
第41期順位戦A級 第2節
第2節観戦記:平井 淳
順位戦A級はコロナウイルスの影響で単日開催からスタートしたため各自半荘4回しか打ててない。しかも成岡が4連勝したため、亀井、小川、愛澤、松井の4人は未だトップがない。これはとても嫌なものである。早くトップを取らないと1昇が果てしなく遠い気がするのである。そんななか第2節が始まった。
◆◆◆ 5回戦A卓 ◆◆◆
〈(起家から以下同)古川△2・藤森1昇・亀井△1・愛澤0〉
△2を抱える古川であるが、1回トップを取っている。少しは気が楽であろう。そんな古川は開局早々の10巡目にドラ



交通事故的な失点となった愛澤は、その2でピンフのイーシャンテンから

少しずつ借金を返していく腹積もりであったろう愛澤であるが、東3局にオヤ亀井のピンフテンパイに高めタンヤオで失点を重ねてしまう(30)。
漸く迎えたオヤ番で14巡目に高めを重ねてテンパイを入れた。
















それでも次局はそのリーチ棒を回収するチートイツを古川からアガった(16)。
南2局、3着目まで98差の愛澤の9巡目、ツモっての手牌は、


















南3局は、古川があっさりと、

















南4局、愛澤がサンショク手変わりを待っていたヤミテンをドラ引きで最後の抵抗リーチを敢行する。

















◆◆◆ 5回戦B卓 ◆◆◆
〈松井△1・小川△1・坂井0・成岡4昇〉
開幕4連勝の成岡が連勝をどこまで伸ばすかと注目していたが、流局で迎えた東2局にオヤ小川がリャンシャンテンから
































このままでは終わるはずのない東4局の成岡の配牌、
























しかし成岡に試練が待っていた。その2の5巡目、













































それでも挫けない成岡は6巡目に仕掛ける。


















黙って座っているだけでラス目にされている松井が2巡目から































南3局は、成岡が苦しい形で9巡目に仕掛ける。
































南4局は小川にツモれば逆転のピンフリーチが入るがこれも流局した。
◆◆◆ 6回戦A卓 ◆◆◆
〈藤森1昇・亀井△1・坂井1昇・成岡4昇〉
この半荘は藤森の逸機から始まった。第1節、4半荘で60オールを2回アガっている藤森の起家13巡目、

























ということで東2局には亀井にチャンス手が入る。11巡目、






























大きな失点を被った坂井だが、その2は早々にドラが3枚になると11巡目にテンパイ即リーチとした。


















流局を挟んだ東4局、亀井にチャンス手が入る。4巡目打して、




































南1局は坂井のヤミテン、南2局は亀井の仕掛けが入るもいずれも流局する。この間成岡は効かないツモに呻吟しているようだった。
南3局に再びチョーマが動いた。

















南4局オヤの成岡はやはり期待に応えぬツモに翻弄され僅か04差のラスを押し付けられた。
◆◆◆ 6回戦B卓 ◆◆◆
〈小川△1・愛澤△1・古川△1・松井△2〉
未だトップのない小川、愛澤、松井の3人がいるこの卓は東3局まで流局した。東2局では古川がドラ2枚で真っ直ぐ行けばよいところを誰を懼れたのか10巡目、

















なんとなく空気が重くなってきた東4局は愛澤が早々にテンパイを入れた。

















南1局は松井が仕掛け、小川が追うが流局。
南2局はオヤ愛澤が、11巡目小川の

































納得できない愛澤は次局2巡目から仕掛けた【牌譜2】。愛澤は何を見ているのだろうか。次巡松井から


南4局は愛澤が中盤チートイツのテンパイを入れるが小川28→愛澤06→古川・松井ではリーチ棒も出せず、ラスを懼れながらのヤミテンツッパリとした。
小川、松井にはドキドキの時間であったろうが101らしく流局し、今期初めてのラスなしとなった。
◆◆◆ 7回戦A卓 ◆◆◆
〈松井△2・愛澤△1・亀井0・古川△1〉
愛澤が彼らしい進行で局面をリードした。まずは開局だが、松井と愛澤のテンパイは同じ14巡目。
松井が、


































