第37期順位戦 予想座談会

司会:平井 淳

 101ファンの皆さま、お待たせしました。
 2016年、第37期順位戦の予想会が先日開催されました。昨年よりも予想会の参加人数が増え、101への愛に満ちた、歯に衣を着せぬ発言の数々がありましたので、ここにご披露します。(文中、選手の敬称は略します。)
 昨年と同様、一応 ABCD……という人の会話形式で書きますが、だれが何を言ったのかを特定できないように、ABCD……の設定はごちゃまぜにしてあります。ですから、「誰が誰の悪口を言ってるのか?」は、あまり詮索しないでください。知りたかったら、101に来て呑めばわかりますから。
 なお、参加者はA・B級の選手、元選手、八翔位戦ファイナリストを始めとするアマチュアの101フリークスたちです。

司会「さてまずは、B級の順位予想からしましょう。初めに、期首順位を確認します。順位戦全日程終了したときに、同昇の者がいたら、この期首順位が上の方が上になります」
 高島 努
 小宮山勤
 田中 実
 山内啓介
 坂井準司
 藤森弘希
 亀井敬史
 菊池智江
 平賀聡彦(最高位戦日本プロ麻雀協会所属選手/編集部注)
(休場者・岩沢、安田、山田)

司会「では、今年35戦戦ってA級に昇級しそうな人を予想してください。誰からでも」
A 「9人中2人の昇級なら、まず山内。タイトルを獲得したことのある山内・田中が昇級候補者だ」
B 「坂井の捲土重来に期待したい。昨年、坂井が強いということでみんなマークしていたが、結局、ノーマークの大川戸と大貝が昇級してしまった。大川戸が後半崩れるかと思ったが崩れなかった。坂井には次こそ頑張ってほしい」
C 「今期から参加する最高位戦の平賀。金子正輝さんの推薦ということだし、彼が勝たなくてはいけないだろう。もう一人は、ずっとBにいる苦労人の人に上がってほしい。昨年、大貝が上がって本当にうれしいと思ったので、それに続いてほしい。となると、やはり山内か」
D 「B級に暴れん坊が入ってきたからなー。もちろん菊池のこと。最近は昔よりいいマージャンを打っているので注目したい」
E 「一人は高島。もう一人はというと、山内」
F 「ここで考えないといけないのは、A級でだれが戦うのを見たいか、ということだ。村田がいなくて、平賀が入ってきて、さて、101として恥ずかしくないA級とは?そう考えると、山内、坂井、平賀のうちの2人が上がるべきだろう。田中は最近、打牌が荒すぎて下手になったと思う」
G 「いや、田中はあかんかったけど変わってきたよ。昨年後半に立ち直ってよくなったと思う」
C 「ミューカップIN湘南で優勝したあたりからですかね」
H 「かつての田中は『自分がアガる』と確信したらとことん攻めるタイプだったが、今はよくわからない。また、平賀は101に合っているとは思えない。上がってきそうなのは、山内と高島」
A 「え、一緒にされるんや……」
H 「高島はそんなにひどくないよ」
司会「もうちょっと積極的な弁護は? さっきも高島を挙げた人がいましたが、理由がないんですけど」
全員「…………」
J 「自分は、田中と藤森が上がると思う」
B 「え? なんで?」
J 「今期のB級の顔ぶれを見ると、101らしくない、通常の競技マージャンのような場になることが多いと考えられる。そうなると、この中で普通に強そうなのは平賀と田中。それを受ける側で、この中で打てるのは坂井と藤森。攻め手から一人、受け手から一人勝ち上がるとしたら田中と藤森が濃厚だ。坂井と藤森では、藤森のほうが、ここぞというときに勝負ができると思う」
A 「亀井は今年も負けるだろう。一方、目先のアガリや目先の1昇がうれしいという人たちが3人いて、こういう動物的なアガリがうれしいという正直な、ケレンのない人とどう戦うか、が見ものだ。その3人は高島・菊池・平賀だが、平賀は『よそから来ていきなり上がるぞ!』という欲がしっかり出れば勝つかもしれない。坂井は正直言って腕が全然違う。しかし圧倒的に格上の坂井がレクリエーション感覚で月に1回B級で打つのを『つまらないな』と思ってしまったら負ける。鬼の坂井が出てきたら怖い。山内はちゃんと見栄っ張りのマージャンを打つので、亀井が昇をばらまき始めたときにげんなりしたら負ける。3〜4昇に3、4人がダンゴになって『タンヤオドラドラが大好きな奴らに巻き込まれる……』と思ったら山内は負けるだろう。最下位は亀井、そして独身の小宮山は、今期も婚期をのがすでしょう」
B 「上手いことまとめたようですが、それ、マージャンの話じゃないから」
C 「誰か小宮山のマージャンの話を」
F 「下のプレッシャー(降級)がないから、好きに打つんとちゃう?」
G 「平賀の理牌のくせについてはどうだろう? 彼はツモって来た牌をすべて右に置いて、どんどんずらしていくのだが、丁寧に見ていればいらない牌の残し方などがバレるのではないかと思う」
F 「そんなもん、今のB級では関係ないやろ、だれがそこまで見てるねん」
D 「厳しい言い方をすれば、現在のB級がいまひとつということは認識してほしい。101で順位戦を打つ以上はかなり打てる人たちのはずなのだが。ここで注目選手として名前が挙がらない人、きちんと言及してもらえない人は、気を引き締めないといけない。例えばこの座談会の場にいる選手以外の人たち。この人たちがB級に参戦したら、みんな昇級候補として名前が挙がりそうじゃないか? 『去年、坂井がなぜ垂れたのか?』も考えなくてはいけない。大川戸が一人抜けて緊張感が抜けたのか、大川戸一人をとりあえず逃そうとする全体の雰囲気や展開にイラついたのか、とにかくB級の現状は反省しなくては」
E 「来年は大川戸がまたBに落ちてくるから、大川戸と打ちたくなかったらAに上がるしかないよ」
司会「Bから昇級する注目選手はかなり割れたが、よく名前が挙がったのは山内・坂井・平賀?」


