第34期八翔位戦 卓別リポート

  1次予選2次予選準決勝出場選手システム

準決勝:6戦制/各卓2昇以上の単独首位者勝ち上がり


A卓:
A卓
終了
堀川 隆司 A級 ±0
平井  淳 A級 △1
稲毛千佳子 推薦 △1
板川 和俊 大阪 2昇

文:平井 淳
 準決勝の組み合わせが決まると、某現八翔位がツイッターにアンケートを上げた。各卓の勝ち抜き者は誰なのかと。A卓の結果は板川が50%でダントツであった。次が堀川で24%。残りを平井と稲毛が分け合う結果となっていた。ちょいと不満に思いつつ対局を迎えた。

【初日】
 1回戦、堀川が平井から点棒を奪取するが、板川が南1局の荘家終盤でドラ入りチートイツをツモリあげ、一捲りでトップを決めた。なお、終盤に平井がチーテンで茶々をいれた直後です。

 2回戦、稲毛が堀川に52、平井に30と献上したあと、リーチを入れると下家板川がチーを2回入れ64を進呈した。ところがその後平井が板川にアンパイ困窮の末、最終手番で 52を奪われてしまう。何をやってんだか。
 迎えたオーラスは堀川(荘家)23→平井18→板川11→稲毛。稲毛が元気よくリーチをすると程なくツモロン。まー普通ドラぐらい2枚ありますよね。

 3回戦、東1局に板川がを仕掛ける。時間がかかったもののをツモリ、345のタンヤオサンショク。若干の?が頭に浮かぶがその2で稲毛から78を捕獲しこの半荘を決めた。

 4回戦、東2局に稲毛が板川にを鳴かすとお返しに鳴けたのがW。しばらくして稲毛がを引き寄せるとシャボ待ちの相方はドラで40オール。後はラスの押し付け合いで、ラス前を迎えて板川16→平井(ラス親)13→堀川(荘家)。
 堀川は南3局はリーチと出て平井のアガリを阻止するが、南4局では零れそうな片アガリサンショクのマチでヤミテンにし、板川に場を捌かれてしまった。実はこの零れそうなは板川のシャンポンマチの相方で、平井が切っているとロンの発声が二重唱で聞こえ観念したうえで、12の申告に狂喜するものでした。

 以上で初日を終わり、板川・稲毛1昇、堀川・平井△1。
 選手何やってんだ!!!

【2日目】
 5回戦、流局で迎えた東2局の板川の荘家。平井が中盤にのシャンポンマチでテンパっていると板川がドラのを手出しした。そこに持ってきたのがである。板川は8巡目にを手出し9巡目にを並べている。ただしこれはツモ切なので余り意味はない。を切って回ることも考えたが、これがストライクでは目も当てられない。ベタオリは悔しいと色気を出して、スライドの打でテンパイを継続させたが、待ちはでピンフの18に御用となった。

 これで終わればいつものことととぼけていられるが、その2の8巡目に板川がリーチ。ドラがなので2枚は覚悟である。程なくしてをツモリあげた。モチのロンで40オール。ただし待ちはカンで場に1枚、私に2枚。萎えるなーと言うより先のを悔いるものとなる(一応板川の河にはがさりげなく置いてあります)。

 このまま、2昇され条件を満たされると非常に厳しいものがあり、堀川か平井が点棒を持てば1対3の戦いにできる。堀川より先にアガリを求めたいところであるが、先にアガったのは堀川である。
 その3が流局した東3局で堀川の河はピンズに寄せているように見えた。3段目に入り手出しでを切ると続けて2枚をツモ切り、その3枚目は叩きつけるようであった(あくまで私の感じ方です)。これに対し板川が何となく通りそうなを切った。(これもあくまでも私の感じである)。堀川から弾けるようなロンの発声(あくまでこれ・・・・)。
 80である。それも直撃で点差を18とした。

 次局迎えた荘家で堀川はリーチを掛けた。長引けば刺しに行かなければならないが堀川は自力で高めを引き寄せトップ目に立った(タンピンの26オール)。
 その後は板川に手が入らず、オーラスは平井と稲毛のラス争いとなった。平井が03 だけ下であったが、タンキマチを顕わにし堀川の的確な読みで選手連合がやっと一矢を報いた。

6回戦、東2局に荘家堀川が板川の14巡目ののチーを入れると、板川は手出しのリーチを打った。これの堀川がツモ切で突っ張ると、のトイツ落としてで対応していた稲毛がを手元に引き寄せた。ドラ入りピンフのリーチ棒付きである。
 東4局稲毛の荘家で、稲毛のトップは恐れずに非ずと平井がかぶせると、あっさり18のビンタを食らってしまった。
 その2は、堀川がリーチ。やはり堀川にとってもここが勝負所なのである。
これを堀川はツモリトップ目に立った。

 南入し、板川の親である。板川は5半荘で15回オヤをやっている。つまり5回アガっているわけである。うち2回が120で1回が78。
 ドラがで板川の3巡目4巡目の切り出しはともにの中、早い段階で西家平井の手がこうなった。
 7巡目には稲毛が1枚切っているを堀川も切ったが、これをフカした。後は板川、稲毛の以外に何にも出ない。そのまま終盤となり16巡目に稲毛が4枚目のを切った。そしてヒト巡りした17巡目稲毛からが打たれた。板川3度目の120である。
 その2はブラフぎみに仕掛けた板川の3者抵抗できず板川と堀川の点差は58のまま板川の親番は流れた。

 続く堀川の荘家は、終盤板川の攻めに3者が受けに回ったが、稲毛の手牌にアンパイがなくなり板川に16を献上した(板川74→堀川)。

 南3局平井の荘家は、前に出る堀川のを板川が仕掛け、早い進行を見せつけた。ところがこれが平井の変なツモを呼び込み平井の手が、
こうなり、を堀川から鳴くとを引き込んだ。板川・平井の点差は144である。
Aコース、Bコース、Cコースとあるが、Cコースでもヒトアガリまで追いつける。
なんてことを考えていたら、板川が一入りの5・10を引き寄せた(板川99→堀川)。

 オーラスとなってしまった。板川・堀川の点差を考えると、堀川への差し込みは難しい。堀川の20・40に期待するしかない。と配牌を取ると8枚にしてドラのが二枚ある。大丈夫か堀川。それでも手を進めると平井の手が、
まですすめる(板川178→平井)が、オヤ・稲毛も板川も仕掛けが入っている。決着は如何と思っていると稲毛が堀川のにロンをかけ18。難しい判断である。(板川はテンパイしていた)。これで「板川117→堀川」となった。
 その2は板川が仕掛ける中、堀川が7巡目からを3枚並べてリーチをかけた(トイツ落とし+ツモ切り)。
ヤマに4枚生きている。稲毛・平井からはでもOKである。
 が、お話はここまで。

 王牌は強いな!世間はよう知ってるわ!

B卓:       
B卓
終了
坂井 準司 B級 3昇
山田 史佳 B級 △5
藤原  健 推薦 2昇
山本 裕司 推薦 ±0

文:小川 隆
【1回戦−4回戦 】
 藤原の3連勝を辛うじて下位陣が阻み、2昇に留めて初日が終了。

【5回戦(藤原2昇・山本0昇・山田△2・坂井0昇)】
 東1局、オヤの藤原のリーチにテンパイを維持した坂井が最終手番で24を放銃。が、すぐに立て直す坂井。流局を挟んで東2局、山本とのリーチ合戦を制すと、次局、ピンフの12、南1局には80をいずれも山本からアガる。深手を負ったラスめの山本は南2局のオヤ番でハネ満を山田からアガり、一躍トップ争いに加わる。その2は山田とのリーチ合戦。藤原のチョーマを減らしたい山田(タンヤオドラ2)は山本からのロンパイを見送らざるを得ず、流局。南3局も流局。

 南4局(坂井50→山本32→藤原230→山田 供託20)、3度目のリーチ合戦は、山本と藤原。山本がホウテイで藤原からアガるが、安目の16ではトップに届かず。
(◎坂井/●山田)

【6回戦(山本0昇・藤原2昇・坂井1昇・山田△2)】
決着の条件は、
・藤原がラスでなく、坂井がトップでなければ、藤原の勝ち上がり
・藤原がラス、坂井がトップであれば、坂井の勝ち上がり

 東1局、オヤの山本がピンフドラ1をツモった後、藤原にこんな手を許してしまう。
  
 藤原は次局のオヤ番でピンフドラ2を山本からアガり、断然トップ状態。しかし、坂井が立ちむかう。まずは、タンヤオの16をアガり、迎えたオヤ番で衝撃的な180。序盤早々にリーチ(ノーテン)の山田がハイテイで坂井のアガリハイの高目のをつかむ。
 その2、坂井がリーチで攻める。藤原が坂井の現物を抜く。すると、ツモアガリを崩して狙い定めていた山本から「ロン80」の声。トップめから引きずり下ろされた藤原は南1局にピンフイーペイコーをリーチでツモアガって抵抗するも、その後は下位3人で回され、出番はなく、2昇で2人が並んで延長戦に突入した。
(◎坂井/●山田)

【7回戦(山田△4・藤原2昇・山本0昇・坂井2昇)】
 東1局、坂井が自風をコーツにトイトイの64を山田から。
 東2局、流局。
 東3局、山本が 白 中のコーツにドラ1の26オール。
 その2、山本のリーチに坂井が押し返す。その合間に山田がピンフをツモアガリ。
 東4局、坂井が高らかにアガリを宣言。絶大な60オール。
  
 その2、山本がピンフをツモアガリ。
 南1局、藤原のリーチは流局。
 南2局、山本が11巡めにを引き入れてテンパイ即リーチ。
 山田がドラ入りチートイツのテンパイを入れ、山本の現物でひっそりと待つが、坂井の守備は鉄壁。自身のアガリを断念した山田はテンパイを崩して山本へを差し出した。

 南3局(坂井20→山本290→藤原184→山田)、オヤの山本がチーしてテンパイ。
 
上家の藤原は応援したいところだが、坂井にピンズが非常に打ちにくい。実際、坂井の手ハイは恐るべし。
 最後まで坂井がオリを見せることなく打ち通したため、結局、藤原は急所を降ろすことができずじまい。また、坂井も決め手を成就することができず流局。

 南4局、山本の仕掛けに屈せず、坂井がピンフを山本からアガり、同時に前局の山田から提供されたリーチ棒も加えて点差を広げる。
 その2(坂井66→山本272→藤原194→山田)、9巡め、山田が山本を支援するためにノーテンリーチ。山本の10巡めにをツモり、テンパイ。
トップ条件は緩和されたが、まだ点数が足りないを打ってテンパイ取らずとしてドラとの心中を決め込み、ソウズ雀頭のリーチツモドラ1(10・20)を狙う。最終的に、条件を満たすテンパイを組むことができず、流局して坂井の勝ち上がりが決定した。
(◎坂井/●山田)

C卓:
C卓
10
11
12
終了
西尾  剛 名翔位 ±0
平賀 聡彦 B級 2昇
菊池 智江 B級 △1
関根 秀介 東京 △1

※平賀聡彦は最高位戦日本プロ麻雀協会の所属選手

文:平井 淳
 準決勝C卓の決着は12回戦を必要とした。12回戦までに西尾、平賀、菊池の3人がそれぞれが3度の決着権を持ち合いながら(2人決着権2半荘)。
 最初の決着権は6回戦の菊池である。東1局に1段目でタンピンドラ1のテンパイを入れたがこれをヤミテンとし、関根にツモ切りのを鳴かれ、揚句オヤ・平賀のリーチを受け関根に20の放銃をしてしまう。守ろうとしているのか、攻めようとしているのか中途半端な感じである。トップはラス目菊池の2回の無理押しを捕まえた平賀であった。

 7回戦は、決着権を持つ平賀が前に出るが菊池のドラとのシャンポンマチに安めで捕まりラス目でオーラスを迎える(菊池28→関根02→西尾48→平賀)。平賀の後方捲り一発の心配もあるが、ラスオヤの西尾は6巡目に、
でリーチとした。これを受けた関根は、12巡目にドラ2のイーシャンテンから西尾のトップはしゃーないとばかりにを勝負した(42)。これでは平賀がはラスのままだがその2であっさりラス抜けを果たした。名翔位西尾がようやく決着権を持った。

 2人決着権となった8回戦は、東3局のオヤ番で平賀がドラのを関根にポンされ、ペンを引きアガられてしまい、オヤカブリでラス目に落とされる。その後平賀に2回のリーチが入るもいずれも流局した。

 決着権を無くした平賀は、9回戦も大活躍で、東1局にリーチツモの5・10をアガるとその2(ドラ)ではポンからをテンパイするとカンチャンではなくリャンメンに受け菊池にドラ3を放銃してしまう(80)。その後小さなアガリを交え迎えたオーラス(菊池50→西尾17→関根52→平賀(荘家)供託10)。
 決着権を持つ西尾は2役を作るのに苦労し、手が整ったのはツモを1回残した17巡目、
勢いよくリーチ棒を投げるが、決着はつかなかった。そして平賀は△1となった。

 6回戦以来の決着権を持った菊池は東3局(ドラ)のオヤ番で南家関根の攻撃を受ける。関根は5巡目に西尾からをポンすると筋を頼りに打った菊池のもポンできた。更に進撃の平賀からをポンし7巡目にして、「」のテンパイを果たす。更にを引き入れ、タンキマチとした。
 一方の平賀も時間はかかったが、
のテンパイを入れた。
 一方、廻っていた菊池の16巡目(残りツモ2回)がこうなった。
関根のトイトイには安全とが切ると、今度は平賀がのツモ切りリーチと出たが、これは空テン。菊池が最終ツモでを引き寄せ40オール。

