
第10回 マージャン101チャンピオンズマッチ
観戦リポート:高島 努
10月13日(日)、大阪・天満橋会館にて「第10回101チャンピオンズマッチ」が開催された。
各支部から選出された出場選手は、以下の8名。
イン仙台:鈴木芳洋さん・中川裕樹さん
イン大阪:坂井準司さん・山舗 徹さん
イン名古屋:林 義人さん
イン東京:星賀一彦さん・寺西謙多郎さん・熊谷 修さん
システムは、前年度同様に、1・2回戦を101評価、3回戦を202評価で対局し、上位4名を決定する。同ポイントの場合は、翔龍戦を模して「追い付き優位」となる。それでも、同じ場合は前年度のマージャン101の対局数の多い方を上位とする。そして、上位4名で303評価による決勝戦を2回行い優勝者を決める。
正午、立会人である小川隆の開始の合図で開幕した。
(寺西・山舗・鈴木・熊谷)
A卓では、まず熊谷が7・14の先制点を挙げると、続く東2局はオヤ・山舗が寺西から30を出アガリ、さらに東3局に山舗が5・10を引きアガリ優位に進めるが、東4局に寺西が鈴木から80(ピンフ・イーペイコー・ドラ2)を出アガリ、反撃を開始する。南場は、ラス抜けを目指す鈴木がリーチを2回かけるが、ロン牌には巡り会えず、南4局は、熊谷10→山舗25→寺西(供託10)の三つ巴の戦いとなった。山舗は11巡目にリャンメンチーから入り、13巡目にこのテンパイ。















ところが、寺西が次巡に高めのを引き寄せて逆転トップに成功した。















(星賀・山舗・中川・林)
東1局に中川に20、さらに東3局に16を放銃した林であったが、東4局のオヤ番で中川の強引な仕掛けに臆することなく、20オール(タンヤオ・ドラ2)をツモアガる。その2は、「イン大阪最強」と名高い坂井が、星賀から80(イッツー・ドラ3)を出アガり、坂井のトップめで南場を迎える。南場では、A卓の鈴木と同様にラス抜けを目指す星賀であったが、こちらもテンパイ止まり。
南4局その1は、中川と林が河で激しく主張しあうも、軍配があがったのは林(放銃・中川)。

















その2は、下が寒くなった中川が、3・6でバーで凌いだ。
(寺西+1・鈴木△1・林+1・坂井±0)
東2局に、坂井にピンフのみを放銃した林であったが、次局オヤ番で坂井からピンフのみを出アガり利子付きで取り返す。その2は、80テンパイの鈴木をかいくぐって、寺西の3・6で事なきを得る。東4局は、坂井が10オール、その2は林が鈴木から20。鈴木は、1回戦同様に苦戦を強いられるが、南2局のオヤ番で会心の20オール。















一方のラス抜け争いは、南3局に寺西が3・6を引きアガるものの、南4局に林が3・6をアガリ返し、ラスを寺西に押し付けた。 (◎鈴木/●寺西)
(星賀△1・中川±0・熊谷±0・山舗±0)
中川が東2局のオヤ番で、26オール(・ホンイチ)をツモアガると、「黙ってられない」と言わんばかりに南1局に山舗が、
をポンし、この手牌。















ここからををチーして打
、その後
アンコにしてほどなく
を引き当てた。
この半荘、山舗のものかと思って見ていると、南3局に事件が起こった。山舗が以下の手で小考して、打とすると、
















熊谷の78にジャストミート。















さらに熊谷は、中川から18をその2でもぎ取り、ついにトップ目に躍り出る。この放銃で気落ちしたのか中川は、ラスめの星賀から5巡目に64(チートイツ・ドラ2)を直撃されラスまで叩き落される結末に。 (◎熊谷/●中川)
(山舗±0・林+1・鈴木±0・星賀△1)
東1局に、ピンフ・ドラ1を林から出アガリした山舗が、東2局の鈴木への28放銃をものともせず、東4局、南1局のオヤ番でビッグイニングを作った。
東4局では、林・星賀が喰い仕掛けを入れている中で、以下の手牌でリーチ。
















生牌のを掴んだ星賀がオリを選択した一方で、林は
を真っ向勝負し御用となってしまう。
さらに、微差ながらトップめの南1局では、打としてのリーチ。
















出アガリ40のテンパイを組み腹を括っていた星賀と、リーチ2巡後に引いたタラレバのをものともせず、
を引き寄せ大きな20オールを成就。さらにその2で10オール、その3で星賀から42をアガリ、決勝の当確ランプを点らせる。
その4は、トップ縛りの星賀が、意地を見せた。

















