
第35期順位戦A級 第3節
第3節観戦記:内田 慶(麻将連合)
私が101と初めて出会ったのはいつぐらいだったろうか。
当時通っていたマージャン荘に置いてあった、101マガジン700円のポップと、日曜日に店の片隅で自動卓を使いながらも、ガシャガシャかき混ぜながら、浮き点を卓の上に出しながらマージャンに興じていたオジサンたちがそこにいたのだけは覚えているが、それがいくつの時だったかはとんと思い出せない。
なんかの大会後だったか、「101マガジンを下さい。」って店員さんに言ったことが一度だけあったが、当時の店のアルバイトの人にひどく珍しがられ、それが妙に気恥ずかしくて、一度だけしか買わなかったのは覚えている。
確か有馬選手が八翔位を初めて勝ち取った記事が載っていたような。松葉杖をついた新八翔位の姿が印象的だった。
マージャンの内容はというと、当時はフリーデビューしたての小僧も良いところ。全く印象に残っていなかった。大変申し訳ないが、まるで良く分からなかった。
それから、しばらくして、マージャン漫画雑誌で愛澤選手をとり上げたエッセイ漫画を目にして、再度、101に興味を持たされた。
もちろん、麻雀プロの世界、競技マージャンの世界というものが存在するという事は知識として知ってはいたのだが、そこに登場する人物の対局以外の生活部分にもスポットライトが当てられていて、とても考えさせるものがあったからである。今でも私の好きなマージャンマンガの一つである。
更に、マージャンを通したつながりで健康麻将を開催しているマージャン店でアルバイトをした時そのお店に「月刊プロ麻雀」などがあったり、そこに八翔位戦の記事が乗っていたり、さらには、そこでちょっとカッコイイホンイチをツモアガリした選手がいたり、また101マガジン読んでみたいなと思ったり、101の練習会に誘ってくれる選手がいたり…・・・。
長々と何を言いたかったのかというと、色んなメディアに出てきた101選手に魅せられてしまった人間がここにいたという事である。101は秘境なんて言い方をされる事もあるが、本当にそうかなと思ってしまう。
マージャン101をとっても、マージャン愛好家に競技マージャンを普及しようとしたところに最も早く着目した団体だと思っているからである。
◆◆◆ 17回戦B卓 ◆◆◆
〈村田△6・成岡±0・平井±0・西尾±0〉
開局は成岡の3巡目のチーテン12から始まった。フリコミに回った西尾も後悔してもしょうがないと思ったかどうか。
流局を挟み、西尾のオヤ番で、南家・成岡が4巡目に仕掛け出す。















その後、平井の3・6、成岡から平井に12とアガリが出やすい場になり、南入する【牌譜1】。この





















また、村田のドラに食いついた成岡も少々意外ではあった。ポンした後は思惑通りに一人旅となり、流局したのだが、終局後の苦笑いが忘れられない。翻牌の出があると思ったか。3着目のオヤが切ったドラだから仕掛けたか。
南2局も流局して、ハイライトの南3局【牌譜2】。成岡の6巡目の打



また、テンパイのマチ取りにフリテンの



その後、ドラとのシャンポン待ちでリーチをかけたり、仕掛けてテンパイを入れたり、マンガンをアガったらトップになる村田に差込を敢行したりするも、全て空振り。
西尾満面の笑みのトップ、成岡何とかなったんじゃないかなぁと思ってしまうようなラスとなった。
実はこの卓、八翔位戦の準決勝とほぼメンツが同じ為、特に着目していた緒戦であった。この様子じゃあっちは熊谷さんが勝ち残るかなとか考えていたり、いなかったり。
◆◆◆ 18回戦A卓 ◆◆◆
〈田中△2・西尾1昇・高島3昇・村田△6〉
西尾のテンションが高い。が、今度は裏目。場に4枚目の





















