第39期八翔位戦 卓別リポート

  1次予選2次予選 | 準決勝 | 出場選手システム

2次予選:6戦制/各卓上位2名勝ち上がり

A卓:南4局の大逆転!

A卓
終了
山内 啓介
前八 1昇
稲毛千佳子
推薦 1昇
奥田 直裕
東京 ±0
廣田 大輝
東京 △2

文:廣田 大輝
【7回戦(廣田△2・山内2昇・奥田0・稲毛0)】
 2日目の初戦でトップを取り△1に戻すも、ラスを押し付けた奥田に裏を返された。勝ち上がるためには山内とのトップラスかトップをとってのラスなしでの再延長しかない。
 東1局で中盤にを仕掛けてテンパイしたものの同巡にをきってきた奥田にチートイツのツモアガリを決められる。東2〜4局まで、すべて流局して、南場を迎えた。

 南1局、7巡目にピンフドラ1のテンパイ、
テンパイして考えたのは、稲毛からはアガらないことだった。山内とのトップラスをしたい状況で、稲毛からアガってしまうと山内と稲毛の点差は30になり、もし山内オヤ番での満貫ツモをできたとしても稲毛ラスめのまま進んでしまう。稲毛から出たら見逃しをして合わせた山内、奥田からの出アガリを期待してヤミテンとする。点数が欲しい状況だったからリーチでのツモ狙いのみが良かったのか、終了後悩んだ一局である。結果はをツモって14オール。

 南1局その2(ドラ)、中盤に奥田が仕掛けをいれ捌きにくる。仕掛けがはいった2巡後にテンパイしリーチ。
 しかしリーチした直後に奥田がを手元に置いてアガられ、オヤ番を落とす。
 

 南2局(ドラ)、まさかの配牌でテンパイ、
 2巡目、稲毛からが切られるが勿論見逃し。345のサンショクかドラを引いてからのツモアガリを考える。
 5巡目、ドラを引いてイーシャンテン戻しの打とする。
 その後と引きテンパイ、
 枚数優先でマチの打でリーチをかけるが、ツモれずに流局。後の感想戦時にこの局は山内もかなり勝負手だったらしくリーチがはいって渋々降りていたとのことだった。

 南3局、奥田がトップの状況だがツモでトップになればラスなしのまま南4局に進めるため、手を進めていたところ6巡目に稲毛がを手元においた。4・8で局が消化される。

 南4局その1、奥田81→稲毛05→廣田→15山内となり奥田からの52以上の出アガリかマンガン以上のツモが条件となる。しかし早い巡目で奥田・山内両者が仕掛け、稲毛からのリーチもあり稲毛のレンチャンに期待する撤退を選択。結果は稲毛が山内からの30。

 南4局その2、延長への条件変わらず迎える。チートイツツモドラ2を目指しての手牌進行してイーシャンテンまで進んだものの稲毛にタンヤオピンフツモの14オールでついにトップめに躍り出る。

 南4局その3、稲毛と奥田の点差はわずかに05。稲毛は流局したら通過、奥田はあがれば通過、山内はラス確あがりでも通過なので、5・10のツモ以外ならOKの山内に挟まれる非常に辛い展開。要所のあがりを拾えなかった自分が悪いが、この状況でマンガンツモを目指すしかない。
 123か234のサンショクを目指しての進行進めるもののイーシャンテンになる頃には必要牌が枯れてしまったため、自らの不用意な放銃でトップを決めないよう安全牌をきって、流局。結果山内・稲毛の勝ち上がりとなり、今期の八翔位戦の予選は幕を閉じた。

E卓:転んでもトップを選ぶ独壇場

E卓
終了
古川 大樹
A級 1昇
山田 史佳
C級 2昇
関根 秀介
東京 △1
西田 佳正
大阪 △2

文:古川 大樹
【3回戦(山田2昇・関根0・古川△1・西田△1)】
 2昇を持って早くも有利な立場を作った山田だったが、勝ち上がりの並び作りを意識して打ち方を変えたのが裏目に出たためか、3回戦は一転して苦しい展開となった。
 東3局、ドラ雀頭でカンテンパイの西田にドラを鳴かせると、打に対してで80の放銃。次局は失点を取り返そうとしたリーチ宣言牌で逆に古川の120に飛び込んでしまう。

