第41期順位戦A級 第4節

 観戦記星取表

第4節観戦記:平井 淳

 残るところ2節15半荘となった。この回数で成岡の8昇を捕まえるのは非常に厳しいといってもいいだろう。しかも下(降級)を気にしながらだ。マイナスは即降級の可能性がある。
 そんな中、成岡を追うプラス組は昇を重ねられるのか。

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

◆◆◆ 21回戦A卓 ◆◆◆

〈成岡8昇・坂井0・藤森0・古川△1〉

 開局早々の藤森の2巡目、
 藤森の選択は打。ホンイチへの渡りを余り意識しなかったようだが、続くツモがで最速のメンホンテンパイがあった。しかしその他の有効牌を引かないまま9巡目にツモ切ったに成岡からロンが発せられる(24)。前巡にタンヤオへ手変わったものでイーシャンテンのままの放銃は藤森に嫌な感じをもたらしたのではないか。

 それでも流局を挟んだ東2局、藤森に早い手が入る【牌譜1】
 特に手変わりを期待する形でない。最近の101ではリーチでもおかしくない。確かに藤森はそんなタイプではないが、ヤマ6枚残りのリーチの結果はどうなっていたのか(40)。

 更に流局を挟んだ東4局、オヤ古川にシャンポンマチリーチが入り一発で安目を引き14オールとする。

 その2では、坂井がピンフ・ドラ1(20)を古川からアガりラス目が目まぐるしく交代し南入した(成岡04→坂井04→藤森20→古川)。

 南1局、古川にチャンス手が入るが成岡に追い越される【牌譜2】。微妙なのは古川の動きである。ラス抜けまで20で成岡の仕掛けに対抗するのか。最もこの動きが無いと成岡はで26オールとなっていたのだが。

 その2で、ラス目古川は12巡目にリーチとする。
 坂井のポンの動きがあるがドラそばの打とすれば坂井はそれほど無理をしないだろう。無駄なリーチ棒と思えた。古川は東4局その2の放銃も14巡目役なしテンパイからのドラ筋での放銃であり粗さが目立つ。流局。

 南2局は、供託のリーチ棒を成岡が5・10で回収しトップ目を盤石とする。

 南3局、古川の7巡目、
 ここで古川はテンパイ取らずの打とし、この後を重ねてで13・26をツモアガりラス抜けを果たした。いやいや力強いですなー。いい迷惑なのは藤森で柴棒だけ坂井の上にいたがこれでラス目へ戻され、南4局も手にならなかった。流局。
(◎成岡/●藤森)



◆◆◆ 21回戦B卓 ◆◆◆

〈愛澤1昇・亀井1昇・小川2昇・松井△7〉

 成岡を追わなければならないプラス組の愛澤はピンフドラ1、タンヤオと開局から2局連続でツモアガリ幸先の良いスタートをする。その3はドラ2枚持ちの亀井にを鳴かせるが何とか流局に持ち込んだ。

 オヤとなった亀井は頭ができないままタンキマチをツモアガリ(10オール)愛澤を追うが、次局W片アガリのテンパイで押すとからラス牌のドラ表示牌を引き入れた松井に安目で40を放銃し小川と並びの3着目になってしまう。

 東3局は愛澤がカンチャン待ちの鳴きサンショクをツモアガりトップ目を固めるとここから3局は流局となった。

 南3局はをポンしたオヤ小川にタンピンイーペイコウをテンパイした松井がで42を打ち上げてしまう。耐えていた松井であるがこれでラス目となってしまった(愛澤84→小川37→亀井02→松井)。

 が、その2でソウズのホンイチを仕掛けた亀井がピンズチー()の一鳴きを入れた愛澤に40を打ち込んでしまい松井の下にもぐった。ドラが雀頭のアンコは想定外であろう。

 南4局、38差を追う亀井は6巡目にリーチとした。
 ヤマには3枚しかなかったが亀井は8巡目にを引き寄せた(7・14)。亀井がしぶといのか、松井がつかないのか・・・・。いずれにせよプラス組は昇を守った。
(◎愛澤/●松井)



