第36期順位戦A級 第4節
第4節観戦記:鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会・1日目)・坂井 準司(2日目)
日本の伝統芸能において、後継者問題は常に悩みの種である。私の所属する最高位戦日本プロ麻雀協会においても同じであり、ここ101競技連盟においても同じである。
誰が101A級の魂を受け継ぎ、次世代のエースとなるのか。その継承が待たれる。
対局後、私は101の魂が受け継がれるところを見た気がした。
場所は、秋葉原の居酒屋。
「今年のA級は、今年の名翔位を決める決勝戦であると同時に、来年のA級を打つための準決勝でもあるわけよ。だから来年の決勝戦に出るために必死にA級に残れよ」
成岡からの言葉に、高島はうつむきながらも「はい」とうなずいた。
小川がやや抜けており、高島・山田がやや離された状況となっている。誰が小川に追いつくのか、そして誰が高島・山田との残留争いに加わってしまうのか。
本日の結果で、残試合の過ごし方が決まりそうである。
◆◆◆ 21回戦A卓 ◆◆◆
堀川1昇・成岡△1・愛澤1昇・平井0
6巡目にツモで何を切るか。多くの打ち手はイッツーを見てツモ切りだろうか。あるいは打とし、チートイツも残すか。
しかし、成岡は、ここで予想だにしない一打を放つ。
成岡の選択はドラの。持ち点が拮抗しており、打点よりアガリが優先される局面であることはわかる。とはいえ、なかなかここでドラを放せるものではないだろう。得意のチートイツも見つつ、メンツ手も逃さない。思考はわかるが、この生牌のドラは打てない。
その後、ツモ、でこのイーシャンテン。
結局この後ワンズのホンイチに向かい、オリへの進行となったが、あの段階でドラを放していなければ、切るタイミングがなかなかなく、難しい手組になったことは言うまでもない。
南1局、そんな成岡の2巡目。
ならテンパイとらずにしようと思ったというが、の52なら及第点。素直にテンパイに構える。
これに捕まってしまったのは堀川。
と手出しし、字牌をある程度抱えた遅い進行なのかと思われた成岡から、ツモ切ったに声がかかるのだからたまらない。
このままの着順で決まり、成岡がマイナスをゼロに戻す。
◆◆◆ 21回戦B卓 ◆◆◆
小川4昇・山田△3・西尾1昇・高島△3
ここからをポンして少考。まだ3巡目ということもあり、ワンズを外して120のイーシャンテンに受けられるが、打で堅実に30のテンパイ取りを選択した。
しかし、予想に反してこれが長引く。が打たれないまま、と引いて結果的にホンイチを逃した後、西尾が徐々に押し返して9巡目にはこのイーシャンテン。
この2人に対してさらに押し返したのが山田。
テンパイ打牌ので小川と西尾に割って入る。小川・西尾は山田の押し返しに反応して撤退。最後まで押し切った山田もロン牌を引けずに流局となる。
東1局から息をのむぶつかり合い。特に、△3となっている山田の押し返しがこの後も続いていくだろう。
東2局、10巡目に西尾がテンパイ。
するとまたしても反撃したのは山田。西尾のに食らいつき、このポンテンを組む。
東4局(山田18→高島・小川28→西尾 供託10)、ここでも山田が積極的に仕掛ける。
2巡目にをポン。
60でトップ目に立つと、続くその2でも畳み掛ける。6巡目に下記の手牌となった高島。
が2枚切れで、の受けをフル活用したくなるところだが、高島は打。78以上のテンパイに的を絞った選択に、ツモも利いて10巡目テンパイを果たす。
しかし、ヤマに2枚残っていたはともに脇に流れて流局。二の矢を放つには至らない。
南1局(高島52→山田46→西尾32→小川)、高島を追う山田。6巡目に2枚切れのカンテンパイを果たすと、次巡にあっさりツモ。
「あっ、これはいくかな」と感じた次の瞬間には、山田が切りリーチをかけていた。は1枚切れでヤマに3枚生きている。最後の1牌までツモる手に力が入る山田だったが、願いも空しく流局となった。
南3局(高島62→山田14→西尾66→小川)、2巡目に小川がサンショクイーシャンテンとなるが、小川がツモ切りを続ける中、山田が8巡目にツモ。
ここから少考して打。ドラターツを払ってホンイチへ向かう。するとすぐにがポンでき、あっという間のテンパイ。
これで高島に迫ったが、オーラスは山田にも小川にも手が入らず、高島がトータルトップの小川を沈めながらのトップ奪取に成功した。
◆◆◆ 22回戦A卓 ◆◆◆
愛澤1昇・西尾1昇・山田△3・成岡0
6巡目には成岡もドラ切りでテンパイ。
そして、事件は7巡目に起きた。
同点トップ目の山田が7巡目にトップ陥落のリーチをかけたのである。
ならばと、沈んでいる西尾・成岡が相次いでツモ切りリーチ。その結果、101では非常に珍しい3軒リーチに発展する。
成岡は対局後に語った。
「あの山田のリーチはどうなのかな。先制リーチはないんじゃないかな。逆に、追いかけリーチならアリだと思うんですよ」
山田の思いもわかる。残り試合数が減ってきての△3は非常に重い。「ここでこの半荘を決めてしまいたい」という思考なのだろう。また、ドラを打っている成岡の動きも止めておきたいとの考えもあったか。
対して、成岡の考えはこうだ。出て30、ツモって14オールでいったんトップ目に立てるのだからヤミテンで十分ではないか。自身のオヤ番であるため、仮に先制リーチが入ったのであれば、ツモられるといずれにしても2着めか3着めに落ちるのであるから、追いかけリーチで決めにいくというのはある。そういう考え方だ。
確かに山田の思考もわかるのだが、ここでは△3を意識しすぎているように思われた。結果、山田がを掴み、西尾に32放銃。山田がリーチしなければ16の放銃となり、同点2着で止まったのだが、これで山田が成岡と同点の3着目に転落する。
こうなってしまうと、何十年とラス回避をしてきた成岡が強い。南3局【牌譜2】(西尾20→愛澤30→成岡・山田)、
5巡目にここから山田の切ったをポンして打。一見焦った仕掛けにも映るが、ここから決して慌てないのが成岡。次巡に引いたをすっとツモ切り、目一杯には構えない。
すると、すぐにを引いて打でイーシャンテンに。そして、成岡がツモ切りを続けた11巡目、オヤ山田の手が止まる。
下家成岡の河がこう。
もうテンパイが入っていてもおかしくないが、どちらかといえばイーシャンテンであることの方が多いか。いずれにしても、成岡に甘い牌を下すわけにはいかない。
最終手出しがであるため、生牌であるダブは切りにくく、テンパイ打牌にしたいところ。
