第11回 マージャン101チャンピオンズマッチ

 観戦リポート | チャンピオンズマッチ座談会

観戦リポート:小川 隆

 10月25日、仙台の「まぁじゃん学校」にて「第11回マージャン101チャンピオンズマッチ」が開催。各支部から選出された出場者は、以下の8名。

 イン仙台:野内千賀子さん・中川希樹さん・櫻井一幸さん
 イン東京:菊池一隆さん・藤森弘希さん・中村浩三さん
 イン大阪:田村洸さん・大原泰孝さん

 システムは、前年度同様に、1・2回戦を101評価、3回戦を202評価で対局し、上位4名を決定する。同昇の場合は、翔龍戦を模して「追いついた方を上位」。それでも、同じ場合は前年度のマージャン101の対局数の多い方を上位とする。そして、上位4名で303評価による決勝戦を2回行い優勝者を決める。


◆◆◆ 1回戦A卓 ◆◆◆
(櫻井・藤森・大原・菊池)
 開局、櫻井がオヤマンのアガリを逃すが、東4局にドラマチのチートイツをツモアガり、さらに次局のオヤ番で30、16オールと加点。その3こそ、2着目の大原が20・40をアガって追い上げるものの、南3局の大原のオヤ番に櫻井が20・40をアガり、これが決定打となる。
(◎櫻井/●菊池)


◆◆◆ 1回戦B卓 ◆◆◆
(野内・中村・田村・中川)
 東1局、中村がまずは7・14と先制するが、感触は微妙。
 すぐに次局に田村に逆転されるが、南3局その2にドラ入りのチートイツの64を中川からアガり、トップめに。南4局には2着めの田村に逆転のテンパイを入れられるが、自らがアガってトップを決める。
(◎中村/●中川)


◆◆◆ 2回戦A卓 ◆◆◆
(中村+1・櫻井+1・野内±0・大原±0)
 2回戦は東3局の野内26オールから始まる。その後、野内は3人の攻めに少しずつ点棒を減らされながらも2着めで踏みとどまり、「大原14→野内07→櫻井33→中村」の点差で迎えた南4局(ドラ)、ラス抜けを果たしたい中村がテンパイ。
さらに櫻井もテンパイ。
この2人のテンパイに臆することなく、野内がシュンツ手からトイツ手にうまく移行して最終手番で8・16(チートイツ)をアガり、逆転トップ。
(◎野内/●中村)


◆◆◆ 2回戦B卓 ◆◆◆
(田村±0・菊池△1・藤森±0・中川△1)
 東3局、中川がここにをツモり、タンキに受け変え、3翻上昇。
全体的にワンズが安く、程なく田村から64をアガる。しかし、南場に入ってオヤの藤森に2局続けて直撃され、トップを明け渡してしまう。そのまま藤森が逃げ切る。
(◎藤森/●田村)


◆◆◆ 3回戦A卓 ◆◆◆
(中川△1・藤森+1・櫻井+1・中村±0)
 東3局の中村のリーチに一発で40の放銃でラスめになった櫻井が南3局、
高目ならマンガンというチャンス手だったが、トップ目の中村が中川にタンヤオ・ドラ2の40を放銃し、チャンスをつぶされる。

 南4局(中川52→中村20→藤森28→櫻井)、オヤの中村が6巡目にテンパイ。
行かざるを得ない櫻井から78をアガって再びトップめに。ラス抜けに厳しくなった櫻井だが、それでもその2で条件通りのテンパイを入れる。
真っ直ぐ来ている中川からロンパイのが打たれるが、当然の見逃し。さらに続けざまに藤森からが打たれる。最後は、をツモってをカン。リンシャンに託すもそれまで。トップの中村と1昇を守り切った藤森が決勝戦へ。
(◎中村/●櫻井)
                  

◆◆◆ 3回戦B卓 ◆◆◆
(野内+1・菊池△1・田村△1・大原±0)
 東1局、菊池が大原からピンフ・ドラ1の本日初アガリ(20)。次局は田村からピンフの18と調子を上げる。
 東3局に野内がホンイチドラ1の80 を大原からアガり、逆転されるが、次局、菊池は5巡目にテンパイ即リーチ。難なくツモアガってトツプ目に。
 しかし、南2局(ドラ)にピンチが訪れる。田村が以下のテンパイ。
  