◆◆◆ 22回戦A卓 ◆◆◆

〈松井△8・小川2昇・藤森△1・坂井0〉

 小川の坂井への高目80の放銃(ピンフサンショクドラ1)で始まった。次局藤森がツモのみで局を進めると流局を挟んだ東3局坂井が、
と手を進めると藤森からロンの声が。
 先の3・6により坂井までの差を65としていたのであればリーチをかけてトップを目指すことも可能であったが藤森はヤミテンとし坂井に一歩ずつ近づくことを選んだ(7・14)。

 しかしその後は手にならず南1局は流局し南2局は坂井が松井からピンフドラ1(20)をせしめリードを広げた。

 南3局、藤森に8巡目にテンパイが入るが、ドラなしのチートイツでリーチもかけられず、くるくるとマチを変えるが絵を合わせることはできなかった。

 南4局藤森は坂井までの43差を追うがドラがで動きが取れず最後はタンキマチ。そして小川のリーチを受けて撤退し、坂井のトップを許した。流局。
(◎坂井/●小川)



◆◆◆ 22回戦B卓 ◆◆◆

〈古川△1・成岡9昇・愛澤2昇・亀井1昇〉

 開局最初のテンパイは成岡のピンフで、同巡愛澤がを浮かせたドラ()入りチートイツイーシャンテンにを引き入れテンパイ。三元牌は1枚も切られておらず愛澤の選択は切り。2巡後成岡がを掴み64を謹呈する。局後成岡は悔やんでいたが、放銃する覚悟はあったのだろうが点数が思ったより高かったようだ。愛澤にとっては最上のスタートである。

 東2局【牌譜3】、今局も成岡が悔いていたというか牌譜検証を期していた。7巡目での成岡の手牌は、
 同巡の愛澤のを一鳴きしているとどうなったのか。その後の愛澤のツモ筋にはとあり成岡から全て見えている。他3人に動きが無ければ、或いは17巡目のまでに三者にアガリが無ければ役満成就である。それを確かめたかったのだろう。実際は6巡目に愛澤が、
となっており成岡のポンがあると13巡目に、16巡目にとハネ満をツモアガっている。

 東3局は成岡にピンフのテンパイが入るが、が4枚切れているため打としドラのタンキマチにする(雀頭候補のがアンコ)がいずれにせよアガリは無かった。

 次局も9巡目の成岡にテンパイが入るが、
 ドラがでは打とするしかなく2巡後を引くも打とマチを維持した。これもを引くことなく流局した。

 成岡の困窮はまだまだ続く。流局で迎えた南2局【牌譜4】。4・5巡目のを残せばイッツーのアガリがあるというのだがそんなのは絶対に無理である。一方の古川はその生命力を見せるかのような最終ツモでアガった(30・60+供託10)。

 その古川は南3局を鳴きタンヤオで凌ぐ(12)と南4局はを鳴いた後2枚のをスルーしたうえでにはポンを掛けを安全牌としながら小三元で掉尾を飾った(20・40)。
(◎古川/●成岡)


 

◆◆◆ 23回戦A卓 ◆◆◆

〈坂井1昇・古川0・藤森△1・愛澤2昇〉

 藤森の愛澤へのピンフ(12)の放銃でスタートするが、東4局古川が藤森との仕掛け合いから藤森にで28を献上する。南入した次局藤森が8巡目に、
からのトイツ落としでテンパイトラズとする次巡のツモが。そこに古川がで放銃する(80)。

 藤森万全かと思われたが、愛澤は16(古川)40(古川)と藤森を追い南4局を迎えた。藤森まで28とした愛澤は1巡目のから仕掛けた。
 
 愛澤が4巡目にを加槓すると原点維持の坂井が8巡目の古川のにポンをかけた(藤森28→愛澤68→坂井164→古川)。
 そう坂井は20・40で未だトップが狙える位置にいたのだ。その坂井の手牌を覗きに行くと、
 
と条件を満たしている。愛澤もを引き入れが焦点になったが、坂井の手牌からが打ち出され程なくを手許に引き寄せた。
 
 大逆転である(40・80)。愛澤の3昇目が遠い。
(◎坂井/●古川)



