第32期八翔位決定戦

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観戦記:須藤 浩(麻将連合)

 準決勝には順位戦選手以外の参加者が多く残っていたが、終わってみれば順位戦に長く在籍し好成績を挙げ続けている選手が多く勝ち上がった。
 筆者も準決勝で敗れた1人であるが、実際に戦ってみて「順位戦選手は、やはり強い」という思いを強く抱かされた。
 そんな中、ただ1人オープン参加の関根秀介選手が見事決定戦進出を決めた。関根選手もオープン参加とはいえ、日ごろより101を多く打ち続け「第6回マージャン101チャンピオンズマッチ優勝」の実績を持つ実力者である。

 現在最強とも謳われる、現八翔位小川隆選手。
 順位戦A級にして名翔位の経験もある、堀川隆司選手。
 今期順位戦A級昇級目前、王座戦優勝の経験もある、大貝博美選手。
 そして、前出の関根秀介選手。

 まさに101の実力者が出揃い、見応えのある決定戦になると予想された。

・・・予想された、が、予想をはるかにはるかに超える、これほどの大熱戦になろうとは。(以下、文中敬称略)



◆◆◆ 1回戦 ◆◆◆

起親より(以下同) 関根・大貝・小川・堀川

 東1局その1【牌譜1】、開局早々に大貝が1巡目から切り。これは早い手が入っている可能性が非常に高い。
 早速、場に緊張が走る。
 親の関根は、4巡目からメンツを中抜きして、大貝に通る牌を並べ続ける。
 それに対し、小川、堀川の両名は、キツイと思われる牌を押し続ける。
 これが、今決定戦における大半の局で、見られた戦い方であった。
 大貝、関根は手が入った戦えるときには確実にアガリを取り、その他の局では徹底した守備を見せる。それに対し、小川、堀川は少々キツイと思える牌であっても押し返す局が非常に多い。その結果放銃に繋がることもあるが、相手に対応させることで失点を防いでいることも多く見られたのだ。
 守備の大貝、関根。攻めの小川、堀川。そんな単純な対比だけで打ち手を語れるものではないが、この決定戦を通じての戦い方がよく出ていたので、取り上げてみた。
 大貝のテンパイはやや時間がかかったが11巡目、打でこの形。
 このは、かなりテンパイが入った感じが出ていたが、ピンフのテンパイが入っている小川が通っていないと押し返す。
 さらに13巡目にタンヤオドラ1のテンパイが入った堀川も、2人に通っていないドラまたぎのを打ち出して、大貝に40の放銃となった。
 この局の、2人の押し様を見ておいて欲しい。このテンションで、今後もずっと戦い続けるのだ。

 その後、堀川が関根へ、16、18と放銃し、関根と大貝が微差のトップ争いとなる。
 しかし、ラス目の堀川もまだまだ死んでいない。ホンイチリーチ、ピンフドラ1のリーチと戦い続ける。しかしアガリには結びつかない。

 こうして迎えた南4局その1(堀川△9.4 関根+3.4 大貝+4.0 小川±0.0 供託2.0)【牌譜2】
 ラス目の親、堀川の早いポン。やや遠い仕掛けではあるが、他3者はトップも近いので手が入れば押してくる可能性が高い。
 そして、切りにくかったドラを重ねた関根が、13巡目にを切り、フリテンながらも
のテンパイを入れる。
 このをポンして、堀川も、
  
のテンパイ。
 次巡に関根、3枚目のドラをつかむ。60を放銃すると、ラス目に落ちてしまうため、堀川の現物切りで回る。
 関根のテンパイは1巡の命であったかと思われたが、次の関根のツモが、さらに4枚目のドラ。これをアンカンして、リンシャンから引いたのがで再度テンパイ。確実に堀川の現物を切って、
 
の、テンパイを組んだ。
 堀川の連荘か、関根のアガリか、はたまた流局で大貝のトップかと思っていたら、17巡目、比較的通りそうな牌を切っていた小川から「ロン」の声。
ツモ・イーペイコーで5・10。前巡テンパイでの、即ツモアガリ。供託を入れて、この1回のアガリだけでトップを奪い取った。
(◎小川/●堀川)



◆◆◆ 2回戦 ◆◆◆

小川(1昇)・堀川(△1)・大貝(0)・関根(0)

 並びができたので、ここからの戦いは自身のトップはもちろんだが、昇持ちの選手を苦しめるような戦いにもなってくる。
 10戦終了時に、単独で3昇以上すると優勝。それ以降は延長となり首位者がトップを取らない限りは終わらない。ということは、9戦終了時に3昇を持たれていると、10戦目はラスさえ引かなければ優勝。また9戦終了時に2昇を持たれていても、10戦目でトップを取られてしまえば終了してしまう。そのため、あっさりと優勝者が出ないように下位陣はなるべく2昇以上の選手が出ないように苦しめるというわけだ。
 そして、延長にさえ入れば下位の選手も普通にトップを取りに行くことができる。いわゆる「目無し」ができないこのシステムは、非常に優れたシステムであると思う。

 さて、1昇持ちの小川が起親となった、東1局その1。小川に、5巡目ピンフドラ1のテンパイが入る。
 8巡目には、ツモで高めサンショクとなり、高めでアガるようなら2昇目も見えてくるテンパイに変化した。
 小川の捨て牌は、役牌を先行して切っているとはいえ、まだテンパイとは思いにくい捨て牌となっている。
 堀川も、11巡目に、
となり、真っ向勝負の構え。入り目によっては、小川に放銃となるところであったが、小川からをチーして、打と放銃回避。次巡に、小川からがツモ切られ、堀川に決定戦初アガリが出た。

 東2局その1(堀川+4.0 大貝±0.0 関根±0.0 小川△4.0)。
 ラス目となった北家小川であるが、今局もドラトイツのチャンス手が入っている。
 8巡目には、ここから3枚目のカンをチー。
 打でイーシャンテンに。
 2巡後には、をアンコにして、ラス抜けのできるリャンメンテンパイを入れる。
 しかし、高い手の形だけ残して受けながら手を進めていた大貝にも、このテンパイが入っていた。
 小川にさらにドラが入り、恐ろしい手になっていたが、大貝が押し切ってツモの20・40。再び小川はチャンスを潰された。

 大貝が7・14で加点した後の南1局(小川△6.7 堀川△0.7 大貝+10.8 関根△3.4)【牌譜3】
 現状1昇持ちの小川のオヤ番。ここで堀川4巡目の手牌がこうなった。
 タンヤオドラ2が見える連続形の多い好形の手牌である。しかもマンガンツモならトップ目の大貝に並びかけることもできる。ここまでの堀川の行き方であったら、を切るものと思っていた。
 しかし、堀川は少考の後切り。さらに次巡、連風牌のがトイツになるも、ピンズの連続形を1メンツに固定する切りとしたのだ。
 1昇持ちの小川が現状ラス目でオヤ番。ここは小川をラスのまま封じ込めるため、役牌を抑え込んだのだ。堀川にとって、4巡目のツモは、小川の3種類目の役牌だったため、受けを選択するタイミングとなったのであろう。
 実際に、小川にはが配牌からトイツ。このをポンしてもアガリがあったかは微妙であるが、堀川の対応はとても素晴らしいと感じた。私なら手牌の欲に負けて字牌を連打してしまっていそうで、この選択肢があること、そして実際に欲を抑えてこの選択ができることに、強さを感じたのだ。
 結果は小川にのシャンポン待ちテンパイが入るも、誰の手からも打ち出されることなく狙い通りの流局。そして、この半荘もこの並びのまま終え、1昇持ちが小川から大貝に入れ替わった。
(◎大貝/●小川)



◆◆◆ 3回戦 ◆◆◆

大貝(1昇)・小川(0)・堀川(△1)・関根(0)

 東4局その1(関根△0.4 大貝△0.8 小川△3.2 堀川+4.4)で、関根最終ツモのを引き寄せ、いつもより張った声で「ロン」。
 この160オールで、この回はほぼ関根のトップであろう。あとは1昇持ちの大貝を苦しめに行くところ。そして、次局の関根の行き方が良かった。

 東4局その2(関根+47.6 大貝△16.8 小川△19.2 堀川△11.6)、 6巡目の関根。
 ここから切りと、ホンイチ狙いをハッキリと見せる。その後を重ねたところで、をポンしてイーシャンテンに取った。
 「いつでも差しますよ」と、堀川、小川にテンパイが入るのをただ待つのではなく、自らもアガリに行って堀川、小川からは見逃す。この方が注目すべき相手も増えるので、大貝の手も詰まりやすいし、より精神的な疲労を与えることになる。これからの長い戦い、精神力の削り合いの側面も出てくるであろう。
さらに、ほぼトップとは言え、気前よく差し込み続けていると大貝のラスが濃厚になった瞬間に、堀川、小川がトップを捲りに来ることまであり得る。
 そういったことを含めて、関根の前に出て大貝からの直撃を狙いつつ、脇の2人に放銃はまあ良し、とする行き方が良いと思えたのだ。
 この局は、堀川が20・40のツモアガリで、関根としてもまずまずの結果に。

 その後、小川にも13・26のツモアガリが出て、大貝をラス目に落として迎えた南4局その1(関根+42.3 大貝△20.1 小川△16.0 堀川△6.2)。全員に狙われながらも放銃なしで耐え忍んでいた大貝に、15巡目テンパイが入った。
 7・14のツモアガリでは足りないので、当然のリーチ。このカンが、この巡目にしてヤマに2枚残り。
 しかし、このは誰の手に行くこともなく、王牌に埋もれたまま流局となった。
(◎関根/●大貝)



◆◆◆ 4回戦 ◆◆◆

堀川(△1)・小川(0)・関根(1昇)・大貝(0)

 2回戦、3回戦ともに、前回のトップ者がラスを引かされるという展開になっている。
 特に今回のメンバーは、2昇持ちにして優位に立たせないということを、強く意識して戦っているように見える。順番で言えば、今度は関根が狙われる番ということか。

 この4回戦は、アガリが頻発する半荘となったが、チートイツドラ2をツモアガった小川が一歩リードした状態で迎えた南2局その1(小川+7.0 関根△1.7 大貝△1.3 堀川△4.0)【牌譜4】
 9巡目に大貝がテンパイ一番乗り。
 この段階で、が6枚切られていたため、ピンズの伸びに期待して切りを選択した。
 同巡、堀川も追いつく。
 現状△1で、この半荘もラス目。ここでマンガンツモならトップに立てる点棒状況である。
 切りか、切りか。そして、リーチをするのかしないのか。
 ワンズの上が場に出ておらず、判断が難しいところであるが、堀川は切りリーチを選択した。
 リーチを受けて、即親の小川にもテンパイが入る。
 は、たった今堀川が切ったばかりの牌。また、自分でを捨てているため、フリテンになってはいるが、現状役なしなのでツモアガリ限定なのは同じ。一方、は現物ではないが、比較的通りそうなスジになっている。
 小川は、ここから切りヤミテンを選択した。これは、タンヤオに振り替わる、ドラのを引いた際に、出アガリが効く変化も残したということであろう。
 この決定戦を通して小川の選択を見ていて思ったことは、積極的に小さいリスクを多く取っているということ。
そのおかげで相手にひょっとして手が入っているかもと思わせる局数が多くなり、相手がオリてくれることも多くなる。完全にオリを見せることは、放銃というリスクは回避できるのだが、同時に相手に攻めるチャンスを与えることに繋がり、放銃率は低くても失点率は高くなってしまうリスクがあるのだ。
一歩間違えば大怪我をしかねないが、相手の速度や、テンパイが入っているか否か、組合せ的に可能性が低いテンパイ形といった読みの精度を上げることで、放銃率をほとんど上げることなく失点率も下げる。小川はこの精度が非常に高いため、好成績を挙げ続けているのであろうと、強く印象に残った。
 3者のテンパイがぶつかる局になったが、この局は堀川が高めのを即座にツモアガリ、30・60。ラス目からトップ目にまで突き抜けた。

 さらに南3局、ラス目に落ちた関根と04差の大貝が、役なしドラ2の手をツモアガリ10・20と、やはり1昇持ち関根が苦しめられる展開となる。このまま終われば、全員0に戻るところであった。
 しかし南4局、役牌から打ち出し、2組もターツを手出しして、明らかに手が入っているように見える小川。そこの現物待ちでひっそりとチートイツドラ2のテンパイを入れていた関根が大貝からの直撃に成功し、ラス抜け。
前回のトップ者がラスを引かされるパターンを覆し、関根が1昇を守った。
(◎堀川/●大貝)



◆◆◆ 5回戦 ◆◆◆

小川(0)・大貝(△1)・堀川(0)・関根(1昇)

 今期の八翔位決定戦は1日5戦と決められているので、これが1日目の最終戦である。
 1昇持ちの関根、この1昇を守ろうとするのでなく、さらに昇を伸ばすべく攻める。
 東2局こそ、ドラ暗刻の手から大貝に30を放銃するも、東4局のオヤ番では
 この40オールでトップ目に立つと、続けて次局には堀川から
の96を出アガり、大差を付ける。

 しかし、このメンバーはあっさりとは終わらせてくれない。
 その次局、東4局その3(関根+18.6 小川△4.0 大貝△1.0 堀川△13.6)【牌譜5】
 堀川6巡目のテンパイは、この形。
 9巡目にドラ2のイーシャンテンとなった親の関根から、生牌のが打たれるも、ポンしてのマチカエはせず。打点と、親への安全牌の兼ね合いの選択ということか。
 そして、同巡の堀川のツモが。3メン待ちに変化したところで、リーチを選択。
 即、高めのドラをツモアガって、20・40。前局の放銃や点差に焦ることなく、見事なアガリを見せた。

 お次は、ラス目に落とされた小川。
 次局の南1局その1(小川△6.0 大貝△3.0 堀川△5.6 関根+14.6)【牌譜6】
 1打目の切りでテンパイが入っていた。
 次巡、ツモでサンショク目が出たところで、切りとタンヤオ含みのイーシャンテンに戻す。
 結局5巡目に引いたのは、サンショクの崩れるであったが、タンヤオのドラ単騎テンパイ復帰。
 これを次巡、即引きアガるのだ。40オールと関根を激しく追い上げる。