 その2の菊池の配牌が、
 ツモは、
で菊池80オールのダメ押し、或いは40オールの追加点と言いたいところであるが、ホンイチに決め打つものの、が薄くなりを1枚外しを持ったため流局となった。それでも190以上の差を3者につけている。
 東4局に平賀がバカ早い1役ホンイチドラ1を西尾からアガると点棒は俺に集めろと南1局のオヤ番を迎えた。取った配牌はバラバラであった。対する菊池はチューチャンパイが溢れ、13巡目にこうなった。
が場に切られることなく平賀がやっとテンパったのは17巡目、
勿論ツモられればこんな僥倖はないが、頼りは西尾の2回、関根の1回の切番である。
 で、ヒントは中盤に切られたと手出し宣言牌の
 西尾、関根は河を睨みロン牌を読み取ろうとするが無筋をそれぞれが切る。残るは西尾のホウテイのみ。西尾は祈るようにドラ跨ぎのを選んだ。菊池からの発声はない。前巡にを掴まされていた。
 平賀、西尾、関根の3者は何とか針の穴を見つけ糸を通したが、まだ差は100ある。次の穴を通さなくてはならない。
 その2では、平賀が8巡目にで鳴いた。
 
3人の内、誰かがを持っている、或いは掴むこと前提である。首尾よくをチーできた平賀に関根がおもむろにを差し出し120。
 その3も平賀はファンパイ3トイツ+ドラトイツから軽快に仕掛け40オールをものにする。
 気になったのは西尾・関根が同点で迎えたオーラス。平賀は決着権を持つ西尾を落とすべくオヤ・関根に差し込みしようとしているのに、トップ目を捲れれた菊池はただ安穏とアンパイを並べていた。

 11回戦は、前回オーラスに平賀の差し込みでラスを押し付けられた西尾に2巡目に80のテンパイが入り3巡目菊池のテンパイ打牌をとらえた。しかし西尾はその後ドラ待ちカンチャンからドラ筋で平賀にピンフドラ2を献上しトップ目を譲ってしまう。

 迎えたオーラス(平賀(荘家37→関根06→西尾165→菊池 供託20)。平賀がを離すと、ピンフノミのテンパイでいい西尾が切り時を図っていたドラのを合わせ打った。これに下家関根は声が出ない。
が2枚切れていたためである。そしてツモったのは。どこからのでもOKである。しかし次巡のをツモ切ると平賀がチートイツ24の手を開けた。仮にをチーすると平賀はをツモ切ったのだろうか。多分・・・・
 その2でも西尾、関根は粘ったが、再び平賀が決着権を握った。まず、西尾が12巡目にリーチ、
 関根も15巡目にリーチ、

 12回戦、関根の10・20だけで迎えた東4局、オヤ・平賀の5巡目、
 平賀はいつでも出アガリするつもりであったという。ただしツモはフリテンリーチだという。実際は関根のポンテンは入ったものの引きからの更なる引きでの強い河のままリーチとなった。そしてをツモって60オール。
 連合軍は追いかける。
 東4局その2は、関根がリーチをかけるも流局。南1局は西尾がリーチをかけ、20・40。南2局は平賀がポンしての7・14。
 そして、南3局(ドラ)に菊池がをポン。鳴いた菊池は、
の配牌から仕掛けだしたもので、をポンした残り牌は、「」。
 菊池が切り出したのは。その後を2枚引き寄せを切る。それまで、菊池のテンパイ時を見極めようとを温めていた西尾と関根に驚きが走る。場を見れば三元牌も切られていない。納得である。がその三元牌を二人は持っていない。平賀がを持っているだけ。14巡目に関根がようやくを掴むがスルーされる。17巡目に関根が西尾のにチーテンを掛ける。
 
 菊池の最後のツモが終わり、残りは3者が1回ずつ。まず西尾がツモった。チューチャンパイである。西尾は場を睨んでを切った。関根は観念したかのようにロンと発した。 あと1枚だけ見てみたかった気がする。たとえ菊池がアガっても平賀の上に13しかいけなっかったとしても。

 その2は西尾は待ち牌を吟味したうえで、ドラ入りチートイツをリーチする(点差は、平賀234→西尾)。如何せんその牌は関根に2枚流れた。また、テンパイを入れた関根であったが、それが17巡目では菊池も差し込みできなかった。

 オーラス平賀のオヤ番はお約束通り。関根の国士無双のリャンシャンテンがやっとで、長い長い戦いの幕が下ろされた。


2次予選:6戦制/各卓上位2名勝ち上がり


A卓:供託された28本の行方は・・・
A卓
終了
平井  淳 A級 3昇
平賀 聡彦 B級 1昇
平山 友厚 東京 ±0
大原 泰孝 大阪 △4

※平賀聡彦は最高位戦日本プロ麻雀協会の所属選手

文:平井 淳
 八翔位戦二次予選の対局通知を受け取り、些かの不安を覚えた。メンツは平山、平賀、大原。大原をよく知らない平山にタイプを説明すると、「俺が一番守備的なのか」と驚いていた。こりゃ何本リーチ棒が飛び交うのか?誰が下りるんだ!リーチに関して言えば、半荘6回もあれば20本は行くかと予想していたら、3回戦1半荘だけで10本、全6回戦で28本のリーチ棒が出され、29回のリーチ宣言があった(1回は宣言牌がロン牌となった)。


 ともあれ、1回戦は私のチートイツ16(大原)から始まる大人しいスタートだったが、東2局のオヤ・平山の捨牌はチュンチャンパイが4巡並び不穏な空気が流れると平賀のに平山のロンの声が発せられ、ドラ入りチートイは96と場が大きく動き始める。

 するとその2で平山がファン牌を仕掛けドラをツモ切り、私がをアンカンすると最初のリーチ棒が大原から投じられた(カン)。しかし先に仕掛けていた平山が無筋のを切り飛ばし私に40の放銃となった。
 
 続く大原の親番で平賀がリーチを掛けると一発目のツモ牌を不満げに右脇におく。
これで先程の大原のリーチ棒の供出があったため大原がラス目に落ちた。

 東4局に平山がを早々に仕掛け5・10を引きアガりトップ目に立つと南場は小さい点棒の動きがあったが並びは変わらず、(◎平山/●大原)で終局した。



 2回戦の東1局は、中盤に平賀のと落としたカンを仕掛け、そこに大原がをぶつけると平賀の手が開かれた。
 
ファン牌ドラ1をカンでテンパッていたそうで、ホンイチ仕掛けに見えにくいものの4枚目のだけに判断は難しいところかもしれない。1回戦のラスが打たせたといえるのだろうか。

 東2局のオヤ・私の配牌は、
と打してイーシャンテンの好配牌である。
 1回戦平山、2回戦平賀のトップでは私の尻に火がついてしまう。ドラを引き入れたリーチ若しくは、ドラ待ちのリーチを夢想しながらのツモは。ツモアガっている人もいるかもしれないがを残したのでが3枚河に並んだ。この後のツモがでテンパイとなるがリーチと出る形にはならない。その後を引くが点数の足りない役なしは納得できないのでツモ切ると漸くがやってきた。ツモでも捲れるので当然のリーチとし、僥倖にもがツモ筋に置いてあった(40オール)。

 この後、私と平賀が20・40を一度ずつアガリ平賀が荘家のオーラスを迎えた(平井17.0、平賀9.0、平山△8.0、大原△18.0)。
 大原が染め始めたので協力すべくを切るとこれを平賀にポンされ、平賀がソウズに寄せているので、生牌のを切るとこれをポンされた(この時平山の冷たい視線を感じた)。
 平賀、大原の殴り合いの中、3段目で平賀が少考を入れてドラのを切ると次巡のツモもで平賀が顔をしかめ、最後は大原のにロンの声をかけた。
  
やっちまった感があったが、大助かりである。

 次局、ドラがで平賀がと続けざまにポンした。そこに私の手がこうなった。
 大原がなんでも出るので降りていたら平賀のアガリと見て、あきらめの気持ちでこの半荘2本目のリーチ棒を投げた。結果は再びの僥倖で平賀の(16)を咎めることができた。
(◎平井/●大原)



 3回戦東1局では、ファン牌一役からチャンタに振りかわり()、
上記手牌で押していたらツモ切りの起家平山にで42を献上した。
河にが1枚切れ、私がを切っているとはいえ、辛いおじさんである。

 しばらく辛抱が強いられるかと思っていたが、平賀のリーチの声をきいたその巡に
のテンパイが入った。とりあえずタンキに受けるが次巡を引いてリーチとすると次のツモがでなんとトップ目になることができた(13・26+供託10)。

 東2局に平賀が平山からリーチ棒込のピンフ12をアガリ、私の親が無事通り過ぎた東ラス(ドラ)に一つの事件が起きた(平井2.0、平賀△0.1、大原△1.3、平山△0.6)。
 先ず平山がラス落ちリーチを打つ。これに大原が再ラス落ちリーチ(こんな言い方あるんかいな?)で追いかける。最後は、荘家の平賀がドラ表示牌を打って3本目のリーチ棒を投げた。幸い私の手の中はアンパイがありそれ程苦しみそうではなかったが、兎に角打ち合ってもらいたいとの一念である。程なく平山がを掴み平賀の手が開かれた。とシャンポンマチまであるかと思ったが、とのシャンポンマチで、ちゃんと456のメンツがあり120である。

ここ後、平賀を追う私のリーチ棒とラス目を脱したい平山のリーチ棒が卓上を賑わすが、すべて平賀の点箱に納められた。
(◎平賀/●平山)



 平井・平賀1昇・平山0・大原△2となりここで終わってもいいのだが、それでは平山に叱られるので続けることにする。

 4回戦は平山の独り舞台。得意のチートイツをドラで引き上がるのを含め5万点に迫るトップを決めた。一方不運なのは大原である。東3局のオヤ番で、平山に16を放銃し、更にオヤかぶりで平井・大原と36差のラス目となった平賀がファン牌を仕掛けたのに対しドラを引き入れリーチを打つと平賀にドラを切られた上に12を直撃されてしまう。これでラス目に落とされ、頼りの上家平山のサポートも受けられず2度と浮上させてもらえない。
(◎平山/●大原)



 3人が1昇で並んだ5回戦は私の起家で始まり再び配牌に恵まれた。
から外すと第1ツモがで打。アガリを目指すならチートイツなのだろうが、オヤカブリを避けたい気持ちが強かったので、平賀のに声をかけた。平賀はらしく続けてを切ってきたので、これも勿論ポンしワンズに寄せた。これでほぼ流局であろう。安心しているとツモにがやってきた。その後に。倍満テンパイもあったのかと思っているとなん右手がを掴んでいた。40オールである。
 その後平山に18巡目にWをツモられ26オールで迫られるも、配牌・ツモに恵まれ逃げ切ることができた。
(◎平井/●大原)



 平井2昇・平賀・平山1昇・大原△4の6回戦は、平賀か平山をトップにし私がラスを引かないことが目標である。
 この半荘も配牌・ツモに恵まれ東1局2巡目にこうなった (西家)。
 そして3巡目にはを引く。このメンツでは激しくチョーマが動くので、ヤミテンはヌルイとばかりに千点棒を投げた。程なくを仕掛けた平賀からが打ち出された(20)。

 東2局も大原に手が入ったように見えたがの手出しにを勝負して高めとなるでタンピンドラ1を引きアガる(13・26)。これで、大原、平賀、平山の並びを作ることができた。なお、局後大原に聞くとメンホンが入りから打のテンパイを入れ、私からの直撃を狙い私の現物のタンキにマチカエしたとのとのことである。そのまま待たれているとでの放銃となっていた可能性が高い。いずれにせよ随分ツキに恵まれていたようだ(勿論対局中にはわからない。)

 そして迎えた東3局。これが結構キーポイントになったと思っている。10巡目位に
このテンパイが入った。北家の平山がピンズに寄せているので、出アガリも期待できる。ということで、生牌のを切り飛ばした。素早くポンが入ったがテンパイは?である。このあたりの間合いは長く打っている関係で感覚としか言いようがない。ピンズで振り込む分には52までであろうから構わないとし、被せると程なく平山からが切り出され42。 間合いが分からないと降りるのが大勢であるように思われる。

 その2では前に出るしかない大原からファン牌を3種鳴き平賀がトイトイをツモリアガった(平井7.4、平賀4.7、大原△3.3、平山△7.4)。

 東4局の親はここで大きく稼ぎ平山、平賀に上手に配るしかない大原。その大原が自身6本目のリーチ棒を投げた。誰からもアガれないツモるしかないリーチである。そしてを引き寄せた。河にはが置かれている(40オール)。
 実に大原は1回戦南3局以来の2回目のアガリである。続くその2も大原はリーチを掛けるが、平山の切り出すロン牌を見逃すと今度は、ロン牌を引き寄せることはできなかった(大原7.7、平井3.4、平賀0.7、平山▲12.8、供託1.0)。

 これで大原は非常に苦しくなった。後は、平賀・平山の順位争いである。トップ争いでも、ラス争いでも。ということで、平山にとっては大切なこれからの2局(オヤ)となった。

 南1局は平山に安いテンパイが入ったようであるがこちらもピンフのテンパイが入ったので1枚押してみた。案の定平山がツモ切りリーチを宣言したが、幸いにもそれは私のロン牌で、供託を回収することができた(12+供託10)。

 南2局では平山のタンピンリーチに大原が刺し60。
 その2は平賀のファン牌ポンに
で押しているとを引いてきた。平賀との点差は49で20までなら放銃しても順位が変わらず構わないのだが、交わされてしまうと先程の平山のアガリで、オーラスに平山の20・40が出ると平井・平賀2昇、平山1昇となってしまう。ということで現物のとすると次のツモがも現物なのでテンパイに取ると再度がやってきた。イヤー今回はついてますなー。