すると、候補はだが、とが裏スジ。裏スジよりは、ツモ切りされたのまたぎであるの方が切りやすいか。ツモ切り後にを手出ししていることもダメ押しとして効いている。3着争いをしている切迫した局の序盤で、目一杯に構えないというゆとりを持つなど、考えにくい。
そのゆとりが、ヤマに薄かったを山田に打たせてしまう。山田からをチーしてテンパイを果たした成岡は、あっさりをツモり、3・6でラスを山田に押し付けた。
◆◆◆ 22回戦B卓 ◆◆◆
小川3昇・堀川0・高島△2・平井0
すると次局も東家平井のチーに対してドラ切りでテンパイ。
ここに高島がで飛び込み、80。あっという間にダントツとなる。
南1局(小川160→堀川40→平井80→高島)。しかし、平井がここから奮起。ラス抜けを目指す高島のリーチをかわして、20・40。
この20・40で3着目堀川に10差に迫る。
南4局(小川70→平井90→堀川10→高島)、ラス抜けを目指す高島が6巡目にをポン。
これに対して高島はオリずに応戦。
その間に手詰まりを起こしたのは、意外にも小川だった。苦しいながらもこの巡目までなんとか凌いできた12巡目の小川。
平井の河にはの後、リーチ宣言牌が。は3枚見えており、ペンチャン・カンチャンもワンチャンス。確かにが待ちになっている可能性の残る→の切り順だが、それでも以外はすべて無スジであるため、ここは消去法で3枚持っているを抜いて3巡凌ぐものだと思っていた。
しかし、小川が長考の末に出した答えは。「自身のノーテン+相対的に放銃確率が低そうな牌」より「自身のテンパイ+危険牌」の方がトップ確率が高いと踏んだ。
これは意外だったのだが、さらに意外だったのは小川のコメント。
「前節にこういうのような牌で放銃した印象が強く残っていたのかもしれないですね。あと、前半荘の東1局が影響しています。あの30がアガれなかった後、早い60に飛び込んでラスを引いて、精神的にフラフラでした」
「あの小川でも精神的に崩れることがあるんだな」と、なぜか少し安心した。
この120で平井がトップ目に立つと、オーラスその2では高島がテンパイを入れるも、ロン牌が脇に流れて流局。平井がトップを取ったというより、小川が昇を逃した半荘となった。
◆◆◆ 23回戦A卓 ◆◆◆
愛澤1昇・成岡0・高島△3・小川3昇
牌効率ならかだが、役ありテンパイに持ち込むことが前提なら、愛澤のように打が正解だ。愛澤はすぐにを引いてヤミテンに構える。
ここで成岡がすでにツモ切っていたドラを再びツモ切ると小川からロンの声。小川が28で先制する。
東2局、オヤ成岡が13巡目に1枚切れのをツモ切りリーチ。
困ったのは先に仕掛けてテンパイを組んでいた高島。
東3局(小川14→成岡14→愛澤42→高島)、後がない高島が6巡目に下記からドラを切る。
するとそのを小川がポン。カンのポンテンからツモ、で20・40。
しかし、その後高島が踏ん張り、ラスを成岡に押し付けた形で南4局【牌譜3】(小川152→愛澤10→高島04→成岡)を迎える。オヤはトップ目小川であり、実質的に連荘はないため、下位3名でラス決定の1局勝負となる。
2巡目に自風のをポンしてイーシャンテンとなっていた成岡が、すぐに以下よりもチーして打としマチのテンパイ。
実は、とを鳴かせたのは守備の名手愛澤。
愛澤は言う。「鳴かせて手牌構成を見えやすくしないと怖いじゃないですか」
ただ鳴かせないだけが守備ではない。こういう守備もあるのだ。
愛澤のお膳立てはここまで。ここから先、選択権を持っているのはオヤでダントツの小川である。
自分の目からドラが2枚見え、成岡か高島の手牌に偶然ドラが3枚組みこまれていることがないとわかる小川は、放銃しても問題ない。
実は成岡がをチーして打とする際、少考があった。前巡に成岡の上家愛澤がを切っているため、純粋に成岡に差し込むならの方が当たりやすいのだが、自分でを切っている小川は打とする。自身の手牌も早く仕上がればダメ押しも狙えるとあり、この時点で無理な差し込みはせず、真っ直ぐに打つこととした。
これが成岡に当たって20。
成岡は本日2度目のラス回避。高島はトップの後、痛恨の連ラスとなった。小川は4昇に復活。危なげなく首位のど真ん中を歩いている感じである。
◆◆◆ 23回戦B卓 ◆◆◆
西尾2昇・平井1昇・堀川0・山田△4
まずは東2局、堀川から6巡目に16。
すると東4局のオヤ番でも、平井のテンパイ打牌を捕えて18。
続くその2でも、タンヤオ仕掛けでテンパイした西尾をかわし、平井のを捕まえて18。
その3では平井が10・20を決めてラス抜けを果たすが、依然として山田がトップ目で南入。
しかし、南1局の8巡目に堀川が西尾から64を打ち取り、トップをまくる。
南3局(堀川06→山田28→平井78→西尾)、ここでもオヤ堀川がフリテンのを引き戻して5巡目にテンパイ。
これにトップ争い相手の山田が放銃して勝負あり。山田にはまたも厳しい結果となった。
◆◆◆ 24回戦A卓 ◆◆◆
小川4昇・愛澤1昇・山田△4・平井1昇
すると、東4局には愛澤の5巡目テンパイに平井が飛び込み、80。
愛澤が大きくトップをまくる。
南1局には、山田自身も小川に30を放銃してしまい、少しトップが遠のく。
しかし、南3局には山田が平井から24をアガり、トップを射程圏内としてオーラスを迎えた。
南4局(愛澤56→山田22→小川68→平井 供託10)。10巡目、オヤの平井がツモるとトップまで突き抜けるドラマチのリーチ。
ここに山田が押し返す。
このイーシャンテンからから無スジのを勝負。
しかし、その直後、平井の手元にが引き寄せられた。40オールで平井が総まくりのトップ目に立ち、南4局その2を迎える。
南4局その2(平井14→愛澤56→山田22→小川)、4巡目に小川の手が止まった。
長考の末に小川が出した答えは打。
その後、手牌は順調に育って9巡目にこのテンパイ。
ここにすぐを引き、平井からで40。をツモるか平井直撃でトップまであったが、ラス抜けとあっては悪い気はしない。
逆に山田にとっては悪夢のような半荘。序盤にトップ目に立ったところから、オーラスも2着目で迎えるが、放銃せずにオーラスだけで2人にかわされラスとなってしまった。
◆◆◆ 24回戦B卓 ◆◆◆
高島△4・西尾1昇・堀川1昇・成岡0
この仕掛けに対し、オヤの堀川が10巡目にを押した。
成岡は言う。
「切ったのが堀川なら、こので(オリる材料としては)十分なんですよ」
直後にを引き、長考に沈む成岡。堀川の河には2巡目にが切ってある。
序盤のまたぎは待ちになりにくい?