 南2局その1(古川32→西田128→関根200→山田)、トップを争っている古川と西田のどちらが勝っても「1・0・0・△1」と平らになり、山田としてはせっかく先行したメリットが薄くなる。そこで、山田は自身のラス抜けをあきらめ、関根の押し上げに徹する方針に舵を切った。
 まずは、オヤ関根のリーチに差し込みに行って無事に120を献上。その2は流局間際にリーチ棒を投げ、次局南3局もノーテンリーチを打つ。援護を受けた関根の手牌は、
 
と薄いマチだったが、山田が高めを見事掴んでさらに120を献上。3局で関根に260を加点させて目論見通りの決着を得た。
 転んでもタダでは起きない山田の独壇場だった。
(◎関根/●山田)

【4回戦(山田1昇・西田△1・関根1昇・古川△1)】
 東2局その2(西田38→関根18→古川02→山田)、ここまで3半荘、山田一人にいいようにやられ続けて面白くなかったのだが、ついに反撃チャンスが訪れた。
 リーチ棒を出すと瞬間的にラス目に落ちる。この手はリーチに行くべきか?まだ東2局、リーチが空振りして微差ラス目になっても挽回の余地はあるだろう。また、打点上昇効率が最も高い10・20から20・40のリーチは非常に魅力的だ。
 しかし、ここはラスのリスクを避けたい思いの方が勝ってダマを選んだ。万一空振りした場合、ラス目からの再浮上は普段以上に難しいはずだ。4回戦を終えて△2ではかなり敗退濃厚だから、脱落者を確定したい3人に包囲網を築かれる可能性があるのだ。結果はツモで10・20、西田をかわしてトップ目に立った。

 東3局(古川04→西田28→関根20→山田)、
 急所を引き入れてテンパイ。再び、この手はリーチに行くべきか?
 今度はリーチ棒でトップ目から落ちる。同じ△1の西田にトップを譲ることになれば「1・0・0・△1」の△1という単独4番手になるのだが、そのリスクを取る価値はあるだろうか?
 この局、実は早い段階で打しており、その時点でカンチャンだらけの牌姿を役ありテンパイにできるとは考えていなかった。シャンポンになったときだけリーチと事前に決めていた通り、ノータイムでリーチを選択した。
 東場の微差トップ目など加点なしで守り切れるはずがない。そう考えれば、瞬間的なトップ目落ちはリスクのうちに入らない。
 結果は次巡にツモ。リーチの判断がうまく当たった。

 その後、西田の猛追で09差まで迫られて南4局を迎えた。微差トップ目のオヤ番は流局と加点の両睨みで進行する必要がある。24、30と小刻みに加点を重ねたが、アガってもアガっても楽にならない連荘は長い辛抱の時間だった。最後はなんとか耐えて流局し、マイナス圏を脱出して初日を終えることができた。
(◎古川/●関根)

【5回戦(西田△1・山田1昇・関根0・古川0)】
 南4局その2(西田95→古川06→山田99→関根)、終始西田がリードして迎えた南4局、トップと111差の山田がリーチに出た。関根に20・40以上をツモられてもラス落ちするのはオヤの古川なので、山田にとってラス落ちリスクは低いと見てリーチに踏み切ったのだろうが、これが大成功を収めた。首尾よくドラをツモってチートイツをアガり切り、大逆転で山田が2昇に返り咲いた。
(◎山田/●関根)

【6回戦(西田△1・関根△1・古川0・山田2昇)】
 規定の最終戦を迎えて、勝ち上がりポジションの単独2番手につけている。とにかく先行したいところだ。先行すれば山田からアシストを受ける側に回れるメリットもある。

 東2局に関根から16を打ち取って思惑通りに先行すると、東3局のオヤ番でタンヤオ仕掛けしたところへ下家山田が明らかにアシストを意識した打牌を繰り返してきた。他の2人の撤退を見届けた後はドラのまで打ってきたが、何事もなく流局。空振りはしたものの、2次予選が最終局面に入ったことを強く感じさせる場面だった。