 南3局に大原→平山の宅急便40が贈られ大原・平山は47差となったが、オーラスは人手不足なのか配送はなく延長とはならなかった。
(◎平井/●平山)
 3年ぶりの準決勝。今回ほどにはつかないでしょうが、幸運がありますように。
 

C卓:有言実行への1段目の階段
C卓
終了
堀川 隆司 A級 3昇
明村  諭 推薦 △1
山本 裕司 推薦 ±0
櫻井 一幸 仙台 △2

文:堀川 隆司
 規定の6回戦、起家から山本0・明村△1・桜井△1・堀川2昇。

 私はかなり有利なポジション。2昇以上持っての「王様延長」なら、この回で決められなくても、さほど問題ではない。怖いのはラスを引かされて1・0・0・△1の「ドロドロ延長」に持ち込まれてしまうことだ。

 最も簡単なのは、山本がアガりまくってくれること。山本トップなら、私はラスでも勝ち上がりが決まる。しかも、私は山本の上家でアシストもしやすい。
 だが、そんな私の青写真を簡単に許してくれるような、残り2人ではなかった。

 東1局、9巡目に桜井が気合いのドラ打ち。
 即オリに回った私だったが、その後も手出しの入る桜井に翻弄されつつ、ついに終盤手詰まってしまう。
 手の内14枚すべて桜井の無筋から拝み打ったワンチャンスのが、ピンフの12にささる。
 が、この時はまだ焦りは無かった。

 流局をはさんで東3局。
 明村が自風のポンと仕掛けるが、おかげで私の手牌の急所が埋まり、ピンフのテンパイを果たす。
 次巡不要牌のツモ。ドラがなので少しイヤだが、明村の2巡目の捨牌にはがある。比較的安心してツモ切ると、なんとこのにロンの声がかかる。
 
 「どんな手順やねん!」とぼやいてみても始まらない。この放銃には痺れた。「ドロドロ延長」に向けて、着実に局面は進んでいるではないか。

 東4局の私のオヤ番も流れ、迎えた南1局、ここが大きなターニングポイントとなった。
 私の3巡目の手牌、
 ラス目でなければペンチャンを外すのが私のフォーム。しかしラス目のここではストレートにション牌のを打った。
 これを下家のオヤ山本がポン。しかも、このポンによって私に流れてきたのが、喉から手の出る
 こうなれば、山本へのアシストも兼ねつつ、不要牌を叩き切るだけだ。
 ほどなくして、私にテンパイが入る。
 これに桜井からポンが入り、「まずい、追い付かれたか?」と思った刹那、桜井の手からが放たれた。
 これは本当に嬉しかった。山本±0、明村+20、桜井-40、堀川+20。とりあえず、「王様延長」の並びにはなった。

 流局をはさんで南3局。
 後のない桜井がポンと仕掛けてテンパイ気配。これに山本がささる。
 
テンパネの24。もちろん山本もテンパイからの放銃なのだが、これは痛かったに違いない(山本△24、明村+20、桜井△16、堀川+20)。
 この瞬間、私と明村の勝ち上がり条件となった。が、この点差では、この先何が起こるか分かったものではない。

 南3局その2、山本が2フーロしてテンパイ気配。
 明村が山本の現物を打ったが、これがこっそりテンパイを入れていた私のロン牌、
 これ、アガるよね?
 延長条件に戻してしまうことになるが、見逃しなんかしてたら何が起こるか分かったものではない(山本△24、明村+04、桜井△16、堀川+36)。

 南4局、山本が勝ち上がりに向けてのテンパイ
 
 そんな中、私もテンパイを入れる。
  
 この時、私は山本からだけは見逃すつもりでいたのだが、この判断は正しかったのかしら?
 ともあれ、この状況を黙って見ている訳にはいかない桜井からが放たれた(山本△24、明村+04、桜井△46、堀川+66)。

 そして迎えた運命の南4局その2。このまま流局すると、私と山本の勝ち上がり。配牌の悪い私は第一打から中張牌を並べる。山本が前に出てくれれば積極的にアシストに行くのだが、山本も手になっていないようだ。ドラは
 私との62差を捲れば延長の明村が13巡目に長考する。
 選択肢は3つ。
・打
・打リーチ
・打ダマテン
 打リーチは、桜井がリーチ棒を出してくれることを期待しつつ、ダメなら「私の出したリーチ棒をラス抜けのために使ってください」という保険付き。
 明村の選択は、打ダマテン。次巡ツモ
 もちろんこれではアガれないが、前巡に打としなかったことで、マチが選べる。
 手牌だけ見れば、の一手なのだが、場況はが絶テンにも見える。が、2人が配牌オリをしている場況、どれほど信用してよいものなのか…
 顔を赤くしながら、明村が横に曲げた牌は
 リーチ一発目の牌をツモ切る時、明村の顔がさらに赤みを増した。
 だったのだ!
 そして、明村のツモ筋にはなく、桜井のラス抜けも叶わなかった。

 1月2日の新年会の席で、私はこんなことを言った。
 「今年は菊池八翔位に挑戦したい」
 有言実行まで、あと関門はひとつだ。


D卓:奇跡の逆転トップ
D卓
終了
成岡 明彦 A級 △2
藤原  健 推薦 1昇
熊谷  修 東京 △1
関根 秀介 東京 2昇

文:関根 秀介
 1次戦は運もありかろうじて通過して今回レポートを書かせて頂く2次戦に駒を進めた。
 2次戦の対戦相手の紹介 :101競技連盟を代表する選手で知名度もある成岡さん、私がいつもお世話になっている麻雀団体「麻将連合」の認定プロの藤原さん、現在はアマチュアだけど元101競技連盟の順位戦選手の熊谷さんとすごい方々の対戦となった(以下敬称略)。
 そして 11時50分 対局スタートした。



【1回戦】
 東場で熊谷、関根がアガるも南場に入って藤原が小刻みなあがりを連発してトップで終了。
(◎藤原/●成岡)
 八翔位戦はもう7年連続で参加させてもらっている大会なので2次戦6回戦の戦い方は少しはわかっているつもりである。1回戦目の入り方はまずまずであった。


【2回戦】
 今回の2次戦のポイントの1つがこの2回戦に来た。
 東場でチートイツトラ2の64を熊谷に振り込んだ。その後、南3局まで1人沈み状態のラスから奮起する。9巡目に熊谷からリーチが入る。
 その時の私の手は
 その1巡後、ツモでテンパイ、
 は熊谷の現物、その2巡後に熊谷からが出て52。これでラス抜けしたがトップ藤原まで97、もう一回大きなアガリが必要であった。

 そしてオーラスにまくれる可能性がある配牌が来た。7巡目に
  のイーシャンテン、次巡に絶好のを引き入れテンパイ、トップ藤原から直撃またはツモ条件のトップが見える状態になった。さらに次巡が来て待ちが良くなった。そして2巡後、を引き入れ藤原を捲ってトップとなった。
(◎関根/●熊谷)


【3回戦】
 南4局に成岡リーチ、14巡目にドラを引いてトップで終了。
(◎成岡/●熊谷)


【4回戦】
 最大のポイントがこの4回戦であった。序盤からツモられたり、小さい振り込みがあり気が付けば南3局親番時点でラスになっていた。どうにかラスを回避しないとと思っていると、あっという間に終盤になってしまった。焦る中ようやくテンパイした。
 ここでリーチは必須、あとはどちらがツモれそうか長考した。どちらも場には1枚も出ていない、結果選択はのマチにして打を切ってリーチをかけた。そして同巡に、成岡からが出た。出る想定をしていなかったため、「ロン」の発声も少し遅くなりかつ音量も大きくなった。
 成岡がどういう理由でを捨てたのか不明だがこの1打が2次戦の最大の分かれ道となった。
 2回戦同様その2もチンイチをツモって40オール。これでトップ安泰となり終了。
(◎関根/●成岡)


【5回戦】
 5回戦以降は次の日の対局となる。
 1日初日を振り返ると出来は良くなかったが要所ラッキーが重なって何とか2昇をとった。5回戦はラスをとらない、それが絶対条件で最終6回戦には自分がラスになる差し込みをできる条件を残したいと考えていた。

 東2局、関根が10・20。 このあがりでだいぶ楽になりあとは点数を見ながら初めから引きぎみで局を進めた。

 東3局、成岡が熊谷から60(関根+40 熊谷△80 成岡+50 藤原△10)。

 東3局その2、熊谷が関根に12放銃。東4局、熊谷がポン、藤原がチーと仕掛け合うが、成岡が関根からピンフドラ1の20(関根+32 熊谷△92 成岡+70 藤原△10)。この振り込みは不注意で反省する点である。

 南1局、ポンの関根が藤原から18。

 南2局、熊谷が6巡目リーチ一発ツモ。
60オールで1人抜ける。

 南2局その2、熊谷が藤原から30。
 南2局その3、ラスめの藤原が1巡目リーチ。待ちのチートイツ、成岡が放銃32(関根△10 熊谷+118 成岡△22 藤原△86)。

 南3局、関根ピンフドラ1の20を成岡から。 成岡と藤原の差が44で南4局へ。

 最後 南4局は流局して終了。終始、危なげなく局が進んだ。
(◎熊谷/●藤原)


【6回戦】
 5回戦終了時点で 「関根2昇・藤原0・成岡△1・熊谷△1」6回戦での戦い方はできれば藤原をトップにして終了させるか藤原がラスになる場合は「成岡か熊谷にトップをとらせる、私がラスになる差し込みも準備しておく」といった考えをまとめていた。

 東1局開始、なんと北家でドラのが3枚と絶好の配牌、これを無難に熊谷からあがって80。トップ目になる。

 その後、熊谷が、藤原に20と成岡に12を振り込んだ。

 局が進み、南2局はオヤ成岡が11巡目リーチ、待ちはカン。2・0・0・△2での延長は避けたい熊谷がホウテイでを差した。
 藤原を3着目にして熊谷がトップまでまくった場合、熊谷の勝ち抜けになる。そこまでの考えの差し込みである。ピンポイントで差し込みだけでなく順位も考慮しての差し込みは流石である(藤原+20 成岡+36 熊谷△136 関根+80)。

 南3局、熊谷が親でタンピンドラ1をリーチで40オール。

 南3局その2で成岡から熊谷に120と「◎熊谷/●成岡」でほぼ決まりとなり延長に進む。延長だけはと思っていたがやはり八翔位戦、思うようにいかない。ただ、ラスを引かされていないため、結果は上出来である。
(◎熊谷/●成岡)


【7回戦】
 7回戦の戦い方としては6回戦より簡単になり、藤原・熊谷どちらでもいいのでトップになってくれれば終了する。よって成岡のトップだけは阻止する構えで挑んだ。

 東2局、藤原が、20・40。
 東3局、熊谷が成岡から18と私に有利な展開で進む。

 東場終了時点で、藤原+146関根△40熊谷△40成岡△66。藤原が抜け出した結果となったため、いかに藤原にサポートするかこの時点では考えていた。

 そして淡々と局が進み迎えた南4局、最後はアガり切る覚悟で10巡目にとドラののシャンポンで52のテンパイを入れ押し切ろうとしたがオヤの成岡が藤原から60をアガり雲行きが怪しくなった。

 南4局その2、八翔位戦らしい場面に遭遇する。私はおとなしく安パイをならべていく中、ハネマン条件の熊谷が
 成岡も当然テンパイ濃厚、私は成岡以外に振るのは問題ないので成岡の安パイのみ切っていた。そしてハイテイ1巡前(ハイテイ手番は関根)、ほぼ藤原、関根で勝ち抜けが決まるかという時点で藤原の動きが止まった。あと1牌、切る牌がなくなったのである。長考の末、藤原が切ったのは熊谷に安全そうな、それが成岡の18に刺さってしまう。
 これには少し焦った、こういう状態からラスを引き負けてしまうな場面をこの八翔位戦7年間の中で何回も見てきた。そして次局が勝負になると強く思った(藤原+68 関根△40 熊谷△50 成岡+22)。

 南4局その3、配牌でアンコのあがれそうな配牌が来た。成岡をケアしながらアガリに向かう。12巡目成岡からロン牌がでて16。やっと終了した。
(◎藤原/●熊谷)

 今回結果的には勝ち抜いたが内容からいって一人沈みで負けてもおかしくなかった。
 ポイントは4回戦南3局ラスからのリーチで成岡からが出てあがったという点だと思う。

 何が起こるかわからない それがマージャン、いや八翔位戦。
 次回も最後まであきらめずに頑張ります。


E卓:西尾名翔位、大逆転で準決勝へ
E卓
終了
西尾  剛 名翔位 2昇
山田 史佳 B級 ±0
石川 由人 東京 △1
五十嵐 毅 新潟 △1

文:山田 史佳
【1回戦 五十嵐、山田、石川、西尾(起家から)】
 開幕から激しアガリのぶつかり合い。トップ目が山田から五十嵐へ五十嵐から再び山田へ、石川を経て五十嵐に渡り最終的に石川がまくりかえすというトップ目がコロコロ移動。
 全てツモアガリであったため、ツモられ貧乏の西尾が静かにラスを引き受けるという立ち上がりとなった。
(◎石川/●西尾)


【2回戦 石川1昇・五十嵐0・山田0・西尾△1】
 初戦とはうってかわって小さいアガリしか出ない。南4局を迎えた時点でトップ目五十嵐からラス目石川まで30という接戦。ちょっとした気の緩みが地獄への一歩という状況を制したのは2着目山田。ラス目石川との仕掛けあいに勝ち嬉しい1昇。
(◎山田/●石川)