ーーーじゃあ、次はA級の話をします。まず期首順位を。
 平井 淳
 成岡明彦
 小川 隆
 愛澤圭次
 堀川隆司
 西尾 剛
 大川戸浩
 大貝博美

司会「降級候補を挙げてください。今年は割れるぞー」
A 「四天王は安泰です」
B 「四天王ってなんや?」
A 「上4人かな? 残り4人の中で展開がどうのこうのと言うよりは、落ちるのは大川戸と西尾ですよ」
C 「成岡が落ちることはない。愛澤はラス目にはしょっちゅうなるので、歯車がひとつ狂うと危ない。現役A級選手の中で、ラス目滞空時間が最も長いのは愛澤だ。しかし、個人的には大川戸・大貝に落ちてもらいたい。事務的な都合で、大貝にはぜひBにいてほしい。我々は優秀な記録係を失ってしまった。逆に、採譜のミスが非常に多い大川戸がA級の採譜をしなくなったことは非常に喜ばしいことではあるが……(数人から同意の拍手あり)、それでもやっぱり大川戸にはBに落ちてもらいたい」
E 「どんな評価やねん」
C 「切実な現実」
E 「降級候補の本命は西尾と大貝。このうち一人は落ちる。しかし、両方落ちることはないだろう。つまり、落ちる可能性は全員にある」
F 「大貝が落ちると思う。A級のマージャンは『何が何でも昇を稼ぐ』という貪欲さが必要だ。大貝がすべてをかなぐり捨てて打てばよいが。彼特有のダンディズム、かっこつけが邪魔をするのではないか。A級はドロドロだよ」
G 「堀川と大貝は普段、フリーマージャンの店で働いているので101のマージャンを打っていない。そのお仕事がマイナスになるのではないか。そんな中で大川戸はビミョーに残留しそう」
H 「落ちるリスクがゼロなのは、小川。小川は3昇からスタートみたいなものだ。彼は目をつぶって打っても3昇はいくだろう」
D 「そんなはずあるかい」
H 「小川の弱点は、ギリギリのところでオリるのに、ワンチャンスやスジを追う癖があることだ。肝心のところで『あっ』っというのがある。101最強は間違いなく成岡で……」
司会「降級候補の話をしてください」
H 「西尾、大川戸、大貝」
I 「なんと、そっけない」
H 「愛澤は、大川戸の所作動作が気になり、崩れる恐れがある。堀川は絶対に落ちないよ。マージャンを毎日打っている人は絶対に落ちない」
E 「ちなみに堀川はACB(アシベ)というお店で働いていて、お休みの日にはACBのお客だよ。」
H 「最後に、希望として、平井、落ちるなよ! 萱場・田中に続くなよ」
B 「萱場さんも田中さんも、名翔位の翌年降級でしたね。これは101ならではで、ほんと、こわい」
I 「落ちてほしいのはね、西尾と大川戸」
K 「こらこら」
I 「落ちそうなのはね、平井と愛澤。大貝はパーティーでも言っていたように『Aに上がった!』という気持ちが大きいので大丈夫。ずっとBにいてやっと上がったのだから。溝ノ口のスマイルで仕事とはいえ毎日牌を触っているし、ちゃんと残留しますよ」
J 「私は、大川戸と大貝が落ちると思う。大川戸がレベルの高い、長丁場のマージャンを打つのはつらいと思う。ところが大川戸が普段通りのびのび打つと、わからない。愛澤と堀川は、星を失ったときに苦しむかもしれない」
K 「私の考えは簡単。西尾・大川戸・大貝のうち2人が落ちます」
B 「来期落ちるのは2人となると、自由に打ってよいと思っているのは上から5人。西尾は無理して上を目指さずにいて、ツイていたら中庸のところにいられるだろう。大川戸はゴーカート。ぜひここは声に出して言ってほしい。大川戸ゴーカートは昨年、ゴーカートどころが大掛かりなチョロQのような走り方をした。今年はどうでしょう」
C 「結論なしで、大川戸ゴーカートって言いたかっただけですね?」
D 「降級の筆頭候補は平井だ。どう考えても、2年連続ツクとかありえない。もう一人は大川戸」
I 「師弟で落ちるんかい」
D 「西尾は圧倒的に力が落ちるが『ラスだけはひかない』という打ち方ができるからギリギリ残る。これが非常に大事で、西尾はまた6位だろう」
H 「西尾は▲4にはすぐ落ちるが、なかなか▲5にならないからなあ」