◆◆◆ 23回戦B卓 ◆◆◆

〈松井△8・成岡8昇・小川1昇・亀井1昇〉

 開局の成岡の6巡目【牌譜5】
 が1枚ずつ切られているくらいで特に材料はない。成岡の選択はで次巡を引くが8巡目に3枚目のを引き入れ即松井ので出アガった(80)。私にはわからない。読者に牌譜とのにらっめこをしていただき成岡の思考を想像していただくしかない。

 そんな成岡も次局はアガれなかった【牌譜6】。最初からそんなにアガる気が無かったのかもしれない。真っ直ぐに行けばやっぱり12巡目のでテンパイするのだが、成岡は道中引き戻したを手に留めテンパイしている。最後精度が鈍ったのか2種類のアガリ逃しをしている。一方亀井も9巡目、
  から松井の前巡に合わせている。ここでを選択できていれば或いはアガリがあったかもしれない。まぁ亀井のタイプだと少なくともを選択し次巡テンパイするが引きで降りになるのだろう。

 東3局は流局し、東4局は終盤にアガリが出る【牌譜7】。成岡のテンパイ打牌は目立たず、小川のチーテン打牌のが松井の悲劇を呼んだようだ。だが成岡のが厳しいところであり松井にはもうひと考えをしてもらいたかった。アガった成岡がビックリしていたのだから。これで南場は小川、亀井は相当な手が入るか親番以外は頑張らないであろう。ということで南場は小川の18(松井)と成岡の12(小川)で終局し、成岡は早々に22回戦の傷を癒した。
(◎成岡/●松井)



◆◆◆ 24回戦A卓 ◆◆◆

〈坂井2昇・亀井1昇・松井△9・古川△1〉

 坂井が東1局の14オール(40符のタンヤオツモ)を決めると、同点の三者が牽制し合い南1局まで流局を繰り返した。

 その坂井は南2局古川のトイツ落としのが鳴けるとダメ押しをするように次巡10・20をツモアガった。
 

 南3局、ラス目の亀井に14巡目にテンパイが入る。
 ヤミテンで十分ラス抜けできるが既に降りている三者に出アガリは期待できないと亀井の選択はリーチ。ツモアガリからの南4局のトップ取りを目指したのだろう。しかしツモ牌は空しく河に並べられた。流局。

 南4局の亀井の配牌は、
如何ともしがたい感じだがこれを何とかしなければならない。12でいいのだから。
 一方、今日も目が出ない松井の2巡目、
に引いたのが。坂井までの差は106でトップになるためにはリーチを掛けたうえでツモらなければならない。松井の選択は打のヤミ。坂井からの直撃ならトップがある。本人もほとんど期待していなかっただろうが(もちろん私も。そのうちツモったりしてと)なんと5巡目の坂井の捨て牌がとなった。今日の酒がやけ酒にならずに済んだか。
 いずれにせよ成岡安泰の展開である。
(◎松井/●亀井)



◆◆◆ 24回戦B卓 ◆◆◆

〈成岡9昇・藤森△1・小川1昇・愛澤2昇〉

 流局で迎えた東2局、愛澤が積極的に仕掛ける。5巡目ドラ受けのない形でをポンし、
 
 6巡目には成岡にメンゼンテンパイ(ツモアガリ限定)で追い抜かれ、10巡目には藤森にタンピンで追いつかれるがで先取点をあげた(4・8)。

 次局は早々にチートイツをテンパイし、6巡目にはツモアガってリードを広げる(8・16)。

 流局を挟んだ南2局も愛澤の速攻が決まった。4巡目、をポンし、
 
6巡目にで局を進めた(4・8)。

 南3局は、藤森と同点3着目の小川がナキタン(6オール)を決め、並びは愛澤64→小川16→成岡08→藤森となった。

 その2は愛澤が役なしのドラタンキマチで押し切り流局とし南4局の藤森のアガリを期待、支援する展開とした。

 南4局藤森の配牌は、
 上家成岡の絞りを受けるが引きのイーシャンテンまで進むものの愛澤の支援を受けることはできなかった。最も愛澤も40までは打てるがメンゼンの藤森には手の高さが読めず協力できなかったであろう。成岡の絞り勝ちである。それでも愛澤は遠かった3昇目を漸く上げることができた。
(◎愛澤/●藤森)



