第43期順位戦B級

 第4節 | 最終節

第4・5節自戦記:寺西 謙多郎

 第4節の2半荘目(23回戦)までは8昇を上げ、1位でうまくいっていた。周囲からも、昇級は固いよとも言われていた。「まだわかりませんよ。」と答えてはいたが、まぁ何とかいけるんちゃうかと思ってもいた。まさか、こんな事になるなんて。

◆◆◆ 第4節2日目 ◆◆◆
 26回戦(板川4昇・寺西7昇・松井△9・菊池1昇)が悪夢の始まりだった。東2局オヤ番(ドラ)タンヤオ・ドラ1くらいは狙えそうなまずまずの配牌。第1打を板川がいきなりポン!ホンイチ?チャンタ?トイトイ?役牌?何なの?
 実は、こういう仕掛けをする打ち手、かなり苦手なんです、例えばいつもうるさいM野さんとか。ついつい対応してしまう。自分の手がバラバラなら抑えて行けばよいし、高い手なら押し返せるが、丁度この時くらいの手が対処に困る。しかも仕掛けているのが、怖い怖い板川である。ブラフ気味か本物なのか、いつまでもよくわからない。覚悟もないまま中途半端に行って、中盤引いてきたとかとか・・・色々打てない。と、思っていたら、菊池が7・14をツモってラスめに落ちる。
 その日の終わりに本人に聞いてみたら、板川の手はバックのドラドラ、アガる気なかったよ、だって。

 後から思うと、この辺りからおかしくなっていた。その後、松井のホンイチ40に飛び込んでしまってラス。

 27回戦、28回戦もラスで、ついに4昇まで後退して、第4節は終了。全員が恐ろしく強く見えた。一刻も早く対局室を出たかった。帰りながらもう辞めようかとも思った。翌日、落ち着いて考えると、4昇はまだ首位。板川4昇、菊池3昇、藤森2昇、並川2昇、平井1昇と大混戦になったが、まだまだこれからだ!よく一緒に打ってる競技マージャンガチ勢や他団体の方々からも励まされた。頑張ろう!


◆◆◆ 第5節1日目 ◆◆◆
 気合を入れて対局室一番乗り、と思ったら既に立会人の山内さんが来られていて、出鼻を挫かれる。  

【29回戦(寺西4昇・菊池3昇・松井△9・藤森2昇)】
 東1局、菊池がを仕掛けて、タンヤオテンパイ模様。終局間際でをツモられると、これがドラでアンコの20・40。いきなりのオヤカブリでスタート。
 南1局も、ドラアンコの手をツモアガリされ、途中、温い64放銃もあったりでラス。手が入らな過ぎて、たまにちょっと良いイーシャンテンだと前に出ちゃうんだよなぁ。
(◎松井/●寺西)

【30回戦(寺西3昇・松井△8・平井1昇・並川2昇)】
 この時点では、板川5昇で、まだ2位の昇級圏内だ。
 東1局(ドラ)、4巡目くらいに並川がをアンカン。原点リーチを得意技としている並川だから、きっとすぐにリーチだろう。ただ、今回は手が入っている。5巡目にをポンし、イーシャンテン。
 
 6巡目に並川がリーチ。ツモってきたのが、とりあえずを切る。次巡ツモでテンパイ。並川には通っているが、は通っていない。ならばと、まっすぐ打とすると80を放銃してしまう。ここは一旦打としホンイチをつけて120のテンパイとして再度復活したら、を勝負したほうがよかったのかもしれない。

 最後は1昇の平井をトップに押し上げて、ラスで終了。
(◎平井/●寺西)

 これで、板川5昇、藤森3昇、平井2昇に次いで4位に後退。前節から、なんと5半荘連続ラスとなり、昇級に赤信号が灯った。31回戦、32回戦は、なんとかラス逃れ。

 1日目終了時点で、板川7昇、藤森3昇、並川3昇、寺西2昇、平井1昇、菊池1昇と、板川が抜け出したもののもう一人はまだまだわからない。


◆◆◆ 第5節2日目 ◆◆◆
【33回戦(坂井△3・並川3昇・寺西2昇・藤森3昇)】
 2日目は2昇するつもりで、対局室へ。トップ以外はいらん。期首順位が上の藤森との直接対局できるのは、1戦目(33回戦)だけ。チャンスだ。

 東1局(ドラ)、2巡目に、
でイーシャンテン。普通だと思われるだろうが、気持ちが後退している時は、とかとかを選んでしまう事もあったりする。今日は、スッとが切れた。すぐにとツモって4・8で先制。

 その後、並川が3・6と20・40をツモってトップめに立つ。

 南1局(ドラ)、チャンスが訪れる。絶好のドラを引いてリーチをかける。
これをで成就させ20・40で、並川を逆転する(寺西02→並川135→藤森04→坂井)。

 南2局(ドラ)、中盤にダブを坂井からポンしてイーシャンテン。
 
 ポンの後、坂井がを2枚ツモ切り。「をポンしなかったらツモアガっていたなぁ」と思っていたら、きました!オヤ・並川のリーチ。を使ってどこまで行けるかと思っていたら、をツモってテンパイ、並川からで40。