司会「では、メインの、名翔位の予想をお願いします」
A 「小川。穴が平井」
B 「個人的には平井に連覇してほしいが、101のことを考えると平井の連覇はだめだ。先般、本を出した成岡が意地でも取るのではないか。どう見ても一番強いのは小川なのだが。平井はわんぱくなマージャンで名翔位の器ではない。かといって今年、愛澤が取れる気がしない。結局、成岡と小川の争いになると思うが、盆が変わると平井と堀川も可能性はある」
C 「堀川に勝ってほしい。小川はメンタルが弱いのに八翔位戦は強い。小川には八翔位ディフェンディングのプレッシャーがかかるだろうが、今年はどのように戦うのか注目している。でも個人的には。平井頑張ってくださーい」
D 「普通に上の3人の争いになると思う。愛澤と堀川は結局勝ちきれない気がする。昨年は、最後、成岡と小川のマッチレースにならなかったので平井が取れたようなもの。最後の卓組が非常に重要になる。しかし、一度勝ち方を覚えた人は強いよ。平井の連覇もありうる。割合で言えば成岡:小川:平井=4:4:2かな」
E 「運がいい人が勝つ。これが年間100戦打つとなるとまた違うが、35回では短い。しかし、本当に強いのは堀川、そして成岡だと思う」
F 「常識的に考えて、成岡と小川は抜けてるだろう。ここ最近、ラスを引かなくなった愛澤にも注目したいが、彼は千葉県民の中でも十本の指に入るほどの瞬間湯沸かし器(すぐ怒る)なのが心配だ。大川戸や大貝のマージャンを許さないのではないかと。順位はともかく、成岡・小川・愛澤の勝負になって、穴が堀川だろう」
G 「とりあえず、就位パーティーに人が呼べる人がいいなあ」
H 「混戦になると、ここ一番でトップが取れる人が強いと思う。それは成岡と平井だ。愛澤や小川が名翔位になったときは最終戦を待たずに決まったが、もつれると愛澤や小川ではなさそう」
I 「今期なんとしても優勝したいと思っているのは成岡だ。『ぼく、巷のレートのあるマージャンではだれにも負けへんのになんで? マージャンプロとして勝ちたい』という気持ちが非常に強い。小川は調子がよくない。小川が101らしく、おとなしく真面目に打っているのに、大川戸の1牌ですべてが壊れる。すべて壊れるような牌を、大川戸は打つのだ! そして小川の丁寧さが壊れたとき、小川は元に戻すテクニックを持っていないので損すると思う。大貝は2節目までにマイナスしていたらそのまま落ちるだろう。3節目でプラスしていたら、そこから地蔵のようになって、そのまま残る。堀川はのびのび打ってよいと思う。愛澤は、成岡と平井のマッチレースにならないようにしなくてはならない」
G 「まあ、見てる方は最後マッチレースになると面白いのだが」
某元選手「もしも平井が連覇するようなことがあったら、復帰します」
K 「しかしやっぱり今の101は成岡がスターなのかな、と思う。昔の『金子・青野に勝てるか?』という思いでみんなが挑んだような選手が、今の101にはいない。101のA級がマージャンプロのトップクラスだった時代があったはずなのに」
K 「一番強いのはだれがどう見ても成岡なのだろうが、堀川もいいマージャンを打つので、愛澤と堀川にがんばってほしい」
司会「A級は上位と下位に分かれそうですね。今日は、ありがとうございました」

(了)