 南1局(古川16→西田・山田16→関根)、
 打で三面張の役ありテンパイ。さて、この手はリーチに行くべきか?
 リーチでツモれば30・60、より大きなリードを奪える。ツモれなくても山田の差し込みを促すので悪くない。
 しかし、ここは西田・関根からも80直撃が期待できるダマを選んだ。着順までは変わらないものの、リーチ棒でラス目までの差が詰まるのを避けたい思いも強かった。
 結果はツモで20・40。振り返ってみれば、この消極的な判断が後からじわじわと効いてくることになる。

 後がなくなった西田と関根は残りの局をひたすらアガリに向かうだけ。その中で、関根の底力は凄まじかった。南3局と南4局で連続リーチツモドラ3の20・40をアガり切り、一時は192差あった古川を最後の2局で逆転してしまったのだ。

 南1局にリーチ判断できていれば届いていなかった。ただの結果論かもしれないが、十分なリードなど存在しないと思い知らされた半荘となってしまった。
(◎関根/●西田)

【7回戦(西田△2・古川0・関根0・山田2昇)】
 まさかの延長戦は関根とのマッチレースとなった。6回戦の怒涛の追い上げが脳裏から離れず、少しでも大きくリードしたいという焦りがずっとあった。
 しかし、気持ちと裏腹に高打点の手は一向に入らない。16、12、20と小刻みにアガり続けて局を消化するのが精一杯だった。一応トップ目ではあるのだから、あまり贅沢なことは言えないが。

 南3局(古川28→山田52→関根04→西田)、関根からオヤリーチが入ったとき、6回戦の大逆転劇がちらついて生きた心地がしなかった。しかし、今度は何事も起こらず流局し、南4局も静かに終局した。
(◎古川/●関根)


 2年ぶりに準決勝進出できたことは大いに満足だが、危うい勝ち上がり方にしてしまったのは反省材料だ。
 6回戦で決着しきれなかったのは関根の追い上げが見事だったからではあるが、あと一歩の踏み込みが足りなかったことも否定できない。7回戦で取り返せなかったらそこが敗着になるところだった。
 勝負所の判断精度を高めていくこと。とくに八翔位戦ではここが試されている。

1次予選:4戦制/各卓上位2名勝ち上がり

A卓:粘り強き敗者

A卓
終了
古川 大樹 A級 1昇
保里 瑛子 推薦 1昇
木村 由佳 東京 ±0
福井  航 東京 △1

文:古川 大樹
【1回戦(古川・福井・保里・木村)】
 戦いの火蓋を切ったのは東1局福井の原点リーチだった。
 1次予選は初戦を取るためにリスクも辞さない。実は自分がこれをやりたいと昨年からずっと思っていたのだが、初出場の福井に先を越されてしまった。さすがに条件戦というものをよく理解している。しかもアガり切られた。

 結局この20・40が決定打となり福井は思惑通りトップ当確。
 私自身の初アガリは、ラス目で迎えた南4局にタンキリーチをツモって7・14。ラス抜けするのが精一杯という苦しい立ち上がりとなった。
(◎福井/●木村)

【2回戦(古川0・木村△1・保里0・福井1昇)】
 南4局(保里56→福井22→古川26→木村)、「1・1・0・△2」と上下2名ずつに別れるという、追う側にとっては何とか避けたい並びができつつある。木村としてはラスを古川に押しつけても「1・1・△1・△1」になるだけなので、単純にラス抜けしても事態はさほど好転しない。
 この状況で私にピンフドラ2のテンパイが入った。ラス目の方に近い3着目は通常だとバー死守が最重要課題だが、今はそんなバーに意味はないのでトップまで行くリーチに出た。判断は悪くなかったと思う。結果は流局。
(◎保里/●木村)

【3回戦(木村△2・保里1昇・古川0・福井1昇)】
 望まない並びではあるがまだ3回戦なのでやり直しがきく。
 ここは連敗の木村が奮起した。福井から80を打ち取るなどで理想的なトップラスを作り、スコアは平らな方向に戻された。
(◎木村/●福井)

【4回戦(保里1昇・福井0・古川0・木村△1)】
 古川と福井は、保里と協力体制が築ければそのまま勝ち上がり。木村は現実的な条件を残すためにはトップが必須。

 ここでこの卓最大の事件が起きた。
 南4局(保里72→古川46→木村20→福井)、福井ラスのままで終われれば勝ち上がりで決着する。1巡目にをポンし、苦しいイーシャンテンからペンをチーできて12のテンパイを入れた。
  