いや、そういう次元の話をしているのではない。
堀川がを押したのだから、ここから先「現物以外を切ること」は、基本的に「押すこと」と同義なのである。
成岡はを押した。それが成岡の答えである。を押した以上、次巡に引いたも当然押さざるをえない。
この120で、半荘の着順は決したと思われた。
しかし、普段から「東場にマンガン放銃したぐらいでラス引くなんて弱いなあ」と自責している成岡にとっては、ここからが本当の勝負。
まずはその2で20・40。
ツモ打、ツモ打、ここでにポンテンをかけず、ツモでテンパイを取らずにツモ切り。ここで2枚目に出たにポンテンをかけ、すぐにをツモ。
カッコつけすぎだ。
カッコつけすぎてカッコいいじゃないか。
次局、堀川から西尾へ80放銃。
これをヤミテンに構え、ツモ打。堀川のを捕えた。
南1局(西尾20→堀川68→高島12→成岡)、トップ目に立った西尾が加点を目指し、オヤ番で8巡目にドラ切りテンパイ。
すると同巡、成岡にもテンパイが入った。
当然のリーチ。これに対して西尾がと入れ替えた無スジので押し返すが、次に引いたドラはさすがに打ち切れず、現物の打とした瞬間、少し前までアガリであったをツモ。その直後、成岡の指がをなぞった。
南2局(西尾・成岡20→堀川88→高島)、なんと同点トップまでひょっこりやってきた成岡。ちょっとラスまで散歩してきましたわあ、とでも言い出しそうである。
しかし、成岡の散歩はこれで終わらなかった。ここで、もっと気持ち悪い手順が炸裂する。
序盤にここからをツモ切り。この手はチートイツ一本であると認識を合わせた上で、成岡は言った。
「この手牌のポイントは、の切り時ですよ」
少々極端に言えば、発想としてはこれだ。
このような手牌でから打ち出す方がいるが、本気でコクシを目指すのであれば、この手牌のポイントもやはりの切り時なのである。すなわち、を切り、それに呼応する形で使いにくくなったがテンパイ前に切られてしまうことを避けたいという思考。
とはいえ、ついついターツを残して孤立牌を切りたくなるものだが、成岡はそんな誘惑には乗らない。
そう、誘惑に乗らない。
突き詰めればそれだけなのだが、そこにたどり着くまでがマージャンであり、101A級という伝統芸能でエースの1人として活躍するということなのである。
ツモ切りの後、ツモ打、ツモ打、ツモでようやく打、直後にツモ打でマチのチートイツテンパイを組んだときには、成岡のに対して高島が4枚目のを併せていた。
その直後、11巡目の西尾。
正にドラの切り時を計っていた西尾。ここでスーアンコのテンパイが入り、打で成岡の気持ちわる〜い64が完成。単独トップまで突き抜けた。
3着争いは、南3局に高島が以下の手でリーチ。
それに対して、イーシャンテンから真っ直ぐを打ち出した堀川が、ついにラスにまで突き抜けた。
対局後、残った何人かで居酒屋へと行き、冒頭に紹介した高島へのエールが成岡から発せられた。
しかし、それに加え、成岡は続けた。
「でも、全力で落とすからな。いま降級ポジションにいるってことは、みんなお前と山田にだけは浮上させないように打つから。簡単に残れると思うなよ」
残留ラインまで4つ。ここからの逆転はかなり難しい。そういうメンバーであるし、「101競技連盟 順位戦A級」という伝統芸能だからだ。
それでも、高島は前を向いて打ち続ける。来期の決勝に残る戦いが、101の魂を受け継ぐ試練が、始まった。
◆◆◆ 25回戦A卓 ◆◆◆
愛澤2昇・堀川0昇・西尾1昇・小川4昇
その小川が躓いたのが東2局。西尾に早いヤミテンが入り、ピンフドラ2リャンシャンテンの手牌だった小川が7巡目に放銃。のみの16と点数は低かったが、まずは小川をラス目に落とすことに成功した。
小川の手牌は、
と、十分形とはいえノーテンでの小川の放銃は珍しい。だが、西尾の捨牌が特に目立っていた訳でもなく、小川の手牌ならば大多数の人が同様に放銃となりそうだ。間違いなく筆者もそのうちの1人だが、アナログな筆者だとこういう振込は「誰が掴んでも放銃する牌を持ってくること自体が要注意」と考えてしまいそう。小川がどう感じていたかはわからないが、思わずメモ帳に「小川不調か?」の走り書き。観戦している側としては(小川には申し訳ないが)むしろこの方が面白いのだが。
東3局、開局から頭を下げ続けていた堀川にようやく勝負手が入る【牌譜4】。
10巡目に絞っていたを重ねてのサンショクテンパイ。生牌のを何事もなかったかのようにそっと、しかし力を込めて河に置いた。3巡前には同じく生牌のも手出ししており、字牌を重く扱う堀川なのでこれはもうテンパイとみてもいいだろう・・・と思って眺めていたら、オヤの西尾が以下の手牌で対抗。前巡にをツモって打としたところだったが、
発手出しの堀川に対してツモ切り(場に4枚目)とぶつける。次巡堀川ツモ切りに対してもツモの手出しと更に粘る。
この局筆者は西尾の対面で観戦していたのだが、ダブも5巡目にツモ切りしているくらいなので、「やっぱり手が入ってたんやな〜打ちでテンパイだったか」と思ったのだが、イーシャンテンでしたか。西尾の目からは、、が3枚見えているので789のサンショクの可能性は低いと考えての切りか、それとも堀川の手牌・待ちともに絞りきれない状況なので、オヤでこれぐらいの手牌なら押し返すのが当然なのか。前局の好感触のアガリもあり、すんなりテンパイが入ればドラそばのも叩っ切るつもりでいたのかもしれない。
そしてこの局、実は最も印象に残ったのが愛澤の捌き。愛澤も7巡目からイーシャンテンで10巡目には以下の形になっていた。
「役なしテンパイでどこまで押すか」というのは101の興味深いテーマの1つだと思う。ドラ2のイーシャンテンでをツモった局面だが、何を切るべきだろうか。筆者ならドラドラの誘惑に駆られて前に出てしまいそうなところだが・・・以下「」は筆者が想像した脳内愛澤IC。
「は堀川の現物だが、手出しのオヤ西尾には切りづらい。仮に西尾にが通ったとしても次に生牌のが打てるのか、更にテンパイしたとしてもこの状況でこの手牌にアガリ目があるのか・・・」愛澤の決断はトコロテン拒否、撤退の打であった。結果的にここでのどちらかに手をかけていると、実戦の進行通りだと発を堀川に合わせ打ちした後に引きでテンパイ、14巡目のドラ1ツモで20・40のアガリとなっていた。だがそれはあくまで今局だけの結果論で、その打ち方だと長い目で見ればケガ(失点)することの方が多そうだ。現に・ともそれぞれ西尾・堀川への「世が世なら」アタリになってもおかしくない牌。ちなみに愛澤の打牌はノータイムに近かった。ひょっとするとこの場面自体も印象に残っていないかもしれない。そう思わせる程の、まるで普通に呼吸するかのような自然な一打。このあたりの的確な状況把握力こそが安定感抜群と言われる愛澤麻雀の所以に違いない・・・そう思った次第であった。3者3様の押し引きが繰り広げられたが、結果は何事もなかったかのように流局。
東4局 ラス目のオヤ小川のテンパイ取りが悩ましい【牌譜5】。
オリ気味なのは西尾だけ。愛澤・堀川とも前に出てきている状況で、場況的にはソウズが良く見える。イーシャンテンの段階からソウズのどこを残すかで何種類かの選択肢があるのだが、テンパイまでは小川の選択が自然だろう。サンショクになりそうでならないテンパイに小川が選んだのはカン待ちのイーペイコー。だが、次巡すでに2枚捨てている4枚目のを引くと続けてを打ち出した。愛澤の、堀川のと共に強い牌に見えるだけにここでの無理押しは危険と判断したか。
小川のテンパイから遅れること2巡、絶好のカンを引き入れて愛澤にもテンパイが入る。前局とは違い今度は生牌のを切って前に出た。小川のアンコ切りがなくても同じように打ったのか、興味深いところではある。一手変わりでハネマンまであるが、どこまで押せるのか。
一方、のアンコ落としで回ったかに見えた小川だったが、その後を引き入れ以下の形となっていた。
本当は目立たなくなっている間にこっそりヤミテンを入れたかったのだろうが、上家西尾がツモ切りした(愛澤・堀川の現物)にチーテンをかけ、再び舞台中央に踊り出る。
このは小川が最初のテンパイのまま押し切っていた場合のロン牌。実は鳴かなかった場合でも愛澤のアガリのほうが先なのだが、そんなことは露知らずの小川。4人の中でただ一人、目に見える形で裏目が判明しただけに相当嫌な気がしていたのではないか。オカルト信者の筆者だと東2局の振込とあわせて「しばらくは自分の出番はない」と、ひたすら心の平静を取り戻すことに専念しそうだ。一方、愛澤にとっては小川をオヤカブリさせてトップ目に抜ける大きなアガリ。どう打ってもアガリがなかった小川とどう受けてもアガリが約束されていた愛澤、点数的にはたかだか5・10ではあるが、彼我の体勢には圧倒的な差があるように見えた。
南1局、南2局は流局。南3局はトップ目愛澤が堀川から16の追加点でオーラスを迎えた。
南4局(愛澤25→西尾32→堀川05→小川)【牌譜6】、愛澤の手牌が抜群に良く5巡目でピンフのイーシャンテン。
これはもうさすがに決まりで「早い巡目に堀川から出ても見逃すだろうな」などと考えていたら、これがなかなかテンパらない。イーシャンテンのまま、生牌の・と切り続ける愛澤を見て堀川は即撤退。1人退くわけにはいかない小川の手牌も重かったが、愛澤がもたついているうちに超終盤の16巡目にようやくテンパイが入った。
迷わずテンパイ打牌を横に曲げた小川だったが「リーチ!」の声にいつもの張りがない。それもそのはず、これまでのレース展開を考えるとテンパイしただけでも御の字という雰囲気だ。ところが、大方の予想に反してなんと、1発目のツモ牌が!その場にいる全員がのけぞってしまった。アガリった小川本人も驚いている。盲牌を繰り返したうえに目視して再確認するほどで、101では滅多に見られない、ラス目ラスオヤのラス抜けツモアガリ!しかもトップまで突き抜ける20オールですと!