 さらには大貝も、南3局その1でドラ2の手をリーチして、即ツモアガリ。こちらも20・40でトップに迫る。大貝もアガリに向かったときに、アガリ切る精度が非常に高い。
 96を放銃している分、堀川が1人沈んではいるが、上位3名はかなり近くなってきた。
 そして、迎えた南4局その1(関根+6.6 小川+4.4 大貝+3.4 堀川△14.4)【牌譜7】
 堀川としては、せめて1昇持ちの関根のトップは避けたいところ。(できれば△1の大貝のトップの方が望ましいか)
 関根にしても、差し込みでトップを逆転される展開は織り込み済みなので、トップ目のオヤ番とはいえアガリに向かいさらに点差を広げに行く。
 しかし8巡目、最初にテンパイを入れたのは大貝であった。
 関根との点差は32差。当然の切りでヤミテンでも40のテンパイである。
 ここで大貝、少考の後リーチを宣言したのだ。テンパイを明らかにすることで関根の足を止めつつ、堀川からのアシストも期待しようという訳である。
 このリーチに、さすがに関根は押せない。ツモか直撃条件かも知れず、堀川の差し込みで点数が足りてない可能性も十分あり得るからである。
 小川は、最良は自身のトップなので、自身の手を素直に進める。大貝に放銃となってもラスに落ちることはなく関根のトップを阻止できるので、それはそれでまあ良しといったところであろう。
 リーチから4巡、堀川は関根の現物で、大貝に通っていない牌を切り続ける。そして、関根がオリたことを確認したところで、関根に通っていない大貝のアガリ牌を差し出した。
(◎大貝/●堀川)



◆◆◆ 6回戦 ◆◆◆

堀川(0)・大貝(△1)・関根(1昇)・小川(0)

 日が変わって、2日目の朝。
 昨日の朝の緊張感とは異なり、すぐにでも全力の戦いが始められそうな集中した空気が対局室を支配していた。
 そして予想通り、1戦目となる6回戦から激しい戦いが繰り広げられることとなった。

 東1局その1。親の堀川がこのポンテンを入れる。
 
 そこに、危険なを切ってきた小川にもテンパイが入っていた。
さらに、ドラを重ねた大貝も追いつく。
 結果は、堀川がドラをツモって10オールの先制。

 次局は、大貝対関根。
 11巡目に、大貝にこのテンパイが入る。
 同巡、関根もテンパイ。
   今度は大貝が競り勝った。をツモって13・26。

 流局を挟んで、東3局その1(関根△2.3 小川△2.3 堀川+0.4 大貝+4.2)。
 小川のテンパイは10巡目。
 ここに、親の関根が追いつく。
 さらに大貝も、通っていないを押して、ドラ2のテンパイを入れる。
 アガったのは小川。ドラをツモアガって20・40。とにかく複数人に手が入り、押し合う局が多い。

 次局の東4局その1(小川+5.7 堀川△1.6 大貝+2.2 関根△6.3)は、攻めてはいるもののアガリのなかった関根が、ピンフドラ2の手をリーチ。どうせ1昇持ちで狙われる立場なら、稼げるチャンスは稼いでおこうということか。
 しかし、これを親の小川が交わす。

 1局流局を挟んで、またぶつかり合ったのが南1局その1(堀川△2.4 大貝+1.4 関根△8.1 小川+9.1)。
 やや苦しいラス目となってきた関根が、ドラ待ちのリーチ。
 ここに通っていないを押した堀川。数巡後にこんな手をツモアガった。
 ツモサンショクドラ1の40オール。ほぼ毎局手がぶつかり合い、ツモアガリが頻発する息もつかせない展開。
 まだまだ、これでは終わらない。今度は南2局その1(大貝△2.6 関根△13.1 小川+5.1 堀川+10.6)【牌譜8】
 関根14巡目に苦しいながらも、ポンしてチンイチイーシャンテン。
 
 ここに、ドラ3になっていた大貝が追いつく。
 ドラを切ればピンフだが、既には4枚切れ。ここで大貝は場に3枚切れの切りで、単騎のテンパイを取った。
 そして大貝、次巡2枚切れのをツモったところで、スコアボードに目をやる。
 関根へが放銃になることを嫌がったのかと思いきや、大貝の選択はツモ切りで「リーチ」。
 スコアボードに目をやったのは、リーチで無防備になることで、1昇持ちの関根に対し隙を見せることを気にしたのであろう。ただそれ以上に、手牌の値段と待ちに自信があったため、勝負をかけたということか。
 そして、2人に挟まれた小川の手が詰まる。悩んだ末打ち出されたのはであった。

 続く、南2局その2(大貝+9.4 関根△13.1 小川△6.9 堀川+10.6)。
 前局のアガリでトップに近づいた大貝。今局もスムーズに手が進み、6巡目にはサンショク確定のチーテンを入れてドラ切り。
 
 しかし、関根から再びリーチがかかる。
   関根、即座にをツモって、13・26。ようやくアガリに結びついた。これで小川を交わしてラス抜けを果たす。目まぐるしい順位変動である。

 南3局その1(関根△7.9 小川△8.2 堀川+9.3 大貝+6.8)【牌譜9】
 大貝にチャンス手が入る。1巡目の段階でこの手。
 ツモアガれば、自身がトップ目に立ちつつ、関根に親カブリをさせてラスに落とすこともできる。
 しかし、先にテンパイが入ったのはラス目の小川。
 途中、難しい選択もあったが、このテンパイを入れてリーチ。
 時間はかかったが、ツモアガって20・40でラス抜け。

 この半荘は激しいぶつかり合いが多く見られたが、南4局は5巡目テンパイの堀川が関根から28を出アガリして、順位はそのまま。
 ほぼ全ての局にアガリが出るという激しい戦いは、終わってみれば△1の堀川がトップ、1昇の関根がラスとなり、全員のスコアが0に戻るという結果に終わった。
 本当に1昇持ちが毎回のように苦しめられ、ここまで誰も2昇を持つことがない戦いが続けられている。
(◎堀川/●関根)



◆◆◆ 7回戦 ◆◆◆

大貝(0)・関根(0)・小川(0)・堀川(0)

 相変わらず、手がぶつかり合う局が多いのだが、前回と違ってこの7回戦は、流局も多くアガリ点も小さかったため、微差のまま局が進行していた。

 南3局その1を迎えた段階では、(小川△0.5 堀川△0.1 大貝+2.6 関根△2.0)となっていた。
 ラス目の関根15巡目にテンパイが入りリーチ。
 高めを引ければ、トップにまで抜けることができる。
 ここに堀川が、無スジを押してきた。当然ここもテンパイで、テンパイ形は
 これもアガれば、オーラス親カブリでのラス落ちの危険がかなり低くなる。
 しかし、どちらのアガリ牌も表れることなく、供託のリーチ棒を1本残して、南4局を迎えることとなった。

 南4局その1(堀川△0.1 大貝+2.6 関根△3.0 小川△0.5 供託1.0)【牌譜10】
 今局、親の堀川は01沈みの2着目ではあるが、関根のツモアガリ5・10以上でラスに落ちてしまう。しかもドラが数牌のなので、ドラが1枚入っていればあっさり5・10以上になってしまう。僅差でのラス親はツライ。
 そのため自身でアガリに向かいたいところだが、ちょっとアガリが見えない手牌。関根に役牌を「ポン」と言われるとラスの可能性がかなり高くなってしまうので、関根の役牌が3種1枚ずつになったところで、アガリをほぼあきらめて絞りに回った。
 そしてもう1つ、堀川には期待もあったであろう。それはトップ目の大貝が1巡目からを切り出し、アガリに向かって来ているのだ。これはかなりの好形が期待できる。大貝のアガリであれば、前局の関根が出したリーチ棒のおかげで、マンガンの親カブリをしてもラスにはならないので、先にアガってもらおうとの期待である。
 実際に、大貝は4巡目にテンパイであった。
 6巡目、大貝がツモ切ったを関根が「ポン」。
 捨て牌的に、苦しい仕掛けという感じはせず、ポンテンも十分ありそうであり、場に緊張が走る。
 そして、2巡後に関根がを引き寄せて「ロン」。
 
 堀川、肝を冷やしたであろうが、アガリ点は3・6。このアガリで、関根は小川と同点ラスなしとなった。
(◎大貝/●なし)



◆◆◆ 8回戦 ◆◆◆

関根(0)・大貝(1昇)・小川(0)・堀川(0)

 今度は1昇を持った大貝が、今まで以上に狙われる回となるであろう。
 規定の10回戦まで残り少なく、この土壇場で2昇以上をされると、ラスを押し付ける半荘が少なくなっているので、より条件が厳しくなってしまうからである。

 しかし、東1局その1。
 親の関根が、13巡目に生牌のを切ってピンフのテンパイを入れる。
 ここに小川が対応して、のトイツ落としで回ると、続けて切った2枚目のに大貝から「ロン」の声がかかった。
 ピッタリテンパイの64。1昇持ちの大貝だけに今後ターゲットにはされるであろうが、2昇目を挙げるチャンスが出てきた。

 この後、関根から堀川へ12。小川から大貝へチートイツの16。小川から堀川へ28。と細かくアガリが出るが、大貝の点棒は全く減ることなく局が進む。
 そして、迎えた南3局その1(小川△10.8 堀川+4.0 関根△1.2 大貝+8.0)【牌譜11】
 ここまで失点が続き、ラス目になっていた親の小川に手が入った。8巡目に
 を切れば、タンヤオピンフ高めリャンぺイコー(イーペイコー×2)。しかし、その高めのは既に場に2枚出てしまっている。そして、このが比較的良さそうな待ちに見えるのだ。を切って、タンヤオチートイツに受けることもできる。
 小川の選択は切りでヤミテン。安めのツモでもラス抜けができるので十分というところか。
 3巡後にを引いてしまい、「あっ」と思う間もなく、ドラトイツの手になっていた堀川から、4枚目のが切られていた。

 続く南3局その2(小川+1.2 堀川△8.0 関根△1.2 大貝+8.0)では、残り1巡で堀川がノーテンリーチ。現状、小川と大貝の点差が68なので、次局の小川の条件を緩和しに行った。
 もちろん自身の連荘が第一希望であろうが、それが叶わなかったときには大貝の2昇は何としても阻止したい。

 南4局その1は堀川が8オールで連荘し、迎えた南4局その2(堀川△5.6 関根△2.0 大貝+7.2 小川+0.4)。
 8巡目に、小川に出アガリでトップを逆転できる手が入り、リーチ。
 堀川は自身のアガリを追いながら、小川に放銃となるも良しと真っ直ぐ攻めるであろう。いよいよ終盤になれば積極的に差しに行くこともあり得る。
 関根の立場は難しいのだが、このまま流局すると、大貝2昇、関根0となる(小川0、堀川△1)。
 となると、積極的に狙いたい手段ではないが、いよいよ終盤になれば自身がラスに落ちても小川に差す手もあるのであろうか。その場合は、大貝1昇、関根△1なので、このまま流局した場合と同じく首位までの昇差は2で変わらない。そして2昇者を出すこともなくなる。
 ただし、小川に差し込んだ場合は今までとは違い、1昇者が2名になるので、次の9回戦で2昇者が出やすくなっている。
さらに差しに行って最悪なのは、小川に差してみたら、小川はトップに届かず、自身が単にラス落ちというケース。まあ、そんなアガリはしないだろうと信じるしかない。
 などなど、そこまでのリスクを負って、自らラスを引きに行って2昇者を出さないようにするべきなのか、非常に難しいところ。
 さすがに、そこまでのリスクは負えないか。関根は、小川と堀川と任せる道を選択した。
 結果、堀川の最後の差し込みも不発に終わり流局。ついに2昇者が出ることとなった。
(◎大貝/●堀川)



◆◆◆ 9回戦 ◆◆◆

関根(0)・大貝(2昇)・堀川(△1)・小川(0)

 この回に大貝がトップを取ると、最終戦は大貝にラスを引かせない限り、優勝が決まってしまう。
 そのため、これまで以上に大貝へのマークは厳しくなるであろう。
 大貝にしてみれば、全員がラスを引かせに来ることは先刻承知。見逃しも頻発することが予想されるので、いつもよりもトップ取りに比重を置いて自らアガリに行く方がかえって安全そうである。

 東2局、大貝のオヤ番で堀川が3・6をツモアガる。これで大貝ラスの並びにはなった。まだこの先は長いが、この後アガリが全く出ない(出させない)ということも、ままあるのが101の怖いところ。

 すると、その後の大貝、慌ててラス抜けを目指してジタバタするのでなく、このままの点差を維持するよう守る作戦に出たのだ。
 大貝が守るように打ち始めて、ようやく、なるほどと気づかされた。
 慌ててラス抜けをしたところで、帳尻を合わされるのは目に見えている。そして、このままなら他家は大貝ラスをあまり崩したくないので、それほどアガリが出にくい場になる。この状況を利用して、1アガリでラスからトップまで狙えるこの点差を維持し、南3局〜南4局あたりに勝負をかける方が、3昇目を取りやすいと考えたのであろう。そして、その戦い方は大貝の普段のスタイルにも合っていることも大きいか。

 そして、大貝の狙い通り、アガリが出ないまま迎えた南1局その1(関根△0.3 大貝△0.6 堀川+1.2 小川△0.3)。
 小川がトイトイの端牌待ち、
 
 堀川はタンヤオドラ2のイーシャンテンで真っ直ぐ押し、大貝を苦しめる。
 お互いに、高い手は出アガリしないであろう。
 最終手番で、小川がツモアガって20・40。関根が親カブリでラス目に落ちるが、まだそれほど大きな差にはならない。大貝のラスは大切だが、それ以上に大貝のトップは絶対に避けなくてはならないので、自身がトップになる可能性が高いこの手ならば、当然アガるところ。

 そして、迎えた南2局(大貝△2.6 堀川△0.8 小川+7.7 関根△4.3)【牌譜12】
 前局関根の親カブリで、ラス抜けをしている大貝のオヤ番。関根はアガることでラス抜けを、堀川・小川は大貝に親カブリさせることで再度大貝のラスを狙いに行きたい。
 10巡目、条件通りのテンパイが堀川に入る。
 ツモれば、大貝とのトップラスを作ることができる。
 そして関根にも、ラス抜けが十分狙える手が入っていた。
 堀川、関根ともに来ていることを感じていたであろう大貝。そして、特にこの局は、大貝をラスにすべく見逃し合って直撃かツモアガリを狙って来ることも分かっている。そこで大貝は、この局に勝負をかけ、自身がアガリ切る道を選んだ。
 堀川にテンパイが入ると、即座にチーテンを取りを勝負。
 