【3回戦 石川0・五十嵐0・山田1昇・西尾△1】
 五十嵐がドラアンカンからのリーチという開局があり一気に場が沸騰するもこの爆弾は不発。そうそう大きな爆発は起こさせないという全員の意思の成せる技であろうか。南4局まで細かいアガリしか出ず、ラスは2度のリーチ棒が祟った五十嵐。
(◎石川/●五十嵐)


【4回戦 西尾△1・五十嵐△1・山田1昇・石川1昇】
 ここまでずっと我慢してきた西尾が一気に吹き上がった。開局にダブドラ3の40オール。その2でサンショクツモの20オールと一気に雲上人に。その後は3人の熾烈なラス争いを眺めるだけ。ラスは石川に28を放銃した五十嵐が引き受けた。
(◎西尾/●五十嵐)


【5回戦 五十嵐△2・西尾0・山田1昇・石川1昇】
 山田・石川が一歩リードしているこの状況。下位陣はまだまだここからと猛反撃。東2局に西尾が石川から30。その2で五十嵐がリーチを引き上がり13・26。△2の五十嵐はなんとしてもトップがほしいところ。オヤ番でもガッチリと加点を重ねていく。山田は勝負手が入るもののことごとく空振りあまつさえ放銃に回ってしまいラスを引き受ける立場となった。
(◎五十嵐/●山田)


【6回戦 五十嵐△1・石川1昇・山田0・西尾0】
 石川はラスを引かなければほぼ安泰、山田西尾はつまずいてしまうとそのまま転げ落ちてしまいそうな立場。五十嵐はこの回で勝ち上がりを決めることは不可能なのでなんとか延長条件を満たしたい。
 石川が6オールと西尾からの24でトップ目に立ち、場に緊張が走る。山田はこのまま石川と結託して勝ち上がりを決めたいところだが、東4局にオヤ西尾が山田の望みを絶つ40オール。
 こうなると西尾を捲るよりも山田・五十嵐連合軍で石川をラスに叩き落とすのが現実的か。南3局に山田がオヤで奮闘し石川から18。これで山田は石川と23差の2着目に浮上。石川はラス目五十嵐と54差の3着目に。
 その2は五十嵐がリーチ棒を投げるも空振り流局。
 運命の南4局、高めタンピンドラ1のマチテンパイの手を意を決してリーチ。アガれないを山田と西尾に打たれるも、力強くを手元に引き寄せ20・40。息も絶え絶えの延長条件達成。


【7回戦 石川0・山田0・西尾1昇・五十嵐△1】
 東1局に五十嵐が20・40。とりあえずはライバルがオヤかぶりしたのをホッとした山田だったが次局で西尾が20・40で仲良くオヤかぶりの仲間入り。上下同点の激しい戦いが動いたのは東4局五十嵐から山田への12。

 東4局、山田が、
 
 これに答えるかのように次局西尾が石川から16。そして点差はこのまま最後まで動かず山田・西尾の勝ち上がりとなった。
(◎西尾/●石川)


F卓:ターゲットを救う2本のリーチ棒
F卓
終了
小川  隆 前八翔位 ±0
坂井 準司 B級 1昇
小宮山 勤 B級 △1
板川 和俊 大阪 1昇

文:小川 隆
【1回戦】
 東4局、ラス目のオヤ小宮山(△52)がリーチと攻めると、直ぐに2着目の板川(+16)が追いかけリーチ。とドラののシャンポン待ちに小宮山がをつかみ、板川がトップ目に立つ。更に板川は、南2局その2に一鳴きのタンヤオトイトイサンアンコの40オールで決める。
(◎板川/●小宮山)


【2回戦】
 東1局、西家の板川が13巡目にピンフドラ1でリーチ。先にテンパイしていた南家の小宮山がテンパイを維持して無筋をツモ切ると、それは板川のアガリハイ。(←40小宮山)
 東3局、小宮山が板川からイッツーをアガる。(←28板川) オーラスまでのアガリはこの2回のみ。
 南4局、5巡めに小宮山がテンパイ。(板川12→小川・坂井12→小宮山)
 次巡、ツモ。安目のでも ツモまたは板川からの直撃でトップ。そんな手ハイを知る由もない小川が真っ直ぐ進め、11巡目にテンパイに辿り着く。
 オヤの坂井とトップ目の板川は受け模様の中、小宮山と小川の戦いとなるもあえなく流局。
(◎板川/●小宮山)


【3回戦】
 大物手が炸裂した一戦となった。
 東1局、小川がヤクハイドラ3を小宮山から80。
 南1局その3、板川がタンピンサンショクを小川から80。
 南2局その2、オヤ坂井がチートイツのドラ待ちをツモって40オール。
 南3局その1、オヤ板川がピンフドラ1の高目サンショクを小宮山から120。
 最後は、南4局に坂井がタンピンサンショクをツモって20・40の逆転トップ。
(◎坂井/●小宮山)


【4回戦(板川2昇・小宮山△3・坂井1昇・小川0昇)】
 小宮山が東1局にドラ1ツモのテンパネの7・14。東3局にチートイツツモの8・16と局面を主導する。東1局から封じ込められていた板川がついに南3局に4・8をものにしてラス目を脱出(小宮山75→板川01→坂井・小川)。南4局も板川が積極的に仕掛けてラスを作りに行くが、上家のオヤが冷や汗を流しながら、何とか受けきって流局に持ち込んだ。
(◎小宮山/●なし)


【5回戦(小宮山△2・板川2昇・小川0昇・坂井1昇)】
 南3局、(小宮山32→板川02→坂井20→小川)オヤの小川のタンヤオ仕掛けのポンテン後に坂井にドラのがアンコとなり、即リーチ。これに小川がイッパツで打ち上げて80を献上。その結果、一大事に陥る。このままでは規定の6回戦に進むことなく、終戦してしまう。点差から小川のラス抜けは厳しく当てにはできない。小宮山がトップを獲るしかない。南4局、小川は、リーチ棒を拠出し、小宮山のトップ条件を緩和する (7・14が可能)選択もあったが、差し込みを選ぶ。期待通り、小宮山からリーチがやってくるもロンパイはなし。が、ハイテイで小宮山が静かにツモハイを開き、アガリを宣言。辛くもコールドゲームを免れた。
(◎小宮山/●小川)


【6回戦(小川△1・坂井1昇・小宮山△1・板川2昇)】
 東1局、板川が考えながらアガリを宣告。ツモサンアンコの13・26。
 東2局、小川が最終手番でアガって、オヤの坂井をラス目に落とす。その後、ラス抜けされるが、南2局に小川がタンピンドラ1でリーチ。サンショクとなる高目をツモアガリ、30・60。再び、坂井をラス目に落とす(小川253→小宮山07→板川19→坂井)。
 しかし、残り2局で20差ということで板川が南3局と南4局にリーチ棒を提供し、坂井を助けに行く。僅か100点棒1本の差で板川がラス目となり、下位陣は坂井からの直撃を狙うもしっかりと受け止められ、流局して勝負は決した。
(◎小川/●板川)


1次予選:4戦制/各卓上位2名勝ち上がり


A卓:
A卓
終了
亀井 敬史 A級 △2
藤原  健 推薦 1昇
櫻井 一幸 仙台 1昇
松井 秀成 東京 ±0

文:松井 秀成
 私(松井秀成)が、御徒町の対局室に打ち手として入るのは2010年以来。去年も八飛位戦に参加をしたが、1回戦は自動卓での開催だったので対局室で手積みのマージャンができる喜びで心が高ぶっていた。
対局室へは、開始30分前に入室した。誰もいない対局室、卓に座ることに躊躇して冷蔵庫脇の椅子に腰をかけ対局開始を待つ。そこに、最初に入ってきた桜井。この桜井は、2010年に対戦した相手である。そのときの結果は、桜井勝ちと私の敗退。その時の雪辱よりは自分がどれだけ通用できるようになったかと手に力が入り楽しみになる思いであった。そして、亀井・藤原の順に入室し静かに対局開始となった。

 1回戦から4回戦まで私の星取り表は何とも落ち着かない配置。昇を上げるもすぐ吐き出してしまう御粗末な結果。内容的には劣っていないのであと一押し。だが、その一押しが苦しい。八翔位戦は、こんなもんだよなと慰めながら延長戦に入った。


 5回戦(桜井1昇、松井・藤原0、亀井△1)、開始する前に私は、攻めの姿勢満々にココが勝負所と決めた。多少出アガりがなくとも、ツモアガリの意識と相手にもプレッシャーをかかればと。「テンパイですよ」って感じに。東場は、いくつかのリャンメンテンパイが入るもこれは名ばかりでアガれない。また、前のめりすぎるのを自ちょうすることを忘れないようにしていた。
 オール流局で迎えた南2局桜井のオヤ。目を皿のようにして、ホーを注意しているとサインが現れた。桜井の「テンパイですよ」ののトイツ落とし。これは「ヤバいな」と思った直後の力強いカンツモアガリ。タンヤオツモサンショク40オール。これで、頭が抜けてしまったので藤原のラスが目標に。南2局その2。中盤に私のポンテン。直後のドラもここのアガリは大きく考え、誰にもテンパイが入っていないようなのでしっかりと捨てる。そして、ご褒美の4・8。このアガリで勝負リーチ棒の入手と桜井とのハネマンツモ条件になった。しかし、そのあとはハネマンツモもリーチもできなく皮算用に終わってしまった。
(◎桜井/●亀井)


 6回戦(桜井2昇、松井・藤原0、亀井△2)、東1局は桜井→藤原へ30スタート。その2は、私の13・26で逆転も次局に藤原の10・20で再逆転される。それでも間髪無しに、亀井→松井42で再々逆転、シーソーゲームとなる。
 東3局その2は、2フーロのチンイチテンパイ。私の決め手も桜井に交わされてしまうも、藤原の放銃だったので好展開であった。
 だがここから暗雲。亀井の26オールはしょうがないとして。東4局その2に、一人沈みの桜井が開始そうそうにおもむろに3人の浮き棒を確認して「リーチ」の声。私はそうそうに退却したが。数巡のちに藤原からは、「リーチ」の声。これが藤原13・26のツモアガリとなり再再々逆転となってしまった。南1局、藤原に最大の手が訪れる。私の手バラといえそうなところからの初打役牌打ち。そして、当然かのような藤原の「ポン」。私としては、積極的に行くべく選択した結果である。藤原も怖いだろうが配牌にドラ2枚あってのことだろしリスク込みの仕掛け。私の今できる精一杯の打牌なので現状は悔いがない。結果は、私から最悪となる藤原へドラが舞い降りて役牌ドラ3の40オール。これで、私と藤原の差が163差になってしまった。
 流局挟んで迎えた南2局。
の12テンパイが入るものもハネマン条件を残すために桜井、亀井からは出アガれず。実際に桜井からのは見逃す。直後ので手変わりするも、結果は亀井の13・26。
 南3局は追い込まれた私のオヤ。ファーストテンパイは、
のテンパイにツモで待ち変え。ホーには頼みのが3枚。数巡後にタラればのに次巡のタラればの。そしてタラればが藤原へ80の放銃。待ちの形は、カン。最後のを使ったもので自分のホーと合わせて私の心を砕くのに十分すぎた。その後は、ラスオヤ亀井へアシストに入るも上手くいったのは1局のみ。最後は、藤原のリーチへ桜井が打ち込み終了した。
(◎藤原/●桜井)
 去年と7年前のリベンジは叶わなかった。来年は、また違った自分でこの対局室に帰ってきたいと思う。

B卓:
B卓
終了
大川戸 浩 B級 ±0
稲毛千佳子 推薦 1昇
関根 秀介 東京 1昇
村田 光陽 東京 △2

文:大川戸 浩
 トップ・ラス・ラス・バーときて、稲毛1・関根0・村田0・大川戸△1で延長となった5回戦。勝ち残るためにはトップがほしいところ。

 「10・20、10オール・52放銃・13・26」。あれこれ点棒を動かしているが、何もできてないよりはマシ、か。あとはこのままいければと思った南3局にオヤ・関根が20オール。トップから陥落。

 このままでは敗退となった南3局その2。ここで、ピンフドラ1のテンパイ。負けじとリーチ。ツモって再びトップ目。

 オーラスでオヤ番。関根とは49差。10・20をツモられるとダメ。なんとも息苦しい点差であるが、昇持ち稲毛もラス目村田と05差でラスになると再延長となるため関根には放銃したくない。となると、関根は孤軍奮闘の形となり、流局で逃げ切ることができた。


 稲毛1・関根0・大川戸0・村田△1と変わった6回戦。気分的には関根との一騎打ち。

 と、東1局から村田がリーチ。これを見たオヤの関根がツモ切りで追っかけリーチ。村田が切ったにロン。ピンフでドラが1つ。まだ東1局とはいえ、こちらとしてはあまりにも痛い70のビハインド。さらに、その2で関根が10オール。差が110に広がってしまう。

 ただ、まだ東1局。先はある。その3は、ドラがをポンしてペンのテンパイ。を加カンしたらリンシャンにがいて16・32。想定外に点差が詰まってあと14。これなら十分勝負になる状況。

 が、今日の関根は強かった。南場のオヤ番で26オールを力強く引きアガる。これで140差。私が関根をまくるより、村田が稲毛をまくって延長のほうが点差的(88)には現実味があるが、今日は村田に展開が味方していない。村田の親番で稲毛がタンヤオをツモアガリ。これで村田はオヤもなくなって118差。

 南3局も流局し、いよいよ私がオヤの南4局。せめてもの希望はレンチャンだが、関根があっさりとメンゼンでファン牌アンコのツモアガリ。勝負の局面はいくつもあったが、全般的に執念で負けていたようである。次の挑戦の時には、もう少しギラついていきたいと思います。