こんなアガリを見ると、天邪鬼な筆者としては「こりゃ誰かがやってしまったのでは?」と犯人を探したくなるのだが、今改めて牌譜を眺め返しても小川以外の3人に疑問手らしきものは見当たらない。愛澤は譜の通りだろう。堀川にもアガリはない。とすると残るは西尾だが、実は愛澤が8巡目に捨てたに下記の手牌から飛びつくチャンスがあった。
そうすると全く別の1局となっていたのだがその場合、少なくとも小川のアガリはなかったようだ。
西尾から見ると「手牌トイツの、は小川に対する安全牌。自分からはドラが3枚見えており、小川以外に32までなら放銃してもラスはない。」・・・そう考えるとこの状況ならば仕掛けるのも「あり」かもしれないが、残り形を考えると必然とも言い難い。アガリがあるとすればむしろチートイツの方が早そうだ。小川の現物であるトイツのどちらかがアンコならば仕掛けたのかもしれないが、思わず「ポン」の声を呑みこんだとしても西尾を責めるのは酷な話だろう。
そうするとこれはもう、アガリった小川を褒め称えるしかないのだろう。東4局以降、頭を下げ続けてきた小川の往き方が間違ってなかったことの証左か、現八翔位の底力か。ちなみにリーチの時点で小川のロン牌はなんとヤマに5枚残りであった。
南4局その2(小川18→愛澤25→西尾32→堀川)、盤石の展開をたった1局でひっくり返された連合軍、このまま終わる訳にはいかない。特にトップ目を捲られた愛澤はそう思ったはず。こういう時の愛澤は静かに、しかし激しく闘志を燃やすタイプだ(と筆者は密かに思っている)。
「小川のトップを絶対捲る!」そんなオーラが愛澤から立ち上がっていた気がする。気合が牌山に乗り移ったか、その愛澤に10巡目テンパイが入る。
ただし小川との点差が18なのでこのままでは脇からの出アガリはできない。はラス目堀川が5巡目に1枚捨てており悩ましいところ。待ちごろの牌を引いたら果たして愛澤はリーチするのだろうか?と見ていたら、次巡を引いてどこから出てもOKのテンパイとなった。そこへラス目堀川が下記の手牌で割って入る。
この堀川のマチは何とヤマに4枚残り!引けばトップまでの手牌であったが、ツモ番が回ってくる前に愛澤が珍しくやや強めにを引き寄せた。
期首順位は誰よりも上の現名翔位愛澤、会心の逆転トップで小川の背中を捉える3昇目をあげた。
◆◆◆ 25回戦B卓 ◆◆◆
成岡1昇・山田△5・高島△4・平井1昇
東2局、西家平井が1巡目にを切ると、配牌テンパイだったオヤの山田から「ロン!」の声。チートイツの24で、平井も思わず「何じゃそりゃ?」
その後は流局が続き、迎えた南1局。今度は平井が第一打を横に曲げる。時間はかかったが12巡目にツモって5・10 やはり「マージャンは配牌か?」と筆者以外にも脇の2人が思ったかどうかは定かでないが、これでオヤカブリの成岡が僅差のラス目に(山田23→平井01→高島05→成岡)。
東1局以降も成岡には何度かテンパイが入っていたが、アガリには結びつかずにますますストレスが溜まる羽目に。唸り声をあげて頭を掻き毟るその様子は隣の卓の記録子が思わず振り返るほどで(記録に集中しましょうね、O川戸さん)暗雲立ち込める展開かと思いきや、南2局にトップまで突き抜ける爽快な20・40のツモアガリ。
この局を境に成岡の呻き声は聞こえなくなった。
成岡は南3局にも13・26をツモアガリ、オーラスは流局して危なげなく2昇目をあげた。ラスはノーホーラノー放銃の高島。筆者も経験があるが、放銃なしでのラスは本当につらい。
◆◆◆ 26回戦A卓 ◆◆◆
堀川△1・小川4昇・西尾1昇・山田△5
この役なしテンパイから8巡目に小川のをポンしてタンキに。ソウズの上が安いことから途中ピンズのノベタンには目もくれず、山田のツモ切りを捉えて技ありの28と老獪なところを見せつけた。
山田もポンテンの清一色では放銃もやむなしか。
東3局に堀川→山田16、東4局に山田→堀川12、南1局に山田→西尾20と小刻みに点棒が動いた後の南2局、堀川の痛烈な一撃が山田を襲った。
これにで飛び込んだ山田だったが、純チャンも狙える手牌で配牌から抱えていたが手痛い64の放銃となった。南3局は堀川、山田の2軒のテンパイをかいくぐって小川がピンフツモの4・8をアガる。
南4局(堀川16→西尾24→小川128→山田)、前局の小川のツモアガリで三つ巴の様相を呈したオーラス。トップ目堀川を追う2人は山田にさえ放銃しなければラスはないので、ここはとことん前に出てくるだろう。最初に動いたのは20出アガリでトップの北家西尾。9巡目にをリャンメンでチーして生牌のを放つ。次巡何かをツモって手牌から打。?このには対局者全員の視線が注がれた。西尾の手役はタンヤオでなければ役牌のしか残っていないのだ!そうするとつまり、9巡目のは4枚持ちのところから切り出したことになる。
両者のテンパイを受けて山田もついに15巡目に追いついた。
望外のドラツモで大長考に沈んだ山田だったが、さあ、どう打つべきだろうか?ここは山田の視点から考えてみよう。局面の状況はと言うと・・・「は小川が序盤に1枚捨てている。ワンズは両者の捨牌に高くはともに無筋。山田自身の河にはやのトイツかぶりが痛々しく並ぶが、メンツ手から移行したこともあり捨牌はそれほどチートイツには見えない。トップ目堀川はベタ降りだが3者を見ながら中盤から早々に手仕舞いを余儀なくされた為、必ずしも完全安牌が潤沢ではない様子。」・・・以上の場況で、注目すべき山田の選択は打で待ちリーチだった。この時、山田の頭をかすめたのは「を切ったら振込で終了、試しに自分の次のツモを見るとなんとだった!」・・・ラス目にありがちなそんな光景だろうか、あるいは山田なりに自信のあるマチ取りだったのか。確かに山田の気持ちもよくわかるのだが、岡目八目で言わせてもらうなら、ここはアガリにかけてヤミテンで待ちではなかったか?というのも、小川・西尾の手牌にはなく残りはヤマか堀川が持っている可能性が高く、ヤミテンであれば打はどちらかに差し込みにいったと堀川が考えるかもしれず、その堀川がを持っていれば先行リーチの2者に対してオリウチで出てくる可能性もある。仮にが本当にどちらかに刺さったとしても、残留争いのターゲット堀川とのトップラスのまま終わるよりはまだましと考えられる。
リーチ後に西尾に澱みなくツモ切られたは山田の眼にどう映ったか。そして西尾がをアンカンしていれば本来なかったはずの西家小川の最終ツモ、海の底にはなんと、が眠っていた。
まさかこうなることを予測してアンカンしなかったわけではないだろうが、結末はドラマチック、幸運の女神に見初められたかの如く、西尾に鮮やかに逆転トップが転がり込んできた。
◆◆◆ 26回戦B卓 ◆◆◆
高島△5・成岡2昇・平井1昇・愛澤3昇
この配牌が13巡目に化けた。
「ロン、60オール!」の大咆哮には室内のほぼ全員が振り向いたほど(無論、O川戸さんも)。
成岡はこれで連勝(前日最終戦からだと3連勝)と絶好調。なんだか、鉄人デーになりそうな予感が。対局の詳細は高島選手の自戦記をご参照ください。