しかし、「意地」はここまで。ラス抜けさえできればOKという林も、再度チャンスが訪れることもなく星賀と共に散った。
(中川△1・熊谷+1・坂井±0・寺西±0)
同じ±0でも、「強い±0」は坂井の方であり、寺西の方も、事実上トップ縛りといったところか。
さてB卓は、トップが絶対条件である中川であったが、東2局に熊谷へ60、その2で坂井に52を放銃し、早くも「赤信号」が点滅しかける。それでも、東3局に渾身のリーチ。
















この局、アガったのは中川ではなかった。なんと、トップ目の熊谷が「ノーマーク」の寺西の52に飛び込んでしまったのだ。
その影響でトップめになった坂井は、中川から28を加点すると、南4局も自らのアガリで締めた。
(山舗+2・熊谷+1・鈴木±0・坂井+2)
ここからは、303評価で行われる。スコアの差はあってないようなものと言っても過言ではなかろう。
決勝の開口一番は静かに流局したが、東2局は卓上に火花が飛んだ。好配牌の山舗が3巡目に打とすると、「黙ってられまい」と熊谷が牽制含みのポン。次巡に熊谷が
を引いて打
(これでイーシャンテン)とすると、山舗がこれに食いつく。
















ここで山舗が打牌に選んだのは、河に1枚切れの。すぐに
もポンでき、明らかなマンガンテンパイの完成。一方の熊谷も1メンツをチーしてこちらのバリバリのテンパイ気配。
これに困ったのは、坂井。両者に通る安全牌がなく、素直にテンパイ取りしたが痛恨の80となった。
東3局(ドラ)は、ラス抜けを志す坂井とダメ押し点を狙う山舗との一騎打ちとなった。8巡目に坂井が
をアンカンすると、10巡目に
マチのタンヤオリーチをかける。一方の山舗の手はというと、リーチ後にドラをアンコのワンズの一色手と、決定打にはもってこいといったところ。リーチに全く通っていない
を勝負し、一歩も引かない構え。そして、ポンテンであふれ出た
で32の放銃となった。せっかくの「デバサイ」を前局に成就できただけに、ここは頭を下げるという選択肢もあったが…。坂井に「蜘蛛の糸」で救い上げるきっかけを作ってしまった。
東4局は、坂井が超ファインプレーを見せた。優勝の勝因はと聞かれたら、この局といっても過言ではなかろう。8巡目に、
















は、序盤で山舗、熊谷が1枚ずつ切っているが、誰1人としてピンズの下が使えないことを河が物語っている。となると、あと1枚の
はヤマかと熟考してのチートイツに焦点を定めたのであろう。そして、その目論見は次巡にあっさりと
を引いて、「無臭」のマチへと昇華し、ド終盤に「わかっていました!」と言わんばかりに
をひき寄せた。
こうなれば、この半荘は坂井のためにあるようなもの。南2局に3・6、南3局に熊谷のソーズ一色手にも怯まずに山舗から40を出アガリ、トップを決めた。
一方のラス抜け争いは、南1局の鈴木への40放銃が致命傷となった熊谷。最終戦を前に終戦となった。 (◎坂井/●熊谷)
(熊谷△2・山舗+2・坂井+5・鈴木±0)
トップ条件(ただし、坂井との同点トップは不可)の山舗であったが、いきなり東1局に熊谷の42に飛び込んでしまう。このビハインドを挽回すべく、東場は2度にわたってリーチをかけるが、流局し実らず。東4局まで流局が続く。苦しいのは、坂井とのトップラス条件の鈴木も同様。狙えるチャンスが一向に来ない。
一方で、熊谷のアガリで俄然優位になったのは坂井。その坂井は、南1局(ドラ)に山舗の17巡目のいわゆる「ペンカン
マチ」の「お願いリーチ」も、熊谷の打牌をポンし18巡目の権利を与えさせない徹底ぶりをみせる。
それでも、山舗は南2局のオヤ番でこのテンパイ。















ところが、10巡目に坂井がを勝負。激震が走った。そして次巡、
を強く引き寄せる坂井。















誰もがこれで「終わったか」に思っただろう。山舗は、思っていた以上にしぶとかった。南3局、これで4本目のリーチ棒を河に供託したのだ。
















これに完全撤退していた坂井が、最終手番でついに手詰まりを起こし、拝み打ちので渾身の52直撃。これで、南4局は「坂井01→熊谷42→鈴木33→山舗」で迎えることとなった。山舗は「マンガン成就」できればよいのだ。しかし、テンパイすら入れることができず、手牌を伏せて大円団となった。
記念すべき10回目となったチャンピオンズマッチは、坂井さんの優勝で幕を閉じた。終了後に催された打ち上げは、様々な話題で大いに盛り上がることができたのだが、それも素晴らしい闘牌があってこそだと思う。また、来年も最高のチャンピオンズマッチが開催できればと切に願っている。