◆◆◆ 25回戦A卓 ◆◆◆

〈成岡9昇・愛澤3昇・古川△1・藤森△2〉

 流局で迎えた東2局、最初のテンパイは11巡目の藤森で、
 実は4巡目に、
からを切っておりアガリ逃しの形となっている。河には1枚も切れておらずヤマにもありそうで、結構いいマチなのだが気分はイマイチではと思っているとヤマに5枚あるを一発で引き当てた(20・40)。

 次局は、オヤ古川がドラのを5巡目に見切りに声を掛けると終局間際に6オールを引いた。

 その2は、ラス目愛澤が6巡目に、
テンパイすると三者が受けに回り流局となった。

 東4局、トップ目まで76差の古川が10巡目に1枚目のにチーを入れる。
 
 この鳴きでトップ目藤森が古川の現物のを手放し成岡がポンテンとし12を古川からアガった。これで古川はラスオヤになるポジションなのに前々局の折角のリードを失いラス目と22差の同点2着目となった。

 南1局【牌譜8】のアガリは14巡目の古川で13・26。
 ただ古川は悔しがっていた。古川6巡目、
で少考を入れ切ったのはだったのだ。トップ目までの点差88を意識すれば456のサンショクを強く意識することもできたのだろう。打と。状況により打牌が変わるというやつだ。この後のツモがでテンパイとしその後を引いていたのだ。ツモならそんなことは気にならなっかったであろう。
 ところで藤森が10巡目にテンパイ取らずをしている。
の2枚切れとの危険度を嫌ったのであろう。また7巡目にを落とせばツモでタンピンサンショクのテンパイであったこともあるのかもしれない。後手を踏んだと。なお当然ここで藤森がを切れば成岡の15巡目のに変身するのであるが。

 南2局オヤ愛澤は15巡目のを叩きつけるようにツモ切りした。実は4巡目、
 ここから自然なを選択したのだが、その後の3連続のツモがまでの7巡がすべてツモ切りだったのだ。もしピンズに染めているとツモで、
   となっておりテンパイをどのように取ったのだろう?ちなみに17巡目のツモがで実際はテンパイまででした。

 南3局、トップ目まで23差の古川7巡目、
 567のサンショクが見えるだけにここは打とテンパイを崩した。すると同巡の愛澤のを藤森がポン。古川のツモがときて力強くを切り出すが藤森からロン。
 
のポンテンで古川は既に詰んでいたようだ(20)。

 南4局3着目成岡まで19の愛澤は成岡9昇の後ろ髪を掴むためにも是非アガりたいところである。愛澤の配牌は、
とどこから手を付けたらいいのかわからないものだった。それがツモが効き7巡目には、
 とイーシャンテンとなった。しかしここからが引けない河にと並べ成岡の後ろ姿が更に遠くなった。
(◎藤森/●愛澤)



◆◆◆ 25回戦B卓 ◆◆◆

〈松井△2・亀井0・小川1昇・坂井2昇〉

 昨日の最終戦南4局で僥倖の逆転トップを取った松井が3巡目にして、
のテンパイを入れた。早ければの出も期待できるかと見ていたがファン牌の出が悪く、10巡目にを引き打とチートイツに受け変えた。が、この後マチ頃の牌に恵まれず流局となった。

 東2局には、小川に早いテンパイが入った。2巡目、
 小川はこれを躊躇することなくリーチをかけ一発でをツモアガった(13・26)。

 次局、再び松井にチャンス手が入る。
 8巡目にでテンパイとしすぐにと振りかわるがロン牌に巡り合うことはなかった。

 東4局は、亀井が面風牌()アンコにしポンテンから4・8をツモアガるが、続く南1局にオヤ松井に合わせ打った牌を小川に鳴かれ更に筋で小川に28(ドラ1)を打ってしまう。完全に小川ペースで半荘が進む。

 更に小川は次局も早いピンフ(12)を松井からせしめた。

 南3局、小川への28でラス目になっている亀井は、
 と変化を望めるテンパイを入れ終盤のアンカンも出来たが肝のは無かった。

 南4局を迎えて、小川109→坂井08→松井04→亀井と下は僅差のレースとなっている。ラス目亀井の配牌は、
と比較的期待のできるものでツモもと順調で6巡目にはテンパイとした。これに対し少し昇に余裕のできた坂井がオヤ番故かアガリを目指しで放銃してしまった。松井にツキが少しは残っていたようだ。
(◎小川/●坂井)