◆◆◆ 27回戦A卓 ◆◆◆
高島△5・愛澤2・堀川△1・山田△5
その2は流局後の東2局、堀川に絶好手が入る。5巡目に、
5巡目にしてチートイツドラドラの64テンパイ、しかも今のところ全く気配なし。そういえば以前、高島が「堀川のチートイツが全く(テンパイも待牌も)読めないんですよ・・・」と嘆いていたが、本局がまさにそれか。「犠牲者は誰だ〜?」とハラハラしていると、その高島、7巡目に山田の捨牌をポンと仕掛ける。危なっかしくて思わず「呑気に仕掛けて大丈夫か?」とメモってしまったが、さすがにポンテンだったようでタンヤオの3・6を即引きアガった。失礼しました。
毎局のようにテンパイは入るもののアガリに結びつかない堀川だったが、南1局にまたまた絶好手が入る。
の配牌に、と引いてイーシャンテン、次巡引きで破壊力満点のこのテンパイとなる。
すぐにでもツモりそうな勢いだったが、同点三着目の愛澤に、とかぶせられて途端に雲行きが怪しくなる。ドラを切り飛ばしてくるぐらいなので間違いなく愛澤もテンパイだろう。「安めのでもいいから・・・」そんな弱気なことを堀川が思ったかどうかは分らないが、当然の如くツモ切ったが愛澤のこんな手に捕まった。
うっ、めまいが・・・何だか動けば動くほど底なし沼に嵌っていくようで、さすがの堀川もラスを覚悟したのではないか。度重なるチャンス手がただの一度もあがれないのだ。逆にマイナス昇を抱えるトップ目高島や山田としては残留争いのターゲット堀川とのトップ・ラスを決める願ってもないチャンスのはずだったのだが・・・次局、一撃で堀川が蘇る。16巡めに、
代わってのラス目はオヤカブリの愛澤。山田に対して「何であなたが堀川のラス抜けを手伝うのですか?」と言いたげな高島と共に展開に納得がいかない様子に見えた。
南3局(高島68→堀川12→山田08→愛澤)、トップ目高島が序盤にをポンしてテンパイ気配。そこへなんと山田が8巡目ラス落ちリーチ!
捨牌が強いのでまさかの出アガリもあると考えたか、それともヤミテンのままでは高島に押し切られると見たか。腹を括った高島が期待通り(?)前に出てきたが、結果は山田にとって最悪。返り討ちにあい高島への12放銃となった。
オーラスはラスオヤ山田が再び8巡目にリーチといくが誰も相手をせず、お決まりの流局でそのまま終了。
◆◆◆ 27回戦B卓 ◆◆◆
西尾2昇・平井1昇・成岡3昇・小川4昇
東1局、オヤの西尾が10巡目にチーテン。
東2局、成岡がタンヤオチートイツをツモアガって16・32。あっさりと平井に並びかける。
成岡の「ツモって当然!」のドヤ顔が印象的だった(ちなみにこのはヤマに3枚残り)。
東3局、オヤ成岡がダブチャンタの60を平井からアガってトップ目に。
「そんなに高い手だとは思わなかった」と局後に語っていたが、点数以前にトップ目として振り込んではいけない場面だと思うのだが。実は「前局の成岡のツモアガリが相当ショックで平常心を欠いていた」らしい。それほどまでに成岡のツモアガリは強烈だったようだ。ともあれ、これで成岡のトップは磐石で、その2と東4局は西尾のツモアガリで更に小川がラス目の理想形に・・・と思われたのだが、南場に落とし穴が待っていた。
南1局(成岡95→西尾16→平井31→小川)【牌譜7】。2局連続でツモアガリして気分よくオヤ番を迎えた西尾が反撃の狼煙を上げた。成岡2副露の後、小川からチートイツドラ2の96をアガったのだが、西尾3巡目に・の2枚からを打ったのは単なる指運か、それとも独自の方法論か。とにかくここでが残れば後はほぼ一本道。同巡ツモ切りのが絶妙の販促効果となり、小川の放銃を引き出した。このタイミングで小川以外の2人が掴んだとしてもこのは止まらなかったに違いない。どうやら26回戦に続いて幸運の女神がいまだに西尾に纏わりついているようだ。
南1局その2、成岡がを鳴いて再び2フーロとなったところで小川の反撃リーチが飛んできた。
手牌には1枚も安牌がない成岡だったが、それでも何とか凌いで流局だろう、と思って隣の卓を覗いていると小川のロンの声が!「まさか、ツモアガリしたのか?」と戻ってみると成岡が1人で点棒を支払っているではないか。
引き出しの多さと踏み込みの鋭さは誰もが認める成岡だが、ここは開ける引き出しを間違えたか。仕掛けも含めて納得済みの放銃なら問題はないのだろうが・・・成岡痛恨、トップ争いから一歩後退の52放銃。
南2局、6オール、14オールと平井連荘で迎えたその3(西尾32→平井21→成岡134→小川)。平井11巡目、
このイーシャンテンで12巡目にツモ切ったに成岡が仕掛けた。
一方の平井は16巡目にを引いてようやくテンパイ。問題はマチ選択。どのみち出アガリはないだろうから「ツモった時に値段が倍以上違うので(本人談)」と平井の選択はカンマチのイッツー。
だが、次巡のツモはハズレ!ので河に叩きつける羽目に。そして、とどめとばかりに次の最後のツモもまたまたであった。
南3局(ドラ)、この局はトップ目西尾を除く3者の争い。牌の重なりをみてチートイツに絞った成岡とチートイツを全く狙わない平井が対照的だったが、ドラトイツを頼りにを仕掛けた平井にテンパイは入るも、小川・成岡の2軒リーチを受けてオリにまわった。2軒リーチは実はどちらもチートイツでロン牌もそれぞれ残りヤマに生きていたが、全て王牌で流局。
南4局 (西尾32→平井31→成岡134→小川)【牌譜8】。今期の名翔位争いを左右することになったかもしれない1局。まずは平井。供託2本でアガればトップ!の気合を前面に押し出して12巡目にテンパイ。
ラス目のオヤ小川は8巡目にアンカン、リンシャン牌を自模って少考後、打。その後はツモ切りが続いていたが、平井は委細構わず無筋をとばしていった。10・20ツモか52出アガリで逆転トップの成岡も14巡目に以下の手牌でイーシャンテンになっていた。
トップ目西尾は序盤から常套手段のオリ。きっと、このまま誰の声も聞きたくはなかったに違いない。ところが、小川が16巡目にツモ切ったに成岡が「ポン!」そして捨てられたに2つの声が重なった。平井・小川「ロン!」
成岡は小川の少考をイーシャンテンからの待ち選択(ノーテン)と読んだのだろうか?大半の無筋は平井が通しており、残っている両面はこのドラまたぎのだけ。小川がテンパイなら本命中の本命と思えたのだが・・・局後本人も「僥倖の引きテンパイだけに備えた手組にするべきだった・・・」と悔やんでいた。
南4局その2【牌譜9】、ダブロンを頭ハネされた平井だったが、ワンモアチャンスの1局。1巡目に上家の西尾が切ったばかりの自風をアンコにしていきなりテンションMAXに!唸りながら頭を卓に叩きつけんばかりの前傾姿勢でツモる姿は「私、逆転できそうな手が入ってます!」と全身でアピールするかのよう。これだけわかりやすいリアクションだと逆に応援したくなるから不思議だ。というわけで、この局に関しては平井サポーターとしてお届けしたい。平井の配牌が、
それに対して、ツモってきた牌が、
この配牌とツモで1人打ちをしたら、読者の皆様ならどのような最終形になるだろうか?