 しかし、結果は次巡にをつかんでしまい、堀川に80の放銃となってしまった。
結果は残念であったが、ジッとしていてもオーラスまでに点数を合わせてラスに落とされる可能性が高いだけに、どこかで勝負をかける必要がある。大貝も、タイトルを取るための1度目の勝負所と、覚悟の上の放銃であったであろう。
 結果、このままの並びで8回戦を終え、2昇持ちの大貝がラスを引いたことで、10戦目での決着はなくなった。
(◎小川/●大貝)



◆◆◆ 10回戦 ◆◆◆

小川(1昇)・大貝(1昇)・堀川(△1)・関根(0)

 開始前にスコアのことを考えていたのだが、この回だけは特殊な回なのではないかと気が付いた。
 10回戦までは単独3昇を挙げることが優勝の条件であったが、11回戦からは首位者がトップを取ると優勝という条件に変わる。
 そのため、10回戦までは3昇者を出さないように、なるべく2昇にすらさせないような戦いとなっていたが、ここからは、複数人に決着権を持たせない方が優勝者を出しにくいため、決着権を持つ人数を減らす戦いになるのではないかと。つまり、ここは1昇者にラスを引かせることが叶わない場合、もしかしたら小川、大貝のどちらかを2昇に押し上げてしまう方が得なケースも出てくるのではないか。
 特に堀川は、自身のラスが決定的となってしまったときには、関根トップで3人が1昇で並んで決着権を持つというケースは最悪なので、小川か大貝を2昇に押し上げるであろう。
 また、関根の立場も難しい。自身がトップを取って決着権を持ちたいのは当然だが、堀川がラスになってしまいそうな場合、トップを取らないという選択をせざるを得ないのであろうか。(歴戦の順位戦選手3人を相手に自身が優勝するには、3人で決着権を持ち一発勝負にしてしまう方が、優勝の可能性が高いと考える人もいるかも知れない。しかし、101を愛している関根は、そんな優勝が欲しいのではないと考えているだろうなと思っていた。そして対局後に聞いてみたが、思った通り3人で1昇持ちは避けようと思っていたと語っていた)

 さて、堀川が12、8オールをアガって迎えた東3局その2(堀川+3.6 関根△2.0 小川△0.8 大貝△0.8)【牌譜13】
 関根が9巡目に、をチーしてジュンチャンサンショクのイーシャンテン。
 
 即、下家の小川にをツモ切られてしまいアガリは厳しくなってしまうが、他家から見れば、〈789〉のサンショクか、チャンタかという仕掛けに見えるので、関連牌は切りづらい。足止めの効果はあったかと思われた15巡目、完全にはやめていない小川に対し、関根はほぼ安全な4枚目のを抜いた。
 その瞬間、小川がドラのを手出し。
 ここからの切りであった。もし、関根がオリを完全には見せないでいたら小川は、このドラを勝負したであろうか(仕掛けの後の関根の手出しが多いので、やはり勝負していたか)。
 次巡、小川がをツモアガって7・14。ギリギリまで手を崩さず粘っていた小川が、一瞬の隙を逃さずアガリに結びつけた。

その後、7・14をツモった小川がトップ目に立ち、迎えた南4局その1(関根△3.4 小川+4.8 大貝△2.9 堀川+1.5)【牌譜14】
 最初にテンパイを入れたのは親の関根。10巡目に
  
 堀川がラスでなければ、トップを取って2人で決着権を持ちたい関根。連荘を狙って積極的に仕掛ける。
 同巡、堀川もテンパイ。
 どこから出てもトップのテンパイで、大貝から出れば自身は0に戻しつつ、決着権を持つのは小川1人にできる。
 次巡、小川にもテンパイが入り、関根に通っていないを勝負。
 そして、堀川ツモ。関根にも小川にも通っていないが、タンヤオ仕掛けの関根に対し出にくい待ちより、アガリやすいシャンポン待ちに受けかえて切りを選択した。
 しかし、このに小川が「ロン」。
 28で並びは変わらず、小川がトップで2昇目を挙げ、単独で決着権を持って延長戦を迎えることとなった。
(◎小川/●関根)



◆◆◆ 11回戦 ◆◆◆

大貝(1昇)・堀川(△1)・関根(△1)・小川(2昇)

 2週間後、延長戦となる11回戦目が行われた。決着権を持つのは小川1人。
 下位陣の堀川、関根にしてみれば、小川トップは当然避けなくてはならないが、できれば小川のラスかつ下位陣のどちらかのトップも狙いたいところ。

 しかし、そんな思惑も東1局その1で崩れることとなった【牌譜15】
 堀川、11巡目にこんなイーシャンテン。
 ここにツモったをツモ切ると、小川から「ロン」の声が。
 小川も特に目立った捨て牌をしているわけでもなく、とりたててが危険というわけでもない。
 やむなしの放銃と思うが、小川が早速32のリードを持つこととなった。

 ここから小川のトップを阻止しに行くところだが、小川が手を緩めないこともあって、他家もなかなかストレートに手を進めることができず流局続いて、迎えた東4局その1(小川+3.2 大貝±0.0 堀川△3.2 関根±0.0)【牌譜16】
 この配牌をもらった堀川。まずまずの手でアガリもありそうである。しかし、1巡目からと引かされたところで、字牌を打たずに受けを選択。これ以上アガらせるわけには行かない小川の親だけに、役牌を簡単に打ち出すことはできない。
 大貝の11巡目、のリャンメン手出しが2回入った後での、切りはいかにも手が入ったように見えた。実際に、大貝はこのテンパイ。
 この時点ではヤマに残り1枚。
 アガリは難しいかと思っていたが、小川の15巡目・16巡目の手出しを見て、ほぼオリたことが分かった瞬間、堀川がを抜き打った。
 できれば大貝のトップは避けたいところだし、自身のラスも避けたいところ。延命しても△2となっては優勝までかなり遠くなってしまう。できれば関根にアガってもらいたいところだし、最悪大貝のアガリもツモアガリであって欲しかったであろう。しかし、この局が終われば、残りは南場を残すのみ。せめて小川のトップを阻止しなくてはという、苦渋の選択であった。

 続く南1局その1(大貝+5.2 堀川△8.4 関根±0.0 小川+3.2)【牌譜17】
 関根が6巡目に、次の手牌になった。
 ここから、切り。リーチ棒を出して小川のトップ取りの条件を楽にしたくはなく、ヤミテンでのツモアガリでも点数的に不満。そこで、テンパイを取らずに手役を作りに行ったということだ。
 しかし、三暗刻になるを1枚ずつ切られてしまったところで、10巡目に引き戻したでテンパイ取り。次巡にツモって4・8のアガリとなった。
 と、これだけ見れば普通に点数の移動があっただけに見えるのだが、この局の注目は小川の選択にある。
 テンパイ取らずをしてから手が変わらないままの関根が、9巡目にのツモ切り。
 このときの小川の手牌はこうなっていた。
 ここに上家の関根から切られる。これをチーせず見送ったのだ。捨て牌的に、それほどドラが切りにくいというわけでもない。
 しかし、実際にチーをしていると、関根に10巡目にが入り三暗刻でき合いのリャンメンテンパイ。そして今局関根のツモアガリとなったを小川がツモることとなり、ツモ切って32の放銃となっていた可能性が高い。小川が見事なスルーで難を避けていたのだ。
 チーしなかった理由を考えてみると、ドラのは通るかも知れないが、もし放銃となったときにラスに落とされる可能性が高いということであろうか。実際、ラス目堀川にチートイツのイーシャンテンが入っており、場合によっては64の放銃ともなりかねない。小川は小さなリスクを取る選択はするが、大きなリスクになり得る選択は避ける傾向にあるように思えた。現状1人だけ決着権を持ち、この半荘も十分トップも見える浮きの2着目。この11回戦で慌てて決めようとしないでも、この優位を持って戦っていれば、より確実に勝つことができるという自信があるのであろう。

 南2局は流局し、迎えた南3局その1(関根+1.6 小川+2.8 大貝+4.4 堀川△8.8)【牌譜18】
 小川が13巡目にテンパイを入れる。
 大貝にワンズが高く、このカンが良い待ちとは思いにくい。小川もヤミテンに構えた。
 しかし、2巡後のツモで、待ちに変化。かなり良さそうな待ちだが、巡目の兼ね合いもあってかヤミテンのまま。そして17巡目にをツモアガって10・20。
 小川の「ロン」の声と同時に、他3名からは重くうめくような声が漏れた。

 南4局その1(小川+6.8 大貝+3.4 堀川△9.8 関根△0.4)【牌譜19】
 小川のトップを阻止するには、大貝は34差を、関根は72差を縮める必要がある。堀川はハネマンが必要なのでやや苦しくアシストに回る可能性が高いか。
 小川の手牌が最も軽く、さらに突き放すアガリもありそう。大貝も7・14なら十分狙える。堀川はドラ色のワンズ一色狙いか。関根はドラがと使いにくいので、タンヤオピンフか〈234〉のサンショク狙いといったところか。
 最初にテンパイを入れたのは小川。
   ここで、小川の選択は「リーチ」。
 リーチと言われた瞬間には、大貝の条件がかなり楽になってしまうのではないかと驚いたが、いざリーチをされてみるとメリットも結構ある。
 大貝に差したい関根と堀川であるが、小川には打てないので、簡単には差し込みに行けないのだ。また大貝の序盤の捨て牌から、条件を満たすテンパイは入れられる公算が高いと踏んだのであろう。さらに、このリーチをツモアガるようなことがあれば、ほぼ優勝だ。
 堀川と関根は、オリを選択。残るは大貝が追いつくかどうか。
 大貝も重なりを見て残していたを見事に重ねてテンパイを入れ、即リーチ。
 小川のリーチ棒がなければ、差し込みは限定であったが、今ならどちらを差してもらってもトップに立てる。しかし、この9索】は小川にも通っていないので、堀川、関根は簡単には差しに行けない。大貝に当たりそうな、小川の現物を積極的に捨てていくが、それ以外は大貝にツモってもらうことを期待するであろう。
 実際に、その通りの展開のまま、互いにアガリが出ずに迎えた17巡目、西家堀川の手番。仕掛けが入らない限り、堀川にとって最後の手番となる。
 ここまでは小川への放銃を避けていたが、大貝のツモ番も残り1回となれば、小川への放銃も覚悟の上で差し込みに行く選択も十分にある。大貝の待ちがリャンメンとは限らないが、通っていない無スジはのみ。差すならば、このどちらかを抜くであろう。手にはとある。
 ここで恐らく堀川は、関根の手牌にはあるのかということと同時に、関根がチーしてくれる牌はどちらなのかと考えたのであろう。
 関根がチーしてくれれば、もう一度自分に手番が回ってきて差し込むチャンスが増える。しかも関根のチーの後ならば大貝の18巡目の打牌をチーして、今度は関根にまで手番を回すことができる。(さらには関根が堀川の打牌をチーできれば小川にまで手番を回すことも)
 堀川の選択はであった。しかし小川、大貝から「ロン」の声はかからない。そして関根からも「チー」の声はかからなかった。
 今度は関根の番。大貝に通っていない無スジはしかなく、手にはがある。しかし小川にもかなり危険な牌である。これを安易に打ってしまって良いのであろうか。小川に「ロン」と言われれば安手であろうはずもなく、優勝を決めてしまいかねない。大貝の残り1回のツモアガリのチャンスを消してまで、そんなことをしてしまって良いのであろうか・・・。(ちなみに大貝の待ちはヤマに1枚残っている)
 関根の葛藤が続く。
 「ごめんなさい」。心の中でそう叫び、関根が選んだのは切りであった。
(◎大貝/●堀川)



◆◆◆ 12回戦 ◆◆◆

大貝(2昇)・小川(2昇)・堀川(△2)・関根(△1)

 大貝と小川の2人が決着権を持って迎えた12回戦。2人が決着権を持ったときに、1人が抜け出しただけならば3人で結託してトップを阻止することもできよう。しかし決着権を持った2人が大きく抜け出してしまうと、優勝が決まってしまいやすい。

 東1局から、堀川6巡目に役なしドラ1の手をリーチ。大貝・小川にトップを取らせないため、先手を取りにいくが流局。
 続く、東2局その1【牌譜20】
 配牌からドラのトイツの大貝、5巡目に選択。
 ここは、リャンメン変化を重視して、ペンチャンを嫌う切りとした。
 しかし、次巡のツモがで、再び選択となる。何を切っても間違いではないが、間違えられない局面となっている。ここでの大貝の選択は切りであった。
 すると、この後のツモがで、難しい選択を間違えずに最速の20・40をツモアガった。

 前局の大貝のアガリでラス目に落とされた小川であったが、次局にあっさりと5・10でラス抜けし、続く東4局その1(関根△2.5 大貝+8.5 小川△2.0 堀川△4.0)。
 小川9巡目にテンパイし、即リーチ。
 大貝と小川の2人に抜けられてしまうと、決着が濃厚となってしまうこの半荘、下位陣もただ眺めているわけにはいかない。2巡後に堀川が追いついて、追いかけリーチ。
 小川のも、堀川のも、ヤマに残り2枚ずつと五分の勝負であったが、この局を制したのは小川。
 堀川から、高めので40。

 さらに次局の南1局その1(大貝+8.5 小川+3.0 堀川△9.0 関根△2.5)も、小川が11巡目のリーチを即ツモアガリ。
 小川3局連続のアガリで、ラス目からトップ目にまで突き抜ける。
これで大貝・小川が抜け出し、決着がつきやすい点数状況となってきた。

 南2局その1(小川+8.2 堀川△10.3 関根△3.8 大貝+5.9)。
 このままでは終われない、堀川、関根であったが、堀川がと切って2巡目リーチ。安い手で1局消化するはずもないので、高い手であることは想定されるが、もちろん手役などは全く分からない。
 5巡後にツモアガったのは、このような手であった。
 これで、小川、大貝の差も縮まったが、堀川も80出アガリでトップに立てるようになったので、下位陣の押し上げ合いも現実的に。