 どこから出てもよし、ツモってもよし。チーの直前に保里がを切っていた。連打なら共に勝ち上がり・・・大いに期待して打牌に注目していたが、その後保里からは打ち出されなかった。直前で品切れしてしまったのだろうか。
 それでもいい。ラス抜けを目指す福井と連荘を目指す木村、どちらも押すしかない状況だ。しかしロン牌が姿を見せないまま数巡が過ぎた。福井の手も進んできている。
 そこに引いてきたのがドラのは福井に通っていない。もしドラが「ラス抜けできる方」だったとしたら?52以上だと自分の方が敗退する決着もある。やはりドラは切れないとの方を勝負した。無事通過。正直、かなりの安堵感を覚えていた。
 その直後、下家の木村から出てきたのは待望の。反射的にロンした時はまだ自分のミスに気づいていなかったが、2秒後には「1200」ではなく「2000」と点数申告しなければいけない事実に気づいて愕然とした。
 避けられなかっただろうかと何度も振り返ってはいるが、たった今「木村からロンだけはNG」に変わった条件にとっさに気づけた自信は未だにない。
(◎保里/●なし)


【5回戦(保里2昇・福井0・古川0・木村△1)】
 本来なかったはずの延長戦。息を吹き返らせてしまった福井とのマッチレースだけはどうにも勝てる気がしなかったが、東1局4巡目に早いテンパイが入った。
 高めと安めの落差が激しいテンパイだ。が出たときどこまで見逃すかを考え、福井から出たときだけアガろうと決めたとたんにその福井から出た。アガりはしたが、並びは悪くないもののなにぶん打点が低すぎて大勢に影響がない。

 東2局は、オヤ福井がすべて低打点ながらも4連続でツモアガり、合計40オールを稼がれてしまった。その5をさらにリーチで畳みかけられたところを流局し、福井の長い長いオヤ番がやっと終わった。

 反撃したい東3局は保里の20・40でオヤカブリ。先制し、かつ無放銃でありながらラス目まで転落する。これが延長させてしまったミスの罰なのだろうか。

 南1局、△1の木村が素晴らしい動きを見せた。福井から80直撃に成功すると、続く南2局に古川リーチの現物で福井から20を取り、ついに保里と同点トップ目に立ったのだ。木村の望みをつなぐ再延長の並びができた。

 南3局(保里・木村72→福井56→古川)、ついに待望の反撃チャンスが訪れた。
 ドラ表示牌のカンチャンを引き入れてのピンフドラ1リーチは、手詰まりした保里がで飛び込む結果となった。微差ながらラス抜けを果たす。

 南4局(木村60→保里08→古川04→福井)、目まぐるしい展開でまさかのラス目に後退した福井だったが、最後の勝負リーチを打つところまでは持ってきた。
 13・26なら再びトップに返り咲いて決着する。しかし、西家福井の直前でツモ牌は尽き、無情の流局。
(◎木村/●福井)


【6回戦(福井△1・古川0・保里2昇・木村0)】
 マッチレースの相手が入れ替わり、今度は一時△2まで行っていた木村だ。劇的復活と言うしかない。

 南1局(木村02→福井02→古川06→保里)、オヤ福井のリーチを受け、直後に追いついた手牌がこれ。
を引き入れて決定打にしたかったが、贅沢を言える状況ではない。追いかけリーチ。が福井の現物だったことも幸いし、ここは保里のアシストを得て16でオヤリーチを蹴ることに成功した。さらに、わずかながらトップ目に立つこともできた。なお、福井の手牌は以下の通りだったそうだ。
成就していたら別日延長まであるところだった。