想定1は、7巡めにツモアガリの、
想定2は、13巡めにツモアガリの、
いずれかの形でアガリとなる方も多いのではないか。だが平井は、どちらの最終形にもならなかった。4巡目に小悪魔のようにフラっとやってきたドラ表示牌の。この牌を1巡手元に置いてを切ったが為にその後のツモに振り回されることになってしまったのだ。もとよりテンパイ一直線、リーチ前提でリャンメン以上のテンパイを目指すのであれば、ドラメンツに未練は持たずにをツモ切った方がよかったかのではないか・・・局後に平井本人も同様に悔やんでいた。実戦での最初のテンパイはこの形。
でテンパイだが何を切るか。自身の河には既にやが捨てられている。西尾との点差は32。形から言えば切リーチか、ただし直前にが続けて2枚切られており、みすみすできてるアンコを崩すのも抵抗がある。というわけで平井が選んだのは打のタンキ。次巡小川が切りした後、西尾が手番で長考。どうやら手詰まりのようだ。小川の捨牌にはがあり「おお、ひょっとして(西尾がを持っていれば)直撃できるのでは?」と期待したが、西尾が捻り出したのはであった。(は手牌になし)
次巡平井、を引いて「これが最終形じゃ〜」と意を決してリーチに出た。
あまり感触は良くないが(実際はヤマに4枚残り)出アガリでもOK(同点トップ)だ。「後は山との勝負!」と思っていると、成岡も平井が15巡目に捨てたを鳴いて追いついた。
タラレバのやまでツモってくる平井、何となく嫌な雰囲気が漂ってきて「このうえ成岡のロン牌を掴んだら悲惨やな〜」と心配したが、本人は「2人引きでチャンス2倍!」と自分のアガリを信じていたらしい。ところがここは流局を願う西尾と小川の念が勝ったか、2人のロン牌は最後までどちらのツモ筋にもなかった。西尾会心のトップで3昇目、この時点で小川に次ぐ2位に浮上した。小川のラス逃れもデカい。一方、東場を支配しトップを手中に収めていたかに見えた成岡、3連勝目前でまさかのラス。
◆◆◆ 28回戦A卓 ◆◆◆
高島△4・成岡2昇・山田△7・小川4昇
ヤミテンでもアガればトップ目なので普通はヤミテンなのだろうが、成岡ならリーチか。テンパイ打牌がドラなので実質リーチと同じだが、結局ヤミテンのまま12巡目にツモで7・14のツモアガリとなった。「やっぱりそうか〜」と言いたげな様子に見えたので局後に尋ねてみると、例え役無しテンパイでもリーチをかけるつもりはなかったと。ふむふむ、なるほど。ただ、「・ともヤマに残っていることには自信があったが、自分のツモ筋にいるかどうかはわからないので・・・」と成岡にしては珍しく弱気な発言。どうやら前戦(27回戦B卓)のラスがやはり相当こたえていたらしい。
南3局、成岡に速いイーシャンテン、3巡目で以下の形に。
ところがこれがなんと、この後10巡ツモ切りで結局テンパイすら入らない。まるでラス目のような焦燥感に包まれそうになるが、次局オーラス、その悪い予感が現実のものとなる。
南4局、ラス目山田5巡目リーチ。
これを7巡目にツモアガリ!10・20でトップまで突き抜けたのだ。
トップ目を逆転された成岡「何となく捲られそうな気がしていました。小川さん(がトップ目)だと流局するんだろうけど、弱いトップ目だな・・・」とは(すべて本心だとは思えないが)何とも寂しいコメント。
◆◆◆ 28回戦B卓 ◆◆◆
平井1昇・西尾3昇・愛澤2昇・堀川△1
東3局、前局オヤカブリでラス目となった西尾がリーチといくが流局。後で聞いたら、ヤミテンでもラス抜けできる役ありだったらしい。どうやら「リーチ」の声にびっくりして幸運の女神はどこかへ逃げてしまったようだ。
この半荘の決定打は南場での平井の2回のツモアガリ。南2局、平井9巡目リーチ。
ドラ表示牌を引いて手応え十分のリーチだったが、安目のツモにやや不服そうに10・20。
南3局その2、平井2巡目リーチ。
またまた安目の3ツモで今度はハッキリと不満げに7・14。だがこのアガリ、安目でもトップ目に立つうえに堀川の手牌にが2枚、が3枚ブロックされていただけに、外野から見てるとかなり恵まれた力強いアガリに思えた。
南4局 (平井08→堀川16→愛澤92→西尾)。平井、この点差では気が気でなかっただろうが、本人が思っていた以上に体勢は盤石だったようで、番手の堀川、愛澤ともどもテンパイは入らず。拍子抜けするほどあっさりと流局となり、待望のトップに。
いよいよ残るは最終節。小川4昇を先頭に2昇が愛澤、平井、成岡、西尾の4人と近年稀に見る激戦となった名翔位レースを誰が制するのか、最後まで目が離せない。
第4節自戦記(23回戦A卓:小川 隆)
前2回戦ともに痛い目に合い、芳しくない精神状態に陥ったが、対局前からこの23回戦の自戦記を担当することが確定していたこともあり、何とか気持ちを奮い立たせて本日3戦目の対局に臨む。
No.1【東1局】
7巡めの成岡のドラのツモ切りに恐る恐る対応。幸運なことに際立ったハイを打ち出すこともなく自然とテンパイが入る。この巡目ならロンパイがこぼれ落ちそう。直に期待通りの結末が待っていた。
No.2【東2局その1】
高島のポンテンでオヤの成岡がテンパイ。そして1巡おいてリーチ。即、決着はしたが、長引くと手詰まり模様の自分がトイツ落しのを選んでいたかも。
No.3【東2局その2】
愛澤の序盤のリャンメンターツの切りに怯え、早々に防御に徹する。12巡めに刺激的なションパイのが出現。それを見送った成岡が危うそうなをツモ切り、次巡の愛澤のテンパイ打ハイのを仕掛け、さらに押してくる。この時点で愛澤のアガリハイは4枚。すべてヤマに眠っていた。
No.4【東3局】
ドラを2枚引いてきた。ほくほくである。ラスめのオヤが、余剰ハイなく手を進め、ドラを打ち出してくれた。望外なポンテン。さらにカンチャンが3メンチャンに変わって、もう容易には引き下がれなくなるが、すんなりとツモアガった。
No.5【東4局】
アガりには遠そう。ファンパイを絞って長期戦に。10巡めに愛澤からションパイのがツモ切られるが、恐れ多く声を出せない。2巡後にはドラがツモ切られ、愛澤への注目度がより一層高まる。にもかかわらず、珍しく成岡が突っ込んで行った。
No.6【南1局】
前局のアガリで勢いづきそうなオヤの放銃により、三家が接近した好ましい展開になる。高島がヤミテンにしたのは、まずはラス抜けを優先したからであろう。
No.7【南2局】
ハイパイでドラが3枚。思わず緩んでしまいそうな表情を隠しつつ、ツモる指先に力が入る。ラスめのオヤの仕掛けにも動じることなく、ドラ3を保有したトップめの強みで密かに突進。これをアガって決定打としたいところだが、さすがに警戒されてしまった。
No.8【南3局】
愛澤のホンイチ模様の仕掛けにワンズが打ちにくくなる。トップめでしかも上家の自分がテンパイを入れさせるわけにはいかない。そのワンズを1枚も余すことなく、うれしいカンが埋まってピンフのテンパイ。いつでも後退する気構えでいたが、先にロンパイをつかんでくれた。
No.9【南4局】
ラスめの成岡が自風を叩き、2巡めにしてイーシャンテン。対決の意志を示した高島も2枚目から仕掛けて応戦する。
2着めの愛澤以外にはマンガンを直撃されても自分のトップは不動。手役が明快な二人に対して差し込みのつもりで打ってみると、成岡のタンキ待ちに放銃した。
愛澤の捨てハイにがあれば、それを選んだであろう。成岡の待ちどりが上手かった。
第4節自戦記(26回戦B卓:高島 努)
「今年は、厳しくなるよ。」これは、今年の就位式で愛澤名翔位が私に仰った言葉である。昨年度の残留は、私との期首順位差や実力差などが起因となり「残留させていただいた」という表現がピッタリであった。ところが、今年は、モロに実力差が明るみになり、他の6選手からは「残留争いは今季はないかな」と捉えられても致し方ない状況となった。悔しさ以上に情けない限りである。
第4節の初日終了後に、初日立会人であった山内さんに、(ほぼ負け(降級)を覚悟し)意地を見せていないように感じられたことを指摘された。そして、「これからどないするねん」と。
(実力差は重々理解はしているが)無論諦めてはいない。終戦モードが微かにも出ていたことを改めて反省した。成岡選手にも「うちらは名翔位を目指してやっているんだから、A級(の椅子)にしがみつくべき」とも仰られた。