 いよいよ大詰めとなってきた、南3局その1(堀川△2.3 関根△5.8 大貝+3.9 小川+4.2)。
 微差の2着目大貝が、4巡目にピンフのテンパイ。
 最終局に少しでも条件をつけるために、リーチを選択。もし流局しても次局にアガれば優勝となる。
 このリーチに、親の堀川が一歩も引かずに手を進め、14巡目には追いかけリーチ。
 は大貝の現物にもなっていないので、さすがに関根も差せない。
 も、ヤマに2枚ずつ残っていたが、何とこの4枚が全て王牌に埋もれて流局。
 
 南4局その1(関根△5.8 大貝+2.9 小川+4.2 堀川△3.3 供託2.0)は関根のオヤ番【牌譜21】
 大貝は何でもアガれば優勝、小川もアガるか流局すれば優勝である。
 小川の手が良く、3巡目にして早くも3メンツが完成し、9巡目にはピンフテンパイ。
 真っ直ぐ手を進めている捨て牌で、8巡目に生牌のを手出しした後、次巡ので、これはテンパイが入ったかと全員が思ったことであろう。
 堀川も、6巡目にはイーシャンテンとなっていた。
 13・26のツモアガリか、64以上の出アガリでトップになるので、条件を満たせそうになっている。
 しかし、ここから一向に手が進まず、ツモ切りが続く。
 11巡目に引いたドラのも当然ツモ切り。すると、親の関根から「チー」の声が。
 関根もチーテンで、
 
となっていた。
 大貝は、苦しい配牌から手を進めるも、14巡目にしてこの形。
 さすがにアガリは苦しいか。自身のアガリがないとなれば関根か堀川にアガってもらいたいところ。問題は関根に差すか否か。できれば関根のツモアガリで、次局に13差を捲れば優勝という状況にしたいが、小川に手が入っているのは十分感じ取っている。
 たった今、関根からがツモ切られたところなので、安全牌には困っていない。
 大貝、熟考。
 大貝の結論は、小川の現物である切りであった。
 関根に「ロン」と言われて、役牌暗刻のドラ1で30が濃厚ではと思っていたであろうが、思いの他高く78でラス目まで落ちたのは誤算であったか。
 しかし、小川のは、この巡目にしてまだ4枚残り。今ここで差さなければ、次のツモで優勝を決められていたということも十分あり得ただけに、欲を抑えて差したのは好判断であった。

 続く南4局その2(関根+4.0 大貝△4.9 小川+4.2 堀川△3.3)【牌譜22】
 ラス目に落ちた大貝もマンガンツモで優勝。それが叶わないときは、小川から直撃を取れれば延長。堀川は80の出アガリでもトップに立てる。関根はアガれば連荘とはなるが、とりあえずトップ目に立つことができる。
 7巡目に大貝が、ホンイチチートイツのイーシャンテンに。
 ここで場に2枚切れの切り。すると小川がこのをチー。
 チーしてイーシャンテンではあったが、「ロン」と言われた瞬間に終わってしまうだけに、小川以外の3人からすれば恐怖以外の何物でもない。
 
 この仕掛けに対し、関根9巡目に追いつきリーチ。
 大貝も堀川も、小川の現物で関根に当たりそうな牌は持っておらず、安全牌が捨てられていく。
 そして、11巡目。小川がスッとドラのを手出しする。間違いなくテンパイであろう。
 同巡、大貝が小川の現物をツモってきた。これを迷わず切って、関根に42を差し込んだ。
 ラス抜けも厳しくなってくるが、小川のもヤマ2枚残り。2局続けて、身を挺し小川の優勝を阻止した。

 この後は、関根の14オールの加点、次局の大貝のラス抜けリーチは流局し、このままの並びで終了。
 決着権を持つ2人が抜け出し絶体絶命であったが、関根が踏ん張りと、大貝の我慢で再延長となった。
(◎関根/●大貝)



◆◆◆ 13回戦 ◆◆◆

小川(2昇)・大貝(1昇)・関根(0)・堀川(△2)

 再び決着権は小川1人となった13回戦。点棒が動いたのは東2局その1【牌譜23】
 小川が2巡目にしてイーシャンテン。
 小川はピンズの伸びを見て、切りでイーシャンテンに取った。
 次巡のツモがダイレクトのでテンパイに取れるところだが、ピンズの伸びを見て今度は切り。の比較は、リャンメンができたときの出アガリのしやすさであろう。
 狙い通り、5巡目にツモでピンフドラ1のテンパイ。これがすぐに大貝から出て12。
 この回も小川ペースで進む。11回戦から決着権を持つ小川だが、常に優位に戦っているため対抗する3人は精神的にかなり押されつづけている気分であろう。

 流局後の東4局その1(堀川±0.0 小川+1.2 大貝△1.2 関根±0.0)。
 関根が2巡目にリーチ。
 それに対して、親の堀川にもチャンタ含みのドラ2というチャンス手が入っていた。
 まだ2巡目とほとんど情報も出ていないので、関根のリーチは無視して自分の都合で進めるところ。強い5ブロックを作るために切りとして、関根に40の放銃となった。
 小川のトップ目は阻止する形になったが、堀川も現在△2。延長を続けられるとは言っても、これ以上のラスは引きたくないところであろう。

 関根は、南2局にも3巡目に3メン待ちリーチを、即ツモアガって13・26。
 小川との差を広げ、このままトップを取れば1昇となり優勝が近づいてくる状況で、迎えた南3局その1(関根+9.2 堀川△5.3 小川△0.1 大貝△3.8)【牌譜24】
 堀川が2巡目に連風牌のをアンカン。しかも、このがドラ。ここまでの捨て牌はだけとほとんど情報がない。いきなり安全牌を抜くと、手詰まりは避けられないであろう。テンパイなのかイーシャンテンか、いつテンパイが入ったのかを感覚で嗅ぎ分けなくてはならない。仕方がないでは済まない打点だけに恐ろしい。
 7巡目に大貝から出たをポンして、堀川にテンパイが入る。
  
 最初に手が詰まったのは、トップ目の関根。選んだが痛恨の120放銃となってしまった。
 一方、現状△2の堀川にとっては、ラス目からトップにまで抜けつつ、1昇持ちの大貝をラス目に落とす大きなアガリとなった。

 南4局を迎えて、点数状況は(堀川+6.7 小川△0.1 大貝△3.8 関根△2.8)。
 前局のアガリは堀川にとって大きなものとなっていたが、小川にとってもトップまでの点差が縮まっており優勝条件が少し楽になっていた。
 しかし、この局は小川に手が入らず、ラス抜けまで10差の大貝にタンヤオのチーテンが入ると、1昇持ちの大貝がラスなら良しと、完全にブロックし流局に持ち込んだ。
(◎堀川/●大貝)



◆◆◆ 14回戦 ◆◆◆

大貝(0)・小川(2昇)・堀川(△1)・関根(0)

 ここでも小川1人が決着権を持つが、2昇差ができているためより優位となっている。しかし下位も全然離れていないので、一度小川にラスを引かせれば大混戦になる。
 東1局その1、北家の関根が6巡目にテンパイ。
 さらに、次巡にはを引き、より高くなる。小川から直撃できればと息をひそめるも、出たのは親の大貝から。

 関根の先制で始まった半荘であるが、次の東2局その1で事件が起こる(小川±0.0 堀川±0.0 関根+8.0 大貝△8.0)【牌譜25】
 関根に再び手が入り、7巡目にこのテンパイ。
 親の小川がも切っているので、直撃も期待できる。
 関根のテンパイ後、小川はをトイツ落としするも、その後に通っていない手出しで完全にはやめていないよう。
 関根もオリる様子もなく、小川に通っていないもツモ切る。
 当然、次巡のもツモ切ったが、これに小川が「ロン」の声をかける。
 手を開けられてみると、何とこれがホンイチチートイツ。
 関根にしたら「あれ? はトイツ落としじゃなかった?」との思いであろう。
 ちなみに小川の切りは、ここから。
 を狙いながら、連風牌のにも期待してのメンツ手での選択であった。

 トップ目からの96で、いきなり小川がトップ目と下位陣にとって厳しい点数状況となってしまった次局、東2局その2(小川+9.6 堀川±0.0 関根△1.6 大貝△8.0)。
 小川の配牌がすさまじい。
 これが配牌で、からの切り出し。
 ここにと引いて、6巡目テンパイを入れると、すぐに堀川からが出る。
 手牌を開けられて、さすがの堀川もしばし固まっていた。

 点差的にもう贅沢はいっていられない状況になってしまった。誰か1人が点棒を持ったらあとはそこに集めるしかないか。
 東2局その3(小川+21.6 堀川△12.0 関根△1.6 大貝△8.0)では、大貝が3巡目にサンショク確定リーチ。
 小川の親だけにツモって点差を縮めたいところだが、いよいよ終盤となれば、堀川からの差し込みもありかというところ。
 その堀川にも手が入り、追いかけリーチ。
 こちらもツモアガリが希望ではあるが、点棒の少ない大貝からなら見逃さずにアガるであろう。点棒をどこかに集めなくてはならないが、願わくば集める先は自分にしたいところ。
 このサンショク対決は、堀川がドラのをつかんで大貝に80。見逃し合いもある状況であったが、80の方ならアガっておくのが自然か。

 その後関根が連荘し、小川と170差まで縮めるが、流局でオヤ番が流れて迎えた南1局その1(大貝+0.2 小川+20.8 堀川△25.8 関根+4.8 供託1.0)。
 親の大貝が12巡目にリーチ。
 このリーチに、関根が暗刻持ちのを差し込んだ。
 できれば差し込み役は堀川にしてもらって、関根、大貝の2人で小川を追いたいところであったが、オヤ番で稼げた方が追い上げましょうという狙いであったか。

 しかし関根、次局にあっさりとドラトイツの手をリーチでツモアガって20・40。これで小川の背中も見えてきたが、それだけに前局の差し込み42がどう影響するか。

 南2局その1(小川+18.8 堀川△27.8 関根+7.6 大貝+1.4)【牌譜26】
 親の小川、手を緩めることなく12巡目にはドラを切ってピンフテンパイ。
 他家も小川には打てないので、簡単に差し込めない状況を作る。
 関根も大貝もテンパイを入れられないまま、16巡目に小川ツモ。残り2巡なので、この点差のまま局を流すかアガリを宣するか難しいところ。
 ピンズのホンイチ風味の捨て牌をしていた関根が、生牌のと連続して手出ししたのを警戒してか、小川は連荘の道を選んだ。

 続く南2局その2(小川+21.2 堀川△28.6 関根+6.8 大貝+0.6)【牌譜27】
 1巡目にドラのをトイツにした関根、8巡目にはこの手牌に。
 次巡のツモがで、チートイツのテンパイに取れる。しかも、このは良さそうな待ちとなっている。
 しかし、関根はここから切りでテンパイ取らずとした。メンツ手にして、終盤に選んで差しやすいドラ待ちにしようという狙いであろうか。しかし、その狙いだとすると直前のをチーテンに取っていないので、恐らくこれは牌姿の勘違いか。
 この後、アガリ逃しとなるを引き、アンカンの後にリーチ。
 大貝、堀川とも、まずは小川の現物で関根に通っていない牌を抜く。そして、小川が関根の現物を手出ししてオリたように見えた瞬間、堀川ドラのを抜き打った。

 関根が小川まであと24差と詰め寄った、南3局その1(堀川△40.6 関根+18.8 大貝+0.6 小川+21.2)【牌譜28】
 堀川、8巡目にドラの切りでテンパイを入れる。
 当然、脇の2人からは見逃して、小川から直撃を狙うであろう。
 続いて12巡目、関根も追いつく。
 出アガリで小川を04差で逆転できるが、オーラスにより厳しい条件をつけるためにリーチもある。しかし、関根はヤミテンを選択。これはが、目立っている堀川の現物になっているためであろう。小川からの直撃を狙いつつ、親の堀川が小川からアガって点差が開いてから、次局にアガればさらに大きな点差をつけられるという狙いか。
 今なら直撃も狙えるかも知れないと思いつつ、1巡、2巡とツモ切り、15巡目ので少考。もう直撃も取りにくいだけに、そろそろリーチを打つべきか悩んだのであろう。
 悩んだ結果をそのままツモ切ると、次巡のツモが。10・20で、ついに小川を逆転することには成功したが、南4局は26差で関根のオヤ番。関根、リーチだったかの後悔もあったのではないだろうか。

 小川につけられた大差をようやく捲って迎えた、南4局その1(関根+22.8 大貝△0.4 小川+20.2 堀川△42.6)【牌譜29】
 小川と親の関根の差が26ということは、5・10のツモアガリでも逆転されてしまう。しかもドラはと使いやすい牌。こうなると、小川に役牌を「ポン」と言われた瞬間、条件を満たす可能性が高く、役牌の切り出しも難しい。
 先にテンパイを入れたのは小川。9巡目のテンパイでこの形。
 このとき、親の関根もこのような手になっていた。
 ここに引いたのが、。小川にも比較的通りそうに見えるだけに、ツモ切り。
 小川は役がないので出アガリできないが、次巡ツモでイーペイコーができ、今度は出アガリもできるテンパイになった。
 そして、次巡の関根のツモがを切ればテンパイだが、は生牌。小川に「ポン」と言われれば終わってしまいかねない。しかも待ちのが小川の現物にでもなっていれば、ポンされても堀川、大貝が差してくれるかもしれないが、あいにくは小川にも通っていない。
 そこでテンパイを外す選択をすることに決めた関根であったが、さて何を切るか。さきほど通ったばかりのに手がかかるようなことがあれば・・・。
 関根の選択は、今、小川が切ったばかりの切り。メンツを中抜きして完全にオリる道を選択した。紙一重の回避であった。
 ヤマに1枚残っていたも、再び関根の手に入り、今度は完全にブロック。見事、流局に持ち込んだ。
 さすがに決まったかと思われた小川の大差を逆転し、再延長へ。まだまだ簡単には終わらない。
(◎関根/●堀川)



◆◆◆ 15回戦 ◆◆◆

小川(2昇)・大貝(0)・関根(1昇)・堀川(△2)