次局はオヤでピンフ18を古川からアガり先行を果たした。その2は古川のピンズのホンイチっぽい仕掛けにワンズのホンイチチートイツのテンパイを崩した。
東3局はドラが

東4局はこの半荘ドラが集まる古川にこんな手が入り、14巡目のリーチ。



















その供託のリーチ棒を当然のように浚っていくのは愛澤である。古川の役なしテンパイが3メンチャンのピンフに変わったところでピンフをツモアガる(4・8)。
その愛澤にミスといえない落とし穴が待っていた【牌譜3】。
愛澤10巡目の選択が、

























愛澤は南3局彼らしくないところから仕掛けた【牌譜4】。12巡目、


















南4局愛澤に9巡目テンパイが入る。




















◆◆◆ 7回戦B卓 ◆◆◆
〈藤森1昇・坂井1昇・小川0・成岡3昇〉
点棒移動は成岡のツモリサンアンコから。といっても東2局12巡目のチーテンからである。


















実はこの局オヤカブリをした坂井は、8巡目にテンパイしており、

















その坂井に次局もテンパイが入る。6巡目、




















南1局に坂井が3・6(タンヤオ)、南2局に藤森が7・14(
































南4局ラス目小川が9巡目にやっとテンパイが入るが、























◆◆◆ 8回戦A卓 ◆◆◆
〈古川0・藤森1昇・松井△3・小川△1〉
古川の大チャンス手から始まった【牌譜5】。古川の9巡目、





































この

次局も松井は小川の仕掛け(

東3局は、藤森が仮テンを最速でツモりアガった(5・10)。


















〔参考〕東4局その2オヤ藤森(60オール)

















東4局その1は小川は

藤森は自然に手を進めるだけである。仮に松井のポンがなくても

そしてそのことを見せつけるのが南場である。東場は5回のアガリが出たが、南場はすべて流局する。誰も藤森に近づけないのである。
南1局は、オヤ古川の

南2局は、小川17巡目思い出のテンパイ。















南3局は、古川の13巡目、


















南4局、古川がタンヤオ仕掛けで3・6の同点3着目に賭けるもテンパイ止まり。
◆◆◆ 8回戦B卓 ◆◆◆
〈愛澤△1・亀井0・成岡4昇・坂井1昇〉
愛澤はここまでトップがない。本日の初戦は交通事故に近い古川へのチートイツドラ2の96でラスを引かされ、2回戦はアガリ2回の半荘で先行するも小川のひと捲りで2着、3回戦も2回のアガリで先行するも手順で選んだ1牌がラス目古川の大まくりを演出する納得のいかない展開なのだろう。そんな愛澤は、開局早々

















結果は流局で、このリーチ棒は次局オヤ成岡がドラ入りチートイツをツモリあげ回収する(40オール)。
続くその2では愛澤が12巡目、































成岡にすれば、なんていうタイミングで鳴かせるのかと文句も言いたいところであろうが、兎に角愛澤には逆風が吹いているようだ。
次局も愛澤は5巡目にテンパイを入れ、

































南1局は流局し、南2局は亀井が

















亀井が20を追いかける南4局、その配牌は、






































亀井の決断はリーチ。「愛澤の


結果は流局。名翔位亀井には本日開始時に5昇差あったものを6回戦でトップラスを決め 3昇差に縮めたものを7回戦で成岡がトップを取り再び4昇差となったことが納得できなかったようだ。この半荘で3昇差にし本日を〆ると決めたためのリーチであったということだ。
さて、35回打ち終わった時にこの1昇はどのような影響を及ぼすのであろうか。
第2節自戦記(5回戦〜8回戦:古川 大樹)
第1節は記念すべきA級デビュー戦のはずだったのだが、初勝利こそ挙げたもののノー和了ラス3回で1勝3敗という苦すぎる結果に沈んだ。4回戦でアガリはわずか2回、単日節でありながら△2で8位の最後尾発進となってしまったのだ。その記憶もまだ生々しい3週間後に迎えたのが、今回平井編集長より自戦記担当を割り振られた第2節である。
当然、第2節の使命は「借金返済」。そのためには、前節重苦しくのしかかっていた「アガリまでの遠さ」をいち早く払拭することが先決だと考えた。
前節のようにノー和了が続いていると、今局をオリて次に懸ける、という考え方がしづらい。次以降の局もアガれるイメージが持てないからだ。だから、オリるべき局面できちんとオリを選択できるためにも「アガリまでの遠さ」は打ち消しておかなければならない。
【5回戦A卓(古川△2・藤森1昇・亀井△1・愛澤0)】
開局、配牌で含めトイツ4組とドラが1枚。10巡目にドラを引き入れてチートイツのテンパイを入れると、ソウズチンイチの愛澤から
マチの96を出アガリできた。アガれないイメージの払拭にさっそく成功。これで前節からの重荷を下せた気持ちになり、心理的にかなり楽になった。
しかし、リードを持ってからがいけない。その2で再び配牌トイツを今度はポンしてドラ跨ぎリャンメンマチテンパイを入れた。



