そう、私のやるべきことは「残り3日で1昇ずつ取り返していき、不格好でも残留を成し遂げること」である。
ところが、私の気持ちとは裏腹に「黒星」が25回戦でついてしまった。それでも、挽回すべく26回戦に取り組んだ。
対局面子は、名翔位を明確に意識した期首順位ベスト3と地を這っている者との構図となった。トップを取るためのシナリオといえば、フラットなポジションで行っている「マージャン101」のような単純なトップをとる方法だけではなく、(昇差を活用し)私に対してのアシストもあり得るかということで、対局相手が置かれている状況や思惑を考慮しつつトップを勝ち取る方法も考えた(以降、文中敬称略)。
No.1【東1局】
成岡が、7巡めにあっさりと先制点を挙げた。「での放銃は、交通事故」と開けられた手牌と河を見て感じたが、私もこのは下手したら打っていたかもしれないと思うと寒気が止められずにいた。
平井の手牌から照らし合わせたら、「交通事故」だと思うが、牌譜をみて私がを打てば「しかたないよ」とは誰も言ってはくれないと思う。
なぜなら「保険」のカンの受けは要らないからである。だって、カンの役なしテンパイになることだってある。それで、堂々と勝負できるのか?
喉から手が出るほど欲しいのは、言うまでもなく。を切ってを引いても「失敗」にはならない。
次に、が手元に残っている点である。気持ちがから回って、やってはいけない「中張牌ブクブクマージャン」をしてしまった。やがアンコになったときの保険であるが、そないな確率どれだけあるねんって話である。速攻ツモ切っておく手である。
さらにもう1点。をツモ切っている点である。を引いてきた時には打としておかないと、のリャンカン形が雀頭候補となったときにリャンメンターツが生まれなくなってしまうからである(すべて、打ち上げ後に成岡さんからご指摘を頂いた)。
というわけで、最終形は、
それにしても、字牌の扱い方はいつも難しいなぁと感じずにはいられない。成岡の捨牌を見ると堂々と1・2巡目に三元牌を切っている。「是が非でもアガリに行きたいときに限り、不要な字牌を先に処理する(敵にアガられたくない場合はそうではない)」と、こちらは愛澤さんからご指摘を頂いた。を自力にアンコにできたのは偶然かもしれないが、敵のキー牌にもなりかねない三元牌よりも自分にしか味方にできない自風牌を残しているのは、私の思考には今までほとんど入っていない。1戦1戦、やっぱり修行あるのみと改めて譜をみて感じた。
No.2【東2局】
これも、相当寒気がした1局であった。私の手牌に「ネクストバッターサークル」にがあり、仮に愛澤がを打たずにすり抜けて、次にやが来たら、さてどうする?危なかったところであった。
このチョーマの動きだが、結果的にラス回避はしやすい位置となった。とにかく52差を埋めなきゃと思い、寒気が漂っていた精神状態をリセットしなおすことに専念しつつ、次局の洗牌を行った。
No.3【東3局】
めざすは、567のサンショク本線のタンピン。789のサンショクって手もあるが、最低限はタンピンを確保しておきたい。そこでようやく見えるのが残留への光である。
というわけで、ここは積極的に字牌を先切りして、意思を見せた。ところが2巡目のに愛澤から声がかかった。「ヤバいのか?いやいや、まだ製作段階だろう」と思い、とりあえずは私の構想の1歩手前まできた。
6巡めのもミスではない。構想上要らないのである(東1局のと同様)。
だが、愛澤8巡めのには、警戒信号がともっていた。なんてツモ切る勇気など持ち合わせてはいない。それでも10巡めに蘇生しかけたが、を掴めばもう気持ちは流局狙いであった。
No.4【東4局】
ドラは2枚配牌にあり、ここでどうにかしたい気持ちが前面に出ていた。やを先に引きたいのは山々だが、そうカンタンではないのは重々分かっている。2巡めのツモ切りは後の危険回避目当てもあるがドラを出さざるを得ないテンパイは組みたくないためである。3巡目のリャンメンが先に埋まるケースは、言うまでもなくよくある話。それでも、一歩前進。は、重さなればまた違った役ありテンパイが組めるためひとまず手元に。字牌が高い場になっているか否かはまだ分からなかったが、チートイツ臭い方はとりあえずいないようだ。しかし、5巡目にはあっさり打。単なる手広さ重視。無論、緊急信号が来ない限りはこのまま棒攻めするつもりであった。ただ、成岡は3巡めの切りで早そうな感じはしていた。ただし、成岡がアガりたいのは、「高島から」ではなく「愛澤から(次善は平井から)」と考えられるため、ある程度は素直に進められるか。座順も成岡から見たら山越しやすいし。
9巡めの残しは、を自分で切っているとはいえ、リャンメンの種と安全性を一応考慮したもの。テンパイすれば切るつもりだった。
ところが、同巡に成岡の手から出てきたは、そうとうヤバいなと感じさせられた。そして、10巡目の3枚目のは前巡が「失敗」したことを明示させられるものであった。さらに、平井の打も、強烈。ある程度(ピンズだけだが)は押してギリギリまで粘ってみるものの、さすがには切る気になれなかった。
反省点としては、2巡めにを切ったことが挙げられる(その代わりに打としたほうがよかったか)。都合よく先にペンチャンターツが埋まるケースってそうはないのだから、リャンメン受けをしっかりと残して、を切る状況となったときに腹を括ってを切ったほうがいいかなと思った。やっぱり怖いけど、「強い心」が備わっていないとこれから101競技連盟ではやっていけないと改めて思った。少しでも、マージャンだけではなく、普段から精神を鍛えられればと思う。
No.5【南1局その1】
孤立字牌の多い配牌。役牌をばらまくのは覚悟の上で積極的にいくことにした。ラス抜けメインの愛澤も同様の構えかなと感じた。いわゆる「字牌が安い場」になった。スピードが今一つ読めない(私レベルだけかもしれないが…)。成岡がスムーズって感じかも。
そうこうしているうちに9巡めにをひとまず勝負。ドラがだけに少し怖いのだが…。そして10巡目に仮テン。あとは手変わりを待つのみ。そして訪れてくれたのが。1手変わりの678のタンヤオサンショクに誘惑されたが、でアガリを逃すほうが罪が重いと思ってピンフの方を選択(567のサンショクもあるが、2の次と考えていた)。もう1回オヤ番ができることとなった。
成岡の打の真意が、分からなかった(単純に譜を見たらかかなと)。ただ、「現級の著しく低い私」になら放銃してもよしと考えられたのかもしれない。あと、イッツー狙いに受けている構えもスゴイと思った。がヤマにいると考えられてと私なりに推測。この選択も、今の私にはできない。
No.6【南1局その2】
ドラ2の配牌だが、他が重すぎる。何とか役牌を重ねたいのが本音だが、もたついている間に、他家にアガられそうな気しかしなかった。やはり、進捗状況の速さが字牌の切り出し方に露骨にあらわれていた。5巡めにようやくが重なったが、すでには1枚切れ。
そして、平井にをポンされる。頼みの私にはピンチである。それでも、前進あるのみと言わんばかりに攻めてみる。
ここで驚いたのは、ラスめの愛澤が私からの12を見逃している。名翔位連覇には、成岡・平井のチョーマを大きく削ったほうがいいからと思われる。を引いたらリーチをかけるのだろうか。結果的に、成岡が山越を食らう結果となった。
No.7【南2局その1】
ドラのが重なった時点で、メンツ手よりチートイツへの意思を固めた。を切ったことでテンパイを逃し、さらにはアガリまで逃す結末となった。最終のマチには多少の自信(が2枚切れているので少しは使いにくい)があり、祈るような気持ちでツモりにかかっていた。成岡の打には、激震が走った。明らかな大物手の王手である。は通りそうに思ったので、全く通っていないものが来たら変えるつもりであったが、考える間もなく超高めを引きアガられた。
私の摸打よりは、成岡のほうを注目してご覧いただきたい。を切って残しもすごいが、6巡目の打は私にはできない。を選んでそうだ。「これで決める」という決意が私の何倍も強いし、現に結果に繋げている。そして、マチにしていないのも「あたりまえや」って言われるかもしれないが、私ならひよってマチにして一生アガれないテンパイにしてしまうのだろうなぁって思う。あと、孤立の字牌を序盤にしっかりと処理しきっているところも、私とは雲泥の差である。前日も然りだったが、字牌の離し方は考えれば考えるほど難しいなと感じた。