 11回戦から決着権を持ち続ける小川に対し、下位陣が何とか凌いで15回戦目にまで持ち込んだ。この日の5戦目なので、さらに延長となれば明日に持ち越しとなる。
 東1局その1の13巡目。親の小川に大物手のテンパイが入る。
 は大貝にトイツで、ここからは出そうにないが、がまだ2枚ヤマに残っている。またも小川ペースで進むのか。
 しかし、ここは関根が小川のチャンスを潰した。安めではあったが、ツモアガって4・8。
 前回トップだった関根は、小川とのトップラスを決めると、逆に1人決着権を持つ立場になれる。僅差ではあるが、並びはできていた東3局その1(関根+1.6 堀川△0.4 小川△0.8 大貝△0.4)。
 3巡目に親の関根がをツモ切ると、堀川から「ロン」の声が。
 堀川にしても、14回戦で懸命に関根を押し上げ延長に成功したが、現状の成績は△2に逆戻りしてしまっている。小川にトップを取られるのは避けなければならないが、自身のこれ以上のマイナスも引き受けにくい。この回でトップを取って、明日の再延長につなげたいところである。

 流局をはさんで、南1局その1(小川△0.8 大貝△0.4 関根△1.2 堀川+2.4)【牌譜30】
 8巡目、ラス目の関根がこのような手になっていたのだが、
 ここからをチーして、切りとしたのだ。これは、生牌のを切ってきた小川に対するけん制の意味合いが強いのであろう。小川にトップを取らせないために、徹底してできることをしている。ドラトイツでもあるので、あわよくばアガリがあればとの思いもあるであろうが。
 さらに、小川がトイツ落としした2枚目のをポンした関根に対し、大貝と堀川が無スジを切りまくる。ちなみに、1枚目のを打たれた直後に関根がを重ねたため2枚目のポンになったのだが、いずれにせよ不十分な形からの仕掛けと読まれてしまったのであろう。
 大貝のテンパイ形は、
 堀川のテンパイ形は、
である。
 大貝、堀川のツモ切りが続いたが、を引いた大貝が切りとするか少考。関根が直前にを空切りしていたことが結果的に大きな影響を与えることとなった。をツモ切り、堀川に80。小川の親を終わらせ堀川のトップの可能性が高くなってきた。

 ラス目に落ちた大貝が、オヤ番で10オールと粘るも、堀川が10・20、7・14と連続してツモアガり、トップを盤石なものとする。
 そして南4局その1(堀川+16.2 小川△3.5 大貝△8.1 関根△4.6)【牌譜31】
 ラス抜けを狙う大貝が、12巡目にリーチ。
 これに対し、ハネマンを打ってもトップのままの堀川が、チーしてテンパイを取る。
 
 できれば昇持ちの2人にラスを引かせたいため、小川、関根のどちらかからの出アガリを狙いつつ、西家の大貝にハイテイを回したのだ。(ハイテイの役はないが、ツモ番を1回増やした)
 結果は流局となり、昇持ちの2人にラスを押し付けることは叶わなかったが、優位に立ってからも優勝のためにさらにできることを追及する姿勢が、とても素晴らしかった。
(◎堀川/●大貝)



◆◆◆ 16回戦 ◆◆◆

小川(2昇)・大貝(△1)・関根(1昇)・堀川(△1)

 前日の延長5回戦でも決着が付かず、ついに決定戦も4日目に突入。この決定戦は1日半荘5回となっており、1日目と2日目は土曜・日曜の連日開催、3日目と4日目も土曜・日曜の連日開催となっている。
 実は、1日目の観戦を終えた夜、対局に見入ってしまったためか寝付けず、翌日には体は辛いのに眼だけは冴えているという状況になってしまっていた。観戦のペースに気を付けたつもりの3日目であったが、やはり目を離せない瞬間が多く見入ってしまい、やはり夜に眠れないで4日目の朝を迎えていた・・・。
 観戦記者ですらこうなのだから、さらに一瞬の集中も切ることができない対局者の体力の消耗は計り知れない。

 関根の14オール、堀川の10・20と、アガリがよく出る展開で迎えた東3局その1(大貝△2.4 小川△2.4 関根+2.2 堀川+2.6)【牌譜32】
 配牌からタンヤオドラ1が見える関根、8巡目にテンパイとなるが、待ち取りにじっくりと時間をかける。
 変化が多いのは切りだが、全員の捨て牌から待ちが良いと判断して切りと構えた。
 実際、このは関根の読み通り、ヤマに3枚残り。2巡後にあっさりとツモアガり、トップ目に立った。
 しかし、ツモった瞬間、関根に一瞬の間があったのは「リーチだったか」との思いがあったからか。

 流局を挟んで、南1局その1(関根+6.2 堀川+1.6 大貝△4.4 小川△3.4)【牌譜33】
 親の関根、5巡目にして好形のイーシャンテン。
 ドラでもなければ、とっとと切ってしまいたいであるが、トップ目でもあり簡単に切れる牌ではない。しかも小川の序盤の捨て牌を見ると、手が入っているように見える。決着権を持つ小川にドラをポンでもされようものなら最悪と、自分からはドラを打ち出さない方針にした。
 関根がドラさえ切れればツモアガリもあったようだが、トップ目ということもあり、なかなかそうは打ちにくい。その間隙を縫って大貝がチートイツをツモアガる。
 このアガリで小川がラス目に落ちた。関根にとっても小川ラスは望ましく、自身のアガリよりもいい結果に終わったのかも知れない。

 次局の南2局その1(堀川+0.8 大貝△1.2 小川△4.2 関根+4.6)では、全員の手がぶつかった【牌譜34】
 最初にテンパイを入れたのは関根。7巡目にタンヤオのテンパイとなっていた。
 しかし、他3人にオリる気配がなく、11巡目に全員に危険なを引かされて、ここでオリを選択。
 次いで、親の堀川にテンパイが入ったのは13巡目。
 関根にとって、タラレバのを堀川から切られた後、大貝にもテンパイが入った。
 このときのテンパイ打牌はかなり目立つ牌で、全員大貝のテンパイは意識したであろう。
 同巡、が処理できるようになった小川にテンパイが入り、リーチ。
 関根、堀川は現物を切れたが、大貝に無スジのがやってきた。
 普段は守備的な大貝であるが、現在の点棒状況とスコア、自身の手の値段、完全な安全牌はないこと、小川のリーチに通っていないスジが多いことなどから、勝負所と判断したのであろう。このを勝負した。
 小川に放銃という最悪の結果は免れたが、堀川に30の放銃。しかしこの放銃は覚悟してのものだっただけに、精神的なダメージはなかったのであろう。

 その証拠に、次局に大貝にしては珍しく、気合の入った声とアクションで「ロン」。
 この20・40で、トップ目に立った。

 このアガリで小川の1人沈みとなった、南3局その1(大貝+3.8 小川△7.2 関根+2.6 堀川+0.8)。
 トップ争いは僅差なので、誰しも小川とのトップラスを狙いたいところであったが、その小川から8巡目にオール手出しでリーチがかかる。
 ドラ単騎の手であるが、これをツモるとラスからトップにまで突き抜ける。しかも、リーチの時点ではヤマに2枚残りであった。
 こうなると、3者ともトップは欲しいが、小川にアガらせるわけには行かない。必死のオリで何とか流局に持ち込んだ。

 そして迎えた南4局その1(小川△8.2 関根+2.6 堀川+0.8 大貝+3.8 供託1.0)【牌譜35】
 最初にテンパイを入れたのは、堀川で9巡目にこの形。
 ツモか大貝直撃なら単独トップになる上に、前局の供託リーチ棒があるので小川・関根から出ても同点トップとなる。
 もしも、大貝と同点トップになるようなら、ここまでのスコアが小川(2昇)・大貝(△1)・関根(1昇)・堀川(△1)なので、小川(1昇)・大貝(0)・関根(1昇)・堀川(0)と、マイナスがいなくなるという珍しい状況になるところ。
 しかし、トップ目の大貝は、堀川にテンパイが入った瞬間から、完全に安全牌を抜いて守りに入った。小川の残りツモ1回に賭けたドラ単騎リーチも実らず、大貝の逃げ切りトップ。
 ここまで圧倒的に優位に戦いを進めていた小川が、2回戦以来14回戦ぶりにラスを引いた。
 これによって首位者が1昇となったため、同点トップがない限り、優勝スコアは2昇ということになり、全員に優勝のチャンスが近づくとともに、決着の可能性も高くなってきた。
(◎大貝/●小川)



◆◆◆ 17回戦 ◆◆◆

小川(1昇)・大貝(0)・堀川(△1)・関根(1昇)

 前回の小川のラスで、関根にも初の決着権が発生した。1昇、1昇、0、△1のスコアは10回戦目と同様だが、10回戦と違い、今度は1昇者がトップになると終わってしまう。

 △1の堀川としては、決着回避のために大貝を押し上げてしまうと、決着権を持つ人が3人となってしまい、かなり苦しくなってしまう。実質トップ条件であろうか。
 その堀川、東1局その1では、手変わり前にツモアガって5・10で先制。

 しかし、東2局その1(大貝△0.5 堀川+2.0 関根△0.5 小川△1.0)【牌譜36】
 親の大貝が、1打目に、2打目にと、字牌を率先して切り出し、やる気を見せる。
 テンパイが入ったのは7巡目。
 くっつきテンパイの形に、くっついたのがとあまりうれしくないテンパイになったが、ドラ2のテンパイだけにアガれれば大きい。
 大貝にテンパイが入ってからは、大貝の現物であると捨てていた小川であったが、大貝がツモ切った10巡目のに「ロン」の声をかけた。
 こちらもドラ2で64。このは、良い待ちというよりは、受けで残った牌であろう。どうしてもアガらなければならないなら、大貝の現物の方が良さそうなところ。やはり小川は、いきなり決めようとするのでなく、不利になることを避けながらチャンスを伺う戦い方を選択していることが分かる。

 ラス目に落とされた大貝が、次局タンヤオドラ1のリャンメン待ちでリーチをするも流局。供託が残った東4局その1(関根△0.5 小川+5.4 大貝△7.9 堀川+2.0 供託1.0)【牌譜37】
 今度は、親の関根に好配牌。
 5巡目にはテンパイが入り、ドラのも切り飛ばす。
 ワンズが高い小川にドラの仕掛けが入らないことを確認して、次巡ツモ切りリーチに行った。
 高めをツモれれば、かなり優位に立つところであったが、ツモったのはの方。しかし、最終手番でのツモアガリで、しかもトップ目に立てるだけに悪かろうはずもない。
 決着権を持つ2人が抜け出しつつあるだけに、大貝はそろそろ堀川を押し上げる覚悟を決めるころか。

 さっそく、次局の東4局その2(関根+4.7 小川+4.0 大貝△9.3 堀川+0.6)【牌譜38】。8巡目に堀川からリーチが入る。
 一見苦しい待ちのようだが、何とこれがヤマに4枚残り。ツモれば再びトップ目に立てる。
 しかし、その直前に親の関根にもテンパイが入っていたのだ。
 ドラマチのチートイツ。これをアガるようなことがあれば、優勝が見えてくる。
 関根も堀川に通っていない牌を押し続けるが、14巡目にかなり危険そうなを引かされ、ここでオリを選択した。この自体は堀川に通るのだが、これを押すと、恐らく次巡のもツモ切って放銃となっていたであろう。
 しかし、1枚関根に入っただけで、まだ3枚ヤマに残っていたアガリ牌を、堀川がツモアガってトップ目に立った。

 流局を挟んで、南2局その1(大貝△10.3 堀川+4.6 関根+2.7 小川+3.0)【牌譜39】
 堀川がトップ目とはいえ、決着権を持つ関根・小川もトップまで近い点差のまま。残り局数も少ないので、決着権を持つ2人が大きな手をアガると、そのまま決まってしまうかも知れない状況。
 そこで、親の大貝は3巡目に
 このイーシャンテンになるが、を押さえて、切りとした。小川や関根に鳴かれることを嫌うと同時に、いざとなれば堀川にアシストすることも考えて、連風牌のと、ドラのを温存したのであろう。
 5巡目に、関根にもテンパイが入る。
 決定打にはならないが、ツモればトップ目に立ち、残り2局とすることができるテンパイである。
 7巡目には、堀川もテンパイ。
 14巡目に、関根のオリが見えたところから、大貝が堀川へのアシストを開始する。堀川の捨て牌に高いピンズから打ち出すも放銃にも、仕掛けられもしない。
 16巡目に堀川がを引いてきた。これは喜んでとスライドさせる。これで、「ソーズの下のメンツを持っていますよ」「ピンズのホンイチではないですよ」と教えることができる。
 それを見て大貝、「そうでしたか」と、3巡目から温存していたを堀川に抜き打った。

 これで堀川が大きめのリードを持ったが、まだマンガンツモで逆転されてしまう点差である。その南3局その1(堀川+12.6 関根+2.7 小川+3.0 大貝△18.3)【牌譜40】
 堀川が12巡目から、生牌のをトイツ落とししてピッタリタンヤオドラ1のテンパイを入れる。
 のトイツ落としを見せられ、関根・小川は受け始める。しかし、受けながらも15巡目関根にテンパイが入った。
 は堀川にかなり危ない。しかし、通っていないスジも多いため、優勝を賭けて切りリーチもありかと思われた。関根も悩んだであろうが、微差のトップ目に立っても条件を合わされてしまいそうで、逆に親に放銃となってしまえば、今度は昇持ちの自分にラスを押し付けにくることも見えている。
 関根は、これ以降の局と、これ以降の半荘まで見据えて、オリを選択した。
 次巡の堀川のツモ切りは。関根がリーチならば止まるであろうが、このを通せたおかげで、次巡に20オールのアガリが生まれた。

 これで、堀川がかなり安泰となり、ここからは小川・関根にラスを押し付けにいくが、そこまでには至らず。このままの並びで終了した。
(◎堀川/●大貝)



◆◆◆ 18回戦 ◆◆◆

大貝(△1)・堀川(0)・関根(1昇)・小川(1昇)

 17回戦とは、大貝と堀川の立場が入れ替わっただけの18回戦。決着権は引き続き、関根・小川が持っている。今度は大貝がほぼトップ条件のようなものか。

 東1局その1、その大貝のオヤ番に、10巡目テンパイが入る。
 しかし、テンパイとはいえ役なし。そして、ワンズなら何を引いてもテンパイ復活となるため、テンパイ取らずでピンズのリャンメンを外した。
 3巡後のは仕方がないと思ったであろうが、同巡に小川がツモアガリ。
 11回戦から、ずっと決着権を持ち続けている小川が先制した。