さらに大原も、テンパイ。
と2人に攻められるも流局に持ち込む。次局以降も危なげなく進め、野内とともに決勝戦へ。
(◎菊池/●大原)


◆◆◆ 決勝1回戦 ◆◆◆
(中村+2・藤森+1・野内+1・菊池+1)
 東場は中村が勤しむ。東1局に藤森へ28を放銃。次局に野内から40(高目なら80)とすぐに回収するも今度は菊池に20を放銃して沈む。東4局にはまたもや野内から28をアガり、毎局点棒を授受。
 
 南2局、中村と菊池の仕掛けをかわした藤森が40オ−ルと大きく突き放す。
 これを菊池が南2局その2で16、南3局に28と地道に追う。

 南4局(藤森124→菊池44→中村52→野内)、オヤの菊池が20オールをアガり、藤森と44差に迫る。
 
 その2は、菊池がをポンして動くが、ここから停滞。すると、終盤にラスめの野内がペンをチー。卓内に緊張感が走る。トップ目の藤森は中村をラスにしたいが、点数的に打てなくなっていた。アガリが遠そうな菊池が代わりに差し込みに行くが、声はかからない。手詰まり模様なった中村は必死になって通りそうなハイを絞り出す。実は、野内の手はまだイーシャンテン(ジュンチャン・ドラ2)。結局、このままテンパイすることなく流局した。
(◎藤森/●野内)


◆◆◆ 決勝2回戦 ◆◆◆
(藤森+4・中村+2・菊池+1・野内△2)
 東1局、ドラをアンコにした藤森がタンヤオで終盤にテンパイするも流局。

 東3局、オヤの菊池が野内からピンフの18をアガると、その2、序盤早々にをポン。そしてをアンコにして最終手番で26オールをツモアガる。

 東4局、オヤの野内が藤森からタンヤオの24。

 南1局、前局ラスめに落ちたオヤの藤森が9巡目に勝負と出る。
ヤミテンを選択せず、リーチを決行する。菊池の手にはが1枚浮いていて今にもこぼれそうであったが、ここで撤退。ロンパイはヤマに2枚あったが、流局。

 南2局、ここまで辛抱していた中村が6オール、そしてその2で40オールとトップめに。
 
 その3、菊池の渾身のリーチは流局。
 南3局、野内の13・26(ツモ・サンアンコ)で菊池のオヤ番が供託とともに消滅し、いよいよ厳しくなる。

「中村95→菊池18→野内115→藤森」で迎えた南4局(ドラ)、オヤの野内が以下のテンパイ。
 
 マンガンツモ条件の菊池は、
 点数が足りない菊池はをじっと待つ。トップ逆転条件が満たされない場合は、最終的にはオヤの野内に差し込む予定だが、その機会を与えることなく、中村が自力でツモアガって、優勝を決めた。
(◎中村/●藤森)

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   第6回以来の仙台でのチャンピオンズマッチは、中村さんの優勝で幕を閉じた。終了後に催された打ち上げは、「牛タン」「芋煮」などを頂きながら様々な話題で大いに盛り上った。新潟支部が発足したということもあり、近いうちに新潟でもチャンピオンズマッチが開催できればとみんなが願っていた。
(文中一部敬称略)


チャンピオンズマッチを戦って  〜〜〜 優勝者・中村浩三さん(RMU)を囲んで 〜〜〜

参加者:中村 浩三さん 藤森 弘希さん 菊池 一隆さん
  取材・文:木村 由佳(&石井 学さん)

 10月25日土曜日、仙台で行われた「第11回マージャン101チャンピオンズマッチ」で、中村浩三さん(RMU)が優勝なさいました。「マージャン101チャンピオンズマッチ」は、八翔位戦の開催中に行われる、101順位戦選手以外の選抜選手によるワンデーマッチです。
 今回の優勝者インタビューは、決勝戦を戦った東京代表選手の3人に集まっていただいての、座談会形式で行いました。木村の拙い雀力では取材が的外れになってしまうおそれがあるので、石井学さんにも同席していただきました。場所は、RMUの新人歓迎会が開催されている居酒屋の横のテーブルです。手元に小川隆選手のレポートとメモのコピーを用意して、それを回し見しながらざっくばらんにお話していただきました。