 南4局その1、そのまま終われば決着だったが、オヤ木村がそうさせてくれなかった。10オールに供託1本も回収し、勝ち上がりポジションを奪回された。

 南4局その2(木村28→古川44→福井04→保里)、再逆転を目指した最終局、アガれなければ敗退が確定する。8巡目に以下の手牌となった。
 シャンポンマチに取るとロン牌は3枚切れでが1枚しか残っていない。同点止まりのがなくどこから出ても勝ち上がり確定なのはよいが、最後のが王牌で死んでいたら即終了だ。
 を1枚外してリャンメンを模索するのがスマートな選択だろう。しかしドラが絡まなければ両面リーチで28しかなく、実質ツモ限定となる。そもそもカンチャンやペンチャンになる可能性もあり、そのときまたテンパイを外すのはかなり危険に思える。
 長考の末、切りリーチを選択した。山に深かったら嫌だな、と思う間もなく、木村からが打ち出された。
(◎古川/●保里)
 敗退とはなったが、福井と木村の粘りが印象強かった1次予選だった。その中で、重大なミスまで犯した自分が勝ち上がれたのは僥倖以外のなにものでもない。

E卓:大先輩への挑戦

E卓
終了
菊池 智江 B級 △1
石塚 一輝 C級 △2
忍田 幸夫 推薦 1昇
村田 光陽 東京 2昇

文:石塚 一輝
 今回の八翔位戦は卓組が発表された時から、凄く楽しみで仕方がなかった。忍田さんと村田さんというとても凄い方々と若輩者の私が対局できるなんて滅多にない夢の様な機会であったからだ。反面、緊張で一杯でもあった(以下敬称略)。

【1回戦 (忍田・石塚・菊池・村田)】
 1回戦は、東1局から東3局まで流局という静かなスタートとなった。
 アガリが発生したのは東4局。村田が6オールを引きアガり、一歩リードした。
 南1局も流局し、南2局。仕掛けを入れていた菊池が石塚に42の放銃。続く南2局も流局し、迎えた南3局。現状のラス目の菊池が村田に20を放銃し、村田が再度トップを逆転する。
 迎えた南4局。忍田がリーチをかけるも、流局。1回戦は村田のトップとなった。
(◎村田/●菊池)

【2回戦 (菊池△1・村田1昇・忍田0・石塚0)】
 1回戦とは違い東場から乱打戦となった。
 まずは東1局。菊池がオヤでダブを仕掛けるも、忍田が粘って、マチのホンイチテンパイを入れる。その後すぐに、オヤの菊池からが出て、28をアガる。さらに次局の東2局でもピンフのテンパイを入れた忍田がまたしても菊池から12をアガる。東3局は流局して、東4局にラス目菊池がリーチ。しばらくして、をツモアガリ。ピンフドラ1の13・26で、この日初のアガリをものにする。

 南1局は流局して迎えた南2局(ドラ)。石塚がをチーしてドラ2枚使いのマチのチーテンを入れた。次巡に忍田がを強打する。このは村田のロン牌で、ピンフで18のアガリとなった。

 南2局、南3局と流局して迎えた南4局(ドラ)。8巡目に石塚がテンパイを入れ、リーチ。
これに対し、仕掛けを入れている忍田が真っ向から向かって来る。だが、流局となった。
(◎菊池/●石塚)

【3回戦 (菊池0・石塚△1・忍田0・村田1昇)】
 東2局で、2つ仕掛けを入れていた忍田が20・40をツモアガる。次局、村田が早い巡目にリーチをかける。程なくしてツモアガり、10・20。
 東4局は忍田がリーチをかけるも流局。

 2局続いて迎えた南2局。菊池が先制リーチをする。その後ラス目の石塚がを引き入れてテンパイし、ペンマチで追いかける。2件リーチの戦いは菊池がをつかみ、42の放銃で石塚に軍配が上がった。
 続く南2局その2。仕掛けてテンパイを入れていた石塚が菊池から60をアガり、トップ目に躍り出る。
 南2局その3。マチでテンパイの石塚がを切る。その切られたを村田が仕掛けてポンテンのカンマチ。すぐに石塚が村田のロン牌を掴み12。
 南3局は、村田が20・40で再度トップ目にたつ。
 南4局は、菊池がワンズのホンイチ仕掛けを行うも流局。
(◎村田/●菊池)

【4回戦(石塚△1・菊池△1・村田2昇・忍田0)】
 規定の4回戦、忍田がトップを取るとその時点で決着。下位2人のどちらかが、トップを取ると延長もしくは自身の勝ち上がりになる。