 南3局は、並川が10・20をツモって、点差を縮めてくる(寺西42→並川135→藤森04→坂井)。

 南4局は、5・10で藤森をラスにできるが、オヤ・藤森の上家だ。無理はできないし、鳴かれないように絞りながら進めていると、並川がドラのカンをツモって5・10。
(◎寺西/●藤森)

 この時点で、板川7昇・寺西3昇・並川3昇・藤森2昇・菊池2昇・平井0と、再び2位に浮上。
 藤森がトップをとれば、期首順位差で捲られるので、次戦もトップ縛りのつもりで臨んだ。

【34回戦(菊池2昇・坂井△3・平井0・寺西3昇)】
 東1局は、坂井が攻めチャンタ・サンショクをツモって20・40。

 東2局は、7巡目にラス目の菊池がリーチ、同巡に平井もツモ切りリーチで挟まれるが、菊池がリーチ・ツモ・ピンフの7・14。

 トップ縛りの平井の気迫に圧されながらも、オヤ番の東4局(ドラ)。
ここからをポン。ホンイチかドラを重ねてのバックか。
 をツモって打をツモってきたので、試しにを加カンしてみると、リンシャンからひょっこりツモで14オール。何やそれ?という感じの皆の視線が、逆に気持ちいい。
 すいません、ついてます。

 南1局は、ピンフ・ドラ1の手をリーチをかけてツモアガりの、13・26。これでトップめに立つ。マチだったが、平井の「ほー、今度はいいマチやな」という表情も気持ちがいい。

 ところが、南2局に事件が起こる。平井がと全て手出しの4巡目に菊池がをツモ切ると(同巡の坂井がツモ切り)ロンの声。「チートイツかぁ」と思ったら、コクシ!いつもなら、諦める所だが、今回はこっちもトップ縛り。189差だ。

 ドラはないが、打点重視でトイツ系の手を目指していくと、
でテンパイでき、リーチをかけると、訪れたのは!待望の30・60である。サンショクドーコーをアガれたのは、何年ぶりだろう。

 これでトップめ平井と09差で南4局のオヤ番。7巡目にピンフのイーシャンテン。テンパイできたら即リーチのつもりでいたが・・・
このまま、動かずなかなかテンパイしない。最終手番の1巡前にやっとテンパイするも流局で終了。途中で引いた1枚切れのを残せば、アガリはあった。後ろ見していた板川からは、対局後に「自分ならアガっている」と言われたが、切ってツモを逃すのが怖くてできなかったんですよ。
(◎平井/●菊池)

【35回戦(菊池1昇・並川2昇・寺西3昇・板川8昇(昇級確定))】
 私はトップをとれば、他に関係なく昇級だが、ごちゃごちゃ考えずに今回もトップ縛りだ。

 東1局は、並川の得意技「原点リーチ」が序盤に炸裂。マチのリーチ・ドラ1を板川から28。

 東2局は、オヤ・並川から1巡目リーチ。ホントに得意技やな。恐々字牌を切りながら進めると板川が無筋をバシバシ切って追っかけリーチ。ラス引いても良いとはいえ、本当に力強い。マチのリーチのみ16を並川から打ち取って、ホッと胸をなでおろす。対局後、並川に聞くとドラトイツのペンマチだった。

 東3局は、板川が菊池にタンヤオ・ドラ1(28)を放銃。ここで、菊池26→並川02→寺西30→板川の並びとなる。

 南1局(ドラ)は、10巡目に並川が打でリーチ。以外のピンズは切られていない。私は、
に、ツモでテンパイ。全部が危険牌だが、ドラのは切らずに、テンパイ取らずの打。並川から次巡が切られクラクラしたが、今日はついてる。次巡のツモがで、のシャンポンマチでテンパイ。多メンマチになるピンズを引いたらどうしよう。次巡はまたもや危険牌の生牌のだがツモ切り。ほどなく、並川からが出て80。
 並川のリーチは、以下の手であった。

 この時点で、「寺西62→菊池58→板川58→並川」の状況となり、念願のトップめに躍り出る。

 どうやら別卓で役満が出たようだ。声が小さくて、誰がアガったのかわからない。松井か?松井だったら良いが、藤森だったら大変だ。

 南3局(ドラ)、菊池がをツモ。イーペイコー・ドラ1(マチ)で10・20。リーチをかけてくれなかったのが幸いした。本当にラッキー(寺西02→菊池110→板川58→並川)。

 そして、南4局。タンヤオが視野に入る配牌をもらう。仕掛けてでもアガりきるつもりだ。
ここから、2フーロして
  
でテンパイ。ほどなくを叩きつけて、トップを確保。4昇で昇級を勝ち取った。
(◎寺西/●並川)

 来期は、A級で戦うことになる。雀力が劣っているのは否めないが、最終戦のように腹を括って戦おうと思う。そういう意味では、そのまますんなり昇級するより、良かったかもとも思う。まずは、早いトリッキーな仕掛けへの対応は、なんとかしないと・・・。