脇の村田にすら打たないマージャン。
誰にも振り込まずにアガるのは自分。
そんな理想のマージャンを目指してもがき苦しんでいる道中のような放銃に見えた。それならオリ打ち大いに結構だと思う。
将来、完成された鉄壁の、懐深い、これが101の高島のマージャンだというところを今後も見せて欲しいと思う。それが、次に繋げる為のA級選手の責務でもあるからだ。
その後、西尾の13・26で2連勝は堅いかと思われたが、村田が豪快な長打を放つ。
































あーいうの半荘2回ぐらいに分けてきてくれると、△4くらいですんでいるのになぁと冗談交じりに言っていた村田だったが、まだまだ残留争いはこれからといった心境だろう。
◆◆◆ 19回戦A卓 ◆◆◆
〈愛澤4昇・平井0・高島2昇・成岡△1〉
東3局に高島が最終手番で14オール。

















心臓バクバクなのはラス親成岡。攻め手を見せないと待っているのはオヤカブリでのラスと、3巡目に仕掛けたのはこんな形。































こうなったら、焦点はラスなしでこのまま終わるかどうかだが、結果はこうなった【牌譜4】。平井は愛澤の下家という事も織り込み済みでの仕掛けなのだろう。攻撃は最大の防御という平井らしい戦略だろう。テンパイ取りではかなり長考していたが、打

◆◆◆ 20回戦B卓 ◆◆◆
〈愛澤4昇・村田△5・小川3昇・西尾1昇〉
東2局に村田が西尾から60。


















今回も負債返済のチャンスかと思われたが、村田はタンヤオドラ2のテンパイから愛澤に28を放銃して、雲行きが怪しくなる。西尾がトコロテン打法で16を愛澤に。



































小川の4巡目の

対局終了後に小川に直接質問したが、本人も、あれは



この局の、村田のリーチを蹴散らす力には、本当に敬服するばかりなのであるが。
その後、8巡目リーチを愛澤がツモアガってトップ取りに成功。




































ニコニコ生放送などで、マージャンプロの対局が放送され、101も特集を組まれたりし人の目に触れる機会が増えてきた。
ぜひ、101も多くの人の目にふれるところで活躍していただきたいと思う。
先日、Twitterで、一般のネットマージャンのユーザーの方から、「101って、未だに手積みで対局をしているなんて、信じられない。自動卓を使わないなんておかしい。」といった趣旨の発信があり、それに対して、「101で自動卓を使わないのはピッチングマシーンがいくら発達して170キロの速球が投げられるようになったとしても投手を機械に任せよう。とはいわれないでしょ。必ず人が投げて、人が打つのが野球だということですよ。」と発信したら、顔も知らないネットマージャンユーザーのホント多くの方にリツイートされ、ドキドキした。
101は秘境ではない。
第35期順位戦A級 第3節 星取表 (8月23日/東京)
選手名
|
開始前
|
17回戦
|
18回戦
|
19回戦
|
20回戦
|
終了時
|
順位
|
田中 実
|
△2
|
A −
|
A −
|
B ●
|
A −
|
△3
|
7
|
小川 隆
|
3昇
|
A −
|
B ●
|
B ◎
|
B −
|
3昇
|
2
|
村田 光陽
|
△6
|
B −
|
A ◎
|
B −
|
B ●
|
△6
|
8
|
愛澤 圭次
|
4昇
|
A ●
|
B ◎
|
A −
|
B ◎
|
5昇
|
1
|
成岡 明彦
|
±0
|
B ●
|
B −
|
A −
|
A −
|
△1
|
6
|
平井 淳
|
±0
|
B −
|
B −
|
A −
|
A ◎
|
1昇
|
4
|
高島 努
|
2昇
|
A ◎
|
A ●
|
A ◎
|
A ●
|
2昇
|
3
|
西尾 剛
|
±0
|
B ◎
|
A −
|
B −
|
B −
|
1昇
|
5
|