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―――中村さん、優勝おめでとうございます。それにしても、決勝卓を戦う4人のうち3人が東京からの選手というのはすごいですね。
中村「101の経験値から言えば、チャンピオンズマッチの参加者の中で、東京の選手がやや有利だったかもしれません。始まる前に『この3人で決勝戦えたらいいね』などと言っていたのですが、実現したことがまずうれしかったですね」

菊池「前年の101の打荘数によって開始時順位が決まっているのですが、自分が上の方にいるということは私も戦略に入れていましたよ。日ごろ101を打っているというのが大事だったと思います」


―――菊池さんは1・2回戦ノーホーラでしたね。3回戦はどのような気持ちで臨まれましたか?
菊池「1回戦(101評価)はラスで、『これで3回戦(202評価)がトップ条件になったかな』と思っていました。2回戦(101評価)はむしろラスを恐れないでのびのびトップを目指して打てた気がします。南3局ではマンガンを引いてもトップに立てないので、普段はリーチしない手をリーチしました。このシステムだからこそ、迷わず戦略を決められたという局面でした。結果として2回戦は『−』で、やはり3回戦トップ条件になりましたが、ここでやれるだけのことはやったな、と思いました。
 3回戦は野内さんだけが『−』条件、他3人(菊池・田村・大原)がトップ条件でした。南入時には東場で3回あがった自分がトップ、野内さんが『−』で、野内さんが無理にまくりに来ないことがわかったので自分にはいい展開になりました」

中村「3回戦、別卓の菊池さんがあがっている声が聞こえたので脅威を感じました。調子がよくなさそうなのに大事なところではちゃんとトップを取って決勝卓に残ってくるのはさすがだなと思いました。この日初めて菊池さんと対戦するのが決勝卓になったので、緊張しましたよ。調子がどう悪いのか見えないし、3回戦で調子を上げてきているのはわかりますから」


―――決勝は303評価で2回ですね。開始時のポイントは中村さん+2、野内さん・藤森さん・菊池さんの3人が+1でした。まずは1戦目、どう思って戦っておられましたか?
菊池「中村さんにトップを取られないで、自分がラスを回避できればいいと思っていました。仙台の野内さんの打ち方がまだよくわからなかったのですが、とにかく自分がラスを引かなければ大丈夫だと思って打ちました」

藤森「自分も同じで、中村さんにトップを取られてはいけないと思って打ちました。中村さんがトップだと次の半荘がトップラス条件になってしまいますので。あとは+1持ちの3人はラスになると優勝がなくなってしまうため、あまり自分がトップになることにこだわらずに、とにかくラスにならないことを意識していました。始まってみると中村さんの勝負打牌がつかまっていたので、この半荘の中村さんはそこまで怖くないと思いました。
 この半荘は自分が南2局で40オールをツモってトップになれました。
中村「4枚目のをツモられてしまいましたね。オーラス、ラスめの野内さんがペンをチーしたので、野内さんをラス抜けさせて私にラスを引かせようという動きがありましたが、野内さんはジュンチャンイーシャンテンで流局。自分はラスをまぬがれました」


―――そして最終戦開始時のスコアは、藤森さん+4、中村さん+2、菊池さん+1、野内さん△2です。チャンピオンズマッチは翔龍戦と同じで「追いついた方の勝ち」でしたね。
菊池「だから野内さん以外の3人はみんなトップ取れば優勝という条件を達成していましたよ」


―――最終戦でキーになったところを教えてください。
菊池「南1局、親の藤森さんのリーチでしょうね。あれ、ダマなら自分が放銃していました」

藤森「このリーチについては、終わった後も何回も考え直しています。
薄いほうのが先に埋まったのでリーチしたのですが、ヤミテンにして菊池さんからの直撃や120への手変わりを待つべきだったのかな、と」

中村「イーペイコーに変わる変化が2種とタンヤオ変化もありますしね」

菊池「しかしその暇はなくて、ダマなら自分がすぐに放銃するんですよ。私はの形でテンパイしていて、次巡のツモがドラのでしたから、タンキを入れかえます。しかし、藤森さんのリーチを受けて『藤森さんには待ちがよく見えるだろう』と思ったのでドラをツモ切りました」


―――そしてそのまま流局。供託リーチ棒1本で中村さんの親番です。クライマックスという感じですが。
藤森「私はもう1局も無駄にできないので、中村さんに連荘してもらえるように、ということを意識していました。場合によっては序盤からアシストするつもりでした」