 続く東2局その1(堀川△0.5 関根△0.5 小川+2.0 大貝△1.0)【牌譜41】をポンした関根、7巡目にはこのテンパイを入れた。
 
 大貝も10巡目にをポンして、トイトイのイーシャンテンに。
 
 状況的に、大貝もチャンスがあれば、多少苦しくても戦わざるを得ないか。
 この大貝のポンで、親の堀川にもテンパイが入り、即リーチ。
 このリーチを受け、関根が引かされたのが生牌の。堀川にも大貝にも、放銃となっておかしくない牌。関根の待ちは堀川の現物だけに、押したいのはやまやまだが、さすがにこのは切りにくい。のトイツ落としで回った。
 関根が回ると同時に、小川にテンパイが入る。
チートイツドラ2で、も堀川に通っていないが、を勝負。
 大貝・関根とも回ったところで、小川も次巡に引かされたで、通っているのトイツ落としに出た。
 堀川とヤマとの勝負になるかと思われたが、関根にが重なりテンパイ復活。小川の2枚目のをとらえた。

 その後は、関根から堀川へチートイツの16が動き、全員の点差が小さくなったところで、膠着状態に。流局が続いて迎えた、南2局その1(堀川+0.1 関根+0.1 小川+0.8 大貝△1.0)【牌譜42】。これだけの僅差で残り局数も少ないので、決着権を持つ2人が大きなアガリをすると、そのまま決着ともなりかねない。そのことを十分に理解している堀川が、9巡目にじっくりと考えて「リーチ」。
 同巡、関根も堀川の現物を切ってテンパイを入れる。
 待ちのも堀川の現物となっており、安全牌を切っている内なら、あっさり出てもおかしくない。
 しかし、次巡に関根が引かされたのは、ドラの。撤退を余儀なくされる。
 こうなると、あとはヤマとの勝負。ツモ切りが続き、18巡目の最終手番。堀川の背筋が伸び、張った声で「ロン!」。ヤマに1枚残っていたを引き当てた。

 堀川の40オールで、かなり堀川のトップが見えてきたが、現在のラス目は大貝。堀川がトップになっても、このまま大貝がラスでは、決着権を持つ1昇持ちが小川・関根・堀川の3名になってしまう。
 この後は細かくアガリが出るも、並びは変わらず、迎えた南4局その1(小川△1.6 大貝△6.8 堀川+11.7 関根△3.3)【牌譜43】。大貝、関根との35差か、小川との52差を捲るべく必死の格闘が始まった。
 配牌にドラはないが、タンヤオやサンショクが見える、まずまずの配牌。
 順調に手が進み、5巡目には次の手牌になっていた。
 タンヤオの他に、でもサンショクになるので、当然の切り。
 8巡目にがカブるが、これはさすがに捕えられないだろう。そのままツモ切ると、次のツモが
 まさかのアガリがあったかも知れない、捨て牌のがますます恨めしい。
 でもそんなことを言っていても仕方がない。大貝はここで切りで単騎に受け、ヤミテン。このままツモったのでは逆転できないが、ピンズかソーズを伸ばしてリーチに行きたいところ。
 次巡に引いたのは、ピンズでもソーズでもない、ドラの
 ピンズかソーズを引くまでの仮テンなので、どうせならツモったときにラス抜けをできるドラ単騎に。
 すると、次巡のツモも、その
 さすがに、大貝のアクションも大きくなった。
 小川は20・40だと、親カブリでラスに落ちるだけに、大貝にドラをツモられたとき肝を冷やしたであろうが、10・20で関根のラス。
 3人の決着権を回避するアガリが出てのさらなる延長。まだまだ、この戦いが続く予感がした。
(◎堀川/●関根)



◆◆◆ 19回戦 ◆◆◆

堀川(1昇)・小川(1昇)・関根(0)・大貝(△1)

 延長のため自らラスを引き、二度も△2に下げてまで粘った堀川。地獄の底から這い上がり、ついに19戦目にして決着権を手に入れた。これで、全員が1回は決着権を手にしたことになる。

 18回戦ではギリギリでラス抜けを果たし、最悪の条件を免れた大貝。この回も基本的には自身がトップを取らないと厳しい条件が残りやすい。東2局その1で、その大貝が先制をした【牌譜44】
 テンパイが6巡目と早く、待ちも点数も良いのでリーチに行きたくなるが、このは誰からでも出そうな状況になっている。大貝ここは冷静に、昇持ちの堀川からアガリを拾った。

 さらに大貝は、東4局その1でも、小川からピンフドラ1の30を直撃し、昇持ちの2人を沈めながらトップ目に立つという理想的な展開を作り出す。
 そして、迎えた南1局その1(堀川△2.8 小川△3.0 関根±0.0 大貝+5.8)【牌譜45】。現状ラス目の小川、配牌が
 ここに、1巡目のツモがで、何を切るか。
 サンショクは見えるが、カンチャンだらけのサンショクだけに固定するのも不安が残る。
 メンツ候補が6個あるので、ペンチャンを払うのかと思ったが、小川の選択は切り。いわゆる6ブロック打法で、情報が何もないうちは好形だけ作っておいて、どのメンツ候補が良いかは、もう少し情報が出てから選ぼうというもので、これも十分有力な選択だと思う。
 しかし、この後のツモが良すぎた。2巡目、3巡目でとカンチャンを連続で引き、サンショクのテンパイは逃してしまう。
 雀頭がないイーシャンテンであったが、7巡目にツモでカンチャンの方が雀頭に潰れてくれて、待ちのピンフテンパイ。この局は、微差のラス目だけにリーチ棒も出しやすい。小川も迷わずリーチ宣言をした。
 捨て牌が中張牌からの切り出しで、字牌が1枚も出ておらずチートイツの可能性もあり、他家も前に出にくくなっている。
 結果は、最終手番でのツモアガリ。サンショクのカンではアガリがなかっただけに、大きなアガリとなった。

 次局の、南2局その1(小川△0.2 関根△0.7 大貝+5.1 堀川△4.2)【牌譜46】。ラス目に落とされた堀川が、9巡目にこの手牌になっていた。
 〈456〉と〈567〉のどちらのサンショクにするか。場にはが2枚、が1枚出ており、は自分から4枚とも見えている。堀川は切りを選択したが、2巡後に引いたのはの方。ここでリーチの選択もあるかと思ったが、サンショクの手変わりも見てヤミテンに構えた。
 すると、すぐに関根から切られたのが、ドラの
 関根は、堀川にテンパイが入る2巡前から
 この形でテンパイを入れていたのであった。

 次局の南3局その1(関根△8.7 大貝+5.1 堀川+3.8 小川△0.2)【牌譜47】。こうなるとオヤ番の関根は、自身に早いアガリがない場合、大貝のトップを守りに行く選択も出てくるであろう。差し込んで、より優位なトップ目に押し上げることも十分あり得る。
 しかし、トップまで53差の小川からリーチがかかる。
 これをツモっても、まだわずかにトップ目には立てないが、このまま最終局となると、優勝がかかった堀川がトップと13差だけに、アガリ競争になったときにスピード負けしてしまう可能性が高い。そのため、堀川と同じ条件に立つためのリーチということであろう。
 これをツモるようなら、最終局は堀川が13差を捲るか、小川が03差を捲るかという条件となり、優勝が決まる可能性が高くなる。
 しかし、結果は流局。供託のリーチ棒が残って、堀川は12の出アガリでも優勝という条件となった。

 迎えた南4局その1(大貝+5.1 堀川+3.8 小川△1.2 関根△8.7 供託1.0)【牌譜48】。供託が1本あるので、堀川は03差、小川は53差を逆転すれば優勝となる1局。大貝は親だけにアガってももう1局やらなくてはならず、難しい。この状況なら、もし関根に早い手が入れば、大貝のトップを守れるなら喜んでアガラスをするであろう。ただし、堀川に1枚役牌を鳴かれるだけで優勝が決まりかねないので、行き方が難しい。
 そんなオーラスであったが、堀川に3巡目イーシャンテンが入る。
 メンツ手の可能性も残して切りで、チートイツのイーシャンテンに構えた。
 しかし、そこから手が進まない。堀川以外の3人は、堀川にアガらせないように対応を始めている。
 堀川にテンパイが入ったのは、16巡目。
 南家ではあるが、親の大貝が堀川のツモを1回消すためにアンカンをしているため、残りのツモは1回。これをツモれば八翔位だ。
 最後のツモは・・・
 ついに、4日目の最終戦、20回戦目にまで突入することとなった。
(◎大貝/●関根)



◆◆◆ 20回戦 ◆◆◆

関根(△1)・大貝(0)・堀川(1昇)・小川(1昇)

 大貝と関根の立場が入れ替わっただけで、決着権は未だ堀川と小川に。もし、さらに延長するようなことがあると、21回戦目からは別日となり、第32期八翔位決定戦は5日目に突入することとなる。

 東1局は流局し、迎えた東2局その1【牌譜49】。関根が5巡目にしてイーシャンテンに。
 ここから切りと、ドラ切りも辞さずの構えで、ホンイチに向かった。
 しかしこれが一向に変化せず、11巡目に小川からが切られるも、ドラが打ちづらくなっていて、チーテンに取らなかった。
 チーテンを取らずに引いてきたをツモ切ると、親の大貝がポン。
 
 大貝、次巡に引いたドラのもツモ切り、をツモアガった。

 次局の、東2局その2(大貝+3.0 堀川△1.0 小川△1.0 関根△1.0)【牌譜50】。親の大貝が、4巡目には連風牌のトイツのイーシャンテンに。
 テンパイが入れば、ドラのも打ち出すつもりであったであろう。
 しかし、大貝が6巡目にをツモ切ると、関根がこれをポンして前局に続きホンイチのイーシャンテン。
 
 これを受けて大貝、次巡にを引くと、切りとリャンシャンテンに戻した。ちなみにこのは全員の安全牌なので、この関根の仕掛けにトップ目からドラを切る気はありませんよという選択をしたということだ。
 皮肉なことに、次巡の大貝のツモは。とはいえ、前巡にを切っていても、ドラを切る選択はしていないので同じであろうが。その後、大貝はと引いたところで、ピンズ1メンツを抜いた。この段階で、ほぼオリの予定であったであろう。しかし、ここからさらにと引いて、しかもが通る。そのを合わせた次巡、今度はドラのまで引いて、あれよあれよという間にテンパイ。
 ワンズに寄せている関根と同じ色だけに、苦しいかと思う間もなく、次巡のツモが即。大貝、仕掛けを受け切って大きなアガリをものにした。

 こうなれば、1昇を持っている堀川か小川にラスを押し付けたい。関根がラスでは3人が1昇で並んでしまう。それに応えるかのように、関根も2局連続でピンフをツモアガリ、迎えた南1局その1(関根△1.8 大貝+14.2 堀川△6.2 小川△6.2)【牌譜51】。同点3着目の小川が、11巡目にこのテンパイ。
 ドラ2の手だけに、アガリ方によってはトップ争いにまで食い込んできそうな手である。
 ここに、親の関根がドラを重ねたチートイツで追いつき、押し返す。
 その後にツモ切る牌は小川に通っていなかったが、全てツモ切って勝負を挑む。小川も、をツモって、打とさらに高くなり、こちらも全部勝負。
 決着は、関根に軍配が上がった。小川がをつかみ、大きな96。
 これで、かなり5日目の延長が見えてきた。

 ここまで抜群の安定感を見せ、10戦連続で決着権を持ち続けてきた小川であったが、さすがにこれは苦しいかと思われた。しかし、現役最強とも謳われる小川、そう簡単には終わらない。
 南2局その1(大貝+14.2 堀川△6.2 小川△15.8 関根+7.8)【牌譜52】。6巡目に関根が2枚目のをポンして、またもやホンイチのイーシャンテン。
 
 しかし、この仕掛けで小川にドラが重なった。
 下家の関根はソーズの一色手の可能性が高い捨て牌をしているが、小川はここから切りと、自身のアガリやすさを優先した。また、大貝のトップよりも、△1の関根がトップになる方が望ましいので、関根にアガられるならば、まあ良しとの思いもあったであろう。
 その後、小川はを引き入れてリーチ。
 手が進まなかった関根、リーチ後に切りづらいを引かされ、切りで回る。
 小川からをツモ切られるも、が浮いている関根は、当然ポンせず。
 すると同巡、関根にが重なった。
 
 そして、堀川から合わせられたをポンして、テンパイを入れ返す。小川の待ちのはヤマに残り1枚。関根のは、ヤマに残り1枚ずつ。
 1対2の勝負であったが、小川がをツモアガり、ラス抜けを果たした。
 ちなみに、関根がリーチ後にを勝負すると、小川から出たをポンテンに取って、その後に小川からを打ち取っていた可能性が高かった。

 助かったかに見えた小川であったが、次局の南3局その1(堀川△8.2 小川△7.8 関根+5.8 大貝+10.2)では、大貝のこんな3巡目テンパイに捕まってしまった。
 ここにで放銃して、再びラス目に落ちたのだが、実はこのときアガった大貝に逡巡があったのだ。
 南4局の親は小川だが、その小川をラス目に落としてしまったことを、アガリを宣した後に「これで良かったのか?」と、迷ったのではなかろうか。
 小川を僅差の3着目のままにしておけば、南4局はおとなしくオリてくれることも期待できる。しかしラス目に落としてしまっては、真っ直ぐアガリに向かってくるはずで、ラス目につきリーチ棒も出しやすい。40オールにでもなろうものなら小川トップの危険まで出てきてしまう。
 大貝のこの手なら、一度小川から見逃してもアガリの可能性が高いため、その選択もあったかとの迷いだったのではなかろうか。

 迎えた、南4局その1(小川△9.0 関根+5.8 大貝+11.4 堀川△8.2)【牌譜53】。大貝が、2巡目にイーシャンテンとなり、アガリに向かう。
 ここからを切りだしたが、親の小川からポンが入る。
 この親はオリないであろうことは承知の大貝、イーシャンテンのまま攻め続けるが、関根にテンパイが入りリーチがかかる。
 関根と大貝は56差だけに、リーチなら小川からも出アガリでトップになる。小川の立場なら、ドラでも不要なら切ってくるであろう。また終盤になっても小川にアガリがないときは、大貝のトップより、関根のトップが望ましいため差しにくることも十分あり得る。
 さすがに2人には押せない大貝、オリを選択したが、小川と関根への共通安牌もなく苦しい選択の連続であった。
 そして13巡目。大貝の手牌がこうなった。
 小川の捨て牌は
 関根の捨て牌は
となっていた。
 ここで小川の捨て牌のうち、2枚は手出し、2枚目のの直前に切られたは、カンをチーした際に切られた牌であった。
 大貝は、この2枚目のの意味を考えていたと語ってくれた。
 恐らく切りでテンパイ、その後のは、ペンチャンかカンチャンから、単騎へのマチカエであろうと。
 そして、大貝自身の手にはが3枚ある。ということは、小川の手にがあった可能性はより低い。すなわち、小川はペンから、単騎へのマチカエをしたのであろうと読んだのだ。
 実際に、小川はのチーで、このテンパイ。
  