◆◆◆ 26回戦A卓 ◆◆◆

〈小川1昇・松井△8・成岡9昇・古川△1〉

 東1局成岡が、8巡目にの方を引き入れテンパイとする。
 気を良くしてリーチもあるかと見ていたが、ここは慎重にヤミテンとし次巡をツモアガった(10・20)。

 流局で迎えた成岡のオヤ番、成岡は10巡目場を見透かしようにイーシャンテンからドラを切った。
 これには誰も逆らえず、成岡のテンパイ止まりで流局する。狙い通りなのだろう。

 続く東4局、松井の5巡目、
 対する成岡の6巡目、
 ここに小川が割って入る。
 
 が、これでを引いた松井はサンショクとならなかったが堂々とを切ってタンピンのテンパイをと取った。成岡はこれを平然とスルー。金持ち喧嘩せずか。結果は松井が即でを引き寄せた。確かに成岡はを引いても困るばかりである。

 南1局10巡目にオヤ小川にテンパイが入る。
これに成岡が同巡振り込む(24)のだが、タンピンテンパイでは無理もない。これで先ほどのドラ切りが活きて松井が僅かな差であるがトップ目になった(松井09→成岡12→小川21→古川)。

 その2は成岡が、
の配牌を4巡で仕上げ(引き)トップ目松井から直撃した(28)。

 次局その松井はラス目古川から6巡目にしてリーチを受ける。
 古川は安目であるがこれをでツモアガり(5・10)、松井は2局でラス目へ落とされてしまった。

 南3局は小川、松井がテンパイを入れるが流局し僅差のラス回避争いの南4局となった(成岡36→古川04→小川12→松井)。松井の配牌は、
 決して良いとは言えなかったが、松井の5・10以上のツモアガリでラスとなる古川がアガリを目指したため、が鳴けるとと引き入れ古川のテンパイ打牌を咎めた。成岡は26回戦にして10昇に到達した(13勝3敗)。
(◎成岡/●古川)



◆◆◆ 26回戦B卓 ◆◆◆

〈坂井1昇・愛澤2昇・藤森△1・亀井0〉

 東2局、オヤ愛澤は5巡目にリーチとした。
 これは東1局に亀井の早い(5巡目)ヤミテンに放銃(28)してしまったために已む無く掛けたもので本人も流局を覚悟したであろう17巡目最終ツモに助けられることになる。(20オール)これをヤミテンにしていればどうやら藤森に7・14のアガリがあったようで結果は雲泥の差である。

 次局【牌譜9】愛澤はドラのの引きに感触を感じたのか6巡目に仕掛けた。
 
  しかしこの後何も引けず17巡目までツモ切りを続けた。が子方三者は逆にチーテンを恐れたのか降りに回り流局した。を鳴かれた坂井はテンパイとなるを目の前で喰い流されたのでは意気消沈である。なお、本局もチーが無ければ藤森に5・10があったようだ。

 続く2局も4者牽制し合う形で流局し南入した。10巡目の愛澤は苦しい形で進退を考えていただろうが、
 逆にが重なったことによりが切りやすくなったようだ。というかこれしかなかったともいえる。空切りし三者の撤退を求めた。その後はビックリのツモで坂井の溜息を引き出した(20・40)。

 次局ラス目に落とされた坂井に4巡目イーシャンテンが入るがこれがチートイツではテンパイは難しく、大船に乗った愛澤にグイっと押されて終盤に26オール(タンピンドラ1)を引かれた。まぁ振り込まなければ局が増えるだけ歓迎かもしれない。

 その2も愛澤にテンパイが入るが坂井には入らず流局する。坂井に残されたのはあと2局。南3局、その坂井はこんな苦しい形で10巡目テンパイ即リーチとした。
 7巡目にドラを切ってきた亀井とツモリっ子をするのが嫌だったようだが2着目亀井のツモアガリを期待しオヤ藤森との点差を縮める作戦でもよかったのではないか。当然の流局。なお、亀井は十分形のイーシャンテンでのドラリリースで結果的にもテンパイは入っていなかった。