 東1局は流局。続く東2局。ドラ1のテンパイをしていた忍田が菊池から32 をアガりトップめに立つ。
 東4局。オヤ番の忍田が自身の勝ち上がりを近づける20オール。東4局その1は菊池がドラ雀頭のピンフ手をリーチするも、流局。
 南1局、石塚のオヤ番で菊池がリーチをかける。だが、この局は既にテンパイをしていた村田が菊池にツモらせないまま5・10。さらに南2局も忍田がアガり、これで石塚、菊池両名のオヤ番がおち、村田・忍田の勝ち上がりがかなり近づく。
 南3局。オヤが落ちた菊池がドラアンコでマチのをツモればハネマンというリーチ。これに立ち向かった石塚のに「ロン」の声をかけて、菊池が猛追する。だが、南4局は流局して、村田、忍田の勝ち上がりで決着した。


I卓:山舗、怒涛の3連勝

I卓
終了
北浦 康弘 A級 △3
高島  努 C級 △1
田村  洸 推薦 1昇
山舗  徹 大阪 3昇

文:高島 努
 今期の一次予選は、1年めでA級昇級を決めた北浦選手に加え、山舗選手と田村選手との組み合わせとなった。対局前から、手数の多いと評判高い3者相手に初戦にトップを取らないとダメだと意識して臨むことにした。というのも、前週の八翔位戦一次予選で流れた連盟公式ツイッターの投稿に、「最近3年間の一次予選で初戦にトップを取った選手の勝ち上がり率が72.4%」とあり、3・4戦目の並びを考えることよりも大切であると改めて認識させられていたからだ。という私も、前年度は初戦トップで、3戦目に躓いたものの4戦目で逆転トップを飾り薄氷の通過を決めることができた。「4戦目に延長の事を考えているようでは負ける」と、改めて認識させられた。「2昇以上持っている人が規定4戦目に番手の人とラインを組んで終わらせにくるであろう(延長なんてあってないようなもの!)」という中でのトップ獲得は、初戦トップよりも難題だからである。

【1回戦(田村・高島・北浦・山舗)】
 東1局(ドラ)、私がをポンし、ソーズのホンイチ手。引くことしか考えていないマンガンのテンパイだが、当然のごとく流局する。この感じで攻めていければであるが、東3局に田村が10・20をアガって先制。東4局は、北浦がリーチをかけるが流局。受ける時間が続くとピンチも増えてくる。
 南2局(ドラ)、序盤に田村がを切ると、山舗がすかさずポンする。山舗のテンパイは定かではないが、トップ目田村は、テンパイもしくは、好形のイーシャンテンだろう。放銃は絶対にできない中、ひねり出して安パイを打つ。ど終盤にを合わせると、北浦がチー。長考して打ったが山舗のロン牌となった。
  
 南3局(ドラ)、私にチャンスが訪れる。ドラアンコのタンヤオ(1フーロ)のテンパイ。だが、これは流局する。
 南4局(ドラ)、ドラ雀頭のピンフイーシャンテン。テンパイすればリーチもかけたいが、北浦のリーチに撤退し流局に終わった。

【2回戦(高島0・田村0・北浦△1・山舗1)】
 2回戦も、山舗が好調を保つ。東1局に13・26(タンヤオトイトイ)で先制。東2局その1、田村18←北浦、東2局その2北浦16←高島で迎えた東4局(ドラ)、北浦が仕掛けている中、山舗がリーチをかける。当初、ドラのありかは北浦かなと思っていたが、大間違いであった。リーチに応戦した田村がそれに飛び込み、手を開けられるとドラアンコの120。
 その後、私が40を田村から、南1局その1で6オール。その2(ドラ)では、のイーペイコー部分がマチになるテンパイを入れる。それに対し、山舗が応戦しを捕らえ僥倖のトップ目に躍り出る。
 しかし、トップ目の時間はたった3分であった。次局、田村が20・40を引いて、オヤカブリの分で再度山舗がトップ目となる(田村からすれば、昇持ちが2人よりも1人の方が良いはず)。田村は、自身のオヤ番でも26オール、24(←高島)と普段の打点力を見せる。
 私も、南3局で40のテンパイ(結果は、田村16←北浦)、南4局その1の山舗30←田村を挟み、その1でイーペイコー+ドラタンキマチとツモれば逆転できる手を入れるが、どちらも実ることができなかった。