 次巡をツモって、切りで単騎へのマチカエであった。
 何と正確な読みであろうか。ただ唯一の誤算は、その4枚目のを小川が持っていたことであった・・・。

 これで大貝と関根の点差が近づくと同時に、ラス抜けをした小川にも、もう1アガリでトップが見える状況になった南4局その2(小川△3.8 関根+4.8 大貝+7.2 堀川△8.2)【牌譜54】。最初にテンパイが入ったのは関根。9巡目でのテンパイを入れ、ヤミテンを選択。
 大貝とは24差なので、ツモか直撃でトップ。脇から出たときにどうするのか難しいが、恐らく△1の立場なら見逃す可能性が高いのではないだろうか。などと考えていたが、心配には及ばず、次巡ツモで出アガリ40の手に変化した。これでどこから出てもトップになれる。
 しかし、次巡親の小川からリーチがかかる。ここに高い手を放銃してしまうと優勝が決まってしまう恐れもある。
 小川のリーチがかかると同時に、関根が引かされた牌は通っていない
 小川の捨て牌はこのようになっている。
 関根が長考に沈む。
 「・・・どうすんだよぉ」
 関根の心の声が漏れる。
 まだ120を打っても次局があるので、即座に優勝が決まるわけではない。
 しかし、この一打が優勝を決めることになってしまったら・・・。
 長考の末、関根は戦う道を選んだ。のツモ切り。
 通った。
 そして同巡の大貝。配牌から受けの手順で進め、このようなチートイツイーシャンテンの手牌になっていた。
 オリるなら4枚見えている、もう少し粘るなら2枚切れの切りであろうか。
 しかし、ここで大貝の動きが止まった瞬間、筆者はあるシーンを思い出していた。
 第4期八翔位決定戦で、僧根幸男氏が見せた「自刃の打」。
 「まさか、その選択をするのであろうか」という思いと、「大貝なら、きっとその選択をするであろう」という思いが同時に頭の中をよぎった。
 すなわち、大貝は南3局の出アガリからこの展開を作ってしまった責任を取るために、関根に差し込むことで、小川のアガリを阻止しに行くつもりなのであろう。関根に「ロン」と言われればトップを逆転されることを敢えて承知の上で。
 少考の後切られた牌は、小川のリーチの現物で、関根には通っていないのツモ切りであった。
 このは、関根に当たることはなかったが、「まさか」と「やはり」という感情が同時に沸き起こり、鳥肌が立った。この選択ができるのかと。
 28年の時を経て、「自刃の打」が蘇った。
 この後、肚をくくった関根は無スジを押し続け、大貝は小川の現物を並べ続ける。
 決着がつかないまま13巡目、堀川から気合の乗った「リーチ」の声が発せられた。
 ラス目堀川と、3着目小川の差は44差であったが、小川がリーチ棒を出したため24差を捲ればラス抜けとなる・・・と思ったら!
 堀川の手牌
 リーチツモタンヤオイーペイコードラ2でハネマンの手。トップ目の大貝と154差であったが、小川がリーチ棒を出したことでハネマンツモならトップ、すなわち堀川の優勝となる点差になっていたのだ。
 しかし、このときのリーチ宣言牌が
 関根、逆転の出アガリとなった。
 ちなみに、小川の待ちも、堀川の待ちも、ヤマに2枚ずつ。関根の肚をくくった押しが決着を阻止し、前代未聞の21回戦へと突入することとなった。
(◎関根/●堀川)



◆◆◆ 21回戦 ◆◆◆

小川(1昇)・関根(0)・堀川(0)・大貝(0)

 日が変わって、ついに八翔位決定戦も5日目に突入した。
 過去の八翔位決定戦の最長記録は20回戦。つまり、この21回戦目というのは史上最長記録となる。
 いつまでも決着がつかない戦いに、20回戦が終わった後には、
「このまま、ずっと決まらなかったらどうするの?」
「就位式のパーティーをやっている横で打ち続けなさい」
 などという冗談も出ていた。(半分本気だったような・・・)

 しかし、この21回戦目は決着権が発生して以降、スコアが初めての並びとなっていた。
「1 0 0 0」
 これは、決着権を持っている小川が先行したときに、押し上げたい特定の相手がいないことになる。しかもその押し上げられた人は、次戦に必ず決着権を持つことになる。これが勝負に微妙に影響するのか否か。

 東1局その1の小川のオヤ番は、やはり決着権を持つ親だけにアガリが出にくい場にされる。もうこれまで何回も見た光景。思えば小川は、11回戦目からここまで11回連続で決着権を持ち続け、常に狙われ続けているのだ。
 しかし、流局狙いの三者の願いは叶わず、ドラを重ねた小川が
 の、26オールと大きな先制点を挙げた。

 流局を挟んで東2局その1(関根△2.6 堀川△2.6 大貝△2.6 小川+7.8)【牌譜55】。先行した小川を追うべく、堀川がをポンして、6巡目にはテンパイを入れる。
 
 同巡の小川、入り目のを切るも、次巡にロン牌のを引くや、現物を切ってオリ始める。
 10巡目に、
 このテンパイが入っていた関根が、をツモ切り堀川に40の放銃となった。このとき「ロン」の発声の後、堀川にしばしの間があったのは、見逃して小川からの直撃狙いもあったかとの思いであろうか。

 次局、オヤ番を迎えた堀川が、ピンフドラ1のリーチをするも流局し、迎えた東4局その1(大貝△2.6 小川+7.8 関根△6.6 堀川+0.4 供託1.0)【牌譜56】。オヤ番の大貝が4巡目、立て続けに切られたにチーを入れる。
 ここからのチーで切り。ドラトイツとはいえ、大貝にしては珍しい。
 と思っていたが、あっさりとを暗刻にしてテンパイ。
 手の進んでいた関根から出アガって60をものにした。大貝がアガリに向かうときは、確実にアガリに結びつけてくる。
 これで小川のトップを阻止するための差し込み先が増え、関根もラスを覚悟しやすい点差になってきたため、延長しやすくなってきたか。

 しかし、小川も黙ってはいない。続く東4局その2(大貝+4.4 小川+7.8 関根△12.6 堀川+0.4)【牌譜57】。ドラトイツの配牌を手にした小川、6巡目にはこのテンパイ。
 
 これをアガれば、下位陣を突き放すチャンスである。
 しかし、この仕掛けに対し、堀川が切りこんだ。小川の無スジを押しまくり、
 この手を小川から打ち取った。

 より、点差が縮まってきて、流局を挟み迎えた南2局その1(関根△12.6 堀川+1.6 大貝+4.4 小川+6.6)【牌譜58】。堀川が3巡目に連風牌のをポン、4巡目にカンチーで、あっという間にテンパイを入れる。
  
 以降、単騎の待ち牌を替え続ける。
 そこに大貝も攻め立てる。堀川と2人で攻めれば、小川も簡単には前に出られない。さらに堀川と大貝はお互いに見逃し合うことで、小川からの直撃も取れるかも知れない。堀川が単騎待ちを選んだのは、大貝の捨て牌に待ちを合わせるためという理由もありそうだ。
 10巡目には、大貝にもテンパイが入り、リーチ。
 ここに関根、アガっても差さっても良しと攻めて、切りで大貝に40。これで小川のトップを逆転した。

 堀川が6オールで連荘した後の南3局その2(堀川+3.4 大貝+7.8 小川+6.0 関根△17.2)【牌譜59】。小川を捲ったとはいえ、差はわずかに18。できればさらに差を広げたいところで、大貝に8巡目テンパイが入った。
 今はピンフのみだが、サンショクやタンヤオの手変わりもある。次巡には、を引いてタンピンに変化。さらに次巡、ツモで7・14。小川との差を広げることに成功した。

 迎えた南4局その1(大貝+10.6 小川+5.3 関根△17.9 堀川+2.0)【牌譜60】。大貝と小川の点差は53。大貝はオヤ番なので早くて高い手が入らなければ、どこかで手じまいするであろう。関根は点差的にアガラスでも小川のトップを防ぎに行くところ。堀川は小川のトップ阻止もあるが、自身がトップになるチャンスがあれば、それも狙って行くであろう。
 大貝と関根は、早い巡目からアガリは難しいと見切り、受けを選択した。
 ドラをトイツにした堀川が真っ直ぐ攻め、イーシャンテンを迎えていた。
 しかし、それより早く12巡目に小川がテンパイを入れた。
 10・20条件で、52の出アガリでは大貝直撃しかトップにならない。ならばリャンメンに受けてリーチかと言うと、は生牌であるが、がすでに4枚切られている。はどちらも1枚切れ。
 小川は、場を見渡すと切りリーチを選択した。
 小川トップでは優勝が決まってしまうだけに、これには堀川も押せず撤退。
 リーチから2巡後、小川がさして興奮する様子もなく、いつもと同じように「ロン」と発声しを引き寄せた。
(◎小川/●関根)



 何か、空間にぽっかりと穴が開いたかのようであった。
 「あれ? 終わったのか・・・」
 そんな、突然に訪れた終局に思えた。
 永遠に終わらないかと思われた戦いだっただけに、このリーチも流局するものだと思ってしまっていた。
 対局者4名も、何か気の抜けた様子。嬉しい、悔しいという感情が出ず、「もう終わってしまったのか?」との思いが強かったのではないだろうか。
 そんな、静かな決着であった。


 −終わりに−
 この観戦記をまとめてみて、改めて、これほどの戦いはもう二度と見られないかも知れないとの思いを強く持っております。拙い文章だけに、この戦いをどれだけお伝えできたかは、正直自信がありません。ただ、私にとってこの戦いを実際に観戦できたことは、非常に大きな喜びであり、かけがえのない財産となりました。
 対局者のみなさま、並びに、この対局の場を作り上げて下さった101競技連盟様に感謝致します。
 ありがとうございました。




小川 隆八翔位 自戦記

 ここ数年、八翔位戦の開催時期には名古屋から駆けつけている。金曜日はお稽古、土曜日はイン東京、日曜日は見学と、「101」に熱烈に埋もれ、八翔位戦の空気を共有することにより、自らを高揚させて決定戦に臨んだ。

 1回戦トップ、2回戦ラス。以降、トップ取られ、ラス逃れで8回戦まで進み、その間に大貝が△1から5・7・8回戦と怒涛のトップで2昇を持っていた。

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


◆◆◆ 9回戦 ◆◆◆

関根(0)・大貝(2昇)・堀川(△1)・小川(0)

 優勝のための条件の10回戦終了時の単独3昇を防ぐには、大貝に絶対にトップを取らせるわけにはいかない。出来ることなら、ここでラスを引かせてまずは延長を確定させたいところ。

●南1局【牌譜A】
 東場は堀川の3・6(オヤ・大貝)のアガリのみ。何と封じ込めているものの、痺れる点棒状況である。
 5巡目、チートイツのイーシャンテンからを叩いてトイトイへ移行。主導権を取りにいくとともに、大貝を牽制。
 この動きが好結果につながった。 次巡にが重なり、と振り替える。ここから有効牌を引かぬまま押し続け、終盤になって をアンコにしてテンパイを入れると、ハイテイでが待っていた (ハイテイ役はありません) 。
 このマンガンでラス目を入れ替えることになったが、まずはトップ阻止が優先。

●南4局 (小川47→堀川108→関根63→大貝) 【牌譜B】
 ここまで慎重に進めていた大貝が南2局【牌譜12】に堀川へ突っ込み、ラス目に転落。そして追い上げてきた堀川がきっちりと条件を整えて9巡目にリーチ。
 アガリ点に過不足なく、関根からの支援に応えられる(関根をラスにすることなく、アガってトップ)。
 関根としても△1の堀川のトップの方が望ましいはずだ。その場合は、大貝のみ1昇となる。流局した場合は、1昇者が2名となる。
 すぐに堀川のロン牌である4枚目のをツモってくる関根。ただ、大貝のトップを気にする必要がなく、そのうえ点差が微妙なこともあって、差し込みに踏み切れなかったようだ。もしものラスが心配。堀川がそんなアガリをするはずはないと確信するには情報が不足していた。
 一方、現トップ目である自分はどうすべきか。自身のトップを放棄して堀川へ差し込みを試みるか。いや、いや、いや、それは堅すぎる。
大貝が来た。誰からでも出アガリできるマンガン確定のテンパイに受けた。おそらくリーチ宣言牌の安全度と高目安目のないアガリ形を考え合わせての決断によるものか。
 すると、直後に堀川がツモ切ったのは恐るべきことにドラのだった。さらに無情にもこの時点でロン牌はヤマには存在していなかった。
「堀川のトップ」、「大貝のラス抜け」の衝撃的な結末を逃れ、密かに熱望していたトップラスで首位に並んだ。



◆◆◆ 11回戦 ◆◆◆

大貝(1昇)・堀川(△1)・関根(△1)・小川(2昇)

 10回戦もトップで2昇を持って単独で決着権を握った。ここで2日目が終了し、それから1週間空いたが、好調さは衰えることはなかった。
 東1局に堀川から先制したが、その堀川が東4局に大貝へ差し込み、逆転されるも南3局にアガリ返してトップ目に立つ。

●南4局 (小川34→大貝38→関根94→堀川) 【牌譜19】
 オヤ番でもあり、下位陣を引き離すべく決定的な追加点が欲しい。10巡目、チートイツのアガリを逃しながらもテンパイを入れる。僅かな点差に不安も手伝い、イーペイコーが確定した勢いで、リーチを決行。
 慣れないことをするものではない。このリーチ棒が非常に大きく、20も縮めたために分かりやすい条件を作って、出アガリ可能なリーチを大貝に許してしまった。そして苦労しながらも関根が最終手番で上手く大貝に差し込み、再延長となった。これが後々の長い戦いを引き起こしてしまった一因と言えよう。
※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