 残るは南4局【牌譜10】。坂井の配牌の悲しさ。坂井は第一ツモがで8種になるとドラを持っていることもあり筋のから切り出した。しかし次のでは方針変更しメンツ手を目指した。そんな坂井に対し亀井は落ちているテンパイなら拾おうかと8巡目にチーテンを取った。
 
 このチーが坂井に思わぬツモをもたらした。
と困っているところにで、
と希望の灯が見えてきたのである。次巡をチーすると次巡を引き入れ片アガリであるがテンパイが入った。そんなを亀井が持ってくるがさすがに打てず撤退した。次の坂井のツモは。打とするのだが、さて坂井に第1打は。このを持って手を進めていると・・・。坂井は局後20が打てる亀井に対しアピールするためカンにしたのではないかと言っていたが。流局。
(◎愛澤/●坂井)



◆◆◆ 27回戦A卓 ◆◆◆

〈亀井0・藤森△1・愛澤3昇・松井△8〉

 愛澤が軽い仕掛けから入った。2巡目、
 
と引いて小さなリードを作った(3・6)。

 次局松井はピンフのイーシャンテンで浮かせていたドラを重ねると雀頭を振り替え、亀井から40をもぎ取り愛澤をあっさり交わした。

 流局を挟んだ東4局、松井は11巡目に、
となるとサンショクを深追いせず素直にを切りテンパイを取ると次巡を引いてきた。「それなら」と思ったかどうか知らないがこのが愛澤から放たれ大正解となった。

 その2は、3着目が近づいて来たラス目亀井がタンヤオの仕掛けを入れ3・6で愛澤を交わした。

 南入すると、今度は一転藤森と愛澤の激しいアガリ競争となった。
 南1局、愛澤が、 
 
ピンフ確定形から片アガリのチーテンをかけ、10・20でラス抜けを果たす。

 南2局、藤森が、
 26オールで、3着目からトップ目に浮上する。

 南2局その2、愛澤が、
 サンショク手変わり後のツモアガリ(20・40)で、トップ目へ。

 南3局、藤森が、
 トップ目愛澤から28の直撃で、再逆転。

 南4局を迎えて、藤森25→愛澤41→松井83→亀井。松井はいつの間にか蚊帳の外に追い出されてしまった。
 愛澤の配牌は、
 と場合によっては同点トップをも思わせるものであったが、が出てくるまでにと引きヤミテンにするともう一度蚊帳の中に入ろうとした松井がを切り出し愛澤の再々逆転トップとなった。
(◎愛澤/●亀井)



◆◆◆ 27回戦B卓 ◆◆◆

〈成岡10昇・坂井0・古川△2・小川2昇〉

 点棒移動は2局のみで、
 南1局【牌譜11】、成岡の原点リーチ、流局。
 南4局【牌譜12】、坂井がオヤの第1打をポン、成岡リーチに捕まる。
 この半荘はこれだけでいいような気がする。

 テンパイは、この他、
 東2局、古川が、 
 東3局、古川が、 
 
 東4局、小川が、 
  
 坂井が、
 
 古川が、
 南3局、小川がフリテンながら、
とあり、どこかにアガリがあってもおかしくなかったが、結果的に南4局まですべて流局した。

 南1局のリーチは片アガリにも取れるわけでヤミテンが一般的であろう。
 成岡はイーシャンテンとなる引きがシャンポンマチの根拠としているがそれならそれでサンアンコ狙いのヤミテンでもよい。それより腑に落ちないのは南4局坂井にポンである。
 
 確かにポンしてイーシャンテンでが早ければアガれそうである。しかし成岡の押し返しは火を見るより明らかでのアンコは不安材料でしかない。せめてならと思ってしまう。
 成岡のリーチを受け早速のトイツ落としをするがこれも完全安牌ではない。2巡凌いだ坂井の手牌は、
 