アガれるようになってもオリ局面をオリれてないじゃないか...
南1局でも愛澤にチートイツ16を打つ。11巡目、1枚切れの

しかし南3局でこの半荘2回目の高打点のアガリをものにしてトップ当確。

















【6回戦B卓(小川△1・愛澤△1・古川△1・松井△2)】
アガリが生まれたのは2回だけ。
東4局 愛澤16←小川
南2局 小川10・20(オヤ愛澤)
松井と同点3着目のラスなし状態である。こういう状況では相手に●をつけさせることを目指すのが101なのだが、残り2局は28差2着目の愛澤からの強烈なプレッシャーへの対応に追われ、凌ぐだけで精一杯だった。このあたりはきちんと冷静に対処できていたように思う。
ノー和了だがノー放銃。可もなく不可もなし。
余談だが、これがA級初のバーとなった。
【7回戦A卓(松井△2・愛澤△1・亀井0・古川△1)】。
東2局西家、4巡目に役なしドラ1のテンパイ。

















これは深追いしてはいけない局面だ。それはいいのだが、では何を切るか。下家松井のピンズに寄せた河に手牌の半分は打ちづらく、かと言ってドラ周りのソウズも打てない。消去法でワンズのターツを払っていった。
だが松井はすでに受けに回っていて、
















この後はラス抜けを目指して攻めるしかない。仕掛けとチートイツドラ2が不発で迎えた親番の東4局、13巡目にメンゼンでテンパイする。

















供託に残したリーチ棒は次局愛澤がピンフツモ4・8で攫っていった。
しかし、再三言うが今日はドラがよく寄ってくる日だ。南2局は次の手牌。






























亀井●なら4位まで浮上できる、と南4局には04差でラス目の松井にアシストも考えていたが、愛澤のタンピンドラ1テンパイをかい潜って差し込むのは難しくて断念。
とはいえ、5位にはなれて初の降級圏脱出を果たした。
【8回戦A卓(古川0・藤森1昇・松井△3・小川△1)】
東1局、いきなり大物手が入る。8巡目にこのテンパイだ。

















振り返ってみるとチャンスはこの局だけだった。この後、自分以外の3人がツモアガリを続ける。それも東4局その2の藤森の早いタンヤオツモドラ3が最後となり、南場はすべて流局した。
わずか15差を返せず、ノー和了ノー放銃でラス。せっかく0に戻したスコアはたった1戦でマイナスに逆戻りとなった。
なお、2日目は−◎●−とスクエアで終えた。
今節の使命として掲げた「借金返済」は1つ分だけ達成できた。3勝2敗は上出来と言っていい。そして順位も6位と残留圏内に浮上できた。
前節の悪すぎた結果でぐらついていた自信が多少持ち直せた第2節であった。次も十分な準備をして臨み、さらに上を目指したい。第3節の使命は「借金完済」である。
第41期順位戦A級 第2節 星取表 (9月12・13日/東京)
選手名 |
開始前 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
終了時 |
順位 |
亀井 敬史 |
△1 | A − | A ◎ | A − | B − | B − | A − | A − | A ◎ | 1昇 | 3 |
成岡 明彦 |
4昇 | B − | A ● | B ◎ | B ◎ | B ● | A ◎ | B − | B ◎ | 6昇 | 1 |
坂井 準司 |
±0 | B ◎ | A − | B − | B − | A − | A ● | A ◎ | A − | 1昇 | 4 |
小川 隆 |
△1 | B − | B ◎ | B ● | A − | B ◎ | B − | A − | B − | ±0 | 5 |
愛澤 圭次 |
±0 | A ● | B − | A − | B ● | A ◎ | B − | A ● | B − | △2 | 7 |
藤森 弘希 |
1昇 | A − | A − | B − | A ◎ | B − | B − | B ◎ | A ● | 2昇 | 2 |
松井 秀成 |
△1 | B ● | B − | A ● | A − | A ● | A − | B − | B − | △4 | 8 |
古川 大樹 |
△2 | A ◎ | B − | A ◎ | A ● | A − | B ◎ | B ● | A − | △1 | 6 |