【3回戦(山舗2昇・北浦△2・高島0・田村0)】
 後がなくなった北浦が、東場に山舗から80をアガって先制するも、田村が猛追した、東4局で14オールをアガると、狙うは北浦を捲っての昇持ちといったところ。
 油断すれば、「死のシフト」を完成させてしまう。私はラスだけは引かない、北浦のトップは守る(田村には徹底して絞る)ことを考えていた。完成させたい山舗と田村、阻止したい北浦と私という構図がうっすらできつつあった。
 迎えた南3局、田村をマークしながら攻めていた私であったが、そこに山舗からのリーチがかかった。田村には絶対に放銃できない、山舗に放銃してラスは避けたいが、共通した安全牌がなくを窮して打つと山舗へ痛恨の40。06差ながらラス目になった。
 南4局その1。私はならピンフ、ならサンショクがついて40のテンパイを入れる。アガれば、必ずラス抜けするが、北浦から40の場合は、田村(トップまで28)をトップに押し上げてしまう。一方の田村はをポンして、テンパイが濃厚。「1・0・0・△1」がベストだが、「1・1・0・△2」でも構わないから、誰からでもアガると決めていた。しかし、を掴んでしまい、痛恨の18。
 その2は、のノベタンで16のリーチをかける。いわゆるツモ直リーチである。当然、北浦からはアガれない。問題は田村から出た場合であるが、これはアガラスをする予定であった。次戦「2・0・△1・△1」では、勝負ができるが、万一田村がアガってしまい「死のシフト」になれば洒落にもならないからである。しかも、このリーチなど、田村から見ればリーチされている方が怖くないであろう。全ツッパされることも考えられる。さっさとアガって番手で4戦目を迎えたかったが、山舗がツモアガって終結。しかも、逆転トップのおまけつきとあれば、脱帽せざるを得なかった。

【4回戦(北浦△2・山舗3昇・田村0・高島△1)】
 最低条件としてトップをとる課題が残った私は、この4回戦はひたすら攻めるのみとなった。田村とのトップラスを決められれば最高であるが、そんなわがままをいう資格は今の私にはない。
 田村をラスにしたいのは、北浦も同様(トップラスでないとダメ)。狙われている立場であるのは、田村も十分に理解している(山舗という味方もいる!)。バーを確保できれば勝ちという気持ちで腹を括られた。そういう気がしてならない。

 東1局(ドラ)、ドラのを山舗から私がポンして攻める。依然残った10牌は苦しい恰好。それでも、アガリにたどり着いて希望を見出したかったが、12を山舗に献上してしまう。この状況でドラポンなんて、山舗から見れば怖くも何もなかろう。
 東2局は田村からリーチがかかる。すごく腹を括った選択だ。結果は流局し命拾いするも、助かったという気持ちには到底なれなかった。
 東3局その1は、私から18(役牌)をアガり、リーチ棒をしっかりと回収。チャンスを毛ほど与えない。
 続くその2、私に大チャンスが訪れる。田村が絞られることを覚悟してのを序盤にポンすると、終盤に差し掛かる頃にテンパイ。
  
 待望のを引いてきた。は河に2枚、は河に1枚。どっちがヤマにいそうなのはは分からなかった。リャンメンに取るか、強欲に行くかだが、私は後者を選んだ。20・40でもトップ目だが、40・80狙いで田村に大きなオヤカブリを目論んだが、実ることはなかった。
 めげずに東4局は、リャンメンマチでリーチをかけるがまたしても流局。さらに、南1局はタンヤオ含みのピンフドラ1(3メンチャン)でリーチをかけるが、田村に13・26を引かれ、リードを広げられてしまう。
 流局を挟んで迎えた南3局。3メンチャンで3度目のリーチ。△3の延長止む無しの北浦からの差し込みで40。まだまだ、足りていないが、南4局を残すのみとなった。
 やることは、各々単純明白であった。山舗・田村ラインが成就できれば、敗退が決まってしまう。山舗が早くもをポンすると、当然と言わんばかりに田村の差し込み作戦が開始された。一方の私の手は重い。ようやく愚形残りのイーシャンテンまで進んだが、ツモ切ったが山舗のロン牌となり、最後まで腹を括った田村が山舗と共に勝ち上がりを決めた。