C卓:死のシフト
C卓
終了
平賀 聡彦 B級 2昇
むく 大樹 推薦 △2
石川 由人 東京 2昇
寺西謙多郎 東京 △2

※平賀聡彦は最高位戦日本プロ麻雀協会の所属選手

文:平賀 聡彦
 『死のシフト』その言葉を初めて聞いたのは、昨年の八翔位戦予選時期少し前の順位戦の時だったか…。
 評価方法が明確な101ならではのセオリーだと思い感心したのと共に、同卓者との連携やぶつかり合いなどの八翔位戦の機微を味わいたいとワクワクしたのを覚えている。
 しかし昨年はラスを重ねてしまい、惨めな孤独死シフト…。
 今年こそは八翔位戦の醍醐味を味わい勝ち抜くぞと、気分新たに対局に挑んだ。(文中敬称略)



 同卓者は、むく(推薦・麻将連合)石川(一般)寺西(一般)の3名。
 1回戦は、東2局に3・6をツモって先制すると、寺西からアガリを重ねて、オーラス2着目石川のリーチに肝を冷やすも、なんとか逃げ切りトップ。八翔位戦初トップ!!
(◎平賀/●寺西)



 2回戦(平賀1昇、むく・石川0、寺西△1)、東3局に、ピンフドラ2の高めイーペイコーの方で、石川がむくから80を出アガリ。結局そのままの形で終局。
(◎石川/●むく)



 この時点で平賀・石川1昇、むく・寺西△1。ここで上位陣がトップを取り、かつ下位陣がラスを引けば死のシフト完成。リードしている立場なのでラスを回避するのはもちろんだが、チャンスがあれば狙ってみようと思いつつ、3回戦に挑む。

 3回戦(平賀・石川1昇、むく・寺西△1)、東場は好調な2人がアガリを重ね、平賀03→石川36→むく11→寺西で南入。さらに石川が、南2局にWサンアンコの20・40、南3局に寺西から42(石川139→平賀39→むく73→寺西)。縦長の展開、むくのラスオヤがあるとはいえ、下位陣は苦しい状況に追い込まれる。このリードを守り死のシフト完成なるか!
 しかし、むくがここで意地を見せ、タンヤオ・チートイツ・ドラ2を引きアガり、会心のアガリでトップ目に立つ(むく02→石川109→平賀112→寺西)。
 ここで自分のすることは一つ。ラス落ちにケアしながら石川をトップに押し上げる。むくと寺西が引き気味、石川がまとまらなさそうな気配のなかタンヤオテンパイ。マチを慎重に選びながら、流局間際に渾身の5・10。
 ミッションコンプリート!
(◎石川/●寺西)



 4回戦(石川2昇、平賀1昇、むく△1、寺西△2)、オヤ・むくの2フーロに、3フーロして5・10ツモなど、危なっかしい場面はありながらも無事終了。
(◎平賀/●むく)


 終わった後に、石川さんに『頼りになるなあ』と声をかけてもらいプチ満足。1人抜けなど更なる八翔位戦の醍醐味を味わうために、2次予選以降も頑張ります。
 ご拝読ありがとうございました。


D卓:
D卓
終了
山田 史佳 B級 1昇
猪俣 裕之 東京 △3
平山 友厚 東京 2昇
堀井 統之 東京 ±0

文:山田 史佳
【1回戦(起家から、以下同)山田・猪俣・平山・堀井】
 堀井が東1局にピンフツモイーペーコーの7・14で先制。打点はもとより、こうした対局の場で先制点を上げることができたのは精神的にも大きいものがある。
東2局、東3局と流局したが、山田が東4局に役牌を仕掛けてドラののシャンポンを高めのドラで引き上がり20・40。これが決め手で山田のトップ。ラスは南4局にチートイツを放銃した平山。
(◎山田/●平山)


【2回戦 平山△1・山田1昇・猪俣0・堀井0】
 東1局、堀井がまたしても先制点をあげる。1回戦よりも大きな加点トイトイサンアンコの80を猪俣から出アガリ。この大きな加点で逃げ切りたいところだが、そうはさせじと平山が立ちふさがった。
 東3局に平山が堀井から28を召し捕る。しかし堀井も焦らず親番で10オールと差を広げる。
 しかしライバルからの直撃で勢いが付いたか、南1局平山の親番で猪俣からサンショクの42をアガリ猛然と堀井に迫る。南4局にはキッチリとリーチをツモアガリ堀井からトップ奪還。
(◎平山/●猪俣)


【3回戦 山田1昇・堀井0・猪俣△1・平山0】
 2回戦にトップを奪われた堀井、天も見放してしまったか、テンパイからの勝負牌にことごとくロンの声がかかり3局連続放銃。20、20、16と積み重なると大きな傷口に。
 が、ここで簡単に終わらないのが堀井。東4局に力強くを引き上がると開かれた手牌はあっと驚く30・60。
 渋い顔をしたのは山田。こういうパターンでラスを引くのはツライ。
 しかし一気に突き抜けた堀井を猛然と追いかける平山がまたしても立ちふさがる。南1局にラス落ちリーチを敢行し、キッチリと引き上がり10・20。続く南2局でも10・20をツモり堀井を追い抜いた。
 南4局にはラス争いを繰り広げる山田と猪俣に加勢する形で、猪俣に12を献上しガッチリとトップを守り抜いた。
(◎平山/●山田)


【4回戦 猪俣△1・山田0・堀井0・平山1昇】
 まだ勝負がどう転ぶかわからないスコア。東1局に堀井が平山に52を献上。ラスは絶対に引きたくないだけに痛恨の立ち上がり。しかに南1局に猪俣が山田に80、南2局に平山に20とラス目に。とりあえず堀井はラス目から逃れたが、こうなると山田・平山連合軍を崩さなくては勝負を決められてしまう。
 南3局に平山が5・10をアガリ2着目山田と21差で南4局へ。山田が平山をまくるか、堀井がラスになれば決着だが、なんと何事も起こらず延長となった。
(◎平山/●猪俣)


【5回戦 山田0・猪俣△2・平山2昇・堀井0】
 猪俣は平山とのトップラスかラスなしでしかトップが取れないがまだ諦めるつもりは毛頭ないだろう。
 しかしここは山田堀井の激しい一騎打ちが予想されるか。案の定南2局にリーチのぶつかり合い。堀井が先制マチ高めピンフサンショクでリーチ。すかさず山田もピンフドラ1でリーチをかけ、堀井から40の直撃に成功した。
 このアガリで平山がトップ目、堀井がラス目になり、南4局が終われば山田・平山の勝ち上がりであったが、ラス親堀井と猪俣がそうはさせじと立ちふさがる。
 南4局に堀井が猪俣から42をアガリラス目脱出。猪俣も平山から52直撃条件とかなり緩くなったが、最後は山田がリーチでキッチリ平山をまくり、山田平山の勝ち上がりとなった。
(◎山田/●猪俣)


E卓:
E卓
終了
愛澤 圭次 A級 △1
山本 裕司 推薦 1昇
五十嵐 毅 新潟 1昇
桑原 俊之 東京 △1

文:桑原 俊之
 4/28(金)16:25、スマホにメールが届く。何かなと思ってみると、件名は「八翔位戦のご案内」だった。
 まず案内のメールが来たことにほっとした。今年こそは出てみたい…と去年の次点の連絡があった時からずっと思っていた。101を打ったことがある者なら、誰でも一度は八翔位戦に出てみたいと思うだろう。参加希望のメールを返信して、僕はその時を待った。

 そして遂にその時は来た。5/12(金)18:42、スマホがバイブした。メール通知だ。今年の嬉しい出来事のトップ3には入るであろうそのメールの件名は「八翔位戦のご案内及びエントリー費の納入について」だった。僕は小躍りして喜んだ。
 本番まで1ヶ月半、いろいろと準備することはある。嬉しいことに、現八翔位および過去の決定戦経験者の2人が本番想定のセットを組んでくれた。また、初出場者には「手積み講習」をやってもらえる。平日夜だったためか、先生2人に生徒1人という贅沢な講習会だった。セットも講習会も僕にとっては有意義というような簡単な言葉では言い表せないものだった。この場をお借りしてセットしていただいたみなさん、講師の方々に感謝の言葉を述べたい。ありがとうございました。

 5/22(月)12:43、対局通知が届く。果たして卓組は、と思ってメールを見るとそこには「6/24東京E卓 愛澤・山本・五十嵐・桑原」の文字が。なんとまあ初出場の僕にとっては贅沢すぎる方々のお名前が並んでいた。今思えば、対局日の午後11時過ぎまで続く緊張状態はこの日から始まったような気がする。決戦の日まで、あと約1か月…。
 初出場ということもあり、6/10(土)開催のC卓・D卓を観戦した。独特の静寂な空気に包まれた空間は、雰囲気を味わうだけでも充分なものだった。当初は2〜3回戦まで見て帰るつもりだったが、各卓の闘いがそれを許さなかった。引きつけられた。面白かった。結局最後まで観て、猪俣さんと駅まで一緒に帰った。

 さてようやく本題に入る。6/24(土)11:30、対局室のあるビルに到着。ビル前で奥田さんと会う。奥田さんと話せたことはよかった。ちょっと緊張がほぐれたような気がした。
 立会人は平井さん、12:00、いよいよ対局開始。先ほどちょっと緊張がほぐれたような気がしていたが、また緊張感が高まり、ガチガチになっていた。結果から言えば、手積みもうまくできなく、五十嵐さんの配慮に感謝した。


【1回戦(起家から以下同)桑原、五十嵐、山本、愛澤】
 山本の3・6でスタート。いきなりラス目(笑)。

 東2局、僕が234のサンショクの安目をツモって5・10、記念すべき八翔位戦初アガリ。本音を言えばで20・40としたかったところだが贅沢は言ってられない(桑原+14・五十嵐△13・山本+07・愛澤△08)。
 その後は自分にはアガリは出ず、南4局にジュンチャンドラ2の仕掛けを入れたが撤退。(◎山本/●五十嵐)で1回戦終了。
 ラスを引かなければ上々と思っていたのでここはこれでよしといった感じだ。しかし1回戦を闘っただけでこの半端ない疲労感はなんなんだろう。八翔位戦の洗礼を受けた感じだ。あと最低3回はある。正直体力が持つのだろうかと心配になっていた。


【2回戦 愛澤0・桑原0・山本1昇・五十嵐△1】
 東2局のオヤで6オールをツモ。役なしカンだったと記憶しているが、このアガリの感触がかなりよかった。

 南1局、山本のリーチに対し、うまく捌けてタンヤオドラ1の5・10。このアガリも自分にとっては相当いい感じだ(愛澤△16・桑原48・山本△41・五十嵐+09)。トップが見えたかなと思ったが後から思えば単なるスキでしかなかった。それはこの後の山本のアガリを見ればわかる。

 南2局、9巡目に山本リーチ、
 宣言牌は、2巡後に訪れたのもで7・14(愛澤△23・桑原+34・山本△13・五十嵐+02)。本音を言ってしまえば、ホントでなくてよかった。山本も「ツモりたかったよね」なんて後で仰っていたが、背筋が寒くなる形だった。次局山本が更にたたみかける。

 南3局、6巡目にオヤ山本がリーチ、
 五十嵐が両方アンコであったが、をツモって10オール(愛澤△33・桑原+24・山本+17・五十嵐△08)。
 僕には見えてないけど、五十嵐が両方暗刻ですよ、暗刻。オーラスを迎えてまだトップだけどこんな状態…。僕の心は痺れまくり、心臓バクバク、血圧上昇、今にも倒れそうです…。

 そしてオーラス、普段の麻雀においてオーラスアガリトップ状態で大体手が入らない僕だが(笑)、珍しくタンヤオ系の手牌。心臓バクバクしながら仕掛けて五十嵐さんから12。ロンの瞬間の脈拍はこの日最大のものだったかもしれない。本当に嬉しい記念すべき八翔位戦初トップ。はあっと大きく息を吐く。


【3回戦 五十嵐△2・桑原1・愛澤0・山本1昇】
 東2局、ピンフドラ1を愛澤から30。すっとアガれて感触上々だったが、この後は3人のアガリをほぼ眺めるだけになる…。
 そして南4局、山本が五十嵐のリーチ棒込みでリーチタンヤオツモドラ1の40オール(五十嵐△210・桑原△50・愛澤+128・山本+132)。
 立会人の平井さんは「アレの並びに」とツイートされていたが、このまま終われば、「愛澤△1・桑原1昇・山本2昇・五十嵐△2」のいわゆる「死のシフト」となる。しかしそこで愛澤さんの底力を見せつけられる。

 南4局その2、愛澤さんが早々にポンも手牌が
 
 愛澤さんがを引いたときには山本さんはペンでテンパイ。(役牌ポン・ドラ1)それが最後は愛澤さんがカンツモでフィニッシュ(3・6)。
 この時僕は下家の愛澤に対し、鳴かせないように絞ったがそれ以外頭になかった。後から思えば愛澤にテンパイが入る前に山本に差し込むという選択肢もあったのかもしれないが、正直そんなことを考える余裕は全くなかった。でもまあ上々の1昇で4回戦を迎えることができた。


【4回戦 桑原1・愛澤0・五十嵐△2・山本1】
 ここが当日のいちばんのハイライトだっただろう。元NHKアナでサッカー実況のカリスマだった山本浩氏(あの「*マラドーナ…、マラドーナ、マラドーナ来たーっマラドーナーッ!」の人ですね)
*は著書「*メキシコの青い空―実況席のサッカー20年」の中でこう語っている。*
 「スポーツは筋書きのあるドラマだ」
 この4回戦はまさに「筋書きのあるドラマ」のようだった。1昇持ちの僕は相当有利だ。五十嵐さんの条件は愛澤さん以外のどちらかをラスにしてのトップ。結論から言えば、僕がそうしてしまったわけだが…。桑原、愛澤、五十嵐、山本の並びで開始。東1局、五十嵐がピンフドラ1をツモ。