 成岡の河が強すぎることもあるが全て無筋である。ここにを引いた坂井は1枚通ればとを手放すが代わりに持ってくるのが。ここでを選んだ坂井にもうは止まらない。どうせ1枚通ればとを切っていれば101史上空前で多分絶後の珍スコアー(◎◎◎●)が見られたのだが。そして「0昇降級」という恐ろしい可能性も出てくるところだった。
(◎成岡/●坂井)



◆◆◆ 28回戦A卓 ◆◆◆

〈松井△8・愛澤4昇・坂井△1・成岡11昇〉

 東1局【牌譜13】愛澤の20・40で始まった。愛澤の岐路は8巡目、
 メンツ選択となるが、が3枚飛んでいるので自然落としとなる。後はツモに任せたもの。問題は成岡である。同巡成岡はテンパイ。 
 勿論これでリーチを掛けろというものではない。焦点は次巡の坂井の打牌である。チーをすれば役ありとなる。成岡にチーされれば愛澤は234の材料が切りにくい。鳴けばアガれたというのではなく、鳴けば少なくとも愛澤のアガリを阻止できたのではと局後成岡は喰わなかったことを悔いていた。実際は愛澤のが出なくても次の成岡のツモがでアガリとなっていた。

 東2局から南1局までは全て流局。唯一のテンパイは東3局の松井で7巡目に、
で、14巡目にを引き高目サンショクとなるがテンパイ時に既にはヤマに1枚しかなくその1枚も王牌に埋もれていた。

 南2局【牌譜14】、愛澤の12巡目、
 直前の成岡の切りが気持ち悪いがが安全牌であるため切りを先行させたようだ(ただし坂井には危ない)。それが思わぬ方向から声がかかった。松井からだ。64以上は勘弁願いたいが20〜52までなら南4局で成岡のラスを作り易い。結果は16で微妙なところだ。

 南3局、南4局のオヤ番が控える成岡は是非ともアガって南4局を迎えたいところである。その成岡のイーシャンテンは8巡目でテンパイは14巡目と遅く加点することはかなわなかった。

 南4局、松井の配牌は、
の驚異のイーシャンテン。岐路は5巡目で、
 も何れもありそうだが松井の判断はとなった。次巡のツモがでどのように感じたかはわからないがツモ切るしかない。テンパったのは10巡目のツモでロン牌はが2枚、が1枚が1枚と以外に薄い。が何とか松井がを引き寄せラス抜けを果たすとともに名翔位戦レースがまだ続くこととなった。
(◎愛澤/●成岡)



◆◆◆ 28回戦B卓 ◆◆◆

〈藤森△1・小川2昇・亀井△1・古川△2〉

 先ほどの27回戦B卓と異なり激しい半荘となった。アガリが8回出たのである。しかし点棒の延べ移動量は154。1回あたり平均アガリ点は20を割っている。動きだけを記載してみる。
 東1局、古川16←小川 
 東2局、古川12←小川 
 東3局、小川16←古川 イーペイコウ
 東4局、亀井3・6 ツモ
 南1局、古川3・6 タンヤオ
 南2局、小川30←古川 ピンフドラ1
 南2局その2、藤森7・14 ドラ1
 南3局 流局

 この結果、南4局を迎えて藤森21→小川01→古川13→亀井となった。
 最後を締めたのは亀井で、
から出アガリの望めるから(が良く切れている)を引いてマチカエとすると結果は同じで頭まで抜けた(7・14)。
(◎亀井/●古川)


 

第41期順位戦A級 第4節 星取表 (11月14・15日/東京)

選手名
開始前
21
22
23
24
25
26
27
28
終了時
順位
亀井 敬史
1昇 B  B  B  A  B  B  A  B  ±0 4
成岡 明彦
8昇 A  B  B  B  A  A  B  A  10昇 1
坂井 準司
±0 A  A  A  A  B  B  B  A  △1 5
小川  隆
2昇 B  A  B  B  B  A  B  B  2昇 3
愛澤 圭次
1昇 B  B  A  B  A  B  A  A  5昇 2
藤森 弘希
±0 A  A  A  B  A  B  A  B  △1 6
松井 秀成
△7 B  A  B  A  B  A  A  A  △8 8
古川 大樹
△1 A  B  A  A  A  A  B  B  △3 7
立会人:山内 啓介