第37期順位戦A級最終節 直前インタビュー

インタビュー:木村 由佳

 第37期順位戦もあと1節を残すところとなりました。A級では、小川隆、堀川隆司、西尾剛(期首順位順)の3人の選手が6昇で並び、第27期名翔位は実質この3人に絞られたようです(期首順位は前年の成績の順番で、最終戦終了時に同昇の場合は、期首順位が上の人が優勝となります。)。
 今年、A級最終節1日目の模様がスリアロチャンネルで配信されます。大事な戦いを前に、3人の選手に意気込みなどを伺いました。

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 堀川隆司(ほりかわ・たかし)さんは1993年に登録して勤続24年目。12年前の第15期名翔位でもあります。その後、一度だけB級に降級しましたが、翌年すぐA級に復帰しました。最高位戦クラシックでは2015年にベスト16、2016年は決勝卓に残り、注目を集めました。

―――最終節を前に、これまでの戦いを振り返ってください。
堀川「第2節(7月2日・3日)がよかったですね。初戦に負けましたが、その後5勝できて、2節を終わった時点では5昇の単独首位に立てていました。出来もよかったし、手ごたえがありました。第3節(8月27日単独開催)は、クラシックの前日だったんです。4戦やって1勝1敗で単独首位は守りましたが、意識が分散してしまったような気がします。4戦の大事な対局が2日連続で、しんどかったかな、と思います。
 第4節(10月15日・16日)は、今までで一番全身全霊を傾けて打ちましたが、初めに2連勝した後もう帰りたいと思いながらずっとバーが続き、最後に力尽きて1敗しました。もっと星を伸ばして突き放したいと思っていたのに、小川さんに追いつかれ、期首順位は小川さんが上なので追い抜かれましたね。特に、ナルちゃん(成岡明彦選手)にトップを取られた23回戦は、しょーもないマージャンを打ってしまったと反省しています」

―――今年A級は大貝博美選手、大川戸浩選手が初めて参戦していましたが、何か影響はありましたか?
堀川「それは感じませんでしたね。大貝さんも大川戸さんもおとなし目に打っていた感じで、特にやりにくいということはなかったです」

―――最終節の初日は配信がありますが。
堀川「配信は、クラシックの決勝卓でたくさん打ったのでもう大丈夫です。クラシックの時、最初はちょっと固くなってるなと思いましたが、あそこでたっぷり打って慣れました。今回は手積みなのでまたちょっと違いますけど。配信は、僕は多分初戦(3人の直接対決)だけなので、いつも通り打ちますよ」

―――最近、お仕事をやめられましたね? 生活に変化はありますか?
堀川「マージャン店で働いていたのを9月半ばにやめて、自分のマージャンに集中しています。クラシックに負けたことも意識の変化に影響していますね。ほぼ毎日、昼の12時から10回打ち、平井さん(平井淳選手/A級)のガハ研やマージャン101イン東京にも積極的に参加しています。ここから最終節までは、生活を大きく変えることはないですね。あと何日、あと何日と思いながら集中力を高めて行って、最終的には今まで積み上げたものを出し切りたいです。肩の力を抜いてあと7戦、フラットな気持ちで戦いたいと思います」

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 小川隆(おがわ・たかし)さんは1996年に選手登録して21年目。6年前の第21期名翔位、そして2013年から2015年、第30・31・32期と八翔位を3連覇しました。4連覇はなりませんでしたが、それだけに、名翔位を目指す気持ちは強いのではないでしょうか。

―――最終節を前に、これまでの戦いを振り返ってください。
小川「1節ごとに昇を積み重ねてここまで来たという感じです。毎年こういう感じでいいところまでは来るのですが、最後に勝ちきれないところがあるので、今年は最終節にやらかさないようにしたいです」

―――今年A級は大貝博美選手、大川戸浩選手が初めて参戦していましたが、何か影響はありましたか?
小川「ありありです。2人ともなかなかトップを取らせてくれません。大貝さんとは順位戦ではC級時代、さらに昨年の八翔位決定戦ではかなりたくさんの対戦経験がありましたが、大川戸さんとは初めての公式対局で不安でした。実は、昨年B級の最終節の対局をこっそりと見学(偵察ではなく)しました。その時に見せつけられた昇級を決めたスーアンコには怯えました。心臓に悪いです。今期、成績が揮わないのは初めてのA級ということで謙虚にしているのかもしれません。むしろ、第4節の25回戦までは成岡が怖かったですね。その後、崩れてしまったようだけど。」

―――最終節の初日は配信がありますが。
小川「配信の見どころは1回戦ですね。現在の上位3人と、現名翔位の平井淳選手の戦いです。平井さんは『とにかくトップを取りに行く』のようなこと言っていたので、厳しく攻めてくると思います。A級3年目の西尾さんもここが勝負どころと思って積極的に来るでしょう。C級時代から西尾さんとはよく打っていますが、マージャン101に大変熱心な選手の一人です。初戦はぜひ皆さんに見てほしいですね」

―――最終節の戦い方はイメージしておられますか?
小川「ここ数年、毎年のように取るチャンスがあったのに、最終節に自ら転んで逃していますから、最大の敵は自分自身ですね。 過去3回、最終戦で『自分自身がトップを取れば優勝(相手がトップでも)』という条件がありました。一度もトップを取れませんでした。しかも争っている相手( 田中(実)、成岡、平井)はすべてトップを取って優勝を決めているのです。最終戦になると自分の勝負弱さが発動してしまうので、その前に決めておかないと苦しいでしょう。」

―――八翔位でなくなったことの影響はありますか?
小川「少しでも糧にして戦いたいと思います。今年でA級生活10年目と区切りがいいですし、何とか名翔位を取りたいものです。」

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 西尾剛(にしお・つよし)さんは、1998年登録で19年目。お仕事が忙しくて時間が合わず、残念ながらインタビューできませんでしたが、「落ちないように頑張ります!」という一言をいただきました。

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 A級最終節は12月17日と18日。17日にはスリアロチャンネルで配信があります。実況は小林剛プロ(麻将連合)、解説は山内啓介選手と菊池一隆八翔位です。
 選手の皆さん、頑張ってください。
(了)