 東3局、山本が愛澤から高めのピンフ・イッツー・ドラ1の80(桑原△14・愛澤△87・五十嵐+28・山本+73)。

 局は淡々と進んでいたが、南1局、愛澤が桑原からピンフドラ2の40(桑原△54・愛澤△47・五十嵐+28・山本+73)。これが敗因その1。いちばん反省すべき点かもしれない。愛澤さんの待ちは。手詰まった僕はのワンチャンスでを打ち愛澤さんに40を献上。
 生牌のをトイツで持っていたのでどちらかを打つ手もあったろうと振り返ってみて思う。たらればは勝負事に厳禁だが、これがなければその後の展開も変わっているので何とも悔やまれる一打となった。

 南2局、オヤ愛澤が4巡目リーチ、
 これが流局で愛澤ラス落ち(桑原△54・愛澤△57・五十嵐+28・山本73・供託10)。

 南3局は流局。そして運命の南4局、「筋書きのあるドラマ」はクライマックスを迎える。

 南4局は五十嵐が見事40を桑原から直撃で延長戦。先に書いた「五十嵐さんの条件は愛澤さん以外のどちらかをラスにしてのトップ」を僕が演出してしまったわけだ。この局面について確認のため五十嵐にお聞きし、以下の回答をいただいた。

◆五十嵐さん談
 「のパーツがあり、そこにを引いて456のサンショクが見える形に。しかし高目80よりイーペイコウ確定の40のほうがいい。またカンがいいと思っていたのではやくを引けと思ってたらどんどん上にのびて567のイーペイコウに。だから、
ですね。すでにも2枚ずつ出ていて薄いマチでしたが、ツモってもあがれないのでむしろ薄いほうがいい。愛澤さんから出たを見逃したら桑原さんがを打ったわけです」
 これが16巡目。そう、残り3巡凌げば僕は勝ち残れたのだが、ここでも手詰まり、確かも通っていたため筋を頼りにを打ったら「9回裏二死2ストライクランナーなし状態から同点ホームラン!」という1979年夏の甲子園3回戦、伝説の星稜x箕島戦みたいになってしまったわけだ…。
 というわけで延長戦に入ったわけだが、振り返ってみればこの4回戦で僕の八翔位戦1次予選はほぼ終わった感じだった。五十嵐は4回戦から3連続トップで山本さんとともに勝ち抜け、僕は4回戦から2連続ラスで敗退…。


 精魂尽き果てているような状態だったため5回戦、6回戦のレポートは申し訳ないが割愛させていただくが、以下について五十嵐が話していたことがとても面白かったので記載しておく。
 5回戦東3局、オヤ五十嵐ダブリー(イーハンです)をかけた手牌が、
これが、一発でをツモりあげて、20オール(桑原△28・山本△06・五十嵐+76・愛澤△42)。
◆五十嵐さん談
「ちなみに5回戦ダブリーのときに思ったこと。配牌がきれいに連続形ばかりで「よせっ、こんなところで人生初テンホー入るな!」と。
 ソウズでを発見してひと安心。のターツから切ってリーチ。を一発で引き寄せたのであった。
 下家の順位戦選手がここでそれやるかという感じで笑いをこらえて肩ふるわせていたのが印象的でした。
 感じ悪いので偉い人にチクろうかと思ったけどその人が一番偉い人だったので黙っときました。
↑これは冗談ですが、よせっアガッているな!とおもったのは事実。テンホーがないからというのもありますが、配牌でアガッているとリーチすらかけられずに安手で終わるから。ダブリー一発というか、配牌テンパイ即ツモはよ余計でも、リーチツモで20オールにできたのはラッキーでした」

 元プロ野球監督・野球解説者の野村克也氏はよく言っていた。「勝ちに不思議の価値あり、負けに不思議の負けなし」
 また師匠でもある故ロッキー堀江氏は常々こうおっしゃっていた。「因果応報、(勝ちでも負けでも)出た結果には必ず理由がある」と。
 記憶に残る敗因としては4回戦の南1局と南4局があげられるが、八翔位戦1次予選は4回戦トータルの闘い。いずれにしてもどこかでミスをしているからこその敗退だったろう。
 自分で気づいていないミスは普段の練習での精度をあげることによって防げるものだ。
 スゲえ悔しいが、それが今の自分の実力だと認識し、また頑張るしかない。敗退後、複数の人から労をねぎらってもらったが、いちばん印象に残った中村さんの言葉をここに載せておく。・・・ 「お疲れさまでした! 残念ではありますが、現八翔位だって1年目は1次予選で負けてるんですよ。経験を積める機会をもっと増やせるように、明日から第35期八翔位戦が始まります。そんな気持ちで2年目に臨みました。これからも一緒に成長していきましょう!」・・・・・・・

 マージャンについての文章など書くのは初めてだったため、思いのままを書いた。この悔しさは同じ舞台で勝つことでしか晴らせないだろう。最後にターミネーターばりに以下の言葉で筆を置き……いや、PCを閉じます。・・・・・・・

「I’ll be back!」


F卓:
F卓
終了
山内 啓介 B級 △2
菊池 智江 B級 1昇
熊谷  修 東京 1昇
佐藤 文彦 東京 ±0

文:佐藤 文彦
 リアルなマージャンを打つのは久しぶりだ。
 牌に触れる機会が極端に少なくなってきたので、牌を積むのが不安だ。こんなことで後手は踏みたくないなぁ〜・・・

 対戦相手は、山内選手、菊池選手、熊谷さん(以下、敬称略)。熊谷も選手みたいなものなので、選手3人と対戦するようなもの。内容良く打つことを心がけよう。

【1回戦 荘家から、菊池、熊谷、山内、佐藤】
 101でのラスオヤはあまり好きではない。そんなネガティブな考えが頭に浮かぶ。しかし、1回戦の1局目にもらった配牌はそこそこのもの。久しぶりのマージャンだからツキがたまっているのだろうか? それなら今日は楽ができる戦いをしたい、と心に思う。
 他者3者を眺めると、南家の熊谷は前に出ているように見えるが、他の2人は様子見のようだ。
 ドラはだが、手の内には無い。熊谷にテンパイ気配があふれてくる。が3枚切れているのに場に顔を見せないがいやだなぁ、と思っているとをツモってトイツになる。ドラ表のが切れないと思っているとをツモってくる、という感じでこちらもやっとテンパイ。
 はション牌。ドラの行方が分からないが、リーチしたら脇2人は向かってこないだろう。熊谷は、どうだろう・・・東1局から無理もしないだろうと、リーチ(ロンの声がかかるかもしれないが・・・)。101では東1局では生涯初めてのラス落ちリーチである(だと思う)。
結果は流局。すぐに熊谷も降りてくれたようだったので、1000点出した価値はあったように思う。

 だが、続く東2局は、親の熊谷がペチコーンペチコーンと立て続けに高めを2局引いて24000点の収入。

 その後、山内のツモアガリ、佐藤の出アガリなどがあり、南3局には山内252佐藤239菊池212熊谷497。ここで、私は痛恨の80放銃(→熊谷)。これはいけませんは。こんな放銃している人間は、勝ち上がったらいけません。そんな放銃でした。そんな次の南4局は何も起こるはずもなく流局。
(◎熊谷/●佐藤)

【2回戦 荘家から、菊池、熊谷、山内、佐藤】
 東1局、1回戦ノーホーラの菊池がカンを仕掛ける。そこに佐藤がで放銃。30の支出。2ラスだけは喰わないようにと思っていたが、嫌な雰囲気・・・。

 東3局には、
ここからを引いて、テンパイを取ってしまう。数巡後ドラを持ってくる。テンパイ気配は菊池から。だだ、他の2人もテンパってないとは言えない。菊池の劈頭にがあることから、あっても40と高をくくり(願って)、打。役は無いけどはかなり生きていそうに見えたんです。
 これがストライク。予想通りの40。「まあ、読めてるじゃん。いけるいける」と心の中で空元気を入れる。

 東4局の配牌は、
 の部分は、すみません、覚えてません。ここからと引き、もいつの間にか引いていてこんなイーシャンテン。
程なくもひいてテンパるのだが、は河を眺めると、簡単には出てきそうにない。アガリ癖をつけたほうが良いかと弱気の虫が出て、ダマで押すと僥倖のツモ。

 次局も一手変わりイッツーのピンフをツモ8オール。何とか息を吹き返した。その3では熊谷に20放銃。出入りの激しいマージャンだこと。南3局にラス目の親山内がリーチをツモッて10オール。その2は菊池が熊谷から52。熊谷ラスならトップにならずとも良しとしなくてはで、南4局はまたも流局で終了。
(◎菊池/●熊谷)

【3回戦】
 始まる前に、牌が重くなったこともあり、牌掃をさせてもらった。徳を積んだからこの半荘は良いことがあるだろうと思ったら、連勝席に座れ6回もアガれた。
 オーラスを迎えて、ラス親熊谷307(0)、佐藤402(△1)、山内243(0)、菊池248(1昇)。
 自分のトップを守りつつ、菊池をラスにしたい。ほぼ延長戦になってしまうが、長引いた方が勝ちやすい気がした。
 南家佐藤の第1打を山内がでチー。菊池は嫌な顔。
 腰の重い山内が鳴いたので、手が早いと思い、牌をおろしまくる。8巡目の再度の打に「ロン」の声。
 しかし、声の主は親の熊谷。背筋が凍りました。結果は18。
 その2は配牌ツモとも良く、
から1巡目ツモ、2巡目ツモ、4巡目ツモとあっさり、テンパイ、7巡目にはまでツモりあっさりトップでした。
(◎佐藤/●山内)

 トイレのため外に出ると、菊池がつぶやく(ツイートではない)「手は入ってたんだけどなぁ〜」聞くと、南4局その2は待ちの高め80だったらしい。絶対に菊池をラスにしようなんて思っていたら、とんでもないことになるところでした。

【4回戦 荘家から、菊池(1昇)、熊谷(0)、山内(△1)、佐藤(0)】
 アガリが頻発した前3半荘とちがい、この半荘は静かに推移する。東風はすべて流局。嵐の前の静けさか・・・

 初めてのアガリは南1局、熊谷の早いリーチの安めツモ10・20。このまま、菊池がラスなら昇もちが変わるだけ。菊池に恨みがあるわけではないが、自分の身はかわいいものです。

 南2局は熊谷の仕掛けが入る。テンパイしているだろう熊谷に対し、
から切り。怖かったけど、の待ちの良さが勝ってしまった。リーチに行ったら熊谷はどうしただろう。結果は熊谷から16。

 南3局はラスを逃れたい菊池がリーチも流局。続く南4局も菊池からリーチ。しかし、私もその時点で次のテンパイが入っていた。
宣言牌はが菊池の河に置かれているので、が入ってくれれば大ラッキーと思っていた。が、来たのは通りそうなものの無筋の牌。「こっちだってテンパってんのじゃー」という気持ちが見えたのだろう、熊谷は完全撤退。その後私はあと2枚くらい無筋を切った気がするが、を持ってきて小考。菊池の河のが確か手出しだったような気がして、ここで撤退してしまった。が来てくれればとかが入ってくれればと思いながら何枚か勝負したが、菊池がトップまで突き抜けてくれなければ・・・
 思いが通じ、結果は流局。
(◎熊谷/●菊池)

【5回戦】
 私にとって八翔位戦初めての延長戦。でもまだマージャンは打っていたい気がする。座順は四たび、荘家から、菊池(0)、熊谷(1昇)、山内(△1)、佐藤(0)。ここでも休憩を少しはさんだが、この休憩で山内が生き返ったようだ。

 東1局は山内が積極的に仕掛ける。時間はかかったがをツモり、ホンイチ役牌の13・26。しかし次の局には落とし穴が潜んでいた。
 東2局、佐藤の配牌は、
 1巡目ツモ、2巡目ツモ、数巡後
ここから、菊池の切った客風牌のを鳴いてテンパイ。山内からが出て52。山内浮上のきっかけを絶ってしまった。

 その後流局が続き、場が動いたのが南1局。菊池の親番に熊谷が7・14。菊池は親の時にツモられる。熊谷にツモられ、2着めとの差が狭まったものの、当面の敵菊池との差が拡がるのはありがたいもの。何とかオーラスまでに菊池との差を121までにしたいと思っていた。 が、そこはうまく行かないもので、南2・3局とも流局でオーラスを迎える(佐藤332、菊池260、熊谷315、山内293)。
 配牌はそこそこ。行けばいいのか、行かねばいいのか・・・ 判断を決めあぐねるツモが続く。少なくとも菊池の安全牌は1枚持っていようと決め、お出かけすることに。
の手牌になったのが7巡目。6巡目に菊池からが切られたが当然スルー。ここに熊谷からが打たれる。菊池スルーでほっと一安心。の合わせ打ちかなと思っていたところにツモ。で、ション牌の切り。これも菊池スルー。が次巡、菊池からリーチが入る。すると私にもが入りテンパイ。
が安全パイのため、ぎりぎりまで前に行くことにする。その姿勢は山内にも見えたはずだ。
 さあ、山内は困った。ここまでは延長条件が40以上の佐藤以外の出アガリ、佐藤直撃は28以上、ツモアガリは7・14だったのが、このリーチにより、32以上の脇出アガリ、佐藤直撃は16以上、ツモアガリは5・10まで緩和された。しかし条件が緩和された以上に厳しい状況に置かれたのも事実だ。
 流局は敗退、佐藤のアガリもより条件が厳しくなる。菊池がラス抜けをしてトップにならず佐藤をトップから落とすということがあったとき、延命の再延長。まあ有りえないでしょう。
 山内は前に出るしかない状態に追い込まれていたのです。

 ここまではわかっていた。

 追いかけリーチだったのか?

