと徒労を延々と重ねているような気になってくる。その結果として、必要以上にアガリを求めすぎてしまうことも。またそもそも好手が入らねば放銃するリスクも少ないわけで、ラスをひくのはこの程度に手が入って前がかりになる時。そこで『南2局までに絶対にアガれそうにない配牌が来たら、一歩も前に出ず休憩の局にしよう』と思っていた。いったん落ち着いて気持ちをフラットにするためにも、最後の勝負処に脚を残しておくためにも。A級に長く腰を据えている選手たちは意識せずともオンとオフをうまく切り換えられるのだろうが、今の自分は常にいっぱいいっぱい。


No.5【南1局】
漠然と端牌から切り出した2巡目、ドラがポツンと浮いていることもあって受けながらのチートイツに照準を合わせる。ところがおかしなツモが来て、8巡目にはゴツゴツしたメンツ手のイーシャンテンに。しかしひとスジが6枚も固まってしまっては2フーロしているのと同じようなもので、防御力はないも同然。こんなことならもツモ切ってチートイツ一本にしておけばよかった。ドラの表示牌も抜けていて、オリられるものならいつでもオリたい。しかしいざやめるとなっても、ツモ切りを続けている小川と息を潜めているかもしれない愛澤の両者に対して切れる牌など一つもないのだが。12巡目、目をつぶって切った白のトイツ落としが無事に通過したが、青息吐息の様子が牌譜からもうかがえる。さらに15巡目のなどは愛澤のノーテンを願いながらの拝み打ち。ただ流局に持ち込むだけで息が上がってくるのが順位戦。いや、単に自分がヘタなだけだ。


No.6【南2局】
愛澤が10巡目にを鳴いた時、『まだイーシャンテンなんじゃないか?』と思った。「10差のラスめで場に5枚目のにチーテンをかけない」などということは、自分の常識の中にはなかったので。
『もしもこれでチーテンのケースがあるとすれば、鳴く前が3シュンツ(または2シュンツと役牌のアンコ)と(あるいは)だった場合か。しかしこれでも9巡目のを仕掛けそうだし、7巡目のツモ切りが釈然としないし‥』というあたりまではなんとなく考えたが、その先までは思考が発展しなかった。したがってその仕掛けの直後に手をかけたのトイツは『が手残りする理由は全く思いつかないが、ともかく愛澤がノーテンの今なら切れる』と思って切った牌。あらためて整理牌譜を見て、自分の器で相手を測ってはいけないことを思い知らされた。A級戦、恐るべし。


No.7【南3局】
東3局以来ずっと10差で張りつく愛澤の影に怯える中、精神面の消耗が本格化してきた。『アガれもしないところで頑張りすぎたツケが来そうだし、最後にはキッチリまくられてしまうのか』と、極端にネガティブなことを考えながら配牌をとる。すると場風のドラが2枚にもトイツ、さらにはピンズが6枚。これを見た途端につい今しがたまでの暗澹たる気持ちは瞬間で失せ、期待の方は上限を越えて妄想の域まで達してしまった。実にめでたい。
しかしメンツ手にするにはあまりに形が悪く、2巡目のツモでトイツになったこともあって一応はチートイツを本線に据える。それでも場に2枚のを外すほどには思い切れないのだけれど。そんな8巡目、ペンをひき入れて『これでメンツ手もあるか』と思った矢先、堀川から手出しのが。てっきり堀川はこちらをマークしながら受け気味に打っていると思い込んでいたが、それがとんでもない勘違いであったことが判明。『さすがにテンパイ打に違いない』と思ったわけだが実はこれもまた全くの的外れで、堀川のテンパイはその4巡も前だった。
それでもまだ未練がましくまでは切ったものの、手牌と捨て牌合わせて6つめのトイツができた11巡目にようやくオリを決意。あとは堀川がひきアガらぬよう祈るのみだが、祈りの真剣度が2巡分足りなかったようで、堀川の「ロン!」を聞かされることに。しかしひき寄せられたのがまるで予想外の牌だったこともあって手が開くまでは打点の見当すらつかず、堀川が理牌する間『頼むから10・20までにしてー』と願っていた。この願いの方はどうにか叶って申告は5・10、これならまだ愛澤よりギリギリ上。しかし上に残ったと知った途端、『いっそのこと同点になった方がラスになる可能性は少なかったかも』と思ったりも。「高くするな」と言った舌の根も乾かぬうちに今度は「安すぎる」と文句とは。自分の都合ばかり言ってると、そのうちバチが当たりますよね。


No.8【南4局】
アガリさえすればよい愛澤が、字牌を3枚並べたあとの4巡目にドラの手出し。自分同様に好調とは見えないだけに額面通りには受け取らなかったが、よしんばノーテンであってもかなり煮詰まっているのは疑いのないところ。そんな5巡目、自分の手がこうなった。

「打とタンヤオ重視に構え、喰いテンがかかるものは全て鳴く」のがこの僅差3着めにおけるセオリーだと思う。しかし点棒的にもメンタル的にも追いつめられたこのオーラス、初巡から考えていたのは「先に動いたらきっと愛澤を利してしまう」という、根拠に乏しいシナリオだった。そこで上記手牌からはメンゼン重視でを切ったわけだが、すぐに下家の小川から出てきた。さらに3巡後には小川のツモ切りを見せられ、頭の中では『普通に打てよ、この愚か者!』と自分を罵っていた。
ところが何が幸いするかわからないもので、という思いがけないツモが来て望外のチートイツテンパイ、そして望外の逆転トップ。われながらあまりに恵まれすぎだと思う。
顔ぶれとレース展開に終始緊張を強いられたこの一戦。終わった直後はトップになれた嬉しさより疲労感の方が何倍も勝っていて、椅子から立ち上がりまっすぐ歩くのも一苦労だった。


7年ほど前、まだウェブ版ではなかった101マガジンにB級戦の自戦記を書いたことがある。題材に選んだのは結局ラス逃れに終わった一戦だったが、その文末にこう書いた。「次にまた書く機会があるならばA級戦の、しかも勝ち牌譜をとりあげたい」と。
今回、その半分しか実現できていないと思っている。結果はトップであっても、「勝ち牌譜」と胸を張れるようなマージャンの内容ではなかったことを重々承知しているので。せめてこの自戦記が「こんなマージャンを打っていたら1年でB級に叩き返されるぞ」という、自分への戒めになることを願う。

第37期順位戦A級 第1節 星取表 (5月7・8日/東京)

選手名
開始前
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
6回戦
7回戦
8回戦
終了時
順位
平井  淳
S-0
A  B  B  B  A  B  A  A  △3 8
成岡 明彦
S-0
B  B  B  B  B  A  A  B  △1 5
小川  隆
S-0
A  A  B  A  B  A  B  A  2昇 1
愛澤 圭次
S-0
A  B  A  A  A  A  B  B  △1 6
堀川 隆司
S-0
B  B  A  B  A  A  B  B  1昇 4
西尾  剛
S-0
A  A  A  B  B  B  A  A  2昇 2
大川戸 浩
S-0
B  A  B  A  A  B  A  B  △2 7
大貝 博美
S-0
B  A  A  A  B  B  B  A  2昇 3
立会人:山内 啓介