出場選手一覧

1次予選 2次予選 準決勝 決定戦
選手名 選手名 選手名 選手名
                  八翔位 涌田  悟
      前八 山内 啓介 山内 啓介    
      名翔位 小川  隆 小川  隆    
      西尾  剛          
      成岡 明彦 成岡 明彦    
愛澤 圭次                
田中  実                
古川 大樹 古川 大樹 古川 大樹    
小宮山 勤                
北浦 康弘 I                
藤森 弘希 藤森 弘希          
坂井 準司 坂井 準司 坂井 準司    
平井  淳                
松井 秀成 松井 秀成 松井 秀成    
寺西 謙多郎                
板川 和俊                
菊池 智江                
並川 貞行 並川 貞行          
高島  努 I                
石塚 一輝                
山田 史佳 山田 史佳 山田 史佳    
推薦 忍田 幸夫 忍田 幸夫 忍田 幸夫    
推薦 田村  洸 I 田村  洸 田村  洸    
推薦 稲毛千佳子 稲毛千佳子 稲毛千佳子    
推薦 小島たかよ                
推薦 保里 瑛子 保里 瑛子          
天鳳 神威                
OP 五十嵐 毅 五十嵐 毅          
OP 石川 由人 石川 由人          
OP 岩沢 和利                
OP 奥田 直裕 奥田 直裕          
OP 木村 由佳                
OP 桑原 俊之 桑原 俊之 桑原 俊之    
OP 櫻井 一幸                
OP 沢田 和夫                
OP 白石 幸矢                
OP 関根 秀介 関根 秀介          
OP 西田 佳正 西田 佳正          
OP 廣田 大輝 廣田 大輝          
OP 福井  航                
OP 堀井 統之 堀井 統之 堀井 統之 堀井 統之
OP 牧野 卓人                
OP 松島  巌                
OP 村田 光陽 村田 光陽          
OP 山舗  徹 山舗  徹          
【凡例】選手名左の記号は今期順位戦の所属クラス。
    八:八翔位・名:名翔位・前八:前八翔位・天鳳:天鳳予選優勝
    推薦:麻将連合推薦枠出場・OP:オープン出場(支部内は五十音順)、アルファベットは卓番。

第39期八翔位戦 システム

【出場資格】
・麻将連合推薦、オープン参加選手及び連盟所属選手。
・オープン参加選手は、マージャン101各支部内より選抜。
・「天鳳予選」優勝者(「オンラインマージャン『天鳳』」にて開催)
【1次予選】
・各卓4戦(1日)を戦う。
・規定回終了時のスコア上位2名を勝ち上がりとする。
・4回戦終了時に上位2名が確定しない場合は、これが確定するまで延長戦を実施する。
【2次予選】
・2次予選シードの連盟所属選手及び1次予選通過者により行う。
・各卓6戦(2日)を戦う。
・規定回終了時のスコア上位2名を勝ち上がりとする。
・6回戦終了時に上位2名が確定しない場合は、これが確定するまで延長戦を実施する。
【準決勝】
・2次予選通過者により行う。
・各卓6戦(2日)を戦う。
・6回戦終了時に単独で2昇以上の首位者が決定戦の出場資格を得る。
・6回戦終了時に単独で2昇以上の首位者が発生しなかった場合は延長戦を実施し、7回戦以降はその回の開始時の首位者のスコア+1昇に単独で到達する者が発生するまで延長戦を実施する。
・「初めて、四者同スコアで決着権がある状態」となった場合は、その一戦の終了時の単独首位では決着としない。
  ただし「再度、四者同スコアの状態」となった場合は、同戦終了時の単独首位で決着とする。
【決定戦】
・八翔位及び準決勝通過者により行う。
・10戦(1日4戦)を戦う。
・10回戦終了時に単独で3昇以上の首位者を優勝とする。
・10回戦終了時に単独で3昇以上の首位者が発生しなかった場合は延長戦を実施し、11回戦以降はその回の開始時の首位者のスコア+1昇に単独で到達する者が発生するまで延長戦を実施する。
・「初めて、四者同スコアで決着権がある状態」となった場合は、その一戦の終了時の単独首位では決着としない。
  ただし「再度、四者同スコアの状態」となった場合は、同戦終了時の単独首位で決着とする。