No.8【南2局その2】
244差がついてしまった。しかし、少なくとも3回チャンスがあると思い、3の矢まで放つつもりで臨んだ。まずは、絶一門にかまえて様子をみた。成岡がダントツになった以上、ラス選びを施すと考え、マークを愛澤メインに。中盤、ピンズがある程度満ちたのもあり、ホンイチ一直線に進めた。理想は、メンゼンでのテンパイ(イッツーも勿論視野に入れるが)。ハネマン以上がベストであるためである。しかし、12巡めの愛澤の2枚目のには悠長にはできないと思い、チーテンを入れた。ベストまでとはいかなかったが、引ければ希望が残る。しかし、一向に引きアガれずに、愛澤のリーチの声が。ただ、成立とはいかずに平井がチョーマを得る結果となった。
No.9【南3局】
チャンスが残り2回となった。でも、奇跡を起こそうとあきらめずに臨んだ。ドラのは、微かな光明である。理想は、タンピンツモイーペイコードラ2のハネマンといったところ。だが、理想的な有効牌に巡り合えず、愛澤のリーチの発声が。この状況ではもはや勝負を挑むこともできずに、おとなしく撤退して流局。
No.10【南4局】
さすがに、この点差ではもうトップになることは相当きつい。しかもこの1局が実質ラストチャンスと思った(愛澤に差し込んでワンモアチャンスは考えないものとした)。無論ヤクマンの手が入れば勝負するが、まずしなければいけないのは、この26回戦を最低でもバーで終えて、次戦以降に希望を残すことである。
そして、成岡が1巡目にをポン。あとは、愛澤の動向を窺いつつ、成岡にアシスト。なかなか声がないなと思っていたら、愛澤がリーチを宣言するも、成岡が自ら引きアガって逃げ切った。
101競技は、ラスをひくと心の底から悔しい気分にさせられる一方で、もがき苦しみながらも得られたトップ(内容の悪いトップはダメだが…)には言葉では言い表せないくらいの喜びを得られるのが非常に面白いと常に思っている。また、101競技連盟に入会できたおかげで、すごい選手と対局できて、本当によかったと思う。でも、「思い出」だけで終わらせてはいけないのも事実。一生かけても取れないかもしれないが「名翔位」を目指しているんだという気持ちも当然ながら、1戦1戦修行の気持ちを忘れず、向上できればと思う。
第36期順位戦A級 第4節 星取表 (10月24・25日/東京)
選手名
|
開始前
|
21回戦
|
22回戦
|
23回戦
|
24回戦
|
25回戦
|
26回戦
|
27回戦
|
28回戦
|
終了時
|
順位
|
愛澤 圭次
|
1昇
|
A −
|
A −
|
A −
|
A ◎
|
A ◎
|
B ●
|
A −
|
B −
|
2昇
|
2
|
平井 淳
|
±0
|
A −
|
B ◎
|
B −
|
A −
|
B −
|
B −
|
B −
|
B ◎
|
2昇
|
3
|
成岡 明彦
|
△1
|
A ◎
|
A −
|
A −
|
B ◎
|
B ◎
|
B ◎
|
B ●
|
A −
|
2昇
|
4
|
小川 隆
|
4昇
|
B ●
|
B −
|
A ◎
|
A −
|
A −
|
A −
|
B −
|
A −
|
4昇
|
1
|
高島 努
|
△3
|
B ◎
|
B ●
|
A ●
|
B −
|
B ●
|
B −
|
A ◎
|
A ●
|
△5
|
7
|
西尾 剛
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1昇
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B −
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A ◎
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B ●
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B −
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A −
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A ◎
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B ◎
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B ●
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2昇
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5
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堀川 隆司
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1昇
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A ●
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B −
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B ◎
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B ●
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A ●
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A −
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A −
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B −
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△1
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6
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山田 史佳
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△3
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B −
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A ●
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B −
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A ●
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B −
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A ●
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A ●
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A ◎
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△6
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8
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