中村「序盤でをポンしたあと、残っている受けがカンでした。藤森さんは鳴かせに来ていると感じていたので、を通されてしまったのでは鳴けないかな、と思っていたのにすぐに鳴けて藤森さんの観察力?洞察力?に驚きました」

菊池「あれ? 藤森さん、まっすぐ前に出ているのかなと思ったんですけど」

藤森「とんでもないです。自分のアガリが見込めないのと、菊池さんが前に来ていたので緊急事態と思い、すぐに中村さんにアシストに行きました。ワンズがと早く出ているので、はわかりました。しかしそれは最終形に取っておいて、引いてもらえたらラッキー、引けないようなら自分が差しにいくところだと思っていました。ではその前に鳴かせるべき牌はどこかと考えたときに、索子の下はアリだな、と思ってを切りました」

中村「びっくりですね。他にいくらでも無筋があるうえが通った直後で、『あ、コレが鳴かせてもらえるんだー』と思いましたよ。このことは打ち上げの席で小川さんとも話しました」

菊池「あの6オール引かれたの、自分は痛かったです」


―――そして連荘した局で大きな親マンツモでしたね。
中村「その2で40オールツモってかなり楽になったと思います。
 
これね、最終形だけ見ると簡単そうに見えるんですけど、道中結構痺れましたよ!テンパイさえしないのではないかと思ったくらいでした。のアンカンには賛否両論あるでしょうが、どうせオリない親ってバレてますからね」


―――南2局その3では菊池さんがリーチしましたね。
菊池「一気に決めに行ったリーチです。7巡目だったかな。
はアンコから2枚落として、初めからイッツーを見ていました。ヤミテンで28あがって次に13・26条件でもよかったのでしょうが、みんなにおりてもらって最後まで自分のツモを見てみたい、自分のヤマにはいるのだろうか、という気持ちがありました。いませんでしたね」


―――今回、チャンピオンズマッチを戦っての感想を改めてお願いします。
藤森「さすがに東京勢3人が決勝に残るのは難しいだろうと思っていたのに、それが実現できたのが、やはりすごくうれしかったですね。ガチで戦って、強い中村さんが勝ったなーと思います」

菊池「敗因の局はないです。やれることはやって、すがすがしく負けました。さっき出た話と関連しますが、101は『点差をダマでじわっと詰めるか』『リーチでツモって一気に抜き去るか』という点で常に葛藤があります。A級選手のリーチも個性があるし、後でこうして『どうだったかなー』と考えるのはやはり、リーチなんだな、と思いましたね」

中村「私はこの日、とても調子がよかったと思います。101は、調子が悪くてもなんとなく『バーバーバー』とかでしのげる日もあるのですが、この日は調子よく打てているなと感じました。その結果優勝できて、ほんとうにうれしいです!」


―――チャンピオンズマッチは、毎年行われています。来年も皆さん頑張ってください。
中村・菊池・藤森「いやいや! 来年は出ませんよ! 八翔位決定戦に残るんですから!」

石井・木村「えぇーーーーーっ!? そういうオチですかー!?」(わかる人は爆笑)

 とまあ、こんな感じで楽しくインタビューできてよかったです。インタビューの最中に、知り合いのRMUの選手の皆さんが「何してるの?」とのぞきに来てくださったのも、うれしかったです。
 そしてせっかくなので、多井代表のコメントもいただいてきました! もちろん、木村はそのくらいのことはします。

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RMU代表・多井隆晴プロ
「RMUの中村浩三プロがマージャン101チャンピオンズマッチで優勝して、うれしいです。今まで他の団体のタイトル戦や大会で活躍する選手が自分しかいなかったのですが、今後はRMUの選手が他団体の大会でも大いに活躍してくれたら、と思います。
 中村プロはRMUの事務局長として頑張ってくれて感謝しています。今回、プレイヤーとしても結果を出してくれたので見直しました。今後ますます活躍してほしいですね。
 私自身、101のマージャンは素晴らしいシステムだと思います。昔は練習としてやっていました。評価方法が良くて、特に順位戦がいいと思います。将来、マージャンの力を身につけるには、一度はやっておくべきでしょう。マージャン101イン東京の開催される土曜日は最近忙しくて時間が取れないのですが、日程が合えばまた参加したいと思っています。これからもよろしくお願いします」

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 皆様、ほんとうにありがとうございました。