 本決定戦は今までにない長い戦いとなった。そうさせてしまったのも自分が何度も優勝の機会を捉え損ねたことが大きな要因。
 12回戦以降、16回戦で2回目のラスを引くが、辛うじて決着権を持ち続けるとともに大貝、関根、堀川にもそれぞれ決着権が生じ移っていく。



◆◆◆ 20回戦 ◆◆◆

関根(△1)・大貝(0)・堀川(1昇)・小川(1昇)

 南1局【牌譜51】、オヤの関根と激突し、絶体絶命の窮地に陥る。
 南2局【牌譜52】、ツモアガリを逃しての渋々のリーチが実り、ラス抜け。
 それも束の間、南3局、5巡目に大貝に捕まり、意気消沈。早くてやる気十分の河に警戒していたのにすでに遅かった。

●南4局その1 (大貝56→関根140→堀川08→小川) 【牌譜53】
 再びラス目に転落した。唯一の救いは安目であったこと。このオヤ番で攻めに専念できること。前向きに考えていた。
第1打目で迷った。ホンイチ狙いを含ませてワンズを打ちたいが、それではオヤへの締め付けがより厳しくなる。少しでも目立たないようにと、を打つ。
 早くもファンパイが叩けた。意外にもトップ目の大貝から。相当早そうである。この仕掛けで当然のごとく上家の堀川からは何も出ない。
 9巡目、関根がリーチ。自分のアガリの可能性が薄い場合には、決着権者を複数にしないためにも差し込みもある。最後の拠り所だ。
 関根との2人がかりの攻めによって、堀川が押さえきれなくなる。関根への放銃は即終了なので、それは避けたい。下家に優勝がかかっている相手がいてもある程度は緩めてくれよう。そのおかげでちゃっかりとテンパイを取り、すぐにタンキ待ちに受けかえる。
 今度は大貝が手詰まる。トップを守りたい。オヤへ放銃しても局は続く。高い手ではなさそう。それを踏まえての着手だったであろう。

●南4局その2(大貝24→関根88→小川44→堀川) 【牌譜54】
10巡目、安目の方が入ってピンフのみのテンパイ。1巡置いてリーチをかけた。ラス脱出の安心感で集中力が低下していた。冷静になっていれば、ヤミテンで大貝か堀川の直撃を狙いながら、関根のアガリを援護するべきだった。
 すこぶる危険なリーチとなった。関根の手がタンピンイーペーコーに変化していた。さらには堀川に対してハネ満ツモでトップ(優勝)となる条件をつくり出していた。その条件を満たした堀川が高らかにリーチを宣言。一瞬肝を冷やしたが、関根から「ロン」の声。
「 リーチ(堀川)、ドキッ(小川)、ロン(関根)、・・・(大貝)、ふぁぁぁぁー(堀川) 」
 時計は22時を回っていた。すぐに対局者と観戦記者で次の日程を取り決めた。



◆◆◆ 21回戦 ◆◆◆

小川(1昇)・関根(0)・堀川(0)・大貝(0)

当初の予定にはなかった決定戦5日目。心置きなく戦うためにも今回は宿舎も帰りの新幹線も予約などすることなく、さらなる長期戦を覚悟して向かった。

●東1局その1 【牌譜C】
 2シャンテンのまま13巡目、そろそろ見切り時であるが、テンパイ気配が感じられず、ションパイので様子をうかがう。
 次巡、ドラが重なり、イーシャンテン。すると、関根が怪しげなを打ってきた。かなりきつい牌であるが、むしろ手詰まり感が強い。構わず押し続け、残り少ないヤマから大きな先制点を手にした。

●東2局【牌譜55】
 ペンチャン落しの途中で堀川が仕掛ける。一旦は現物で対応し、堀川の手変わり後に通っていないを打つ。これは危なかった。手変わりする前よりも危険度が高くなっているのに。
 堀川が関根からアガったが、見逃されていた場合、堀川のアガリ牌を止めることができたであろうか。

●東4局その1【牌譜57】
先行してテンパイを組んだものの、堀川が勢いよくやってくる。こちらも一歩も引くつもりはない。ついには追いつかれ、堀川のロン牌を掴まされる。ドラ入りの40を覚悟してツモ切ったが、最少点で収まった。

●南3局その1(大貝18→小川50→堀川182→関根) 【牌譜D】
すでに手仕舞いしている13巡目にドラのが重なり、イーシャンテン。そして残り1巡でテンパイ。
 オヤの堀川に対し、も打ちにくい。当初からチートイツのアガリに向かっているならば、はとっくに処理している。たった残り1回のツモのために冒険はできなかった。

●南3局その2(大貝18→小川26→堀川206→関根) 【牌譜59】
大貝のに過敏に反応。ここから安全な牌を継いでいく。大貝がヤミテンでツモアガった。「リーチ」の手段もあっただろうが、自重した。
 「リーチ」の場合、ツモアガリが望めなくとも、もれなく2人が押し上げてくれるだろう。流局した場合が恐い。ひとアガリで優勝が決まってしまう。また、サンショクの目もあり、本人からすれば、きっと悩ましかったに違いない。

●南4局 (大貝53→小川33→堀川199→関根) 【牌譜60】
 オヤがトップ目。「リーチツモ○○」の10・20以上のアガリを目指す。6巡目に待望のドラを引くと、すんなりとドラ表示牌も引き、活力がみなぎる。
 大貝は防御に徹している。関根と堀川は停滞気味。恐いものなしの1人打ち状態で進行する。
 12巡目にテンパイしたが、5巡目のが手残りしていれば、ここでアガリのはずだった。さらに片方のロン牌であるはすべて枯れており、形だけのリャンメン待ちでリーチをかけた。
 1回目のツモの指ざわりがワンズ。かすった。2回目のツモもワンズ。今度は手応えあり。しっかりと視認して落ち着いた声でアガリを告げた。

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

 数々の決め損ないのため数々の絶望的な状況を作りだし、その度に右往左往したが、20回戦の恵まれた展開を次戦に活かして3連覇を成し遂げることができた。
 しかし、優勝を決める機会が何度も訪れているのに決めれないというのは、相手方の抵抗があるにせよ自分の力不足は否めないもの。もっとすっぱりと勝ちきれるように今後ともより精進に励んでいきたい。

(文中敬称略)


インタビュー:木村 由佳(マージャン101東京支部)

 11月14日、第32期八翔位決定戦で優勝し、3連覇を達成した小川隆選手にお話を伺いました。順位戦選手にも同席してもらったので、いろいろな方のコメントをはさみながら、小川選手の喜びの声をお届けします(文中、敬称略とさせていただきます)。

―――3連覇、おめでとうございます。過去最長の21回戦という長い決定戦でしたが、今のお気持ちは?
小川「とにかく、うれしいです。去年以上に『負けられない』と周囲からの大きな期待もあってしんどかったです」
平井淳(A級選手・36期名翔位)「今回の相手とは、まあ堀川は別としてあまり戦ったことなかった?」
小川「決定戦直前インタビューでも話しましたが、関根秀介さんとは友好団体の麻将連合の大会で戦かったことがあります。はい、負けました。二人勝ち上がりの形式で(グスン) 。大貝(博美選手・B級)とはC級順位戦で2年間お世話になり、八翔戦では2度同卓したことがあります」

―――「勝った」と思った瞬間はいつですか?
小川「それはもう最後の最後ですけど、11回戦で一度、『勝てるかな?』と思う場面がありました。関根さんが最終手番で大貝に差し込んでまた延長になりましたが、当然の結末に納得はしていました」

―――勝ちにつながった1戦は、どの半荘でしたか?
小川「大貝が2昇をもって迎えた9回戦にトップラスを決めて同昇に持ち込めたこと。そして何よりも大きいのが、20回戦。堀川と私が決着権を持ってラスの押し付け合いとなり、一時はラスを覚悟しましたが、いろいろ(詳細は自戦記で)あって、結果的に自分のみ決着権を維持できたことですね。恵まれた展開でまだ勝負運がありました。」

―――たいへんな長丁場でしたが、5日目の21回戦にはどのような気持ちで臨まれましたか?
小川「あの日は当初の予定になく、20回戦終了時に急きょ日程が決まったので、普段は見られない記録者もいました。その姿を見て『今日決めなくてはならない』と決意しました」

―――その21回戦、1戦で決められた勝因は何でしょう?
小川「今回は宿泊や帰りの新幹線の予約をすることなく、余裕を持って長期戦に備えました。また、4日目終了時から約1週間あったので、ここまでの20回戦を振り返り、それなりの対策を考えました。それを活かすことができたような気がします。」

―――ここで、決定戦を見ていた選手の皆さんにもお話をうかがいたいのですが。
成岡明彦(A級選手)「いつのだれがどう、とかじゃなくて見ていた印象を言いますね。リーチをするときに、サンショク確定しないリーチをかけるかどうかとか、みんなもっと考えておいて、かけるべきリーチはさっさとかけてほしかったなと思いましたね。あと、八翔位戦ではなんかみんな『差し込み』とかやりたがるんですけど、それが下手。リーチかかってから『これ? これ?』と順番に無筋を切っていくのはみっともない。リーチかけた相手にアガってもらいたいなら、まずはその人にツモってもらうのを期待しましょう。そのほうが自分の失点が少ないんですから。しかしどうしてもリーチ者がツモれない、しかもアガってほしくない相手の手が進んでしまっている、と判断したときに最後にビシッと差し込む。そういうことができてないなあ、と思って見ていました。リーチなんかかかってなくても、ちゃんとわかって差し込みにいかないと。まあ、途中で負けた者が言うのもあれやけど、みんな、もっとちゃんとできるようにね。来年は頑張ります」
田中実(B級選手)「今回は大貝の出来がいいと思って見ていたのですが、途中で崩れたのが顕著でしたね。特に9回戦です。大貝は1次予選、2次予選、準決勝と16戦ラスなしで決定戦に進み、決定戦の8回戦までで2昇と、本当に慎重に打ってきたのに、『それ切ったら台無しでしょう』という牌を切ってしまったと思います。小川が強くて有利なのは間違いないけど、大貝は9回戦で自らこけなければ自分の有利さを維持できたのに残念でした。 まあ、大貝ははっきり言って、夕方になると崩れるんです。雀荘で毎日12時間も働いているのにスタミナがないんですね。自分もそうだけど、1日5回戦のこの緊張しっぱなしの長丁場をどう戦うか、それは考えないと勝てないですね」

―――成岡選手は昨年、田中選手は一昨年、やはり八翔位決定戦を戦って小川選手に負けましたから、コメントに迫力がありますね。しかし、もうちょっと穏やかなコメントももらえませんかね?
藤森弘希(B級選手)「僕は決着権を持った人がどう決着させるかを中心に観ていたのですが、皆さん協力しあってなかなか決着させずに八翔位戦史上最長の21回戦まで行ったのは素晴らしい、の一言ですね。そんな中ずっと決着権を手放さず、安定していた小川が勝ったんだなあという思いです。ただ、リーチについて、11回戦の小川のリーチはどうなんだろう。とか。21回戦の南3局大貝はリーチしないのか、とか思うところはありました」

―――ありがとうございます。牌譜と小川さんの自戦記を見るのが楽しみですね。では、小川さん、改めて来年4連覇に向けての抱負を聞かせてください。
小川「決定戦で待つ立場になるわけですが、常に挑戦者のつもりで攻めていこうと思っています。八翔位戦に限ったことではないですが、昇やチョーマを持つと、受け身になり、好機を逃すことが多々あるので、自分の状態や場況をしっかりと認識して戦えるように心がけていきたい。あれっ、弱点を言っちゃったかな。最後に、時々はマージャン101に参加しますので、よろしくお願いします」

―――ありがとうございました。小川八翔位の就位式とパーティーは2月20日に日比谷公園内の松本楼で開催されます。皆様、ぜひご参加ください。

(了)


第32期八翔位決定戦 成績表


10月17・18日・11月7・8・14日(東京対局室)
選手名
10
小計
小川  隆 八翔位 2昇
堀川 隆司 A級 △1
大貝 博美 B級 1昇
関根 秀介 東京 △1
選手名
11 12 13 14 15 16 17 18 19  20  21 小計
小川  隆 八翔位 2昇
堀川 隆司 A級 ±0
大貝 博美 B級 ±0
関根 秀介 東京 △1


第32期八翔位戦 システム

【出場資格】
・麻将連合推薦、オープン参加選手及び連盟所属選手
・ オープン参加選手は、昨年度のマージャン101における打荘数が24ある者から各支部内で選抜。
【1次予選】
・各卓4戦(1日)を戦う。
・規定回終了時のスコア上位2名を勝ち上がりとする。
・4回戦終了時に上位2名が確定しない場合は、これが確定するまで延長戦を実施する。
【2次予選】
・2次予選シードの連盟所属選手及び1次予選通過者により行う。
・各卓6戦(2日)を戦う。
・規定回終了時のスコア上位2名を勝ち上がりとする。
・6回戦終了時に上位2名が確定しない場合は、これが確定するまで延長戦を実施する。
【準決勝】
・2次予選通過者により行う。
・各卓6戦(2日)を戦う。
・6回戦終了時に単独で2昇以上の首位者が決定戦の出場資格を得る。
・6回戦終了時に単独で2昇以上の首位者が発生しなかった場合は延長戦を実施し、7回戦以降はその回の開始時の首位者のスコア+1昇に単独で到達する者が発生するまで延長戦を実施する。
・「初めて、4者同スコアで決着権がある状態」となった場合は、その一戦の終了時の単独首位では決着としない。
  ただし「再度、4者同スコアの状態」となった場合は、同戦終了時の単独首位で決着とする。
【決定戦】
・八翔位及び準決勝通過者により行う。
・10戦(1日4戦)を戦う。
・10回戦終了時に単独で3昇以上の首位者を優勝とする。
・10回戦終了時に単独で3昇以上の首位者が発生しなかった場合は延長戦を実施し、11回戦以降はその回の開始時の首位者のスコア+1昇に単独で到達する者が発生するまで延長戦を実施する。
・「初めて、4者同スコアで決着権がある状態」となった場合は、その一戦の終了時の単独首位では決着としない。
  ただし「再度、4者同スコアの状態」となった場合は、同戦終了時の単独首位で決着とする。