 菊池のことだから、たぶん、80のリーチだろうとは思っていた。しかし、まさか、
から私の切ったをふかしてを引き込んだなんて、思ってもいない。
 私のこの時に頭に浮かんだ願いは「ツモらないで、(自分に)危険牌来ないで。」
 この願いはかなえられた。

 数巡後、山内からが放たれた。

 来年また頑張ろう。

 そのためには、イン東京で24回打たねば・・・
 き、きびしい・・・
(◎菊池/●山内)


G卓:
G卓
終了
小宮山 勤 B級 1昇
明村  諭 推薦 1昇
奥田 直裕 東京 △2
古川 大樹 東京 ±0

文:小宮山 勤
 八翔位戦一次予選のG卓の組み合わせは小宮山、明村、奥田、古川の顔合わせ。まず一戦目、先行したのは古川。東1局のオヤで西家の奥田の仕掛けに無筋のを一発かぶせると次巡を引きアガる。
 しかしその2で小宮山が1フーロのトイトイを引き20・40。南2局には奥田から80を打ち取り小宮山の逃げ切りかと思われたが、次局古川が中盤にリーチ。程なく引きあがった手はタンヤオ、ピンフ、にイーペーコー。この20・40で古川がトップ目に立つ。が、ここは小宮山が粘りを見せ南4局8オール(ピンフ、ツモ)をものにするとその2は流局し小宮山が緒戦を飾った(ラスは奥田)。

 2戦目を制したのは明村。東1局にドラのを引き、手を開ける。
 その後古川が追撃するも結果的にこれが決定打となり明村がトップ、最後は2連敗目前だった奥田が意地をみせ20・40でラス抜けを果たしラスを小宮山に押し付けた。

 小休止を挟んで行われた3回戦は南3局の時点で古川36→明村44→小宮山28→奥田の並び(オヤ番は古川でドラは)。ここで小宮山が中盤に大長考。そしてリーチ。
 小宮山から古川までは丁度80差なので仮に引けてもシバさ足りない上に流局しようものなら下が相当寒い。しかし古川トップならばそれはそれでスコア的には苦しい。結果は何とかを引きあがり南4局へ。
 シバ差を捲るべく小宮山が序盤から攻める。その下家の奥田はラス抜けを目指しドラ色のワンズのホンイチへ。中盤にテンパイを組んだ小宮山がドラのを切ると奥田からチーの声、そして初牌の三元牌を切ると明村が手を開けた。値段は42。その2も明村は60を古川から打ち取り2昇目を挙げた(ラスは奥田)。

 4回戦開始時の並びは起家から小宮山0、奥田△2、明村2、古川0。奥田は明村とのトップラス条件だけにかなり厳しいので実質は小宮山、古川の争いだが奥田も簡単に負けるわけにはいかないので何とか意地を見せたいところだろう。明村は優位な立場なので小宮山、古川のどちらかに協力して終わらせられるチャンスがあれば協力したい、といったところか。
 東1局は上手くヤミテンを組んだ奥田が明村から20を打ち取りまずは並びを作る事に成功する。そして迎えた東2局に戦いは早くも山場を迎える。古川が役牌を仕掛けドラのを切り飛ばすと奥田がリーチをかける。そこに小宮山がここは勝負とばかり無筋を飛ばしてきた。実はこの奥田のリーチが勝負の行方に微妙なアヤを作ってしまったかもしれない。と言いうものの、もし奥田のリーチの値段が高ければ高いほど小宮山、古川からは「ロン」とは言いたくない。そしてそれを皆承知している。実際この条件でなければ小宮山も簡単に無筋と切ってきてかどうかは判らないところである。程なく小宮山がこの日一番の気合のこもった声でを手元に彦寄せた。
 が奥田の河にありでのアガリがあまり魅力的ではないのでリーチも考えられたがその時はさすがに奥田も見逃すまい、という判断がこの結果に結びついた(実は奥田は小宮山がツモ切ったロン牌に声をかけられなかったのだ)。これで勢い付いた小宮山は続く東3局にも明村のドラのアシストを受け20・40(タンヤオドラ3)をアガリ大量リードを作る。しかし古川も黙ってはいなかった。南3局にツモ番もあと1回というところで牌を横に向ける。そして海底でツモって来たで手を開ける。チートイツドラ2で30・60。これにより2万点近くあったリードが1アガリでOKの点差になってしまった。小宮山は大いに肝を冷やしたに違いない。が古川の粘りも此処まであった。オーラスは誰のアガリもみられることはなく、明村、小宮山の勝ち上がりで幕を閉じたのであった。

H卓:大原、執念の「4センチ」で初戦突破
H卓
終了
高島  努 B級 △1
板川 和俊 大阪 1昇
大原 泰孝 大阪 1昇
山舗  徹 大阪 ±0

文:高島 努
 手数が多い3人に対し、圧倒的に手数の少ない高島の構図が容易に想像できようH卓の1次予選。1回戦(起家から、高島・山舗・板川・大原)、やはり先手に取れない高島がラス目に封じ込められる。そして、南3局を迎えて「山舗48→板川08→大原40→高島」となったところで、事件が起きる。オヤ・板川が、序盤から高島から2フーロ。そこに、山舗が4枚目のを切ると、板川の手が開けられた。
  
 この78で、トップめが入れかわる。
 その2は、大原からリーチ棒が河に放たれた。この状況下、値段が安い理由が全く考えられない(マチも相当良好であろう)。ますます、窮地に追いやられる高島。だからといって、アグレッシブに行くのは相当の暴挙。リーチ棒を出したのが大原だから、流局にさえ持ち込めれば、南4局はどこからでも20でラス抜けできるのだ。ここは、大原の声を聞くことなく流局に持ち込むことができた。
 その南4局、8巡めに高島がテンパイを入れた。
 その時、山舗が字牌を2フーロし、こちらも宣戦布告している。ソウズは怖いが、打。「バー確保」の「ロン」の声はなかったものの、ドラ含みのチー。ピンチではあるが、ワンズは場に安く、山舗の現物。板川からの「ラスなしやむを得ず」の緊急回避のアシストも十分期待できると捉えたら、山舗にまくられることを嫌った板川からのプレゼントがあった。
(◎板川/●なし)

 2回戦(板川1昇・高島0・大原0・山舗0)は、東2局に北家・板川が1巡めにを切って原点リーチをかけ、最高点の牌を引き寄せた。
 またもや、ラス目に落ちた高島であったが、次局に苦しみながらもラス抜け。
 ツモアガリ直前に、オヤ・大原がの手出しがあっただけに少しだけ安堵できた。あとは、板川と同じポジションに座れるか、大原もしくは山舗にラスを押し付けて昇差をつけるかだが、終始他家への対応に追われ、このままの並びで終局した。
(◎板川/●大原)

 小休止を挟んで迎えた3回戦(大原△1・山舗0・高島0・板川2昇)。リードしている板川以外は、規定の4回戦で板川を味方につけるポジションに位置したいところである。
 東1局に高島が山舗からチートイツ16をアガり、さらに東3局に、ドラ2のイーシャンテンで加点したいところであったが、これに待ったをかけたのが板川。高島のにポンテンをかけての3・6。これでトップめが入れ替わる(このポジションは△1が2人になるため歓迎できる)。東4局に山舗→大原20。高島、ついに3着目に落ちる。それでも、山舗ラスならば4回戦での勝ち上がりの目が残るため、まだ尻に火がついていない状況。
 しかし、南2局にオヤ・山舗がゴリゴリに押し、安めながらもピンフツモ8オール(ドラの方なら14オール)をアガリ、その2(大原05→板川02→高島17→山舗)でも、リーチをかける。一方の高島も、ピンフドラ1でテンパイを入れ、無理しない程度に応戦。だが、そこに割り込んできたのが大原。789でチーし応戦。この割り込みは私にとっては想定外。普通に考えたらテンパイとよむべきだが、これまでの経緯上、テンパイに非ずのケースだってあるかもしれない。そう思い次巡に山舗の現物をツモ切ると大原に20(サンショク・ドラ1)の手痛い放銃となった。
 これで、高島07→山舗となり、南3局。山舗が露骨なタンヤオの仕掛けを入れると高速で板川から12をアガり、ついにラスめに突き落とされる。しかも、「◎大原/●高島」の悪い並びである。これで終われば、4回戦でトップをとれても、延長は必須条件になる。さらに、昇持ちの板川が大原or山舗にライフラインを送るケースも生まれるかもしれない(一番ダメなのは言うまでもなく「◎山舗/●高島」だが)。
 南4局その1は、板川が10オールで延命だが、まだまだ悪い並びである。問題はその2である。アガればラス回避の私は、アンコで5巡めでリャンシャンテン。そこに山舗と大原がチーを入れ、捨牌1段目で早くも終盤を呈す。そこに、山舗の切ったドラのに板川から「ポン」の声がかかる。総括すると、山舗は、明らかなテンパイだが、ラス回避だけが目当てと考えられるため、絶命の「◎山舗/●高島」はここで消えた(とりあえず2番手で4回戦を迎えることを考えたであろう)。大原は、テンパイかもしれないが、これまでの戦いぶりを鑑みるとノーテン(ただし、残った形は好形)もありえる。板川は、ラス陥落だけは理論上ないところ。自身トップでも当然よし、「2・0・0・△1」のスコアでもよしといったところ。(「3・0・△1・△1」でも構わないが延長になる可能性がこちらは若干高い)。さて、板川のドラポンだが、勿論ポンテンの可能性もあるが、「脅しと終局宣言」目当てのポンだって考えられる。このとき私は、大原・山舗にアガられてはならないとばかりに、突進を決断。をツモ切ると板川に放銃してしまう(カンマチのポンテン)。よく、「5着めにはなるな」という101の格言があるが、またしても悪例を披露してしまうこととなった。自ら転ばず、のアンコ落としなどベタオリする手だってあった。板川がを引いてくれるかもしれない。大原の立場からすると、△2は九分九厘目なしなので、オリに回るかもしれない。山舗だってオリたかもしれない。そう考えるとひどい放銃である。無論、そうなれば板川が適正な並びにするため、板川がここは「終局宣言」と言わんばかりにアガラズやテンパイを外す権利もあることにはあるが…。仮に同じ放銃するなら、王牌に近づいたころに、「3・0・△1・△1」にすべく板川に差し込みなら、まだ分かるのに…。焦燥な気持ちを抑えられずかつ頭脳を駆使できなかったことに改めて反省。
 とにもかくにも、△1濃厚の私だが、4回戦に板川ラインの候補者が山舗だけであり、かつ自身と山舗とのトップラスで勝ち上がりを決められる「3・0・△1・△1」のならびでその3を迎えることになった。私には一応ハネツモ条件がラス抜けの条件ではあるが、当然都合よく入るわけがない。そこに大原からのハネツモ条件を満たすリーチが入る。私にとっては招かれざるリーチ。しかもこのリーチ、一発で成就してしまったのだ(リーチ・ツモ・タンヤオ・イーペイコウ・ドラ2)。後から思うに、当時の私の手牌が強いて挙げるなら遠いが・サンアンコの手格好だったので、をポンしての「アガラス」もあったのかもしれない。後から気が付いてもダメ。後から指摘を頂いても、当日できなければダメ。また1つ、「101でやってはいけないメモ」が1ページ増えました。
(◎大原/●高島)

 規定の4回戦(大原・高島・板川・山舗)、東1局は、大原の仕掛けに対応し流局。3回戦の反省もあってか、我慢できている。というか、ギリギリまで我慢してやる心構えだ。
 そして東2局。山舗から原点リーチが入る。昨年度の1次予選を彷彿とさせるようなリーチだ。ここも、放銃だけは回避したいところだが、これにまっすぐ突っかかってきたのは予想通り板川。初めは差し込みに来ているのかなと思っていたが、どうやら「当たってもよし、アガってもよし」の構えの模様。ここは、板川が10・20(供託10)を成就。形式的には、ラスなしの延長の並びだが、これで板川が終わらせるはずもなかろう。
 東3局(ドラ)、私が、ネックになっていた孤立のをもう1枚ひき、待ったなしのイーシャンテンに育ちつつあった(テンパイすればリーチの予定)が、山舗が大原からタンヤオ16をアガり、山舗勝ち上がりの並びとなった。
 東4局、後がない大原が積極的な仕掛けを敢行するなか、私にテンパイが入った。
は河に1枚、は河に2枚など、ワンズの下は安く、でアガれば希望が生まれるが、ここは山舗からでロン。対局後、山舗さんが、「トップが絶対に必要なんだから、リーチしたほうがよいのでは。」と指摘したが・・・に期待できる状況でもあり、ヤミテンを選択し、結果安い方に「ロン」の声をかけることとなった。大原の全ツッパを考えると見逃しはできなかった。を見逃す手はなかったのか、をツモったときのことを考えてのリーチをかけることにより13・26にしておくべきだったのか、改めて再考してみたくなった。
 この後、大原が、オヤ番で板川から18と30を立て続けにアガり、ついに山舗を逆転。「何でも仕掛ける」「役牌は1枚目からポンする」というスタンスが大ハマりしてきた(防戦を強いられる山舗や私からみるとたまったものではないが)。
 そして、南2局(ドラ)。東3局同様、孤立のドラをトイツにでき、カンもしくはをコーツにできればテンパイというところまでこぎつけたところで、山舗がを切ってリーチをかける。そして、私も山舗に通っていないを切ればテンパイというところまで追いついた。
 は山舗の現物である上、2枚切れ。ピンズは本命と考え、のトイツ落としを選択。ピンズにくっつけば、追いかけリーチを敢行。がコーツになっても、アガリ逃しとは考えずにノベタンで受ければよい。そうかんがえたのもつかの間、山舗がマチのピンフをツモり、7・14を成就。それでも、「大原11→山舗09→板川09→高島」。まだ、ひとアガリで捲れる条件ではあるものの、板川のオヤ番は連荘する必要がないと仮定した場合、チャンスは2・3回しかないと思えばかなり厳しい。
 続く南3局(ドラ)。大原が、ポンから入り、あっという間に「4センチ」手牌。板川からの差し込みも期待したかもしれないが、山舗に腹を括られたときに返り討ちにあう可能性も考えたら、この状況で「4センチ」は少し真似できないと感じた。しかし、この状況でこの「4センチ」が12なんて少し考えられない。トイトイもホンイチもないならば、が確実に入っている(ドラタンキマチもあるかも)。あと2枚が何かだが、現物以外なら何でもあると思い撤退。流局で凌ぎ最終局に賭けることを選択するも、を手元に手繰り寄せ(とのシャンポンマチ)、苦しむ2者の希望を打ち砕く大きな20・40を成就。
 南4局は、連荘必至の山舗と、ハネマン以上しかアガれない高島をよそに、大原が自らのアガリで締めくくり、完全勝利の板川とともに大原が初めて一次予選の突破に成功した。

I卓:初の大阪遠征
I卓
終了
坂井 準司 B級 ±0
藤森 弘希 B級 △1
田村  洸 大阪 △1
涌田  悟 大阪 2昇

文:藤森 弘希
 今期の八翔位戦一次予選は大阪で対局を行なう事となった。
 対戦相手は坂井準司選手、田村洸さん、涌田悟さんの三名。三名とも決定戦進出経験のある強豪ばかり。この三名相手に勝ち上がるのは非常に厳しいが、自分に出来るのは自分の麻雀を精一杯打つ事。それで結果が付いて来れば最高である。(以下敬称略)

【1回戦 藤森・坂井・涌田・田村】
 涌田が出だしから12(←坂井)、6オール、120(←坂井)と快調に飛ばし、田村がそれに32(←坂井)、14オールと続く。

 東場を終えた時点で点差は涌田68→田村88→藤森164→坂井となっていた。この時点でこれだけ上と点差が開いてしまったので、この半荘はバーやむを得なしと南場はラスに回避に重点を置こうと思っていたのだが、ラス目の坂井とかなり点差が離れていたため、無意識に気を抜いてしまったのかここから信じられないミスを連発してしまった。

 南1局、涌田に不用意に12を放銃してしまう。これで坂井との点差が152となり、まだ開きはあるものの80を直撃されるとラスになってしまう事から少し焦りを感じ初めた。

 南2局、オヤ坂井のq發ポンに現物を切ると湧田からロンの声。涌田が来ているのは分かっていたが、涌田に放銃して局が進むのならいいやと楽観的に考えていた藤森に対して開けられた手牌は何と64。これで坂井との点差が88となりラスになる可能性が一気に高くなってしまった(涌田144→田村164→藤森88→坂井)。

 南3局、配牌からワンズが10枚あり、3巡目には11枚となる。南2局に64を放銃する前であればチンイチを狙いに行ったであろうが、涌田と300以上離れてしまったため、この状況においては大して意味がない。それよりもこの局の目標はとにかく何でもいいからアガってオーラス坂井との点差を100以上にしておくこと。結果坂井から12をアガり、仮にリーチ棒が1本出てもマンツモ圏外のでオーラスを迎える事となった。

 南4局、トップ狙いの田村とラス抜け狙いの坂井からの攻撃の備え配牌オリを選択した藤森。
 途中涌田から切られたにアンコ持ちのを3枚河に並べる藤森。安パイをなるべく温存おくためにこのようにしたのであるがこれが大失敗。ハネツモ条件で234もしくは345のサンショクを狙っていた坂井だが 、が4枚見えた事により途中イッツーにシフトしてリーチ。同巡田村も追い掛けるが坂井が一発ツモ。
 藤森が余計な情報を与えた事で坂井の手役選択を正解させる手助けをしてしまったのだ。こうして南場に入ってからのミスの連発で通常なら引くはずがないであろうラスを引いてしまったのである。
(◎涌田/●藤森)


【2回戦 坂井0 ・田村0・涌田1昇・藤森△1】
 1回戦トップだった涌田がラス目で迎えた東3局、オタ風のポンから入った涌田。捨て牌からみるにワンズのホンイチ狙いである。涌田がこのような仕掛けをするからにはドラのを2枚以上抱えているか役牌がアンコであるのはまず間違いないであろう。三人共当初は涌田に対してオリていたのであるが、終盤勝負に向かったオヤの田村がワンズを1枚切り飛ばすと涌田がチー。すぐさまロン牌を引き寄せ20・40をツモられてしまった(涌田79→坂井06→藤森03→田村)。

 その後ラス目となった田村が必死でラス抜けを試みるも藤森、坂井に躱され迎えたオーラス(涌田42→藤森22→坂井46→田村)。  1回戦ラスだった藤森は何としても涌田を捲くるべく途中坂井から出たをポン。しまったという表情をする坂井。終盤手が入らない田村が藤森のアシストに来るが、またもここで藤森はミスをしてしまう。藤森のマチはから打のペンであるが、この後引いてきたを空切りせずにツモ切ってしまったのである。を手出しすればそれに絡むマチとしてペンを考慮してもらえたかもしれないが、ツモ切りではさすがに4枚切れの状態からのペンマチは差し込みとして優先順位が低くなってしまったのである。こうして田村の手牌に3枚あったは河に放たれる事なく流局。
(◎涌田/●田村)


【3回戦 田村△1・藤森△1・涌田2昇・坂井0】
 東1局、役牌をポンして高めホンイチ二役の藤森に対し、坂井がリーチを被せてくる。ほどなく坂井がツモってリーチツモドラ2の20・40。

 東1局その2、田村がチーテンのタンヤオサンショクドラ1の40を涌田からアガり、東3局に涌田のオヤで5・10をツモる。坂井が大きくリードした今、涌田ラス目はマイナス組には多少なりとも良い展開である(坂井55→田村45→藤森45→涌田)。

 東4局、オヤ坂井のドラトイツリーチと南1局、涌田のピンフドラ1の3巡目リーチはいずれも流局。

 南2局、2本転がっている供託リーチ棒を取りに行きたいが、坂井に持って行かれてしまう。

 南3局、頭狙いの田村が坂井に64を放銃。この瞬間それまでも可能性のあった死のシフトの危険性が一気に現実味を帯びてしまった(坂井198→藤森15→田村36→涌田)。

 南4局、涌田がアガりに来るのはもちろんの事、坂井も藤森、田村からの直撃狙いもしくは涌田への差し込みと涌田ラス抜けに向けて強力にアシストをしてくるはず。配牌を取るがアガりが見えそうな手ではない。田村がアガりに向かっていたので藤森は坂井、涌田に振り込まないよう必死でオリて田村のアガりを祈る。坂井、涌田の現物で田村に差し込む準備もしてはいたが、その必要はなく田村がツモ。何とか死のシフトをさける事が出来た。
(◎坂井/●涌田)

【4回戦 坂井1昇・涌田1昇・藤森△1・田村△1】
 延長条件は藤森または田村のトップかつ坂井または涌田のラス。

  東1局、涌田が終盤13・26ツモ。高目なら30・60だったので、まだ何とか首の皮一枚繋がっている状態である。

 東3局、坂井12←藤森、東4局、涌田8・16ツモとプラス組が決着に向けて盤石の体制を築いていく。マイナス組もとにかくアガって着順を上げて行くしかない。

 南1局、田村7・14ツモで2着目に浮上(涌田78→田村37→坂井4→藤森)。

 南3局、オヤの藤森が15巡目にテンパイを知らせるドラのを切ると、田村が藤森のロン牌を切って18。これで一旦坂井をラス目に落とす事に成功。後は涌田を捲くる必要がある。

 南3局その2、ひたすらアガりに向かうがテンパイする事なく流局。

 南4局、田村が早々にをチー。これに上家藤森が役牌、チャンタ、サンショクが絡む牌を連打するも田村一向に動かず。既に役牌がアンコなのか?と思っているとをツモって6オール(涌田72→田村27→藤森14→坂井)。

 南4局その2、涌田から52直で延長であるが、それは望めそうにない。それより配牌にとドラのが1枚ずつあり田村のアシストが出来そうであるが、切り時が難しい。早くに切って田村が鳴けなかった場合、涌田、坂井を楽にしてしまうが、遅すぎてもその間に涌田、坂井の手を進行させてしまう。田村の捨て牌をじっと見ながら役牌の切り時を伺う。7巡目、字牌と端牌の整理が終わり、中張牌が出始めた田村に対してを切ってみるが反応無し。次巡ドラのを切ると田村がポン。これで涌田、坂井はオリるはず。後は最後田村がツモれなかった時に差し込む準備をしておけばよい。そう思っていたのもつかの間、同巡涌田が自身のロン牌を引き寄せ決着となった。
(◎涌田/●坂井)

 今回の一次予選は後から考えると信じられないようなミスを連発し、結果敗退となってしまいました。昨年準決勝で敗退して悔しい思いをし、今年こそはの思いで戦いに臨んだのですが、まだまだ力不足でした。また一から出直します。


出場選手一覧

1次予選 2次予選 準決勝 決定戦
選手名 選手名 選手名 選手名
                  八翔位 菊池 一隆
      前八翔位 小川  隆          
      名翔位 西尾  剛 西尾  剛    
      堀川 隆司 堀川 隆司    
      平井  淳 平井  淳    
      成岡 明彦          
      田中  実          
亀井 敬史                
愛澤 圭次                
大川戸 浩                
山内 啓介                
高島  努                
平賀 聡彦 平賀 聡彦 平賀 聡彦 平賀 聡彦
坂井 準司 坂井 準司 坂井 準司 坂井 準司
小宮山 勤 小宮山 勤          
藤森 弘希                
菊池 智江 菊池 智江 菊池 智江    
山田 史佳 山田 史佳 山田 史佳    
推薦 明村  諭 明村  諭          
推薦 稲毛千佳子 稲毛千佳子 稲毛千佳子    
推薦 藤原  健 藤原  健 藤原  健    
推薦 むく 大樹                
推薦 山本 裕司 山本 裕司 山本 裕司    
OP 櫻井 一幸 櫻井 一幸          
OP 石川 由人 石川 由人          
OP 猪俣 裕之                
OP 奥田 直裕                
OP 熊谷  修 熊谷  修          
OP 桑原 俊之                
OP 佐藤 文彦                
OP 関根 秀介 関根 秀介 関根 秀介    
OP 寺西謙多郎                
OP 平山 友厚 平山 友厚          
OP 古川 大樹                
OP 堀井 統之                
OP 松井 秀成                
OP 村田 光陽                
OP 五十嵐 毅 五十嵐 毅          
OP 板川 和俊 板川 和俊 板川 和俊 板川 和俊
OP 大原 泰孝 大原 泰孝          
OP 田村  洸                
OP 山舗  徹                
OP 涌田  悟 涌田  悟          
【凡例】選手名左の記号は今期順位戦の所属クラス。
    八:八翔位・名:名翔位
    推薦:麻将連合推薦枠出場・OP:オープン出場(支部内は五十音順)、アルファベットは卓番。
※平賀聡彦は最高位戦日本プロ麻雀協会の所属選手

第34期八翔位戦 システム

【出場資格】
・麻将連合推薦、オープン参加選手及び連盟所属選手。
・オープン参加選手は、マージャン101各支部内より選抜。
【1次予選】
・各卓4戦(1日)を戦う。
・規定回終了時のスコア上位2名を勝ち上がりとする。
・4回戦終了時に上位2名が確定しない場合は、これが確定するまで延長戦を実施する。
【2次予選】
・2次予選シードの連盟所属選手及び1次予選通過者により行う。
・各卓6戦(2日)を戦う。
・規定回終了時のスコア上位2名を勝ち上がりとする。
・6回戦終了時に上位2名が確定しない場合は、これが確定するまで延長戦を実施する。
【準決勝】
・2次予選通過者により行う。
・各卓6戦(2日)を戦う。
・6回戦終了時に単独で2昇以上の首位者が決定戦の出場資格を得る。
・6回戦終了時に単独で2昇以上の首位者が発生しなかった場合は延長戦を実施し、7回戦以降はその回の開始時の首位者のスコア+1昇に単独で到達する者が発生するまで延長戦を実施する。
・「初めて、四者同スコアで決着権がある状態」となった場合は、その一戦の終了時の単独首位では決着としない。
  ただし「再度、四者同スコアの状態」となった場合は、同戦終了時の単独首位で決着とする。
【決定戦】
・八翔位及び準決勝通過者により行う。
・10戦(1日4戦)を戦う。
・10回戦終了時に単独で3昇以上の首位者を優勝とする。
・10回戦終了時に単独で3昇以上の首位者が発生しなかった場合は延長戦を実施し、11回戦以降はその回の開始時の首位者のスコア+1昇に単独で到達する者が発生するまで延長戦を実施する。
・「初めて、四者同スコアで決着権がある状態」となった場合は、その一戦の終了時の単独首位では決着としない。
  ただし「再度、四者同スコアの状態」となった場合は、同戦終了時の単独首位で決着とする。